母が亡くなり、実家のお墓を大阪の納骨堂に改葬。意外と掛かった改葬費用4つの内訳とは
地方にあるお墓を家の近くの納骨堂に改葬する人が増えましたが、費用は実際にどれくらい掛かるのか…、検討している人は気になりますよね。
実際にお墓を納骨堂へ改葬した人に聞くと、「意外と費用が掛かった」とも聞きます。
・お墓を納骨堂に改葬する費用はどれくらい?
・改葬に踏み切ったきっかけは?
・実際にお墓を納骨堂に改葬した体験談が聞きたい!
今回は母親の死をきっかけに、父親と地方にあったお墓を納骨堂に改葬した体験談を、実際の費用、内訳も交えてお伝えします。
高齢の両親が運転免許を返納
●高齢の両親が運転免許を返納し、実家のお墓参りが不便になりました
隅田英恵さん(58歳:仮名)は大阪都心部に夫と住み、娘2人はそれぞれ結婚しています。
一方、両親は地方に住み、先祖代々墓が建つ菩提寺は、車で30分ほどの距離です。
車で30分とお墓参りがしやすい地元に住んでいた両親は、これまで英恵さん家族が帰省できない時でも、毎年お彼岸とお盆にはお墓参りをして、墓守をしてきました。
●けれども両親は高齢になったことを理由に、2人で自動車免許証を返納します。
…「年に数回だからバスを使って行けばいいわ」と母親は言っていましたが、高齢になっていたこともあり、だんだんと歩きでのお墓参りが困難になりました。
先祖代々墓が建つ地元に残っている親族は英恵さんの両親のみ、父親の兄弟である伯父や叔母は、英恵さんと同じ大阪の都心部に住んでいます。
そこでいよいよ、英恵さんの両親は、お墓参りから遠のくようになりました。
母親が亡くなり、納骨は保留
●そんななか、2020年に英恵さんの母親が逝去します
2017年に英恵さんの両親が自動車運転免許を返納し、以降は親族や英恵さんご家族も含め、お墓参りから足が遠のくなか、2020年に英恵さんの母親が逝去します。
滞りなく通夜、葬儀、初七日と法要が進み、四十九日に納骨をするだけと言う頃、ふと父親は「菩提寺は山にあるし、納骨したらなかなかお墓参りはできないなぁ」と本音を漏らしました。
●そんな父親の声を聞いて、ふと英恵さんが思い出したのが、家の新聞紙に挟んであった納骨堂「A御廟」の広告チラシです。
・大阪近郊でお墓参りがしやすい
・英恵さんが幼い頃に住んでいた地域が近い
実は英恵さんの父親は、母親を亡くして「ひとり暮らしにこの家は広すぎる。管理も掃除も行き届かないし、何より寂しい」と話していました。
そこで父親は母親の遺骨をA御廟に納骨し、自分もかつて住んでいて土地勘のある、A御廟の近くに住むことを検討します。
母親の遺骨は、そのまま自宅に安置
●四十九日の納骨は取りやめ、納骨先を決めるまで自宅に安置しました
菩提寺のご住職は「できれば四十九日法要の後に納骨した方が良い」と話してくれましたが、父親も納骨堂に母親の遺骨を納骨したい想いが強く、「妻の遺骨が家から無くなるのは寂しい」と話し、一度自宅に安置することにします。
●ご住職は「四十九日過ぎて遺骨をお墓に埋葬していないと、母親もなかなか成仏できない」と話していました。
…また親族には、「自宅に安置するなら、遺骨を粉骨して手元供養の形にした方が良い」とアドバイスをくれる人もいます。
けれども父親としては、「母親の遺骨をA御廟に納骨するなら、実家のお墓も納骨堂に改葬して、一緒に供養したい」と考えていました。
そのため菩提寺のご住職や親族には気持ちが固まるまで、なかなか本当の気持ちを打ち明けることは難しかったそうです。
A御廟を見学
●父親が英恵さんと共にA御廟を見学、必要書類など、具体的な説明を受ける
四十九日法要が終わり百か日法要まで過ぎた頃、英恵さんと父親はA御廟の見学をします。
すでにパンフレットも取り寄せていましたが、遺骨はそれぞれ1柱ごとの納骨です。
ただ実家のお墓を納骨堂に改葬するにあたり、1柱ずつバラバラに納骨される点が、父親の気掛かりでした。
①遺骨は隣り合わせのスペースに収蔵できる
②法要は専用の法要室がある
③提出書類の説明
・改葬許可証が必要
A御廟の見学を終え、父親は実家のお墓を納骨堂に改葬する気持ちを固めています。
そこでまず、「お話に伺うべきは菩提寺だ」と、早速菩提寺のご住職にアポイントを取りました。
菩提寺とは「外檀家」の関係性に
●菩提寺との相談では、先祖代々長く続く関係性を断ち切ることのないよう、お墓のみを納骨堂に改葬し、外檀家として関係性を続けることでまとまります
「外檀家」とは、特定の寺院を代々家で信仰する「檀家(だんか)」ではあるものの、菩提寺の境内墓地にお墓を持たない関係性です。
墓地にお墓はないものの檀家ではあるので、家の葬儀や法要では読経供養をご住職へ依頼します。
・今後も読経供養はご住職へ依頼する
・離檀費用などはなし
世間では、寺院墓地からのお墓の改葬や離檀にあたり、改葬トラブル・離檀トラブルの体験談も多く聞きます。
・法外な離檀費用を取られる
・墓石業者の立ち入りを禁じる
(遺骨の取り出しや墓石の撤去を邪魔する)
・「埋葬(埋蔵)証明書」の捺印拒否
などなどです。
「埋葬(埋蔵)証明書」は、改葬許可証の申請に必要な、現段階で遺骨が埋葬されていることを証明する書類で、揃わなければ改葬許可証が交付されません。
[参照]大阪で起きた離檀トラブルにどう対応する?離檀料の金額相場や体験談に見る5つの解決策
けれども英恵さんと父親のケースでは、特にトラブルはなく、今後も法事などでお世話になる「外檀家」として落ち着きました。
・「檀家」とは?かかる費用や義務、檀家になる・やめるには?檀家にならず法要はできる?
A御廟に購入の申し込み
●菩提寺と相談して5日後、A御廟で契約(購入手続き)を行いました
菩提寺との相談後、実家のお墓も納骨堂に改葬するため、伯父や叔母にも相談をすると、A御廟が2人の家からも近く、より気軽にお墓参りができることで、快く了承をいただきます。
そればかりか、「それぞれ費用を出す」と申し出てくれたため、今後のお墓の撤去や更地作業の経済的負担も少なくなるだろうと、ホッとしました。
●A御廟で支払う費用は38万円/1柱です。
…お墓の内部調査を墓石業者に依頼したところ、現在お墓に納骨されている遺骨は3柱、英恵さんの母親の遺骨を含めて、4柱の契約をしています。
[A御廟への支払い]38万円/1柱×4柱=152万円
A御廟との契約により、新墓地で遺骨を受け入れる証明である「埋葬(埋蔵)受け入れ証明」を発行してもらい、地元の役所へ提出する「改葬許可申請書」の必要書類が整います。
その後無事に地元の役所で「改葬許可証」が発行され、正式にA御廟との契約を済ませることができました。
・【大阪の墓じまい】行政手続きの手順。墓じまいと改葬(お墓の引っ越し)は何が違うの?
改葬を始めると、意外な費用
●いざ改葬を始めると墓地の更地工事など、思った以上に費用が掛かることに驚きます
全ての手続きを終えていざ改葬を進めると、ひとつひとつの段階で意外な改葬費用が掛かりました。
菩提寺にある実家のお墓は閉眼供養を行った後、石材業者に遺骨の取り出しや墓石の撤去、更地化工事を依頼しますが、その費用はまとめて35万円ほどです。
(閉眼供養のお布施は除く)
●実家の古い墓地
・墓じまいパック(墓地の撤去/更地化工事)…35万円
・閉眼供養…3万円
●取り出した遺骨
・遺骨の洗浄…15万円
(遺骨4柱の洗浄+2柱は粉骨)
●A御廟(新しい墓地)
・納骨費(遺骨4柱)…152万円
・墓石あしらい…6万円
(納骨堂ネームプレート)
●開眼供養
・お布施(+御車代)…5万円
・入山料…3万円
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合計…219万円
「御車代」とは菩提寺のご住職がA御廟まで出張して読経供養をしてくださったので、交通費としてタクシー代を目安に包むお金、約5千円ほどを包みます。
また英恵さんが予想外だった費用が入山料です。
「入山料」とは、A御廟(施設)が契約をしている意外の僧侶に読経供養を依頼した場合などに支払います。
葬儀費用を除いても219万円、200万円超えに予想外で驚きましたが、英恵さんの父親の場合、伯父・叔母から費用を出し合うと協力を得ていたため73万円/1人とし、英恵さんの父親ひとりに経済的負担が集中せずに済みました。
・墓じまいで取り出した遺骨の手入れ。洗浄や粉骨の費用目安はどれくらい?|永代供養ナビ
最後に
以上が、母親の死をきっかけに父親が実家のお墓ごと納骨堂へ改葬した体験談です。
ただこの他、葬儀費用が掛かっていることも配慮します。
葬儀費用は規模の大きさなどで千差万別ではあるものの、戒名料、読経料金は併せて80万円が掛かりました。
・大阪の法要でお布施を渡す金額はどれくらい包む?読経の費用や、位で違う戒名料を解説!
取り出した遺骨(祖父母/曽祖父母)4柱は洗浄・粉骨の後、菩提寺からA御廟に移送され、母親の遺骨の納骨式で、一緒に納骨されています。
まとめ
お墓を納骨堂に改葬した体験談
●高齢の両親が自動車運転免許証を返納
・実家のお墓参りが困難に
・高齢になりお墓参りが遠のく
●母親が亡くなる
・納骨堂の検討が始まる
・遺骨の納骨を一時保留
●納骨堂の見学
・実家のお墓の改葬を決める
・母親の遺骨とともに改葬
●菩提寺に相談
・法要を依頼する「外檀家」になる
・離檀トラブルはない
・離檀費用は掛からない
●納骨堂の購入
・38万円×4柱=152万円
・伯父叔母より費用折半の申し出
●改葬費用は意外に掛かる
・合計で219万円
・3人で折半して73万円/1人
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