
お墓がない・予算がない時、遺骨はどうすればいい?お墓を持たずに供養する6つの選択肢

・お墓がない時、遺骨はどうすればいい?
・お墓がない供養はできる?
・お墓がない供養の費用目安は?
突然に家族が亡くなり、お墓がない・予算もない時は、どうすれば良いのか途方に暮れる人もいますよね。
けれどもお墓がない時にも、丁重に供養できる方法はあります。
本記事を読むことで、お墓がない・予算もない時でも、丁重に供養ができる方法が分かります、どうぞ最後までお読みください。

お墓がない割合は?

◇約4割の人々がお墓がないと答えています
2020年5月~6月、霊園・墓石のヤシロで関西在住の男女25,347人を対象に実施されたインターネット調査では、全体の約40%の人々が自分のお墓を持たないと返答しました。
そのなかで「(お墓の)購入を検討」している人は、約5%です。
また15世帯に1世帯の割合で、納骨せずに自宅で遺骨を保管している人々がいます。
「自分のお墓を持たない人は約4割。気になる現代のお墓事情」
お墓がない事例
◇先祖代々墓が、納骨するには遠方にある事例が多くあります
地域によって風習が異なりますが、従来の日本ではお墓がないと実家(本家)に相談して、先祖代々墓に入れてもらう人も少なくありません。
先祖代々墓は一般的に嫡男とその家族が入るとされますが、法的にはお墓の名義人である墓主が許可すれば、納骨できるためです。
けれども現代は早くに家を出て、実家(本家)との関係性が薄い人々が増えました。
・先祖代々墓の墓じまい
・実家(本家)と疎遠
・先祖代々墓が遠方にある
一般的に実家(本家)の先祖代々墓に納骨できない分家は、新たにお墓を建てますが、墓石を購入する建墓費用は、安くなったとはいえ約160万円~170万円ほどが平均と言われます。
突然に家族が亡くなった時に、簡単に対応できる金額ではありません。
・お墓を建てる費用はどれくらい?平均的な費用と内訳、安く抑える方法まで|永代供養ナビ
お墓がない時の供養の仕方

◇永代供養や手元供養、自然葬があります
お墓がないまま遺骨を供養する場合、大まかに3つの種類に分かれます。
「お墓がない、予算も全くない」場合には0葬もありますが、0葬は火葬場で遺骨を受け取らない葬儀ですので、家族親族ともよくよく相談が必要です。
<お墓がない時の供養の仕方> | |
[供養の仕方] | [費用目安] |
①合祀墓 | ・約3万円~30万円以上 |
②手元供養 | ・約5千円~80万円以上 |
③樹木葬 | ・約10万円~100万円以上 |
④散骨 | ・約2万円~100万円以上 |
⑤納骨堂 | ・約30万円~150万円以上 ※納骨後の維持管理料 |
⑥ガーデニング型樹木葬 | ・約50万円~180万円以上 |
⑦0葬 | ・火葬場で遺骨を受け取らない (直葬費用、事務手続き料のみ) |
お墓がない時に、遺骨の納骨先を選ぶなら、最初に予算とともに、どこまで手厚い供養を望むのかを明瞭にしましょう。
個別の墓標へ手を合わせたいならば、合祀墓は向いていません。
また供養後に遺骨が残らない散骨や0葬は、後から後悔しても取り戻すことができないため、家族親族への相談、そして覚悟を持って決める必要があります。
お墓がない供養①合祀墓
◇合祀墓は他の遺骨と一緒に合祀埋葬されます
[費用目安]・約3万円~30万円以上
合祀墓は「合葬墓」とも呼ばれ、他のご遺骨と一緒に墓地内の供養塔に合祀埋葬される仕組みです。
個別の墓標を必要としないため約3万円~の受付を見受けます。
<合祀墓のメリット・デメリット> | |
[メリット] | ・費用が安い |
[デメリット] | ・納骨後は個別に取り出せない ・他の遺骨とともに合祀埋葬 ・個別の墓標はない |
[合祀墓を選ぶ人々] | ・安く遺骨の供養がしたい ・個別の墓標はいらない ・遺骨を取り出す予定はない |
ただ、納骨後も定期的に合同供養が行われたり、供養塔の墓碑に名前を刻むメモリアルサービスを提供する霊園や墓地も多いです。
このような合祀墓では、約10万円以上のプランも多いでしょう。
お墓がない供養②手元供養

◇手元供養は、遺骨を自宅で保管する供養方法です
[費用目安]・約5千円~80万円以上
手元供養は火葬した遺骨を持ち帰り、自宅で保管します。
そのまま骨壺を祀っても良いですが、パウダー状に粉骨してコンパクトな状態にした後、手元供養専用のステージ(祭壇)に祀る人が増えました。
<手元供養のメリット・デメリット> | |
[メリット] | ・予算に合わせた供養ができる ・自宅で毎日供養ができる ・個別法要や供養が自由 ・グリーフケアに役立つ |
[デメリット] | ・自宅に遺骨がある ・保管できなくなった時どうするか? (保管者が亡くなる、など) ・自宅に行かないと供養ができない (知人・友人など) |
[手元供養を選ぶ人々] | ・予算に合わせた供養がしたい ・個別に供養がしたい ・いずれは納骨する可能性がある ・故人を身近に感じていたい ・自分と一緒に納骨したい |
そのまま骨壺を祀っても、手元供養専用のステージ(祭壇)を設けても、仏壇を設置しても構いません。
予算に合わせた供養ができることも、選ばれる理由です。
また大切な家族を亡くした喪失感を癒す「グリーフケア」としても、手元供養は役立つと言われています。
・【手元供養の体験談】娘の手元供養。娘の遺骨を納骨できないまま5年、分骨をして祭壇へ
お墓がない供養③樹木葬

◇樹木葬は、樹木や草花のふもとに埋葬する方法です
[費用目安]・約30万円~200万円以上
樹木葬は遺骨を自然に還元する自然葬のひとつで、樹木や草花が生い茂るふもとに、故人の遺骨を埋葬します。
お墓の納骨とは違い、ゆっくりと時間を掛けていずれは土に還ることを前提とし、遺骨を埋葬するため、納骨後の維持管理費は掛かりません。
<樹木葬のメリット・デメリット> | |
[メリット] | ・遺骨は自然に還る ・予算に合わせた種類がある ・個別埋葬、合祀埋葬がある ・樹木の墓標が残る (個別埋葬は、個別の墓標) ・納骨後の維持管理料がない |
[デメリット] | ・納骨後は個別に取り出せない ・いずれは墓標もなくなる ・親族によっては理解を得にくい |
[樹木葬を選ぶ人々] | ・故人が自然を愛していた ・予算に合わせた供養がしたい ・一度で支払いを済ませたい ・遺骨を取り出す予定はない ・無宗教、自由葬を望む人 |
樹木葬のメリットは、納骨後の維持管理費が必要のない供養でありながら、樹木として個別の墓標を残す選択もある点です。
一方、お墓ではなく土に還す自然葬は、まだまだ新しい供養形式になるため、高齢の親族のなかには、理解を得られないケースもあります。
・墓じまいで親族トラブルは起きやすい?起きる割合や理由、穏やかに墓じまいを進める対策
お墓がない供養④散骨

◇「散骨」とは、遺骨を自然に撒いて還す供養です
[費用目安]・約2万円~100万円以上
「散骨」とは、パウダー状に粉骨した遺骨を海や山林に撒いて自然に還す自然葬のひとつです。
そのため故人の遺骨全国を散骨すると、返ってくる遺骨はありません。
散骨する場所によって、海洋散骨・里山散骨・宇宙葬・空葬・バルーン葬などさまざまな形態があります。
<散骨のメリット・デメリット> | |
[メリット] | ・遺骨は自然に還る ・予算に合わせた種類がある ・セレモニー要素がある |
[デメリット] | ・遺骨は戻らない ・墓標がない ・親族によっては理解を得にくい |
[散骨を選ぶ人々] | ・故人が自然を愛していた ・予算に合わせた供養がしたい ・一度で支払いを済ませたい ・遺骨を取り出す予定はない ・無宗教、自由葬を望む人 |
海洋散骨であれば散骨業者にまるまる委託した場合、約2万円~5万円以上と安く収まるプランもありますが、散骨する船をチャーターすると、何十万円と掛かるなど、選ぶプランによって費用幅が広いです。
お墓がない供養⑤納骨堂

◇納骨堂とは、遺骨を収蔵する屋内施設です
[費用目安]・約30万円~150万円以上(維持管理料あり)
納骨堂はお墓がない場合に、遺骨を保管できる屋内施設です。
かつてはお墓が完成するまでの一時的な保管場所として認識されていましたが、現代は遺骨を供養するひとつの形として扱われています。
納骨堂もロッカー型や自動搬送式(ビル型)、仏壇型など種類はさまざまです。
種類の広がりとともに費用目安も幅広くなっているため、予算に合わせて選びます。
<納骨堂のメリット・デメリット> | |
[メリット] | ・遺骨が残る ・お墓への引っ越しも可能 ・都心部に多くアクセスが良い |
[デメリット] | ・維持管理料が掛かる ・収蔵できる柱数は限られる ・お参りの仕方に確認が必要 (お線香や供花の可否など) |
[納骨堂を選ぶ人々] | ・身近で気軽にお参りがしたい ・遺骨は残したい ・お墓への納骨も考えている |
納骨堂は合祀墓や自然葬とは違い、遺骨が衛生的な状態で個別スペースに保管されることから、納骨後も維持管理料が掛かります。
維持管理料は公営施設では安いため、施設によって約3千円/年間~約3万円/年間以上まで幅広いでしょう。
ただ維持管理料が高い施設はお墓としての機能を持ち、個別法要ができる・個別法要スペースがあるなど、納骨後の手厚い供養が期待できます。
お墓がない供養⑥ガーデニング型樹木葬

◇ガーデニング型樹木葬は、庭園区画のなか小さなお墓が並びます
[費用目安]・約50万円~180万円以上
ガーデニング型樹木葬は、草花や大きな樹木で囲まれた専用の区画内に、ワンプレート型のコンパクトなお墓を並べた供養方法です。
大きなシンボルツリーのふもとにお墓が並ぶスタイルや、四季色とりどりに整備された美しい庭園風の区画で、きれいに並ぶスタイルもあります。
<ガーデニング型樹木葬のメリット・デメリット> | |
[メリット] | ・墓石に向かいお参りできる ・都心部に多くアクセスが良い ・夫婦や家族用プランもある ・自然に囲まれた供養ができる ・墓石に彫刻できるプランもある |
[デメリット] | ・維持管理料が掛かるプランもある ・自然葬に比べると費用が高め ・一般墓に比べるとお墓は小さい |
[ガーデニング型樹木葬を選ぶ人々] | ・費用は抑えたいがお墓も欲しい ・墓標は欲しい ・草花に囲まれて眠りたい ・継承者がいない、必要ない |
自然葬よりもコンパクトな永代供養墓の要素が強く、一定年数はお墓のなかに契約者の遺骨を納骨し、契約年数を超えると霊園内の合祀墓へ合祀される仕組みが多いでしょう。
ガーデニング型樹木葬には夫婦用や家族用もあるので、費用を安く抑えながら夫婦・家族での納骨も可能です。
なかには専用区画で、ペットと一緒に入るガーデニング型樹木葬プランも提供されています。
・大阪でペットと一緒に入るお墓を選ぶ☆予算やこだわりに合わせた3つの種類と体験談とは
お墓がない供養⑦0葬

◇0葬とは、火葬場で遺骨を受け取らずに帰ることです
[費用]・遺骨の納骨には0円
お墓がない・予算がない時にお金が掛からない方法として、「0葬」があります。
ただし遺骨が全く残らない、供養もしない方法なので、最終的な手段と考える人が多いでしょう。
遠い親族であまり知らない故人の供養で選ばれる他、故人本人の遺言により、0葬とするご遺族もいます。
●2014年に宗教学者である、島田裕巳氏が「0葬-あっさり死ぬ」を出版したことにより、「0(ゼロ)葬」の考え方が広がりました。
また遺骨が全く残らないことから、散骨などの供養方法も合わせて「0葬」とする人もいるでしょう。
0葬のケースでは、火葬場で葬儀を済ませる「火葬式(直葬)」を選択する人が多く、火葬式の費用目安としては約20万円~30万円が掛かります。
お墓がない・予算がない時の注意点

◇お墓がない、予算がない時はまず、自宅に保管して相談をしましょう
突然に家族が亡くなると、葬儀費用や仏壇仏具、法要やお墓まで、さまざまな費用が掛かるため、精神的な負担ばかりではなく、経済的にも負担が重くのしかかります。
遺骨は自宅に保管することは問題ありません。
埋葬までの期限もないため、何年でも遺骨の自宅保管はできますが、遺骨の扱いは注意をしてください。
・公共の場に放置する
(コインロッカーなど)
・自宅の庭に埋葬する
ただ葬儀費用は自治体の補助金や、保険(社会保険・国民保険)から補助がでるため、最低限の火葬式はできるでしょう。
まずは家族親族や菩提寺、業者や自治体などに相談することで、お墓がない予算がない場合にも、納得できる供養方法が見つかるかもしれません。
・葬儀の補助金とは?自治体に申請できる補助金や保険給付金、費用がない時の対処法とは?
まとめ:お墓がない、予算がなくても供養はできます

突然に家族が亡くなると、精神的な負担はもちろん、経済的にもさまざまな負担がのしかかります。
基本的に葬儀費用は故人の預貯金財産から支払うことができますし、お香典から葬儀費用の支払いも可能です。
けれどもお墓を建てる費用は平均的に約170万円前後と高いうえ、葬儀費用のような家族親族からの相互扶助が見込めない人も少なくありません。
ただお墓がない・予算がない状態でも、合祀墓や樹木葬、納骨堂など用意できる予算に合わせた供養方法があります。
手元供養であればしばらくは自宅にそのまま保管できるでしょう。
落ち着いて自宅に保管しながら優先順位を立て、どこに納骨するか検討してみてはいかがでしょうか。
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