
大阪の墓じまいの流れを完全解説|手続き・費用・必要書類と注意点

お墓の維持が難しくなったときに選ばれる「墓じまい」。しかし実際には、墓じまいの流れにおいて、親族の同意や役所での改葬許可申請、閉眼供養、墓石の撤去など、多くの手続きや費用が関わります。
この記事では、墓じまいの基本的な流れと必要書類、かかる費用や注意点をわかりやすく解説します。流れだけではなく、永代供養や散骨などの新しい供養方法、自治体の補助金制度についても紹介しますので、安心して準備を進めるための参考にしてください。
墓じまいとは?基本の意味と背景【大阪でも共通の考え方】

「墓じまい」とは、今あるお墓を撤去して更地に戻し、墓地の使用権を管理者に返還することを指します。お墓の中にあるご遺骨は新しい場所へ移し、改めて供養するのが一般的な流れです。
近年は、少子化や核家族化の進行により、お墓を継承できない家庭が増えており、墓じまいを選択する人が増加しています。
墓じまいを行う際は、親族の同意を得ることや、寺院・墓地管理者への相談、役所での改葬許可申請、閉眼供養、墓石の撤去といった複数の手続きが必要です。単なる「お墓を片付ける作業」ではなく、ご先祖様への供養をどう続けていくかを考える大切な節目といえるでしょう。
墓じまいと改葬の違い
「墓じまい」と「改葬」は混同されやすい言葉ですが、意味には違いがあります。
今あるお墓を閉じて撤去し、使用権を返還すること。遺骨は永代供養墓や納骨堂、樹木葬、散骨などへ移すのが一般的です。
● 改葬:
遺骨を別の墓地へ移すこと。お墓を閉じる必要はなく、単に「お墓のお引っ越し」にあたります。
つまり、「墓じまい」はお墓を完全に終える行為、「改葬」は新しい墓所へ移す行為と整理できます。実際には「墓じまいと同時に改葬を行う」ケースも多く、行政手続きでは「改葬許可証」が必要となります。
墓じまいを検討する主な理由(少子化・後継者不在・お墓の維持負担など)
墓じまいを考える背景には、社会的・生活的な事情が大きく関わっています。主な理由は次の通りです。
跡継ぎがいない、子どもが遠方で暮らしているなどの事情から、お墓を守り続けることが難しくなるケースが増えています。
● お墓の維持・管理の負担:
お墓が遠方にあり、定期的なお参りや清掃が難しい、維持費や管理費の負担が重いといった理由で墓じまいを検討する人も多いです。
● 将来の無縁墓を避けたい:
お墓を放置すると「無縁墓」となり、管理者によって撤去される可能性があります。その前に自分の意思で整理し、永代供養や納骨堂などへ移すケースが増えています。
このように、墓じまいは「仕方なく行うもの」ではなく、「ご先祖様を大切に思うからこそ、現実に合った形で供養を続けたい」という前向きな選択でもあります。
墓じまいの流れと手順【大阪での一般的な進め方】

墓じまいは複数の手続きを順番に進める必要があります。ここでは、一般的な流れをステップごとに解説します。事前に流れを把握しておけば、親族や寺院とのトラブルを避け、スムーズに進めることができます。
親族の同意を得る(トラブル防止の第一歩)
墓じまいの最初の手順は、親族の理解と同意を得ることです。費用や供養方法について十分に話し合わずに墓じまいを進めると、「知らないうちにお墓を撤去された」といったトラブルにつながりかねません。
親族間で墓じまいの必要性や理由を共有し、費用の負担や遺骨の行き先について合意を形成しておくことが大切です。
墓地管理者・菩提寺への相談と離檀料の確認
次に、墓地の管理者や菩提寺へ墓じまいを希望する旨を伝えます。特に菩提寺にあるお墓の場合は「離檀料」が発生することがあります。離檀料は法的な義務ではありませんが、これまでの供養への感謝を示す意味合いで支払う慣習があり、相場は数万円から20万円前後です。
管理者や住職への相談を早めに行い、必要な手続きや費用の確認をしておくことが、円満に墓じまいを進めるポイントです。
・大阪で起きた離檀トラブルにどう対応する?離檀料の金額相場や体験談に見る5つの解決策
新しい供養方法を決める(永代供養・納骨堂・樹木葬・散骨・手元供養)
墓じまいの流れの中で重要なのが、ご遺骨の新しい供養先を決めることです。選択肢には以下のようなものがあります。
お寺や霊園が永続的に供養してくれるため、跡継ぎがいない家庭でも安心。
● 納骨堂:
室内施設に骨壺を納める形式で、都市部を中心に増加。天候に左右されず参拝可能。
● 樹木葬:
墓石の代わりに樹木をシンボルとする自然葬のスタイル。
● 散骨(海洋葬など):
粉骨したご遺骨を海や山に撒く方法。法律やガイドラインに沿って行う必要がある。
● 手元供養:
ご遺骨の一部を自宅に保管する供養法。小型骨壺やペンダントに納めるケースも。
どの方法を選ぶかで費用や必要書類が変わるため、親族とよく話し合って決めましょう。
[永代供養・納骨堂・樹木葬の違い]
行政手続きと必要書類(改葬許可申請書・受入証明書・埋葬証明書)
墓じまいには役所での行政手続きが欠かせません。特に「改葬許可申請書」の提出が必要です。
遺骨1体ごとに必要で、自治体の窓口やホームページから入手可能。
● 受入証明書:
新しい納骨先が遺骨を受け入れることを証明する書類。永代供養墓や納骨堂などの管理者に依頼して発行してもらいます。
● 埋葬証明書(埋蔵証明書):
現在の墓地管理者から発行される「このお墓に遺骨が埋葬されている」ことを証明する書類。
これらを揃えて市区町村役場に申請すると「改葬許可証」が交付され、正式に遺骨を移すことができます。
閉眼供養(魂抜き)と僧侶へのお布施
改葬許可証を受け取ったら、お墓から遺骨を取り出す前に「閉眼供養(へいがんくよう)」を行います。これは、お墓に宿る故人やご先祖様の魂を抜く儀式で、「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれます。
読経を依頼した僧侶にはお布施を渡すのが一般的で、相場は3万~5万円程度です。宗派や地域によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
[お布施の包み方・渡し方のマナー]
石材店による墓石の解体・撤去
閉眼供養が済んだら、石材店に依頼して墓石の解体・撤去を行います。費用は墓石の大きさや墓地の立地条件により変動しますが、一般的には1平方メートルあたり10万円前後が目安です。
工事前に複数の石材店から見積もりを取り、トラブルを避けることが重要です。また、霊園によっては指定業者しか工事できない場合もあるため、事前確認を忘れないようにしましょう。
更地にして墓地を返還
墓石の撤去が終わったら、墓地を更地にして管理者へ返還します。返還が不完全だとトラブルになる可能性があるため、工事完了後は必ず現地を確認しましょう。
これにより、墓地の使用権が正式に管理者へ戻り、墓じまいの大きな区切りがつきます。
新しい受け入れ先で納骨・供養を行う
最後に、新しく決めた供養先で納骨を行います。納骨堂や永代供養墓に納める場合は管理者と日程を調整し、必要であれば「開眼供養(魂入れ)」を行います。
散骨や手元供養を選ぶ場合も、ルールに従い、遺骨が丁寧に扱われるよう準備を整えましょう。ここまでを完了すれば、墓じまいの流れはすべて終了です。
墓じまいにかかる費用と補助金制度【大阪の相場も紹介】

墓じまいの流れを理解したら、次に気になるのが費用です。墓じまいには行政手続きや書類の発行、墓石の撤去、僧侶へのお布施、新しい供養先の費用など、複数の支出が発生します。ここでは、主な費用項目と補助金の有無について整理します。
行政手続きや書類発行にかかる費用
墓じまいに必要な改葬許可申請書や埋葬証明書、受入証明書などの発行には、数百円〜1,000円程度の手数料がかかります。自治体によって金額や申請方法が異なり、郵送での取り寄せやオンライン申請に対応しているケースもあります。
複数の遺骨がある場合には、その数だけ書類が必要になるため、事前に必要枚数を確認しておくと安心です。
墓石解体・撤去費用の相場
墓石の解体・撤去は、墓じまいの中で最も大きな費用が発生する部分です。一般的な相場は 1平方メートルあたり10万〜15万円前後 とされ、墓石の大きさや墓地の立地条件によって変動します。
重機が使えない狭い墓地や山間部などでは、人力作業が必要になり、費用が高額になることもあります。複数の石材店から見積もりを取り、費用とサービス内容を比較して依頼することがトラブル防止につながります。
閉眼供養・離檀料・僧侶へのお布施
「閉眼供養」とはお墓に宿った魂を抜く供養。その眼を閉じるため「閉眼」です。遺骨を取り出す前に行う閉眼供養(魂抜き)には、僧侶へのお布施が必要です。閉眼供養の相場は 3万〜5万円程度 ですが、宗派や地域によって異なる場合があります。
また、菩提寺にお墓がある場合は「離檀料」がかかるケースがあります。離檀料はこれまでの供養に対する感謝を示す意味合いがあり、相場は 3万〜20万円程度。法的な義務はありませんが、菩提寺との関係を円満にするためには誠意をもって対応することが大切です。
[大阪のお布施相場]
永代供養や散骨など新しい供養先の費用
墓じまい後の供養方法によっても費用は大きく異なります。
1体あたり10万〜50万円程度。管理費不要で安心。
● 納骨堂:
5万〜100万円程度。都心部では人気が高い。
● 樹木葬:
30万〜80万円程度。自然志向の人に選ばれる。
● 散骨(海洋葬など):
10万〜30万円程度。粉骨費用を含む場合もある。
● 手元供養:
小型骨壺やアクセサリーは数千円〜数万円程度で可能。
どの方法を選ぶかで総費用は大きく変わるため、予算と希望に合わせて検討しましょう。
[大阪の墓じまい費用相場]
自治体による補助金制度の有無を確認する
一部の自治体では、墓じまいにかかる墓石撤去費用の一部を助成する「補助金制度」を設けています。例えば、無縁墓の発生を防ぐために、特定の地域で補助金が出るケースがあります。
ただし、補助金制度は全国的に広く実施されているわけではなく、対象地域や対象条件が限定されていることが多いのが現状です。墓じまいを検討する際は、まずお住まいの自治体や墓地の所在地の役所に問い合わせ、補助金制度があるかどうかを確認してみましょう。
[墓じまい補助金とは|予算が足りない時の対処法]
墓じまいを自分で進める際の注意ポイントを解説

墓じまいは流れに沿って進めても、思わぬトラブルが起きることがあります。特に親族間の意見の食い違いや、寺院とのやり取り、石材店との契約、行政手続きの遅れなどが代表的なケースです。ここでは、墓じまいを円滑に進めるために押さえておきたい注意点をまとめます。
親族間のトラブルを避ける工夫
墓じまいで最も多いトラブルが「親族との意見の不一致」です。お墓に対する考え方は世代や立場によって異なるため、独断で進めてしまうと反発を招く恐れがあります。
● 費用負担や遺骨の供養方法を明確にしておく
● 遠方の親族にも必ず連絡を取り、理解を得る
このような工夫をすれば、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
[墓じまいで起きやすい親族トラブル]
管理者・寺院への礼儀(マナー)と対応方法
墓地管理者や菩提寺への相談は、墓じまいの大切なステップです。特に菩提寺にお墓がある場合は「離檀料」のやり取りが発生しやすく、対応を誤るとトラブルになりかねません。
● 離檀料は法的義務ではなく「お礼」であることを理解する
● 高額請求を受けた場合は専門家や消費生活センターに相談する
礼儀を尽くしながらも、冷静に対応することが重要です。下記は菩提寺・檀家の基本的な仕組みと、離檀トラブルを回避する第三の方法「外檀家」についても解説したコラムです。参考にしてください。
[お墓を持たない「外檀家」の選択]
石材店選びと費用トラブルの回避
墓じまいの手順のなかでも、墓石の撤去費用は墓じまい費用の大きな割合を占めます。そのため、石材店との契約で思わぬ費用トラブルが発生するケースも少なくありません。
● 墓地によっては「指定業者」しか工事できない場合があるため事前確認する
● 契約内容は必ず書面で残す
これらを徹底することで、解体費用の高額請求などのリスクを避けられます。
役所で行政手続きスムーズな進め方
墓じまいを進める上で欠かせないのが「改葬許可申請書」などの行政手続きです。手続きが遅れると、墓石撤去や納骨の日程に影響が出てしまうこともあります。
● 自治体によって申請方法が異なるため、ホームページで最新情報を確認する
● 発行に日数がかかる場合もあるため、余裕を持って準備する
早めに準備を始めることで、墓じまい全体の流れを滞りなく進めることができます。
[大阪の改葬手続きガイド]
墓じまい後の供養方法の選び方【大阪で選ばれるスタイル】

墓じまいはお墓を閉じて終わりではなく、その後の供養をどうするかを決めることが大切です。遺骨の新しい納め先や供養方法には複数の選択肢があり、それぞれに特徴や費用、注意点があります。ここでは代表的な供養方法を比較し、後悔のない選択をするためのポイントを解説します。
永代供養墓のメリット・デメリット
永代供養墓とは、お寺や霊園が遺族に代わって供養や管理を行ってくれるお墓のことです。跡継ぎがいない家庭でも安心して任せられる点が最大のメリットです。
【メリット】
● 継承者が不要で、将来無縁墓になる心配がない
● 費用が比較的安価(10万〜50万円程度)
● 管理費が不要で経済的な負担が少ない
【デメリット】
● 契約期間終了後に合祀(他の遺骨と一緒に供養)される場合がある
● 個別でのお参りができる期間が限られることもある
将来の安心感を優先したい場合には適した方法ですが、「長く個別に供養したい」と考える方には不向きな場合もあるため、契約内容を必ず確認しましょう。
[永代供養墓とは]
納骨堂や樹木葬を選ぶ場合の注意点
近年増えている供養方法に「納骨堂」と「樹木葬」があります。
室内施設に遺骨を納める形式で、ロッカー型や仏壇型、自動搬送型など多様なタイプがあります。雨天や猛暑でも快適にお参りできる点が特徴ですが、契約内容によっては期限付きで、その後に合祀されるケースもあります。
● 樹木葬:
墓石の代わりに樹木をシンボルとして遺骨を埋葬する方法です。自然志向の方に人気がありますが、霊園内の区画型と里山型があり、アクセスや管理方法に大きな違いがあります。事前に「永続的に個別管理されるのか」「何年後に合祀になるのか」を確認しておくことが大切です。
いずれの方法も「供養期間」「費用」「お参りのしやすさ」を比較して選ぶと安心です。
[納骨堂とは|種類や費用]
[樹木葬とは|種類や費用]
散骨や手元供養を選ぶときのルール
墓じまい後の新しい供養方法として注目されているのが「散骨」や「手元供養」です。
ご遺骨を粉末化(粉骨)し、海や山などにまく方法です。海洋散骨が一般的ですが、法律上は「節度をもって行うこと」が求められており、必ず業者に依頼するのが安全です。費用は10万〜30万円程度が目安です。
● 手元供養:
ご遺骨の一部を小さな骨壺やアクセサリーに納めて自宅で供養する方法です。費用も数千円〜数万円と手軽で、身近に故人を感じられるメリットがあります。ただし、供養者本人が亡くなった後に遺骨の行き先が問題になる場合があるため、親族と事前に相談しておくことが重要です。
散骨も手元供養も「自由度の高さ」が魅力ですが、ルールを守り、後々親族が困らないよう配慮して選ぶことが大切です。
まとめ|墓じまいの流れを理解して後悔しない選択を

墓じまいは、親族の同意を得ることから始まり、墓地管理者や菩提寺への相談、改葬許可申請などの行政手続き、閉眼供養、墓石の解体撤去、新しい納骨先での供養まで、多くの流れと準備が必要です。途中で手続きが滞ると、費用やスケジュール面でトラブルになりやすいため、あらかじめ全体像を把握しておくことが大切です。
また、費用の内訳は「墓石解体」「離檀料」「僧侶へのお布施」「永代供養や納骨堂などの新しい供養費用」など多岐にわたり、場合によっては自治体の補助金制度が利用できることもあります。地域やお墓の状況によって金額が大きく変わるため、必ず複数の見積もりや事前確認を行いましょう。
墓じまいの目的は「ご先祖様を大切に供養し続けること」です。お墓を閉じることは終わりではなく、新しい形で供養を続けるための一歩です。流れと注意点を正しく理解し、親族や関係者と十分に話し合ったうえで、後悔のない墓じまいを実現してください。
[樹木葬で後悔しやすい注意点]
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