
浄土真宗の墓じまいで閉眼供養は必要ないの?代わる「遷仏法要」手順や当日の流れを解説

・浄土真宗の墓じまいでは閉眼供養がない?
・浄土真宗の墓じまいで、閉眼供養の代わりは?
・浄土真宗で墓じまいを行う流れとは?
人が亡くなるとすぐに成仏する浄土真宗の墓じまいには、閉眼供養がありません。
けれども、閉眼供養に代わる「遷仏法要(遷座法要)」を行います。
本記事では浄土真宗の墓じまいで、閉眼供養に代わる「遷仏法要」とはなにか?施主が行う進め方、流れを分かりやすく、詳しく解説します。

浄土真宗では墓じまい・閉眼供養をしない?

◇浄土真宗の教えでは、「供養」の概念がありません
「浄土真宗(じょうどしんしゅう)」とは、親鸞(しんらん)を開祖とする大乗仏教の一宗派で、鎌倉仏教とも呼ばれます。
「阿弥陀仏(あみだぶつ)」を信じ頼ることで、生けとし生きる者誰もが成仏できるとし、阿弥陀仏の誰もを極楽浄土へ届ける力が「他力本願」です。
<浄土真宗の墓じまい:「他力本願」とは> | |
[他力本願とは] | ・阿弥陀仏の力 ・全ての命を極楽浄土へ連れていく |
[浄土真宗では] | ・誰もがすぐに極楽浄土へ連れて行ってもらえる! |
浄土真宗以外の宗派で行う「追善供養」は、故人が無事に極楽浄土に辿り着くため、生きる者が手助けをする法要です。
故人が他力本願で極楽浄土にいる浄土真宗では、墓じまいで閉眼供養を行う必要がありません。
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そもそも「閉眼供養」とは?
◇浄土真宗以外の墓じまいで「閉眼供養」とは、お墓の霊魂を抜く儀式です
浄土真宗では、人が亡くなるとすぐに成仏する「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」の考え方があり、霊魂も存在しません。
一方、他の宗派では四十九日の冥土の旅を経て成仏し、霊魂も存在します。
<浄土真宗以外の閉眼供養とは?> | |
[供養] | ●故人の霊魂が存在する ・故人の霊魂を供養する ・故人の成仏を願う |
[閉眼供養(魂抜き)] | ・お墓は霊魂の依り代 ・お墓に宿る霊魂を抜く |
霊魂の概念がある浄土真宗以外の宗派では、墓じまいの前に閉眼供養を行うことで、お墓から霊魂を抜きます。
閉眼供養で霊魂が抜けたお墓は、供養の対象からただの「墓石」になり、墓石の撤去や移動ができる訳です。
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浄土真宗の墓じまい:閉眼供養の代わりは?

◇浄土真宗の墓じまいでは、閉眼供養に代わり「遷仏法要」を行います
ただ、浄土真宗の墓じまいでも閉眼供養に似た儀礼として、仏様にお墓から移動していただく「遷仏法要」があります。
<浄土真宗の墓じまい:閉眼供養と遷仏法要> | |
[閉眼供養] | ・お墓、仏壇、位牌など ・霊魂を抜く儀式 ・霊魂の供養をする |
[遷仏法要] | ・お墓、仏壇など ・御本尊様に移動してもらう (一時的に) |
今、浄土真宗の墓じまいでは、閉眼供養を行うためにお墓の撤去だけではなく、菩提寺から離檀して無宗教になる家も見受けます。
浄土真宗の墓じまいでも、閉眼供養の代わりに遷仏法要を執り行えば良い訳です。
・浄土真宗でも墓じまい・永代供養はできる?浄土真宗の考え方や特徴、墓じまい5つの方法
閉眼供養の代わり「遷仏法要」とは
◇浄土真宗の遷仏法要は、御本尊様に一時的に移動していただきます
浄土真宗では、仏壇やお墓に鎮座されるのは阿弥陀仏の御本尊様です。
ちなみに仏壇は家の寺院であり、御本尊様へ合掌するため、浄土真宗の仏壇に故人の霊魂が宿る「位牌」はありません。
ただ具体的には、浄土真宗の遷仏法要は、墓じまいの閉眼供養と変わりはありません。
お経が浄土真宗のお経「永代経供養」となるのみです。
<浄土真宗の墓じまい:遷仏法要の概要> | |
[菩提寺のご住職へ依頼] | ・永代経供養の読経 ・御本尊様へ一時的に離れていただく |
[石材業者へ依頼] | ・遺骨の取り出し ・墓石の撤去 ・墓地を更地にする ・墓地管理者へ返還 |
[取り出した遺骨の納骨] | ・浄土真宗の本山納骨 ・合祀墓へ納骨 ・自然葬など、その他納骨 |
宗旨宗派と問わない民間霊園であれば、僧侶派遣でも問題はありません。
ただ浄土真宗の墓じまいであれば菩提寺のご住職にご相談します。
遠方であれば、近郊の浄土真宗寺院の僧侶を紹介してくれるでしょう。
・「檀家」とは?かかる費用や義務、檀家になる・やめるには?檀家にならず法要はできる?
浄土真宗の墓じまい:閉眼供養と遷仏法要は同じ?

◇浄土真宗の墓じまいでも、施主の手順は閉眼供養と同じです
浄土真宗の墓じまいは閉眼供養ではなく、遷仏法要になります。
ただその違いは、読経供養で読むお経の違いです。
そのため施主が行う手順は、ほとんど同じと言えるでしょう。
(1)僧侶へ依頼
(2)参列者への連絡
(3)お供え物・服装・日程
(4)お墓や仏壇の掃除
(5)お布施の準備
遷仏法要のすぐ後に遺骨の取り出し、お墓の撤去を進める場合、石材業者にも連絡をして、遷仏法要に立ち会ってもらいましょう。
「墓じまいパック」を受け付けている霊園もあり、遺骨の取り出しから墓じまい、納骨まで、一連をまとめて依頼できるので便利です。
・墓じまいとは?やることは?「墓じまいパック」費用目安や納骨先、提供業者の種類とは?
(1)僧侶へ依頼
◇菩提寺のご住職へ相談をして、遷仏法要を依頼します
浄土真宗の墓じまいの場合、多くは寺院墓地に建つお墓でしょう。
墓じまいをすると言うことは、今後、菩提寺とどのような関係性を希望するのか、決めておく必要があります。
<僧侶へ相談> | |
[離檀をする] | …関係性を終える |
[外檀家] | …お墓はないが檀家を続ける |
[境内納骨] | …墓じまいの遺骨を境内に納骨 |
浄土真宗の信仰を続けたい、菩提寺との関係性を続けたいならば、外檀家や境内納骨の意思を伝えると良いでしょう。
ただ菩提寺と檀家の関係性を続ける場合、毎年お布施をお渡しして寺院を支える役割があります。
(2)参列者への連絡
◇浄土真宗の墓じまいも閉眼供養と同じく、お墓の関係者が参列します
浄土真宗も墓じまいでは閉眼供養と同じく、家族や親族へご案内するでしょう。
ただしお墓に遺骨を納骨している関係者のみの参列が多く、規模は小さい傾向です。
<参列者への連絡> | |
[人数が多い] | …ハガキなどでご案内 |
[人数が少ない] | …電話などでご案内 |
故人の魂が宿る訳ではない浄土真宗の墓じまいでは、閉眼供養と違い親族や家族だけの、より小さい規模での遷仏法要が多いでしょう。
(3)お供え物・服装・日程
◇浄土真宗の墓じまいでも、一般的な閉眼供養と同じお供え物です
法要当日は仏教における基本のお供え物「五供(ごく)」に添うと失礼になりません。
供花は生花店で「仏花で」と伝えると、マナー違反にならない供花を整えてくれます。
<浄土真宗の墓じまい:お供え物> | |
[供花] | …白や淡い色目が良い |
[食べ物] | …果物など |
[線香] | |
[ロウソク] | |
[お水] | …水筒などで別に用意 |
ただ食べ物には肉や魚などのタブーもあるので、お供えに良いとされる「丸い果物」、リンゴなどの果物類を選ぶと良いでしょう。
また浄土真宗にも10派の宗派があります。
浄土真宗の寺院により、墓じまいのお供え物に決まり事があるかもしれませんので、確認を取りながら用意をすると安心です。
・墓じまいの閉眼供養でお供え物はなにを揃える?必ず必要な5つの供物とタブーまで解説
(4)お墓や仏壇の掃除
◇遷仏法要前に感謝の気持ちを込め、お墓掃除をします
当日にお墓掃除まですると慌ただしくなる家が多いです。
遷仏法要の前、別日にお墓掃除を済ませてしまうと楽でしょう。
●墓じまいの前には、石材業者に内部調査に入ってもらいます。
お墓に何柱の遺骨が納骨されているかが分かり、対処しやすいためです。
この時にお墓掃除をしても良いでしょう。
(5)お布施の準備
◇浄土真宗の墓じまいでも、閉眼供養と同じく、お布施をお渡しします
浄土真宗の墓じまいでは閉眼供養のように供養は行いませんが、僧侶は「永代経供養」による読経を行い、御本尊様へ一時的に移動していただきます。
(本来は布施行ですが)読経のお礼としてお布施をお渡ししましょう。
<浄土真宗の墓じまい:遷仏法要のお布施> | |
[金額目安] | |
●読経 | ・約3万円~10万円/1回 (平均:約3万円~5万円/1回) |
●離檀の場合 (離檀料) |
・約5万円~20万円 (平均:約10万円~15万円) |
●注意点 | ・奇数で整える |
「離檀料(りだんりょう)」とは、菩提寺との関係を終え檀家を離れる際に、今までの感謝を込め、多めに包むお金です。
寺院によって「離檀料」の請求がありますが、本来は檀家側が感謝の気持ちを表し、金額を決めて包むもので、「離檀料」の言葉自体も近年登場しました。
・離檀料とは?支払い義務はあるの?大阪での離檀料の相場や、払わないとどうなるかも解説
浄土真宗の墓じまい:当日は閉眼供養と同じ?

◇浄土真宗の墓じまいでも、当日の流れは閉眼供養と変わりません
浄土真宗の墓じまいで、閉眼供養にあたるものは遷仏法要になりますが、当日の流れも閉眼供養と変わりはないでしょう。
遷仏法要当日は、約30分から1時間程で終了します。
<浄土真宗の墓じまい:遷仏法要の流れ> | |
[基本の遷仏法要] | ・お墓掃除(当日の場合) ・お供え物 ・僧侶による永代経供養 ・会食(ふるまう場合) |
[墓じまい] | ・遺骨の取り出し |
前述したように浄土真宗の墓じまいは規模が小さいものが多く、遷仏法要に参列する服装も、喪服よりは畏まったお出掛け着「平服」が多いでしょう。
参列者同士が家族や親族など、懇意にしている人が多いため、お互いに示し合わせて服装を整える流れですが、僧侶への配慮ある服装を心掛けます。
・施主が進める墓じまいの閉眼供養の手順|お布施や服装、基本マナーと当日の流れを解説!
まとめ:浄土真宗の墓じまいで、閉眼供養は「遷仏法要」です

浄土真宗の墓じまいに閉眼供養はありませんが、代わる「遷仏法要」を行います。
遷仏法要は僧侶のお経が永代経供養に代わるだけですから、施主の準備や当日の流れとして、大きな違いはありません。
また浄土真宗の墓じまいでは、取り出した遺骨の永代供養に悩む声もあります。
まずは菩提寺に相談をすると、本山納骨などいくつかの提案をしてくれるでしょう。
この他、宗旨宗派不問の民間霊園で、遺骨の永代供養をする方法もあります。
・墓じまい後の遺骨はどこへどうなる?費用はいくら掛かる?いらない遺骨の処分はできる?
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