合祀・永代供養ではお布施を包む必要はある?金額相場やお布施を包む場面・包み方を解説
「合祀・永代供養でお布施を包む場面は?」
「合祀・永代供養でお布施を包む金額相場は?」
「合祀・永代供養にかかる費用相場は?」
不特定多数の他のご遺骨と一緒に埋葬される合祀墓や永代供養墓は、ご遺骨の葬送方法として最も安い選択肢のひとつです。
ただ合祀を選んだ場合でも、合祀・永代供養の費用とは別にお布施を包む場面はあるでしょう。
本記事を読むことで合祀・永代供養でお布施を包む場面、金額目安や包み方・渡し方マナーが分かります。後半では合祀・永代供養でお布施以外にかかる費用相場も解説していますので、どうぞ最後までお読みください。
合祀・永代供養でお布施は必要?
「お布施(おふせ)」は通夜・葬儀・法要等での供養に対して、僧侶へお渡しするお礼です。合祀であっても法要を執り行う場合に、お布施を包む場面はあるでしょう。
また菩提寺を持つ家ではお墓のお世話をしていただくお礼として、毎年お布施を包みます。
菩提寺へ包むお布施は「護持会費(ごじかいひ)」とも呼ばれ、民間霊園・公営墓地における年間管理料と同じ役割です。
年間管理料は霊園・墓地の公共スペースの維持管理費となります。そのため合祀の場合は一般的に、毎年包むお布施は必要ないことが多いです。
ただ本来は仏教における修行「布施行」のひとつ、欲を捨てて金銭・物品等を施す「財施」です。商売における金銭のやり取りとは意味合いが異なるとし、明瞭な料金を提示しません。
・「檀家」とは?かかる費用や義務、檀家になる・やめるには?檀家にならず法要はできる?
①合祀
「合祀(ごうし)」とは、不特定多数のご遺骨をひとつの場所に一緒に埋葬することです。ご遺骨の葬送としては、最も安い方法のひとつになるでしょう。
合祀することで継承者を立てる必要がなく、最初の支払いのみ、年間管理料等の追加費用がかからない点がメリットです。
一方で骨壺や骨袋から取り出して同じ場所に埋葬されるため、一度合祀をすると再びご遺骨を取り出すことはできません。墓じまい後、ご遺骨の納骨先等に多く選ばれます。
②永代供養
「永代供養(えいたいくよう)」とは霊園・寺院等の墓地管理者が家族に代わり、ご遺骨の供養・維持管理を永代に渡って担ってくれることです。
永代供養は形がないので合祀墓・納骨堂・一般墓まで、あらゆる葬送に付加できます。永代供養が付いた合祀墓を「永代供養墓」と呼ぶことも多いでしょう。
納骨堂・一般墓等の個別にご遺骨を安置する永代供養では、契約した一定年数を個別安置した後、施設内の永代供養墓(合祀墓)に合祀される仕組みが一般的です。
合祀後は他のご遺骨と一緒に定期的に合同供養が行われ、永代に渡り供養されます。
・永代供養墓はどんなお墓かわかりやすく解説!何年供養してくれる?選び方のポイントは?
・納骨堂と永代供養の違いとは?永代供養墓(合祀墓)や樹木葬と納骨堂の3つの違いを解説
合祀・永代供養でお布施を包む場面
合祀・永代供養でお布施を包む場面は法要です。僧侶を手配し読経供養を行う法要では、施主が供養のお礼としてお布施を包みましょう。
一般的に合祀・永代供養で法要を執り行う場面は納骨式ですが、現代ではお布施の金額も含めた合祀・永代供養プランを提供する墓地(霊園)もあります。契約時に確認をすると安心です。
①納骨法要
ご遺骨を納骨する儀式「納骨式」では、一般的に僧侶をお呼びして納骨法要を執り行います。納骨法要でお布施を包む金額目安は、約3万円~5万円です。
日本で納骨式は四十九日法要の後に執り行うことも多いでしょう。四十九日法要と同日に併せて納骨法要も依頼する場合、読経供養も2回行います。そのためお布施を包む金額も1.5~2倍にあたる、約5万円~10万円が相場です。
・納骨式は家族のみでも良い?納骨後の挨拶は?会食はなしで良い?注意する3つの配慮とは
②年忌法要
霊園や墓地によって対応は異なりますが、一般的に合祀・永代供養の後もご遺族が望めば、一周忌・三回忌等の年忌法要を執り行うことができます。
僧侶をお呼びして年忌法要を執り行う場合、読経供養のお礼としてお布施を包む金額目安は約3万円~5万円です。
ただ年忌法要で包むお布施の金額目安は、家や地域によって幅広い傾向にあります。一周忌~三回忌まではお布施を包む金額が高くなることもあるので、親族やご住職に確認しても良いでしょう。
③合同供養
合祀・永代供養の後、合祀された人々の合同供養(供養祭・定例祭)を定期的に執り行う霊園・墓地もあります。合同供養の周期は、毎月・お彼岸やお盆等とさまざまです。
一般的に合同供養はご家族も参加できますが、主催は墓地管理者側なのでお布施を包む必要はありません。近年ではインターネットで参加ができる墓地・霊園もあります。
ただお礼の気持ちとしてお布施を包みたいご家族のために、お布施箱を用意していることもあるので、持参しても問題はないでしょう。合同供養でお布施を包む金額目安は約3千円~1万円、あくまでも気持ちとして包みます。
・大阪では永代供養の後も法要やお墓参りはできる?納骨式から年忌法要7つのおすすめ記事
合祀墓でお布施とともに包む料金
納骨式など合祀・永代供養墓で法要を執り行う際、状況によってお布施とは別封筒でお金をお包みすることがあります。
また合祀・永代供養墓では基本的に戒名を必要としませんが、寺院墓地では戒名を求められることがあるでしょう。この場合には戒名料が必要です。(一般的に宗旨宗派を問わない民間霊園・公営墓地では戒名の必要はありません。)
①御膳料
「御膳料(おぜんりょう)」とは法要の後の会食「お斎(おとき)」の費用です。施主は僧侶や参列者へお礼として、法要後にお斎を振る舞います。
施主は法要の際、予め僧侶へお斎のご案内をすることが作法です。お斎のご案内を僧侶が断られた場合に、お斎に代わるお食事代「御膳料」をお包みします。
お布施とは別封筒に包み、表書きは「御膳料(御膳代)」として包みましょう。封筒は厚手の白封筒、文字は黒墨で整えます。
②御車料
合祀・永代供養でのお布施の包み方
合祀・永代供養で包むお布施は、僧侶へお渡しするお金です。包むお金の種類としては「心づけ」と同じく、感謝の気持ちを表します。
お祝いではないので祝儀袋に包む必要はありませんが、不祝儀としてお悔やみの気持ちとともに包む必要はありません。
①封筒
封筒は白い封筒にお札を入れます。地域によって黄色×白の水引をかけたお布施、不祝儀袋に包むお布施等もありますが白封筒であれば失礼にはあたりません。
郵便番号の枠があるもの・二重封筒は避け、厚手の白封筒を選びましょう。奉書紙に包む方法もありますが、無地の白封筒で問題はありません。
筆記用具は黒墨の毛筆、もしくは筆ペンが適切です。万年筆等を使用する人もいますが、ボールペンは簡易的な筆記用具となるので避けましょう。
お悔やみの気持ちを表す香典では、悲しみの気持ちの表れとして四十九日法要まで薄墨を使用しますが、お布施では黒墨です。
②表書き
お布施の表書きは「お布施」です。または「御布施」と記載します。その下へ施主の氏名(例:山田 太郎)、もしくは家名(例:山田家)を記載しましょう。
お布施の表書きには「お経料」「回向料(えこうりょう)」等もありますが、お経料・回向料の表書きは浄土真宗では使用しません。
③中袋
中袋がある場合、中袋の表中央にはお布施で包んだ金額を記載します。裏面の左下部分に、左から・郵便番号・住所・氏名・電話番号です。
表面に書く金額の数字は、書き足しや間違えのないよう漢数字を使用します。1から10まで順番に、壱(一)・弐(ニ)・参(三)・四(四)・伍(五)・六(六)・七(七)・八(八)・九(九)・拾(十)・百(百)・阡(千)・萬(万)と記載します。
円は「圓」、金額の上に「金」・金額の下に「也」を添えて、「金 参萬圓 也」と記載すると丁寧です。
④お布施を包む金額
お布施は僧侶へのお礼として包むお金なので、タブーとなる金額はありません。冠婚葬祭で包む香典・祝儀には、偶数・四(死)・九(苦)等の忌み数字がありますが、お布施で包むことはあります。
ただし僧侶への感謝の気持ちを表すお金なので、端数を入れず千円単位で包みましょう。包む金額相場や作法は地域によっても違いがあるので、僧侶や親族に確認をすると安心です。
⑤お札の入れ方
香典では新札を避けてお札をひと折りしますが、お布施は新札を入れます。基本的に香典マナーと反対の向きとして、お札の肖像画が封筒の上部分・表側を向く方向に入れましょう。
奉書紙に包む場合、開いた時に肖像画がある表面・上側になるよう包みます。御膳料・御車料もお布施と同じ向きに揃えましょう。
⑥中袋がない場合
中袋のない1枚封筒にお布施を包む時には、表面に表書き「お布施」・その下に氏名(もしくは家名)を記載します。
裏面の左下の裏書きが、左から・郵便番号・住所・氏名・お布施の金額です。お布施の金額は中袋と同じく、「金 伍萬圓 也」等の漢数字を使用します。
合祀・永代供養でのお布施の渡し方
お布施は法要当日に現金を包んでお渡ししますが、近年では高額のお布施だった場合等に銀行振り込みを希望する僧侶もいます。気になる人は確認を取りましょう。
また合祀・永代供養で包むお布施金額に不安があった場合、僧侶へ直接お伺いしても失礼にはあたりません。伝え方として「料金」等の直接的な言葉を控え、「皆さまどれくらい包まれていますか?」等と尋ねてみると良いでしょう。
①お布施を渡すタイミング
納骨法要・年忌法要でお布施をお渡しするならば、僧侶の控室でお渡しします。僧侶へ御挨拶をするタイミングで、一緒にお布施をお渡ししてください。
本来、お布施は仏教修行である布施行のひとつなので、法要当日のやり取りを避ける僧侶もいます。この場合は法要を終えた後、翌日等に改めて寺院へ出向き、お布施をお渡しすると良いでしょう。
②お布施の渡し方マナー
お布施は専用の袋「袱紗(ふくさ)」に入れて持ち歩きます。ハンカチや小風呂敷に包んでも良いですが、封筒を購入した時のビニール袋や、裸のまま持ち歩く行為は避けてください。
お渡しする時は小さなお盆「切手盆」に乗せてお渡しします。一番上にお布施、続いて御膳代・御車代と下に重ねて切手本に乗せましょう。切手盆がない時には包んでいた袱紗を座布団代わりにして乗せます。
僧侶から「お布施」の文字が見える向きに整え、両手を添えて差し出してください。机の上をまたぐようにお渡しする行為は控えます。机の横にズレて、またぐものがない状態でお布施をお渡ししましょう。
③御膳料・御車料をお渡しするマナー
お布施の他に戒名料・御膳料・御車料をお渡しする場合は、お布施を先頭に戒名料・御車料(御膳料)・御膳料(御車料)の順番でお渡しします。
御膳料・御車料の順番は地域によっても異なりますが、一般的に包んだ金額が高いものから順番に重ねると良いでしょう。
四十九日法要と納骨法要等、1日に2回以上の読経供養を依頼した場合、包む金額は1.5倍~2倍になるよう考慮するものの、お布施のお金を別封筒に収める必要はありません。
④合同供養
合祀・永代供養でお布施以外にかかる費用
合祀墓・永代供養墓に遺骨を納骨する場合、お布施以外にも費用がかかります。
最初から合祀される合祀墓・永代供養墓の費用相場は1柱あたり約3万円~30万円、平均的には約3万円~10万円です。
墓じまいで取り出した遺骨を合祀・永代供養する場合には「墓じまいパック」等、納骨先まで含めた料金プランを提供してくれる墓地・霊園も登場しています。
①永代供養料
永代供養料はご遺骨の永代供養にかかる費用です。永代供養料を支払うことでご遺骨の維持管理・供養を墓地管理者に委ねることができます。継承者を立てる必要もありません。
合祀墓・永代供養墓等にご遺骨を埋葬する場合、永代供養料も含めたプランが一般的です。
②刻字料
合祀墓・永代供養墓等にご遺骨を合祀する際、墓碑に故人の氏名を彫刻できるサービスがあります。刻字料とは、この墓碑に氏名を彫刻する費用です。
刻字料の費用相場は約3万円~5万円となり、イラスト彫刻を希望する場合は追加料金もかかります。石碑・墓碑等に氏名を彫刻する場合にのみ、かかる費用です。刻字料まで含まれるプランもあるので、契約前に確認を取ると良いでしょう。
③年間管理料
最初から合祀される合祀墓・永代供養墓では年間管理料はかかりません。一方でご遺骨の個別安置期間を設けた永代供養プランでは、個別安置期間の年間管理料がかかる料金システムが一般的です。
納骨堂・集合墓等、個別スペースが設けられた永代供養がこれにあたります。年間管理料の費用相場は約5千円~2万円です。
永代供養の費用相場
最初から合祀される合祀墓・永代供養墓の費用相場は約3万円~30万円、平均的には3万円~10万円であることはお話しました。
納骨法要を行う際には、この費用とは別にお布施を僧侶へ包みます。費用相場として1回の読経供養に付き約3万円~5万円を包みますが、一般的にお布施は決まった金額が提示されません。
この他、継承者を必要としない永代供養では納骨堂・樹木葬・単独墓等があります。ここでは合祀以外でかかるお布施以外の費用相場のご紹介です。
①納骨堂
ご遺骨の個別スペースがある屋内施設が納骨堂です。納骨堂には仏壇型・ロッカー型・自動搬送型等のさまざまなタイプがあります。
タイプによって費用相場も違いますが、1柱につき約50万円~80万円が一般的な目安です。収蔵できるご遺骨の柱数・個別安置期間・納骨堂の立地環境等により、費用相場も違います。
・納骨堂で永代供養を行う費用はどれくらい?納骨堂5つの種類で違う費用相場を詳しく解説!
②樹木葬
樹木葬は墓石の代わりに樹木を墓標とした葬送です。樹木葬の費用相場は1柱につき約20万円~80万円、埋葬方法や立地等のタイプによって幅があります。
樹木葬は長い時間を掛けてご遺骨を土に還す自然葬のひとつですので、埋葬後の年間管理料はかかりません。
個別区画にご遺骨を埋葬する「個別型」では個別の墓標に向かいお参りできますが、埋葬後も追加費用がかからないプランが一般的です。
③単独墓
個別区画に墓石を建てる一般墓に永代供養を付けることもできます。継承者を必要としないため、ひとつの世代で終わる個人墓・夫婦墓・友墓を建てることも可能です。
永代供養を付けた単独墓は契約更新がないまま一定年数が過ぎると、お墓は撤去され、ご遺骨は合祀墓・永代供養墓に合祀されます。
墓石を建てる分費用はかかりますが、現代はコンパクトなお墓が増えて費用相場も低くなりました。単独墓にかかる費用相場は約70万円~180万円ほどになるでしょう。
ご遺骨をお墓に納骨する際、お墓に魂を込める開眼法要も依頼します。開眼法要・納骨法要と2回の読経供養になるため、お布施も1.5~2倍の約5万円~10万円を包むことになるでしょう。
まとめ:合祀では納骨法要でお布施を包みます
不特定多数のご遺骨と一緒に埋葬される合祀でも、納骨時には僧侶をお呼びして納骨法要を執り行います。法要では読経供養のお礼として、お布施を包むでしょう。
お布施の費用目安は地域・宗派によっても違いますが、一般的には1回の読経供養に付き約3万円~5万円です。合祀・永代供養にかかる費用とは別に、法要当日に包みましょう。
霊園・墓地によって対応は異なりますが、基本的に合祀・永代供養でも一周忌・三回忌等の年忌法要を執り行うことは可能です。年忌法要でも僧侶へお布施を包みましょう。
合祀墓・永代供養墓は他のご家族とシンボルを共有しているため、墓前で個別法要を執り行いたい場合は、墓地管理者に相談をして予約を取ると安心です。
お電話でも受け付けております
お電話でも受け付けております