浄土真宗でも墓じまい・永代供養はできる?浄土真宗の考え方や特徴、墓じまい6つの方法
・浄土真宗で墓じまいはできる?
・浄土真宗の墓じまいで「永代供養がない」とは?
・浄土真宗の墓じまいで永代供養をする5つの方法とは?
浄土真宗の墓じまいでは「永代供養」の概念がありません。
菩提寺が浄土真宗の家で墓じまいをしたい時、「遺骨の永代供養はどうすれば良い?」と戸惑う声は多いです。
浄土真宗であっても、お墓の管理が負担、継承者の目途が立たないなど、現実的に墓じまいが必要な事情もありますよね。
そして遺骨を取り出すため、浄土真宗の墓じまいでも、永代供養が必要です。
本記事を読むことで、墓じまいをしたい浄土真宗の人が、遺骨の永代供養を進める6つの方法をお伝えします。
浄土真宗の墓じまいで永代供養がない?
◇浄土真宗に墓じまいがないとされるのは、「即日浄土」の考え方によるものです
「浄土真宗で墓じまいや永代供養ができない」と言われる背景には、他の仏教宗派とは大きく違う特徴が浄土真宗にあるためです。
<浄土真宗とは> | |
[成り立ち] | ・大乗仏教の一宗派 ・別名「鎌倉仏教」 |
[開祖] | ・親鸞(しんらん) (浄土宗の開祖、法然の弟子) |
[考え方] | ・即日浄土 (人が亡くなるとすぐ成仏する) |
[浄土真宗の宗派] | ●真宗10派 <有名な宗派> ・本願寺派…西本願寺が本山 ・大谷派…東本願寺が本山 |
宗派により細かな教えは違いますが、浄土真宗は「亡くなられた後、すぐに成仏し浄土に行く(即日浄土)」と特殊な考え方を教えています。
すぐに極楽浄土へ成仏するため、浄土真宗では墓じまいや、霊魂を供養する永代供養がないのです。
浄土真宗以外の宗派では?
◇浄土真宗以外の仏教では、四十九日間の忌中を経て成仏します
浄土真宗以外の仏教宗派では、宗派により細かな教えは異なりますが、人が亡くなると四十九日間の冥土の旅を経て、極楽浄土へと召される教えです。
<浄土真宗以外の宗派は?> | |
[忌中(きちゅう)] | ●霊魂 ・四十九日間 ・故人は冥土の旅に出る ・生きる者は追善供養 |
[忌明け(きあけ)] | ●仏様 ・四十九日後 ・故人は成仏し「仏様」となる |
浄土真宗以外の宗派では、四十九日間の冥土の旅を経て成仏し、仏様となります。
そのため生きる者は追善供養をして、故人が成仏する後押しをするのです。
浄土真宗以外の宗派では、霊魂は存在するため、お墓で供養を行いますし、墓じまいや永代供養の概念もあります。
浄土真宗の墓じまいで「永代供養がない」とは?
◇浄土真宗では永代供養をしなくても成仏するためです
「永代供養」とは、家族に代わり施設管理者が遺骨や故人の霊魂を、永代に渡り供養することを差します。
●永代に渡り供養をする
[追善供養]
・故人の成仏を願い読経供養を行う
・読経供養により、功徳(くどく)を積む
けれども浄土真宗では、故人の霊魂はご臨終の後、すぐに成仏しますよね。
阿弥陀如来様の他力本願にの力により、どのような人であるかに関わらず、極楽浄土へ案内されるとされます。
浄土真宗で墓じまいをしても、永代供養をしなくても成仏しているためです。
・神仏からの御利益や善行
・徳行(良い行い)を積むこと
浄土真宗の墓じまいで、永代供養に困る人々
◇浄土真宗でも墓じまいを行うと、遺骨をどこかに納骨しなければなりません
現代の「墓じまい」とは、お墓を閉じて撤去し、墓地に返還することです。
浄土真宗であるないに関わらず、墓じまいをすると遺骨を取り出し、どこかへ納骨しなければなりません。
そこで現代の浄土真宗の人々は「墓じまいにより、永代供養ができないと困る」と戸惑っています。
<墓じまいの「永代供養」とは> | |
[墓じまいとは] | ・お墓を閉じる ・遺骨を取り出す ・墓石を撤去する ・墓地を更地にする ・墓地の返還 |
[取り出した遺骨は] | ・どこかへ納骨 ・自宅供養 |
[墓じまいの永代供養] | ・施設へ遺骨の管理や供養を、永代に渡り任せる (遺骨の管理が伴う) |
現代の「永代供養」とは、遺骨の管理まで伴う仕組みです。
浄土真宗であってもなくても、墓じまいで遺骨は取り出すため、永代供養(遺骨の管理)を任せたい人々が増えています。
・合祀墓
・自然葬(樹木葬)
・納骨堂
…など。
浄土真宗では永代供養の必要はありませんが、他の宗派では遺骨を合祀墓に入れても尚、定期的に合同供養を行ってくれることで、無縁仏になることはありません。
そのため、現実的な言い方ですが、罪悪感なく墓じまいができます。
・墓じまい後の遺骨はどこへどうなる?費用はいくら掛かる?いらない遺骨の処分はできる?
浄土真宗の墓じまいで「供養」は?
◇浄土真宗には永代供養に限らず、供養そのものがありません
浄土真宗では、亡くなられた方は迷うことなく浄土にたどり着き成仏すると考えられているため「供養」そのものを必要としないためです。
<浄土真宗には供養がない> | |
[浄土真宗にないもの] | ・成仏 ・供養(追善供養) ・閉眼供養 (魂抜きの儀式) |
[浄土真宗にあるもの] | ・永代経供養 ・遷座法要 (御本尊に移動してもらう儀式) |
浄土真宗に供養なないのですが読経の習慣はあり、「猫が死んでも三部経」とも呼ばれます。
浄土真宗の読経は「永代経供養(えいたいきょうくよう)」です。
「永代供養」と「永代経供養」どちらも響きは似てますよね。
「同じものじゃないか?」と一般の人々は思いますが、全く意味が違います。
「永代経供養」とは?
◇「永代経供養」とは、末永く読まれるお経を表します
「永代供養」は永代に渡りご遺骨の供養を行うことですが、「永代経供養」とは、永代に渡り、末永く読まれるお経です。
浄土真宗の永代経と永代供養の違いは、お経を唱える目的です。
全く考え方が異なり、お布施の金額から法要を行うタイミングまで違うので、注意をしてください。
<永代経供養とは:目的の違い> | |
[永代供養の目的] | ・故人の魂を極楽浄土へ送る供養 |
[永代経供養の目的] | ・浄土真宗の「阿弥陀仏」の教えを、子々孫々まで代々に伝える (末永くお経を読み継ぐことで、阿弥陀仏の教えを残す) |
ただ現実的に、浄土真宗の信徒が墓じまいの相談をする場合、ほとんどがお墓を継ぐ人がいない、お墓の管理ができない時です。
浄土真宗の墓じまいで遺骨の永代供養をするには?
◇浄土真宗の墓じまいでは、信仰を残すか、残さないかを検討します
浄土真宗で墓じまいをする場合、浄土真宗の信仰を残したまま進めるのか、浄土真宗の信仰から離れて無宗教になるのか、検討する必要があるでしょう。
<浄土真宗の墓じまい:6つの選択肢> | |
[浄土真宗から離れる] | (1)民間霊園を利用 |
[浄土真宗を残す] | (2)菩提寺に相談 (3)本山納骨 (4)供養塔 (5)永代供養墓のある寺院に納骨 |
[その他] | (6)自然葬 |
墓じまいで取り出した遺骨は、自宅に祀る「手元供養」もありますが、放置したり勝手に遺棄することは「刑法190条」にあたり、法的に罰せられます。
墓じまいを扱う石材業者が遺骨まで引き取ってくれる訳ではないので、何からの形で新しい納骨先や、遺骨の葬送を検討する必要があるでしょう。
浄土真宗の墓じまいで「離檀する」とは?
◇現代の墓じまいでは、菩提寺から離檀する流れが一般的です
浄土真宗に限らず寺院墓地の墓じまいでは、寺院墓地を管理する「菩提寺」から離檀して、無宗教となる流れが増えました。
<離檀とは?> | |
[菩提寺(檀那寺)] …家が代々信仰してきた寺院 |
・先祖代々墓が建つ寺院 ・家が代々続く集落の寺院 |
[檀家] …寺院を代々信仰する家 |
・寺院墓地にお墓を建てる ・家の仏事を全て任せる |
[離檀] …檀家を辞めること |
・寺院墓地のお墓を閉じる ・仏事など、関係性を辞める |
けれども菩提寺との関係性があり、「浄土真宗は残しながら永代供養をしたい」との相談もあります。
(1)民間霊園を利用
◇浄土真宗から離檀する墓じまいです
菩提寺から離檀して、宗旨宗派不問の民間霊園へ遺骨を改葬(引っ越し)します。
合祀墓などの他、遺骨を残すならば納骨堂や、永代供養が付いたお墓もあるでしょう。
宗旨宗派不問ですが、合同供養では霊園が提携した僧侶の宗派に倣います。
(2)菩提寺に相談
◇菩提寺との関係、浄土真宗を残した墓じまいです
菩提寺に相談すると、いくつかの方法を教えてくれるでしょう。
これからお伝えする本山納骨、永代供養墓のある浄土真宗の寺院を紹介してくれる流れが多いです。
墓じまいをすると離檀となることもありますが、お墓はないものの仏事を全て任せる「外檀家」として関係性を保つことも可能です。
(3)本山納骨
◇「本山納骨」は宗派の総本山で納骨してもらう方法です
浄土真宗では大谷本廟や大谷祖廟で納骨してもらいます。
他の遺骨とともに合祀埋葬され、費用目安は約5万円/1柱~ほどです。
(4)供養塔
◇「供養塔」は継承者のいない遺骨を供養します
身元が分からない・事故や有事など、何らかの事情で継承者のいない遺骨を供養するお墓が「供養塔」です。
本山納骨と同じく他の遺骨とともに合祀埋葬され、費用も安く収まりますが、他の方法を選ぶ人が多いでしょう。
(5)永代供養墓のある寺院に納骨
◇浄土真宗でも、永代供養墓を持つ寺院があります
菩提寺に相談すると、近郊の浄土真宗で永代供養墓のある寺院を紹介してもらうこともあるでしょう。
菩提寺に永代供養墓(合祀墓)がない場合にも、まず相談してみると良いです。
・【合祀の考え方】合祀墓・合葬墓ってなに?費用目安と合祀が役立つ2つのケースを解説!
(6)自然葬
◇「自然葬」とは、遺骨を自然に還る葬送です
樹木葬や海洋散骨、里山散骨など、遺骨を自然に還す自然葬では、遺骨を骨袋から取り出して埋葬、散骨することで自然に還します。(溶ける素材の骨壺や骨袋の使用もあり)
<自然葬のさまざまな種類> | |
[樹木葬] | |
・植樹型樹木葬 | …納骨後、植樹 |
・シンボルツリー型樹木葬 | …大樹の麓に納骨 |
・里山型樹木葬 | …里山に納骨 |
[散骨] | |
・海洋散骨 | …海に散骨 |
・里山散骨 | …里山に散骨 |
・空葬 | …空へ散骨 |
…など、さまざまな自然葬がありますが、遺骨は残りません。
浄土真宗の墓じまいでも、自然葬を選ぶことはできますが、自然崇拝のアミニズム的な考え方で、無宗教の人々に多い選択とも言えます。
浄土真宗の墓じまいで本山納骨する場合
◇浄土真宗の墓じまいでは、大谷廟と大谷祖廟の2院が多いでしょう
浄土真宗の墓じまいで本山納骨では、大谷廟と大谷祖廟が一般的ですので、それぞれの特徴や費用も押さえて検討できると安心です。
<本山納骨2院の特徴> | ||
[1:大谷廟(大谷本廟)] …浄土真宗本願寺派 ・西本願寺 |
[選択肢] | ・祖壇納骨 …「祖檀」に納骨 (祖檀には親鸞の遺骨が納骨) ・無量寿堂納骨…境内の納骨所 ・墓地納骨 …墓地の納骨所 |
[費用目安(お布施)] | ・全納骨:約5万円~ ・分骨:約3万円~ (永代経供養も依頼:約3万円~) |
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[2:大谷祖廟] …真宗大谷派 ・東本願寺 |
[申し込み] | ・納骨 ・永代経供養 |
[受付時間] | ・午前:8時45分~11時30分 ・午後:12時45分~15時 |
|
[費用目安(お布施)] | ・約2万円~ ・永代経供養付き(1回/年)…約4万円~ |
本山納骨は宗祖である親鸞聖人のご遺骨近くに納骨されるなど、檀家にとっては有難い墓所ではありますが、一方で本山納骨ですから、個別の墓標はありません。
個別の墓標で永代供養を望む場合には、民間霊園の納骨堂など、別の方法を選ぶ人が多いでしょう。
浄土真宗でも墓じまい後、遺骨の納骨が必要です
浄土真宗では墓じまいはあっても「永代供養」を必要とはしません。
けれども現実的に浄土真宗であるなしに関わらず、墓じまいを行うと、遺骨を取り出さなければなりません。
熱心な浄土真宗の信徒の人なら、本山納骨を行うのも一案です。
ただ墓守の負担を軽減したい、今後も故人にお参りをしたいならば、民間霊園で永代供養を検討しても良いのかもしれません。
自然葬でも、個別の小さなお墓を並べたガーデニング型樹木葬など、費用を抑えながら個別スペースを確保する方法もあります。
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