四十九日法要の準備とは?いつから始める?何を用意する?呼ぶ範囲や、お布施の金額は?
・四十九日法要の準備はいつ頃から始める?
・四十九日法要の準備の手順は?
・四十九日法要で必要な準備は?
故人が亡くなってから四十九日目に行う「四十九日法要」の準備は、本位牌の手配や参列者へのご案内を考慮すると、約3週間~1か月前、葬儀を終えてすぐに着手しなければなりません。
本記事では初めて四十九日法要の準備を進める施主に役立つ、1か月前、1週間前と時期ごとの手順、当日の服装や持ち物、マナー、注意点が分かります。
後半では四十九日法要の準備に欠かせない、費用目安もお伝えしているので、どうぞ最後までお読みください。
四十九日法要の準備はいつ頃から?
◇葬儀が終わったらすぐ始めます
参列者のスケジュール調整を考慮すると、葬儀後すぐが良いでしょう。
本位牌の依頼など、葬儀が終わった後すぐに四十九日法要の準備を始めないと間に合わないものもあります。
先祖代々墓など、すでに納骨するお墓がある場合、四十九日法要の後に納骨するのが一般的です。
<四十九日法要の準備:1か月前> | |
[準備] | [補足] |
①日程を決める | |
②法要会場の手配 | |
③僧侶の手配 | |
④ご案内状の郵送 | (連絡) |
⑤本位牌の発注 | |
⑥仏壇の準備 | (自宅会場の場合) |
⑦墓石彫刻の発注 | (納骨を行う場合) |
⑧会食の手配 | (会食を行う場合) |
⑨引き出物の準備 | |
⑩卒塔婆の手配 | (卒塔婆を立てる場合) |
⑪納骨式の手配 | (納骨を行う場合) |
また四十九日法要の準備を進める時期は、遺産相続の手続きも終わっていない施主が多いので、あまりひとりで負担を抱え込まぬよう、関係者で手分けをしながら作業を進めていくことをおすすめします。
①日程を決める
◇四十九日前(48日目より前)で日程調整をします
…故人が亡くなった日を第1日として数えるため、現代の暦で第48日目です。
本来はこの四十九日当日に行う法要とされますが、親戚の参列を考慮すると、平日に執り行うことは、現代においてあまり現実的ではありません。
そのため一般的には、四十九日直前の土日、祝日が多いです。
亡くなった日を1日目として、四十九日を計算するのが一般的なやり方です。
<四十九日法要の日程調整> | |
[日程の目安] | ・四十九日直前の土日、祝日 |
[時間帯の目安] | ・お昼前 |
[注意点] | ・四十九日を過ぎない ・3か月をまたがらない (三月掛け) |
また沖縄など一部地域で違いもありますが、ほとんどは通常は四十九日を過ぎた法要は避けます。
後ろにすると、あの世での裁きに間に合わない、故人が後ろ髪を引かれてあの世に行けない、などと言われてきました。
●さらに四十九日の法要が3ヶ月にまたがっていることを「三月掛け(みつきがけ)」と呼び、縁起が悪いと言われています。
…このようなことから四十九日法要の準備は、前倒し前提に進めると良いでしょう。
ただし、地域によっては計算方法・命日とする日にちが異なる場合もあります。
思い当たる人は、詳しい情報を菩提寺や葬儀社に確認してください。
時間帯は午前でも午後でも問題ありません。
法要後の会食を考慮すると、お昼前の時間帯に設定されることが多いようです。
②僧侶の手配
◇菩提寺のご住職、もしくは自分で手配します
…菩提寺がある施主は、まず菩提寺のご住職へご相談をしてください。
「菩提寺(ぼだいじ)」とは、先祖代々のお墓のあるお寺のことを指します。
寺院墓地に先祖代々墓が建つ家は、供養は菩提寺の僧侶に依頼するのがマナーです。
<四十九日法要の準備:僧侶の手配> | |
[菩提寺がある] | ・ご住職に相談 |
[菩提寺がない] | ・知人縁故に相談 ・葬儀社に相談 ・霊園などの業者に相談 ・インターネットで手配 |
菩提寺がない場合、読経供養の依頼は基本的に自由です。
四十九日法要で関わりのある、葬儀社や霊園、仏壇屋さんなどの業者に相談しても、僧侶を紹介してくれるでしょう。
また近年では、インターネットでお坊さん派遣サービスがあります。
菩提寺がない施主にとっては便利なサービスです。
③法要会場の手配
◇自宅、菩提寺で借りる、セレモニーホールなどがあります
四十九日法要の会場は、主に自宅・菩提寺・セレモニーホール・ホテルなどを会場にする施主が多いでしょう。
自宅だと費用を節約できますが、仏壇や掃除などの手間暇も掛かります。
それ以外では、一般的に土日に日程を立てるため、早めに会場を確保しておくと安心です。
・僧侶の日程調整
・会場の手配
・会食会場の手配
僧侶の日程を確認の後、法要会場を手配します。
菩提寺の場合は、読経のご相談とともに会場についてもお伺いすると良いでしょう。
④ご案内状の郵送(連絡)
◇先方のスケジュール調整に配慮し、3週間前には郵送します
日程が確定したら、早めに参列者へ四十九日法要のご案内をしましょう。
会食や引き物の数合わせもあるため、先方の出欠確認も行います。
身内で執り行う四十九日法要の準備ならば、電話などで連絡を取っても良いですが、より丁寧なマナーとしては、ご案内状の郵送が適切です。
墓所に卒塔婆(そとば)を立てる参列者もいるでしょう。
卒塔婆は準備があるので、卒塔婆を立てるかどうかも、ご案内状で確認しておくとスムーズです。
・納骨式の案内状の書き方や例文は?書き方に注意点はある?納骨式の挨拶も例文付きで解説
⑤本位牌の発注
◇四十九日に仮位牌の「白木位牌」から、本位牌へ交換します
位牌は、故人の魂が宿る依代(よりしろ)、手を合わせる対象です。
戒名(かいみょう)・没年月日・ご俗名(生前のお名前)などを記載します。
四十九日まで後飾りにお祭りする、仮の依り代が「白木位牌(しらきいはい)」です。
「本位牌(ほんいはい)」は、今後ずっと使用する位牌で、四十九日法要で本位牌に魂入れを行い、故人の魂に本位牌へと移っていただきます。
<本位牌を仕立てる> | |
[種類] | ・塗り位牌…漆塗りの黒い位牌 ・唐木位牌…木目調の位牌 ・モダン位牌…近代のおしゃれなデザイン |
[文字入れ期間] | ・約2週間ほど |
本位牌は今後、故人を偲び手を合わせる対象であり、故人の象徴です。
そのため現代では、生前の故人の人柄やイメージに合わせた、おしゃれなデザインを選ぶ家族も増えました。
また浄土真宗など、宗派によっては本位牌ではなく、「過去帳(かこちょう)」や「法名軸(ほうみょうじく)」を祀ることもあります。
・「位牌」の意味とは?必ず作らなくてはダメ?初めてでも分かる4つの種類と費用、選び方
⑥仏壇の準備(自宅会場の場合)
◇初めての法要では、仏壇を用意します
初めて法要を執り行う家では、故人の供養に仏壇を仕立てる家が多いですよね。
一般的に本位牌と合わせて、四十九日法要の準備で仏壇まで用意します。
もしも仏壇の準備が間に合わない場合でも、問題はありません。
四十九日法要の会場が自宅の場合、僧侶に仏壇がない旨を伝えておきましょう。
⑦墓石彫刻の発注(納骨を行う場合)
◇四十九日法要後に納骨式を行う場合、お墓の準備も必要です
先祖代々墓など納骨するお墓が既にある家では、四十九日法要の後、同日に納骨式まで執り行う流れが一般的ですよね。
四十九日法要と一緒に納骨法要を行う場合、墓石の彫刻も済ませておきます。
<お墓の追加彫刻を依頼> | |
[期間] | ・約3~4週間 |
[依頼先] | ・石材業者 ・墓地管理者 …など |
[彫刻内容] | ・戒名 ・没年月日 ・俗名 |
「墓誌(ぼし)」への追加彫刻を行う家もあるでしょう。
公営墓地は石材業者も自分達で手配しますが、民間霊園や寺院墓地では、指定石材業者と提携している施設が多いため、まず墓地管理者に相談するとスムーズです。
お墓を建てる場合は、お墓のデザインや希望により期間は大幅に異なります。
屋外の一般的なお墓の場合、墓地の見学からお墓の完成まで、おおよそ2~3か月ほど掛かるため、納骨時期は一周忌法要や初盆の後などが多いです。
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⑧会食の手配(会食を行う場合)
◇四十九日法要の後に、会食の場を設けます
一般的に四十九日法要後、会食の場を設ける流れが一般的です。
自宅を会場とする四十九日法要の準備では、仕出し料理を手配すると良いでしょう。
<会食の手配> | |
①菩提寺 | ・近くの料亭など |
②葬儀場 (セレモニーホール) |
・葬儀場内の貸室を利用 (仕出し料理などの手配) ・近くの料亭など |
③自宅会場 | ・仕出し料理を手配 |
④会食を行わない | ・仕出し弁当などを手配 (手土産にお渡しする) |
予約の際に法要である旨を伝え、法事でいただく精進料理を用意してもらいます。
また、会食を行わない場合、引き物と一緒にお酒やお弁当を渡すのが一般的です。
⑨引き出物の準備
◇引き出物は、香典返しとは別の品です
…四十九日法要では、香典返しとは別に参列者に引き出物を渡します。
四十九日法要へ参列いただいた人々は、ご香典や供物を持参してくれるでしょう。
そのため葬儀で頂いたご香典とは別に、四十九日法要のお礼として、引き出物を準備します。
<四十九日法要の準備:引き出物> | |
[料金相場] | ・約3,000円~5,000円ほど |
[水引] | ●結び切り ・白黒 ・双銀 |
[表書き] | ・粗供養(あらくよう) ・志(こころざし) ・満中陰志(まんちゅういんし) |
デパートなどで四十九日法要の準備を進めるならば、お店に「法事の引き出物でお願いします」と言うと、そのように整えてくれるでしょう。
多くは表書きが印刷された掛け紙をつけて、包装してもらえます。
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⑩卒塔婆の手配
◇卒塔婆供養を行う参列者もいます
「卒塔婆(そとうば・そとば)」とは、故人の供養を目的に墓地に立てる、文字が書かれた細長い木板です。
ただし浄土真宗では卒塔婆を立てません。
浄土真宗以外の宗派では、施主・参列者は卒塔婆を立てて供養できます。
・約3,000円~10,000円ほど
地域や寺院などでも料金や形態は異なるため、菩提寺がある人はご住職へ、霊園にお墓がある人は、墓地管理事務所に確認すると良いでしょう。
参列者で卒塔婆を立てる人がいるかどうか、ご案内状にて確認し、手配します。
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⑪納骨式の手配
◇四十九日法要の後に納骨式を行う風習があります
「納骨」とは、火葬した遺骨の骨壷を、お墓や納骨堂などに納めることです。
すでにお墓がある場合、四十九日法要後に納骨式まで続けて行う家が多いでしょう。
「埋葬許可証」は火葬場で火葬後に受け取る書類です。
埋葬許可証がないと法的に納骨はできませんので、忘れないよう骨箱などに納めておくのも良いでしょう。
四十九日法要の準備:1週間前から
◇四十九日法要当日に向けた準備を進めます
1週間前からは四十九日法要当日に向け、施主挨拶や席順などを整えて行く流れです。
四十九日法要後に納骨式を行う場合、お墓の掃除なども進めましょう。
①お布施の準備
②席順の順番決め
③焼香の順番決め
④献杯の依頼
⑤施主挨拶の準備
⑥お墓掃除
席順や焼香の順番には、故人との関係性による「上座・下座」が生じるため、施主や遺族にしか決めることができません。
また献杯の依頼も、施主本人から伝えることになるでしょう。
忙しい時に業者に依頼できるステップは、お墓掃除などです。
近年ではお墓掃除業者が登場していますので、利用する方法もあります。
①お布施の準備
◇四十九日法要当日は、僧侶へお布施をお渡しします
「お布施(おふせ)」とは、本来は「布施行」として仏教修行の一環ですが、現在では僧侶へ読経や戒名を頂いたお礼として、お包みする現金です。
四十九日法要当日に僧侶へお渡しできるよう、準備しておきます。
<四十九日法要の準備:お布施> | |
[封筒] | ・厚手の白封筒(1枚封筒) |
[表書き] | ・お布施 |
[金額目安] | ・お布施…約3万円~5万円 ・お車代…約5千円~1万円 ・ご膳代…約3千円~1万円 |
「お車代」は僧侶に四十九日法要会場まで出張いただいた時の交通費です。
タクシー代を目安として、約5千円ほど包みます。
「ご膳代」は僧侶が四十九日法要後の会食に欠席された際、会食費用相当の金額を、お布施とは別の白封筒で包むものです。
②席順の順番決め
③お焼香の順番決め
◇故人と血縁関係の深い人からお焼香を行います
…お焼香では、血縁関係が深い人から順番に行うのが一般的です。
・施主
・故人の親族
・故人の友人・知人
ただ「自分の方が関係が近いのに後回しにされた」としてトラブルに発展した事例もあるので、思い当たる親族がいる場合には、事前に話し合っておきましょう。
③献杯の依頼
◇献杯(けんぱい)は会食前の挨拶です
四十九日法要後、会食前に行う「献杯(けんぱい)」は、故人に杯を差し上げる挨拶となります。
そのため参列した親族のなかでも、家長や故人の兄弟など、故人と関係性が深く中心的な人に依頼すると良いでしょう。
献杯者が決まらない場合には、施主が務めます。
④施主挨拶の準備
◇四十九日法要での施主挨拶は、簡単なもので構いません
…四十九日法要での施主挨拶は、主に法要後、会食前のご挨拶です。
食事を始める前に「ささやかな食事をご用意しました」「ゆっくりお過ごしください」などの言葉とともに、簡潔にお話しすると良いでしょう。
また通夜や葬儀を経た四十九日法要では、遺族が前向きに歩き始めていることを伝える挨拶も適しています。
・四十九日法要に役立つ簡単な挨拶の例文とは?いつ・どのタイミングで行う?状況ごと解説
⑤お墓掃除
◇お墓掃除も事前に済ませておきましょう
四十九日法要後に納骨式を行う場合には、事前にお墓掃除も済ませておきます。
前日、前々日ほどに済ませておくと良いでしょう。
遠方でお墓掃除に何度も足を運べないようでしたら、地元のお墓掃除代行サービスを利用するのも一案です。
・お墓掃除のやり方6つのポイントは?誰が年に何回、いつ掃除をする?持ち物や順番も解説
四十九日法要、準備の費用目安
◇お布施など、当日に用意する現金も忘れずに用意します
四十九日法要の費用目安は、利用する会場や納骨式の有無、参列者の人数によって大きく異なるため、一概には言えません。
けれども四十九日法要の準備では、それぞれの項目を把握することで、予算に合わせたご案内する参列者の人数や規模、会場を決めることができるでしょう。
①法要会場
②お布施、心付け
③会食
④引き出物
前述したように「引き出物」と「香典返し」は違うため、通夜・葬儀から掛かる費用全体としては、四十九日法要後にお送りする香典返しの費用も把握しておくと、喪主(施主)として計画を立てやすいです。
①法要会場
◇会場の費用相場は、約3万円~15万円ほどです
…会場の大きさによって異なります。
自宅以外で四十九日法要を執り行うのであれば、会場使用料が必要です。
ただ会場によって、その費用は大きく異なるでしょう。
<法要会場の使用料> | |
[寺院] | ●ご住職に確認 ・お布施のみで良いケース (使用料をお礼として包む) ・別途使用料になるケース |
[葬儀会場など] | ・約3万円~15万円ほど |
[ホテル、霊園など] | ●グレードにより異なる |
また土日や祝日は高くなるなど、日程によって使用料が変化することもあります。
ホテルや霊園などを四十九日法要の会場とする場合、使用料は人数やグレードによって異なり、なかには会食代に使用料が含まれているなど、会場費が無料になる施設もあるでしょう。
②お布施、心付け
◇一般的に約3万円~5万円/1回の読経供養です
お布施の金額には決まりはありませんが、四十九日をはじめとする法要では、葬儀費用の10分の1ほどが目安です。
「心付け(こころづけ)」は、受付係や運転手など、四十九日法要の進行を手伝っていただいた人々がいたら、お礼として「志」などの表書きで現金をお渡しします。
<お布施や心付けの費用目安> | |
[お布施] | ・法要のみ…約3万円から5万円ほど ・納骨式あり…約5万円~7万円ほど |
[心付け] | ・お手伝い…約3千円~5千円 |
ただしお布施の目安は、寺院や宗派の他、地域や僧侶との関係性によっても異なりますので、年配の親族や地域の人々に尋ねても良いでしょう。
・四十九日法要の費用相場はいくらくらい?内訳項目や、納骨式を一緒に行う費用目安も解説
③会食
◇場所によっては高くなるので、人数を決めてから手配します
コロナ禍以降、四十九日法要の後には会食の場を設けない施主も増えましたが、一般的には、施主は参列者や僧侶へ会食の場を設けます。
・約3,000円~5,000円/1人ほど
とは言え寺院などでは仕出し料理を用意したり、ホテルなどの葬儀会場もあるので、費用目安には幅もあるでしょう。
なかには1万円/1人ほどかかるケースもあるので、予算内に納めるためには、まず参列者の人数を確認してから、早めの手配が不可欠です。
④引き出物
◇四十九日法要のご香典に対し、約1/2~1/3の金額が目安です
通夜や葬儀でもご香典をいただきますが、参列者は四十九日法要に呼ばれると、四十九日法要にもご香典を持参されるでしょう。
そのため施主は、四十九日法要当日に「引き出物」として、そのお礼の品をお帰りの際にお渡しします。
<引き出物の費用目安> ●ご香典金額の半分ほどが適切 |
|
・ご香典 | …それぞれに応じて約5,000円~1万円ほど |
・引き出物 | …一律約2,000円~3,000円ほど |
また引き出物は念のため、実際の人数よりも多めに用意すると良いでしょう。
通夜や葬儀でいただいたご香典に対する「香典返し」は、四十九日法要から1週間前後までを目安に、ご報告とともにお送りします。
四十九日法要、当日の準備
◇四十九日法要で施主の服装は、準喪服が適切です
法要を執り行う施主としては、三回忌法要までは、本来は正喪服とされます。
けれども、最近は和装やモーニングの減少や、葬儀の簡略化により、正喪服を着用している施主は少ないです。
ごく身内による法要では、よりフランクになりますが、一般的に施主や遺族は七回忌法要までは、準喪服を着用すると良いでしょう。
①施主の服装
◇準喪服でも「参列者より一段格上」の喪服が好ましいです
現代の四十九日法要では、男性も女性も基本的に和装などの正喪服は着用せず、ブラックスーツなどの準喪服が一般的ですが、「一段格上」を選びましょう。
ここでスカート丈はくるぶし丈、長袖が適切です。
男性も靴は光沢のない内羽式の黒靴を選び、ブラックスーツにブラックタイ、ベルトも金具などの光物まで避けます。
・納骨式に参列する服装はタイミングで違うの?時期や規模、関係性で判断する服装マナーとは
②施主の持ち物
◇葬儀社に依頼する場合、相談をして持参します
自宅で執り行う四十九日法要の準備では、僧侶用の座布団など、準備が必要なものも出てきますが、葬儀社に依頼する場合、法要に必要な道具は葬儀社スタッフが用意してくれるでしょう。
また法要会場や宗派によって、当日持参する持ち物も異なります。
事前に菩提寺や会場に確認して進めると安心です。
<当日の持ち物> | |
①魂入れ | ・白木の位牌 ・本位牌 (過去帳・法名軸) |
②お布施など | ・お布施 ・お車代 ・ご膳代 ・心付け |
③四十九日法要 | ・遺影 ・遺骨 |
[儀式に必要な物] | ・祭壇用の花 ・供花 ・供物 ・ロウソク ・お線香 ・抹香 ・焼香用の香炉 ・おりん ・僧侶の座布団 |
また自宅での四十九日法要において、新たに仏壇を用意した場合には、お仏壇の開眼供養も行うことがあるため、ご本尊や脇仏(掛軸)も準備することもあります。
③参列者の持ち物
◇参列者はご香典や数珠を持参します
一方、四十九日法要の案内を受けた参列者の人々は、通夜や葬儀の準備と同じく、準喪服を着用して、ご香典や数珠を持参するのみです。
・数珠
・ご香典
・袱紗(ふくさ)
・お供え物
・ハンカチ
…など
お手伝いを依頼されていない限り、基本的にはそれほど多くの持ち物を持参しませんが、ご香典は袱紗(ふくさ)に包んで持ち歩くと良いでしょう。
四十九日法要の準備:当日の流れ
◇四十九日法要では、同日に納骨式が行われることが多いです
四十九日法要は、施主の挨拶からスタートします
僧侶入場の後、仏壇の前に座ったところで、施主は簡単な開式の挨拶を行います。
●僧侶入場、施主挨拶
①お焼香(読経供養)
②僧侶による法話
③位牌の閉眼供養・開眼供養
④納骨・墓参り
⑤献杯の挨拶・会食
⑥引き出物を渡して閉式
僧侶へお布施をお渡しするタイミングは、一般的に全ての法要が終わった後、僧侶の控室にお邪魔して、お礼とともに行うと良いでしょう。
納骨式など慌ただしく、時間に不安がある時には先にお渡ししても構いません。
①お焼香(読経供養)
◇僧侶の読経供養が始まると、お焼香の時間です
施主による開式の挨拶が終わると、僧侶による読経供養が始まりますので、読経供養が始まり少し経ってから、施主から順番にお焼香を行います。
焼香の手順は、右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香をつまみ額にあて、指をこすりながら香炉の中に落とす動作を1回~3回繰り返して行います。
回数を含めた作法は宗派ごとに異なるので、事前に確認しておくと安心です。
・【図解】お焼香の正しいやり方とは?マナーや注意点、宗派で違う回数を分かりやすく解説
②僧侶による法話
◇お焼香が終わると、僧侶による法話です
話の内容は僧侶によって異なりますが、「法話(ほうわ)」とは、仏教の教えを分かりやすく僧侶の言葉で解説してくれるものですので、参列者は静かに傾聴します。
③位牌の閉眼供養・開眼供養
◇故人の魂を本位牌に移します
「閉眼供養(へいがんくよう)」とは、故人の魂が宿っていた白木位牌などの「物」から、その魂を抜く儀式です。
一方で「開眼供養(かいがんくよう)」は、新しい「物」に、故人の魂に宿っていただく仏教儀式となります。
そのため四十九日法要まで後飾りに祀っていた白木位牌と、新しく仕立てた塗位牌の本位牌は、四十九日法要で施主が持参する必要な仏具です。
④納骨・墓参り
◇納骨式を同日に行う場合、このタイミングが多いです
四十九日法要と同日に納骨式がある場合、一般的には本位牌への開眼供養の後に執り行う流れが多いでしょう。
もし納骨を予定しているならば、四十九日法要の会場を霊園や墓地内のスペースにすることで、そのままお墓に向かうことができ、移動時間を短縮できて便利です。
⑤献杯の挨拶・会食
◇親族の代表者が、献杯の挨拶とともに、会食の案内を行いましょう
献杯の後、参列者全員で会食をいただきます。
僧侶にも会食を振る舞いますが、予め会食へ参加の可否を伺い、僧侶がご辞退された場合に、お食事代として「ご膳料」を、お布施とは別に包みます。
⑥引き出物を渡して閉式
最後は施主による、閉式の挨拶で終わりを伝えます。
参列者をお見送りする際、引き出物をお渡してください。
会食がない場合には、手土産として引き出物とともに、仕出し弁当も用意します。
四十九日法要でよくある質問
◇四十九日法要は、故人が成仏する「満中陰」です
仏教では人が亡くなると、7日ごとに有名な閻魔大王をはじめとした「十王」による裁きを7回受けます。
その7回目の裁きの日が四十九日、故人の魂が十王による裁きを経て、極楽浄土に行けるかどうか判定が下される「満中陰」と呼ばれる、死後49日目です。
(亡くなった日を1日目、翌日を2日目と数えるため、現代は48日目)
そのため忌中の四十九日までは無事に成仏できるよう、7日ごとに遺族が祈る風習がありました。
<四十九日までの法要> ●七日ごとの法要 |
||
[法要] | [日数] | [読み方] |
初七日 | 第7日目 | しょなのか |
二七日 | 第14日目 | ふたなのか |
三七日 | 第21日目 | みなのか |
四七日 | 第28日目 | よなのか |
五七日 | 第35日目 | いつなのか |
六七日 | 第42日目 | むなのか |
七七日 | 第49日目 | なななぬか |
※亡くなった日を第1日とする |
ただ最近は初七日と四十九日法要のみ、執り行う流れが一般的です。
なかでも四十九日法要は忌明けとなる重要な儀式として、家族や親戚などが集まって盛大に行われることが多いでしょう。
①四十九日法要は行わなければダメ?
◇四十九日は故人が成仏する、追善供養の締めくくりです
故人が成仏するとされる四十九日目の法要は、「追善供養」により、故人が極楽浄土へ行く後押しの締めくくりとなるため、大切な節目とされています。
けれども近年では、葬儀の日に四十九日法要まで合わせて行う「繰り上げ四十九日法要」も増えました。
②四十九日まで、遺族が避けることは?
◇四十九日までは「忌中」です
「忌中(きちゅう)」とは、遺族が「死の穢れ(しのけがれ)」を他の人々に移さぬよう、身を慎み故人を偲ぶ期間、四十九日までを差します。
この時期は、お祝い事や積極的に他者と関わることを避けて過ごす他、故人の魂も、まだ成仏していません。
故人の魂も忌中は、この世とあの世の間を彷徨っているとされます。
<忌中に遺族が避けること> | |
①新年を祝う行為 | ・正月飾り ・正月祝い |
②年賀状 | (喪中ハガキを送る) |
③神社へ行くこと | ・初詣 |
④慶事、慶事への参加 | ・結婚式 ・新築祝い |
⑤お祭り、お祭りへの参加 | ・神社の縁日など |
神道ではお墓が境内にないように「死を穢れ」としています。
そのため基本的に、四十九日間は神社へ遺族は訪れません。
ただ仏教では死を穢れとはしないため、必要があれば寺院へお参りをするのも良いでしょう。
③四十九日法要までにお墓を建てるの?
◇必ず四十九日法要の納骨とは限りません
先祖代々墓などで納骨先がある故人の四十九日法要では、一般的に忌明けの四十九日法要後に納骨式を行う風習が日本にはあります。
けれども新規でお墓を建てるまでには墓地探しなど手順も多く、忙しい現代においてあまり現実的ではありません。
四十九日法要に合わせてお墓がない、納骨できない時には、別日に納骨式のみを執り行っても良いですし、多くの親族に参列いただけるよう、一周忌や初盆などの法要後に納骨しても良いでしょう。
④四十九日法要に避けたい日付は?
◇本来、葬儀や法事(法要)で避ける日付はありません
けれども一般的には、その日の吉凶を占う暦注「六曜(ろくよう)」を気にする年配の親族も少なくありません。
法事(法要)の場合、慶事で不吉とされる仏滅でも執り行うことができますが、友引の暦は「友を引く」として避けられる傾向です。
⑤四十九日法要には誰をご案内する?
◇故人と血縁関係のある方、及び、その配偶者が基本です
例えばお母様が亡くなった場合、お父様や母方の親戚、そしてそのお子様や配偶者、孫などへご案内します。
また母方の親戚の配偶者までご案内する四十九日法要もあるでしょう。
さらに故人と生前に親しかった知人友人の方々も、施主が望めばご案内して問題はありません。
宗教による四十九日法要の準備の違い
◇四十九日法要は、仏教による儀式です
日本では全国的に仏教による通夜や葬儀、法要を執り行いますが、なかにはキリスト教や神道による儀式により、故人を偲ぶものもあるでしょう。
また同じ仏教でも宗派により考え方は少しずつ異なるため、注意をしてください。
特に浄土真宗では、独自の考え方があります。
①キリスト教
◇キリスト教では、死は祝福されるべきことです
そして人は亡くなった後に天国に召され、神のもとで安らかに眠ります。
そのためキリスト教には「成仏」や「供養」の概念がありません。
またキリスト教のなかでもカトリック、プロテスタントと言う宗派により、儀式は変わるでしょう。
<キリスト教の儀式> | |
[カトリック] | ●追悼ミサ ・3日目 ・7日目 ・30日目 |
[プロテスタント] | ●記念集会(記念式) ・1週間目、もしくは10日目 ・1か月目 |
キリスト教で故人亡き後に行う儀式は、生きる者が故人を追悼し、哀しみを癒すためにあります。
カトリックでは聖歌の斉唱や祈り、聖書の朗読などが行われます。
一方、プロテスタントは遺影や十字架を飾り、礼拝を行う流れです。
・【図解】キリスト教の葬儀マナーとは?献花の仕方やカトリック・プロテスタントの違い?
②浄土真宗
③神道
◇神道の四十九日法要にあたる儀式は、「五十日祭」です
神道では、人が亡くなると10日ごとに「霊祭」を行います。その50日目が「五十日祭」です。
神道でも仏教と同じく、親族や故人の友人や知人をご案内した、自宅や斎場、墓前で行う五十日祭が基本です。
また神道では「死を穢れ」とするため、家で人が亡くなると神棚は封じられます。
(仏教では仏壇を封じることはありません。)
そのため、五十日祭の翌日に神棚封じをはがす「清祓いの儀」を行います。
・神式の法要「五十日祭」の進め方とは?四十九日法要との違いや流れ、準備やお供えを解説
まとめ:自宅で行う四十九日法要の準備も同じ要領です
四十九日法要の準備は、法要会場によって大きく違います。
特に自宅を法要会場とする場合、会場使用料は掛かりませんが、滞りなく法要を執り行うために揃えなければならないものもあるでしょう。
どのようなものを用意するべきかは、法要を執り行う僧侶の考え方によっても異なります。
通夜や葬儀から間もない法要でもあるため、四十九日法要は葬儀社などに依頼する人も多いです。
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