墓じまいの手順や手続きとは?しないとどうなる?9つの手順と行政手続き、費用も解説!
・墓じまいを進める手続きとは?
・墓じまいをしないとどうなる?
・墓じまいをスムーズに進める9つの手順とは?
「墓じまい」とは、お墓を閉じて遺骨を取り出し、墓地へ返還することです。
取り出した遺骨は、新しい納骨先を探し、何らかの形で供養します。
そのため墓じまいの手続きは行政上、遺骨を引っ越す「改葬」です。
本記事を読むことで、墓じまいに必要な手続きや、円滑に進めるための9つの手順を、分かりやすく解説します。
後半では納骨先で違う、大まかな費用目安も解説していますので、どうぞ最後までお読みください。
墓じまいとは?行政手続きは?
◇「墓じまい」とは、既存のお墓を閉じて墓地へ返還することです
「墓じまい」では、お墓を閉じて納骨されていた遺骨を取り出し、墓石を撤去した後、更地にして墓地に返還します。
ただ墓じまいで取り出した遺骨は、何らかの形で供養しなければなりません。
そのため墓じまいの行政手続きは、遺骨を引っ越す「改葬(かいそう)」です。
<墓じまいとは?行政手続きは?> | |
[墓じまい] | ・民間でうまれた言葉 ・お墓をしまうこと |
[改葬(かいそう)] | ・行政で扱う言葉 ・遺骨を移動すること |
[改葬証明書] | ・遺骨を取り出す許可を得る ・遺骨の証明 |
人の骨である遺骨は、勝手にお墓から取り出したり、放置、捨てることは刑法190条の人骨の遺棄厚意にあたり、法律違反です。
墓じまいにより、納骨されている遺骨を取り出す時には、既存のお墓が建つ自治体の役所窓口で「改葬許可証」を発行してもらいます。
墓じまいをしないとどうなる?
◇墓地管理者により無縁墓として強制撤去され、遺骨は無縁仏になります
年間管理料を滞納したままお墓を放置すると、通知や催促状が届いた後、墓地管理者により無縁墓と判断されます。
<墓じまいをしないとどうなる?> | |
[無縁墓になるまで] | ・年間管理料を滞納し放置 ・通知が届く(未納) ・催促状が届く(未納) ・立て看板が建つ ・官報に名義人の公示 |
[強制撤去] | ・遺骨の取り出し ・無縁塔へ合祀 ・墓石の撤去 ・区画が更地になる |
今ではそもそも子どもや孫がお墓の存在知らないまま、高齢の墓主が亡くなり、継承者不在のお墓もあります。
ただ墓主と連絡が付かない無縁墓が増えました。
なかには強制撤去の費用が賄えずに放置され、荒れ放題の無縁仏もあるほどです。
・墓じまい後の遺骨はどこへどうなる?費用はいくら掛かる?いらない遺骨の処分はできる?
墓じまいの手続きとは
◇墓じまいの手続きは行政上、遺骨を引っ越す「改葬」手続きです
「改葬(かいそう)」とは、遺骨を引っ越すことを差します。
墓じまいで取り出した遺骨を、合祀墓など、新しい納骨先へ納骨するためです。
墓じまいを進めるには、「埋葬許可証」「受入許可証」を用意して、既存墓地がある自治体の役所窓口で、「改葬許可証」を発行してもらいます。
<改葬許可証の発行に必要な書類> | |
[書類書類] | [入手方法] |
・埋葬(納骨)許可証 | ・既存の墓地で発行 |
・受入許可証 | ・新しい納骨先で発行 |
・改葬許可申請書 | ・既存墓地の役所窓口 |
・故人の戸籍謄本 | ・役所窓口 |
・申請者の身分証明書 | ・申請者 |
・承諾書 (名義人が違う場合) |
・お墓の名義人 |
また墓じまいの手続きは、お墓一基に対してではなく、取り出した遺骨一柱に対して改葬許可証が必要です。
そのため墓じまいの手続きを円滑に進めるために、先に墓じまいを依頼する業者を決めて、内部調査を依頼しましょう。
・墓じまいとは?やることは?「墓じまいパック」費用目安や納骨先、提供業者の種類とは?
墓じまい9つの手順と手続きとは
◇墓じまいを円滑に進めるポイントは、先に納骨先を決めることです
墓じまいの行政手続きでは、新しい納骨先からもらう書類「受け入れ許可証」を提出します。
そのため最初に納骨先を決めてから墓じまいを進めることで、手続きが二度手間・三度手間にならず円滑です。
ただその前に、後々後悔しないために理解を得たい家族や親族に相談しましょう。
<墓じまい9つの手順と手続き> | |
[手順] | [手続き] |
(1)家族や親族との合意 | |
(2)新しい納骨先を決める | ・受入許可証 |
(3)既存の墓地に報告 | ・埋葬(納骨)証明証 |
(4)業者に墓じまいを依頼 | ・内部調査(柱数を確認) |
(5)改葬許可証をもらう | ・改葬許可申請書 |
(6)閉眼供養 | |
(7)遺骨の取り出し | ・改葬許可申請書の提出 |
(8)墓石の撤去 | ・墓地区画の返還 |
(9)取り出した遺骨を納骨 |
墓じまいの行政手続きは自治体によって多少の違いがあります。
新しい納骨先がなくても、改葬許可証の発行はできない訳ではないでしょう。
けれども新しい納骨先がないまま墓じまいをしてしまうと、取り出した遺骨はどこかで保管しなければなりません。
一方、新しい納骨先を先に決めた墓じまいなら、1日で墓じまいを済ませることも可能です。
(1)家族や親族との合意
◇家族・親族に合意を得て、負担を軽く、後悔のないように進めましょう
墓主に決定権がありますが、墓じまいで生まれた溝が後々まで響く事例は多いです。
相続トラブルに発展する家族もいます。
<家族や親族との合意> | |
[メリット] | ・既存の墓地に共に報告に行く ・墓じまい手続きを一緒に進める ・墓じまい費用を分担できる |
[デメリット] | ・時間がかかるリスク ・精神的負担のリスク |
また墓じまいへの理解を得ることにより、煩雑な手続きやトラブルを一緒に対応する、心強いサポーターの存在も期待できるでしょう。
・大阪に多い墓じまいで後悔した体験から読み解く☆後々まで後悔しないご遺骨の行く先とは
(2)納骨先で「受入許可証」
◇最初に納骨先を見つけることで、後々の手続きや流れがスムーズです
墓じまいを決めたら、まず最初に新しい納骨先を見つけましょう。
新しい納骨先も霊園や墓地に詳しい業者ですから、墓じまいトラブルが起きた時に、心強い存在です。
・骨をすぐに納骨
・墓じまい手続きが円滑
・既存の墓地とのトラブル対応
新しい納骨先は、墓じまい後、家族がどのようにして故人を供養したいかにより、選択肢もさまざまでしょう。
まず遺骨を残したいのか、残さないのか、供養の頻度によって判断します。
複数の遺骨を取り出す場合、遺骨によって納骨先を選ぶ人も多いです。
<新しい納骨先> ●受け入れ許可証をもらう |
|||
[納骨先] | [内容] | [遺骨] | [費用目安] |
[永代供養]・永代に渡り供養や管理を任せる | |||
●一般墓 | ・お墓 | ・残る | ・約80万円~250万円/1基 (平均175万円) |
●合祀墓 | ・他の遺骨と合祀 | ・残らない | ・約10万円~/1柱 |
●納骨堂 | ・個別に収蔵 | ・残る | ・約15万円~/1柱 ・年間管理料 |
[自然葬]・遺骨を自然に還す | |||
●散骨 | ・遺骨を撒く | ・残らない | ・約5万円~70万円/1柱 |
●樹木葬 | ・土に還る埋葬 | ・残らない | ・約20万円~/1柱 |
[その他] | |||
●手元供養 | ・手元で供養 | ・残る | ・約3万円~70万円/1柱 |
樹木葬は大樹の麓に骨袋から出した遺骨を埋葬する「シンボルツリー型」や、埋葬した遺骨の上に植樹する「植樹型」があります。
ただし「ガーデニング型樹木葬」は、永代供養付きのコンパクトなお墓に近いです。
庭園のような特別区画に、ワンプレート型の小さな墓石が並びます。
そのため遺骨は残り、一定年数の間に更新がなければ、合祀墓に埋葬される仕組みが多いでしょう。
(3)既存墓地から「埋葬(納骨)証明書」
◇既存の墓地に相談・報告して、「埋葬(納骨)証明書」をいただきます
円滑に墓じまい手続きを進めるためには、既存の墓地管理者の協力は必須です。
今まで遺骨の管理や供養を行ってきてくれたことに感謝し、墓じまいが致し方ないとお伝えして、理解してもらいましょう。
<既存の墓地に相談> ●埋葬(納骨)証明書をもらう |
|
[ポイント] | ・先に電話を入れて相談しておく ・親族や家族と複数で行く ・致し方ないことを伝える |
[対応策] | ・遺骨の納骨先を墓地内で決める ・寺院墓地であれば檀家を続ける ・お布施を持参する (檀家料として約3万円~20万円) |
得に注意すべきは、長年代々に渡り先祖代々墓を管理・供養してきた寺院墓地です。
寺院墓地の墓じまいをすると、信家である「檀家」を辞める「離檀」となるでしょう。
檀家と菩提寺(寺院墓地)の関係性が消滅しますから、寺院にとって良い報告ではないことも理解し、丁重にご報告や相談をすることです。
(4)業者に墓じまいを依頼
◇まず内部調査を依頼します
墓じまいの費用は、内部調査をしてお墓の内部状況を把握しなければ分かりません。
お墓の構造や劣化具合はもちろん、柱数によって費用は大きく変わります。
墓じまいを依頼する業者は、石材店です。
<業者に墓じまいを依頼する> | |
●複数の石材店をピックアップ | ・既存の墓地の指定石材店 ・納骨先の指定石材店 ・自分達で選んだ石材店 |
●内部調査を依頼 | ・無料が多い |
●相見積もりを取る | ・細かく項目が良い |
新しい納骨先の項目で分かりますが、一般墓を建てる時には一基ごとの料金形態ですが、お墓を持たない永代供養では、一柱ごとの料金形態になります。
内部調査により最初にお墓の内部状況を理解することで、予算計画も円滑です。
・墓じまいとは?やることは?「墓じまいパック」費用目安や納骨先、提供業者の種類とは?
(5)改葬許可証をもらう
◇「改葬許可証」の発行により、遺骨の取り出しができます 「受け入れ許可証」「埋葬(納骨)証明書」を持参して、既存のお墓が建つ自治体の役所窓口へ行き、「改葬許可申請書」を提出しましょう。
<改葬許可証でのトラブル事例> | |
[出歩くことが難しい] |
●埋葬(納骨)証明書 ●改葬許可申請書 |
[土葬時代の墓じまい] |
●内部調査を依頼する ●完全に土に還っている ●遺骨が残っている |
[納骨していない] | ・墓じまい手続きはなし ・墓石の撤去のみ |
[手元供養や散骨] | ・役所窓口で相談する ・原則は墓じまい手続き不要 |
[私有地に建つ墓地] | ・役所窓口で相談する |
現代は霊園や墓地にお墓を建てることが墓埋法で定められていますが、戦前から続く私有地に建つお墓もあります。 私有地に建つお墓は、墓地管理者がいないので「埋葬証明書」の発行ができません。 まず役所窓口で相談しますが、一例ではお墓が建つ住所や地図を持参する方法などがあります。
(6)閉眼供養
◇仏式で進める墓じまいでは、閉眼供養を行います
閉眼供養は僧侶の読経供養です。
寺院墓地ではご住職に依頼し、民間霊園では施設に相談する他、ネットで僧侶を手配する人も増えました。
<閉眼供養> | |
[僧侶に依頼] | ・寺院墓地…ご住職に依頼 ・公営墓地…僧侶を手配 ・民間霊園…施設に相談(僧侶を手配) |
[費用目安] | ・お布施…約3万円~5万円/1回 |
無宗教など「閉眼供養はいらない」と言う人もいますが、閉眼供養を済ませないと墓じまい作業を進めない石材店も多くあります。
円滑な墓じまいのためにも、閉眼供養を行うと良いでしょう。
(7)遺骨の取り出し
◇閉眼供養を済ませた後、遺骨の取り出しです
閉眼供養と別日に墓じまい作業を進めても良いですが、閉眼供養と同日に墓じまい業者を呼び、すぐに遺骨を取り出す流れが一般的です。
取り出した遺骨をそのまま新しい納骨先へ移動し、全てを1日で済ませる事例も少なくありません。
<取り出した遺骨の洗骨・殺菌> | |
[納骨堂など] | ・洗骨…約2万円/1柱ほど~ ・乾燥 ・殺菌 |
[手元供養] | ・粉骨…約3万円/1柱ほど~ |
お墓は湿気がこもり、遺骨にカビや菌が生えていることが多いため、取り出した遺骨の供養方法によっては、洗骨や殺菌、粉骨を行うこともあります。
(8)墓石の撤去
◇墓じまい手続きは、墓地を更地にした状態での返還です
墓じまいで墓地管理者へ区画を返還する時には、購入した時と同じ状態で返さなければなりません。
・墓じまいの報告をする
・遺骨の取り出し
・墓石の撤去
(墓石の処分)
・更地にする
・返還
撤去した墓石も処分が必要ですので、墓じまいを依頼した石材店に依頼します。
基本的に墓石は、産業廃棄物としてリサイクルされるか、有価物として再利用されるでしょう。
墓地から墓地へ引っ越す場合は、お墓ごと移動する事例もあります。
(9)取り出した遺骨を納骨
◇取り出した遺骨を、選択した方法で供養します
取り出した遺骨は最初に決めた新しい納骨先へ納骨し、供養しましょう。
一般墓など、形態によっては開眼供養や納骨式も行います。
遺骨は自分や石材店が、公共機関や車を利用し、移動するケースが多いですが、海洋散骨など、遠方に移動する時には郵送もできます。
●ゆうパックのみ
・湿気、水は抜く
・緩衝材を入れて損傷を防ぐ
・受取先へ連絡を入れておく
遺骨を郵送できるのは、今のところ日本郵便のゆうパックのみです。
佐川急便やクロネコヤマトでは、遺骨の郵送を受け付けないので注意をしてください。
墓じまいの行政手続きは「改葬手続き」です
墓じまいの手続きは、行政上では遺骨を移動する「改葬手続き」として扱われます。
「誰の遺骨であるか」を証明して、遺棄に当らぬよう、必ず改葬手続きを取らなければなりません。
墓じまいの手続きを円滑に進めるためには、既存の墓地、新しい納骨先の協力が必要ですので、丁寧にご相談、ご報告を進めます。
墓じまいにより遺骨を残さず、後悔する不安があれば分骨も検討しながら、墓主の負担軽減を検討しましょう。
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