【図解】お布施マナーとは?封筒や書き方、金額は?お札の入れ方・渡し方もイラスト解説
・お布施の書き方とは?
・お布施の金額相場は?
・お布施の渡し方マナーは?
お布施とは現代では、法要における読経供養のお礼としてお渡しするお金です。
本来お布施とは徳行のひとつで、お悔みを表現するものではありません。そのため香典とは封筒や書き方、包み方マナーは違います。
本記事を読むことで、図解でお布施の正しい書き方や金額相場、包み方マナーが分かります。後半ではお布施の渡し方も解説していますので、どうぞ最後までお読みください。
お布施とは?
◇「お布施(おふせ)」とは、法要における読経供養のお礼です
もともと「お布施」とは、布施行と呼ばれる仏道の修行「徳行」のひとつで、お金を施す修行を差しますが、現代では読経供養のお礼として、僧侶へお渡しします。
そのためお悔みの気持ちを表しご遺族に渡す「香典(こうでん)」とは役割が異なるため、包み方マナーも違うので注意をしてください。
お布施と香典の違い
◇香典はお悔みの気持ちを表すために包むお金です
そのためご遺族へお渡しするお金として、不祝儀袋に包みます。表書きは故人へ供えるお金として「御霊前」もしくは「御仏前」です。
<お布施と香典マナーの違い> | |||
[種類] | [封筒] | [意味] | [表書き] |
・お布施 | ・白封筒 ・白×黄色 |
・徳行 |
・お布施 |
・香典 | ・不祝儀袋 ・白×黒 |
・お悔み | ・御霊前(四十九日まで) ・御仏前(四十九日後) |
香典マナーではお悔みの気持ちを表現し、白と黒の不祝儀袋で、慶事とは正反対の「陰」の包み方を採用します。
一方お布施マナーは、弔事の席でお渡しする機会が多いものの、お悔みの気持ちを表現するものではありません。慶事と同じように整えます。
※香典の書き方や包み方マナーは、下記コラムをご参照ください。
お布施の金額相場は?
◇お布施を包む金額相場は、約3万円~10万円です
現代、お布施を包む金額相場は、1回の読経供養に付き約3万円~10万円で、平均的には約3万円を包む傾向があります。
<お布施の金額相場とは> | |
[法要] | [お布施の金額相場] |
・1周忌まで | 約3万円~5万円 |
・初盆 | 約3万円~5万円 |
・三回忌以降 | 約1万円~3万円 |
ただし1回の読経供養に対して、お布施を包む金額相場です。
四十九日法要の後に納骨式を執り行うなど、数回の読経供養を行うならば、約2倍・3倍と包みます。
お布施と包むお金の金額相場
◇お布施とともに、御膳料や御車料を包みます
葬儀や法要の席では、僧侶へ出張をお願いした時には交通費として「御車料」を、僧侶が会食を欠席される場合には「御膳料」を包むのがマナーです。
<お布施の金額:その他> | |||
[項目] | [目的] | [金額相場] | [目安] |
・御車料 | 交通費 | 約3千円~5千円 | タクシー代 |
・御膳料 | 食事代 | 約5千円~2万円 | 1人分の会食代 |
・卒塔婆料 | 供養 | 約3千円~1万円 | |
・戒名料 | 戒名名付け | 約2万円~100万円以上 | 約3万円~10万円 |
葬儀では戒名料が、年忌法要では卒塔婆料が掛かることもありますが、一般的な法要であれば、お布施の他に一緒にお渡しするのは、御車料と御膳料です。
それぞれお布施とは別封筒で準備をして、重ねてお渡しします。(詳しくは後述しますので、後までどうぞお読みください。)
・葬儀で渡すお布施とは?お布施で包む金額相場とは?戒名料やお布施以外に包むお金とは?
菩提寺があるお布施の金額相場
◇菩提寺がある場合、直接ご住職へ伺っても構いません
特定の寺院へ代々家で信仰する「菩提寺」がある場合、葬儀や法要は菩提寺のご住職にまず相談しますよね。
相談する時にお布施の金額相場を確認しても、問題はありません。
●「どれくらい包めば良いでしょうか?」などと伺うと丁寧です。
お布施は徳行のひとつである性質上、「料金はいくらですか?」などのように、直接的な表現は控えます。
・「檀家」とは?かかる費用や義務、檀家になる・やめるには?檀家にならず法要はできる?
僧侶手配でのお布施の金額相場
◇僧侶を手配する場合、約3万円ほどがお布施の目安です
現代は、菩提寺のない無宗教の家が増えています。
寺院墓地から離れて、宗旨宗派を問わない民間霊園にお墓を移動する家も多いでしょう。
・供養業者に相談
このような場合、ネットで探したり、葬儀社や仏壇仏具店、霊園などの供養業者を通して、僧侶を手配する方法があります。
このような形で僧侶を手配する時、お布施の金額相場は約3万円~5万円です。
お布施は白封筒
◇お布施は、厚手の白封筒を準備します
一般的にお布施は厚手の白封筒に包みます。
白封筒には二重封筒や、薄手の白封筒もありますが、お札が外映りしないよう、厚手の白封筒を選ぶと安心です。
・白封筒
・厚手
・奉書紙(半紙で包む)
[避けたい封筒]
・薄手の封筒
・二重封筒
もしくは奉書紙でお布施を包むのも丁寧でしょう。
「奉書紙(ほうしょし)」とは、大切なことを伝えるための和紙です。
お布施を奉書紙で包む
◇お布施を奉書紙で包む場合、半紙の上から包みます
「奉書紙」は文具店やネットショップでも販売しています。
お布施は二重封筒をタブーとしますが、奉書紙で包む場合には、お札が外映りしないよう、半紙で包んだ後、上から包んで問題はありません。
・奉書紙で上から包む
・最後は上から下へ折り曲げる
奉書紙でお布施を包む時、最後は上から下へ折り曲げます。
包んだ時、お辞儀をしているようになるでしょう。
地域で違うお布施の包み方
お布施の書き方
◇お布施の書き方は、黒墨で表書きは「お布施」です
葬儀のお布施では薄墨と迷う人もいますが、薄墨は「哀しみの涙で墨が薄くなった」ことを表すものです。
お布施は僧侶へ感謝をお伝えする、徳行のひとつなので黒墨で書きます。
●黒墨で書く
[表]
・表書き…「お布施」「御布施」
・表書きの下…氏名(苗字のみでも可)
[裏]
・左下…住所と氏名
・住所と氏名の下…郵便番号
住所は都道県から番地まで丁寧に書き入れます。
表面は、家から出すお布施の場合、苗字のみを書き入れて構いません。
お布施の漢数字の書き方
◇お布施は、旧字体の漢数字を利用します
お布施は1万円・3万円とお札を入れ、裏面の右側に金額を書きますが、この時の数字は旧字体の漢数字です。
お布施の金額の書き方は、「金〇〇圓也」で、「圓」は「円」の旧字体の漢数字となります。
<お布施の書き方:旧字体の漢数字> | ||||
壱(一) | 弐(二) | 参(三) | 伍(五) | 陸(六) |
漆(七) | 捌(八) | 拾(十) | 仟(千) | 萬(万) |
例えば、3万円のお布施を包んだ場合には、「金参萬圓也」と書きます。
ちなみに表に「肆(四)」と「玖(九)」がありませんが、「四」は「死」を、「九」は「苦」を連想させるとして、弔事・慶事ともに忌まれる数字です。
お布施の包み方
◇お布施で包むお札は、新札を用意します
香典は「準備する間もなく駆け付けました」と言う想いを表現するとして、お札は新札ではありません。一方、結婚式などの慶事では新札を用意します。
香典では新札だった場合、敢えてひと折りしますが、お布施はお悔みではないので新札です。
・お布施は新札を用意
・表側・上部分がお札の肖像画
その他、お布施の包み方マナーも香典とは反対で、結婚式などの慶事と同じようにお札を入れて整えると良いでしょう。
お布施と戒名料などは別に包む
◇お布施とともにお渡しするお金は、別封筒で包みます
お布施で包むお金は、読経供養に対するお礼のみです。
お布施をお渡しする葬儀や法要では、戒名料や卒塔婆料(そとばりょう)など、一緒にお渡しするお金もあるでしょう。
けれども全て、別封筒で包み重ねてお渡しします。
●供養に伴うお金
・戒名料…故人の仏弟子としての名付け料
・卒塔婆料…供養のため、お墓に祀る細い木の板
●読経供養の依頼で生じるお金
・御膳料…会食に僧侶が出席しない時に包む会食料
・御車料…僧侶に出張いただいた時の交通費
基本的には別封筒ですが、戒名料はお布施と一緒に包む寺院もあるでしょう。
僧侶や葬儀関係者の方へ「別々にお包みした方が良いでしょうか?」と一度訪ねておくと安心です。
お布施の渡し方マナー
◇お布施は、僧侶の控室でお渡しします
お布施は、僧侶が読経供養を終えてひと息ついたタイミングを見計らい、僧侶の控室でお渡しすると良いでしょう。
お布施は「切手盆」と呼ばれる小さな盆の上に乗せて、お渡しします。
[タイミング]
・法要後、僧侶の控室
[お布施の渡し方]
●「本日は誠にありがとうございました」
・切手盆にのせる
・複数の封筒は重ねる
・両手をついて一礼する
・両手で渡す
・僧侶から見て、文字が読める向き
[タブー]
・机を跨がない
お座敷であれば机を挟まずに脇に出て、二つ手を添えて正座をしながら一礼した後で、切手盆を僧侶へ差し出します。
お布施の封筒の重ね方
◇お布施、御膳料、御車料などの封筒は、重ねる順番があります
お布施とともに御膳料や御車料などを包んでいる場合は、重ねて切手盆にのせますが、一番上に置く封筒はお布施です。
●上から
・お布施
・戒名料(必要があれば)
・お車料
・御膳料
卒塔婆料を包む場合も、お布施の次に重ねます。
お布施を渡す時、切手盆がない場合
◇お布施を渡す時に切手盆がない場合、袱紗(ふくさ)で代用します
「袱紗(ふくさ)」とは、弔事や慶事で扱うお金を包む袋です。切手盆がある場合にも、お布施の持ち歩きには袱紗(ふくさ)で包み、移動します。
・お布施の下に袱紗(ふくさ)を座布団のように敷く
また、忙しく僧侶が帰る時間になってしまったなど、外でお布施をお渡しする「立渡し」をする時も、袱紗(ふくさ)で代用すると良いでしょう。
後日、お布施をお渡しする
◇寺院までお礼に伺い、後日お布施をお渡しすることもあります
現代でこそ、お布施は読経供養のお礼としてお渡ししますが、本来のお布施は仏教の修行のひとつ「布施行」です。
このような場合は、後日読経供養のお礼としてご挨拶に伺い、そこでお布施をお渡しすると良いでしょう。
お布施は仏教の道「布施行」です
お布施はお悔みを表現する香典とは違い、布施行です。
現代のお布施であっても、読経供養へのお礼としてお渡しします。
そのため香典とは包み方や書き方マナーも異なり、お布施は厚手の白封筒に包むだけです。ただ水引きを掛ける地域もあるでしょう。
水引きを掛けるならば、地域によって白×黒の水引や白×黄色の水引も見掛けるものの、双銀などで整えるとより安心です。
水引きの本数も弔事用の陰数(偶数)ではなく、慶事用の陽数(奇数)で構いません。
本記事を参考にすることで、僧侶へ失礼なくお布施をお渡しできるでしょう。
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