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遺骨の喉仏が「仏様」として扱われる理由とは?火葬後の納骨方法・納骨しない時の手続き

遺骨の喉仏が「仏様」として扱われる理由とは?火葬後の納骨方法・納骨しない時の手続き

「遺骨の喉仏が仏様とされる理由は?」
「火葬場で喉仏の扱い方は?」
「火葬後、喉仏の骨はどのように供養するの?」

 
日本では火葬後に残る遺骨の喉仏を「体に宿る仏様(お釈迦様)」として尊びます。一般的には他の遺骨と一緒に骨壺に納めますが、宗派やご遺族の意向によっては別に供養することもあるでしょう。

 
本記事を読むことで、遺骨の喉仏が葬送において大切に扱われる理由が分かります。火葬後に行う喉仏の骨上げの仕方・火葬後の供養方法も解説しているので、どうぞ最後までお読みください。

 

遺骨の喉仏が「仏様」とされる理由

遺骨の喉仏が「仏様」とされる理由

日本では火葬後に残りやすい「喉仏(のどほとけ)」と呼ばれる遺骨があります。
この喉仏は「仏様(お釈迦様)」に例えられ、火葬後の骨上げや収骨等の葬送儀式において、とても大切に扱われてきました。

 
遺族にとって故人の一部を仏様として捉えることは、悲しみを和らげ故人との精神的なつながりを感じる助けになります。また喉仏を大切に扱う行為は、故人への敬意と追悼の気持ちを表すでしょう。

 
この習慣は長年にわたって日本の葬儀文化に根付いており、故人を敬う方法の一つです。日本の仏教文化と死生観が融合した独特な例と言えるでしょう。

 

①座禅を組む仏様に見える

遺骨の喉仏は小さな丸みを帯びた骨片で、座った仏像(お釈迦様)の姿に似ていると考えられています。喉仏は故人の魂や精神が宿る場所だと考えられ、尊ばれるようになりました。

 
その形状は輪の一部に突起があり、この部分が仏様のお姿に似ているとされます。「体のなかに宿っていた仏様」と尊ばれるのです。

 

②火葬後に残ることが多い

遺骨の喉仏は火葬後に残ることが多い遺骨です。

 
密度が高く、比較的大きな塊状の構造を持っています。
火葬では骨密度が高いほど完全に焼失するまでに時間がかるため、周囲の軟組織や小さな骨に比べて熱に対する耐性が高いことが理由です。

 
また頭蓋骨の直下にあり、火葬の際に直接的な高熱にさらされにくいこともあるでしょう。
このような科学的な理由はありますが、火葬後も残る確率の高い骨として尊ばれるようになりました。

 

③美しく残ると極楽浄土へ行ける

ただし火葬後に遺骨の喉仏がキレイに残るかどうかは、人によっても異なります。高齢で骨密度が低くなっている故人であれば、全て燃え尽きることもあるでしょう。

 
日本では火葬後に遺骨の喉仏が美しく残っていると極楽浄土に行ける、との考え方がありました。けれども火葬後に残っていなくても何も問題はありません。

 
遺骨の喉仏まで火葬で燃え尽きることで、天から授かった寿命「天寿を全うした」とも考えられるでしょう。これは実際の年齢に関係はありません。

 

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遺骨の喉仏は男性の喉仏とは違う

遺骨の喉仏は男性の喉仏とは違う

火葬場で呼ばれる遺骨の喉仏は、男性の喉にある喉仏とは違います。遺骨で「喉仏」として残るのは通常、環椎か軸椎です。

 
環椎(かんつい)は首の骨の第1番目「第1頸椎」、軸椎(じくつい)は首の骨の第2番目「第2頸椎」にあたります。一般的には軸椎(じくつい)を喉仏とすることが多いでしょう。

 

①一般的な喉仏は軟骨

男性の喉にある「喉仏」は、首にある甲状軟骨が隆起した部分です。
男性の場合、思春期に男性ホルモンの分泌が盛んになることで、軟骨が急激に発達して声変わりを起こします。

 
この男性にある喉仏((喉頭隆起))は火葬後に残りにくい骨です。そのため環椎や軸椎が「喉仏」として誤認されることも多くあるでしょう。

 
なかには「女性にも喉仏はありますか?」との疑問もありますが、遺骨の喉仏は環椎・軸椎いずれかなので女性でも火葬後に喉仏が残ります

 

②遺骨の喉仏が残る確率

遺骨の喉仏は完全に残ることを望まないならば、一般的な故人であれば残りやすいでしょう。特に骨密度の高い方は残りやすいです。

 
一方で骨密度が低い骨粗しょう症・病気の治療が長かった・小さいお子様等の喉仏は、燃え尽きるまでとは言えませんが、残りにくい傾向にあります。

 
特に高齢の女性は閉経後に骨粗しょう症に悩まされることも多く、完全にキレイな形で残るとも限りません。それでも葬儀社・火葬場スタッフの方々は、少しでも残るように気にかけてくれます。

 
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火葬後の「骨上げ」で喉仏はどう扱う?

火葬後の「骨上げ」で喉仏はどう扱う?

火葬後に「骨揚げ」がありますよね。火葬されたご遺体の骨を、ご遺族が箸を使って拾い上げ骨壺に収骨する作業です。

 
日本では一般的に火葬しますが、海外ではそもそも火葬しないため骨上げの風習もありません。ご遺族がお箸を使い遺骨を拾い上げる骨上げは、日本独自の風習と言えるでしょう。

 

①火葬後の骨上げの仕方

骨上げの儀式では火葬後遺骨を挟んで両脇にご遺族が並び、長いお箸で両脇から遺骨を拾い上げます。ひとつの遺骨を両脇からお箸で拾い上げることで「橋渡し」をするためです。

 
この骨上げは故人と最も近しい遺族から順番に行います。例えば配偶者である喪主・子ども…と続くでしょう。足元から腰の骨、背骨・助骨・歯・頭と順番に拾い上げます。

 

②火葬後、喉仏の拾い方

最後に残す骨が喉仏です。骨壺の一番上に喉仏の骨を置くことで、生前と同じ頭が上・足が下の姿に納めることできます。

 
喉仏の骨は喪主が拾い上げますが方法は、2人が両脇から一緒に喉仏を拾い上げる方法・1人が喉仏を拾い上げてから喪主へ渡す方法の2通りです。

 
地域によって違いがあるだけなので、どちらの方法でも構いません。一般的に火葬場スタッフが進めてくれるので、その指示に倣うと良いでしょう。

 

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火葬後、喉仏の収骨方法

火葬後、喉仏の収骨方法

喉仏の収骨方法は地域によって違いがあり、特に東日本・西日本による収骨方法の違いが顕著です。これは明治時代に発令された「火葬禁止令」が2年て撤廃したことが背景にあります。

 
明治政府は火葬禁止令を発令し土葬を推し進めたものの、埋葬先がなくなり2年で撤廃しました。この時に「火葬後の遺骨は全て持ち帰る」としましたが、この通達が関西では根付かなかったとされます。

 

①東日本の収骨方法

東日本の収骨方法は「全収骨」です。故人の遺骨は火葬後に全て持ち帰るとされ、骨上げ後に喉仏の骨を含めた全てを収骨し持ち帰ります。

 
そのため東日本の骨壺は、西日本よりも大きめの7寸~8寸・直径約21cm~24cmのサイズです。
従来、骨壺はお墓に埋葬されるため東日本では6柱~12柱が入る大きめの納骨室「カロート」が用意されます。

 

 

②西日本の収骨方法

西日本の収骨方法は一部のみを骨壺に納める「部分収骨」です。部分収骨では喉仏をはじめとした主要な骨を骨壺に納め、残りは火葬場へお任せします。

 
西日本に多い骨壺の大きさは3寸~5寸・直径約9cm~15cmなので、全収骨には容量が足りません。また関西の一部地域では菩提寺の総本山に納骨する「本山納骨」の風習もあります。

 
納骨スペースが限られた場所に納めるため、コンパクトに納めるケースもあるでしょう。
菩提寺とは先祖代々墓がある等、家が代々属する寺院を指します。総本山は菩提寺が属する宗派の統括です。

 

 
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喉仏の納骨方法・供養方法

喉仏の納骨方法・供養方法

一般的に喉仏の骨は特別な扱いはせず他の遺骨と一緒に骨壺に収骨しますが、喉仏のみ別に残すケースも珍しくはありません。

 
家族を失ったショックを癒す「グリーフケア」として喉仏の骨を別容器に遺すご遺族や、信仰する仏教宗派の習慣により、喉仏の骨のみを別に供養するご遺族もいるでしょう。

 
重要なのは、これらの慣習は家族や地域の伝統、個人の希望によって大きく異なる点です。法律上、遺骨の扱いに関する厳密な規定はないため、故人の遺志や遺族の判断が尊重されます。

 

①浄土真宗の本山納骨

浄土真宗では火葬後、喉仏の骨を別に納める風習があります。専用の小さな骨壺に喉仏のみを納め、お墓に埋葬する他の遺骨(浄土真宗では「胴骨」と言います)を大きな骨壺に納める方法です。

 
分骨した喉仏の骨は本山納骨します。阿弥陀如来様の本眼力により、人は亡くなるとすぐに極楽浄土へ案内される「往生即成仏」の考え方を持つ浄土真宗では「開祖である親鸞の墓所で共に供養したい」との想いからこの風習が生まれました。

 
親鸞の墓所がある浄土真宗の総本山は、本願寺派が大谷本病西本願寺・大谷派は大谷祖廟東本願寺です。

 
胴骨を納めた骨壺は故人のお墓に埋葬されます。菩提寺により対応も異なるため、ご住職に相談してみてはいかがでしょうか。

 

 

②曹洞宗・真言宗での納骨

浄土真宗以外の宗派でも、ご遺族が望めば喉仏を納骨できる宗派があります。
臨済宗・黄檗宗と並ぶ日本三大禅宗のひとつ「曹洞宗」では壁に向かって雑念を捨て去り、ただひたすらに座禅を組む姿「只管打坐(しかんたざ)」そのものが悟りの姿です。遺骨の喉仏の姿と重なりますね。

 
曹洞宗では総本山永平寺にて本山納骨ができます。永平寺では寂光苑にある分骨用の納骨堂で永代供養されるでしょう。ただし合祀され、一度納骨すると再び手元に戻ることはないので、この点のみ注意をしてください。

 

③手元供養

喉仏の骨のみを持ち帰り手元供養を行うご遺族もいます。「手元供養」とは遺骨を自宅で供養することです。

 
専用の祭壇を設け小さな骨壺に納め祀る方法・アクセサリー等に納めて持ち歩く方法、2通りの供養方法があります。

 
手元供養を選ぶケースはご遺族の意向が多く、無宗教の方も少なくありません。手元供養専用の仏具を扱う仏壇・仏具店へ相談しても良いでしょう。

 

 

 

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喉仏の分骨

喉仏の分骨

喉仏を他の遺骨と分けて持ち帰るならば、分骨証明書が必要です。「分骨証明書」は分骨した遺骨を証明する書類なので、分けた遺骨の柱数だけ用意します。

 
「分骨証明書」がないと将来的に分けた遺骨を納骨したい時に、遺骨の証明ができないため霊園・納骨堂等で受け付けてくれません

 
人骨は勝手に埋葬・捨てることは「遺棄罪」とされるので、手元供養等で直近は必要ないとしても、いずれは必要になるでしょう。

 

①火葬場で分骨

火葬場で骨上げとともに分骨する場合は、火葬場で分骨証明書が発行されます。
ただし分骨証明書を発行する手続きのタイミングは火葬場によって違うため、事前に確認すると良いでしょう。

 
事前に分骨証明書の手続きができる火葬場もありますが、当日のみ発行できる火葬場もあるためです。火葬当日にご遺族が忙しい場合は、葬儀社スタッフに代行を依頼する方法もあるでしょう。

 

②納骨後の分骨は手続きが大変

本来は火葬場での分骨が最もスムーズに手続きが進みます。けれどもお墓に埋葬した後に、喉仏の骨を手元に残したいと思いなおすこともあるでしょう。

 
お墓の遺骨を取り出して分骨・手元供養等を行うとなると「改葬許可証」が必要です。またお墓の開閉では、宗教上の儀式「閉眼供養・開眼供養」も執り行います。

 
複雑な行政手続きや儀式を執り行うにあたり費用も発生しますので、できるだけ火葬前に分骨をするかどうか決めるとスムーズです。

 

 
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遺骨の喉仏に多い質問

遺骨の喉仏に多い質問

日本では昔から「人のなかにいる仏様(お釈迦様)」として喉仏の骨を大切に扱ってきました。これは火葬が根付く日本独自の風習です。

 
けれども前述したように必ずしも喉仏の骨が火葬後に残るとも限りません。遺骨の一部を自宅に持ち帰りたい時、見つからないなら必ずしも喉仏の骨である必要はないでしょう。

 
現代では手元供養の広がりにより、遺骨をパウダー状に粉骨して小さな骨壺に収め供養する人も増えました。喉仏の骨が残れば幸いですが、思い悩む必要はありません。

 

 

①喉仏の骨が見当たらない

「喉仏の骨が必ず残るとも限らない」とお伝えしましたが、実際の現場では火葬後に喉仏の骨が全く残らないケースはほとんどないでしょう。完全な状態ではなくとも、部分的に残っていることが多いです。

 
見当たらない場合は、骨が割れてボロボロになっているのかもしれません。喉仏の骨は丸い輪っか状になっているので、カーブを描いた遺骨を探してみても良いでしょう。

 

②喉仏を落としてしまったら?

喉仏の骨は大切に扱うものですが、骨上げの儀式で落としてしまうこともありますよね。故意に落としている訳ではないので、気に病む必要はありません。

 
落ち着いて火葬場スタッフの指示に倣い、再び拾い上げて納めましょう。

 
骨上げの儀式で喉仏の骨を拾い上げる際、ご遺族は故人に向かって最期の言葉を語り掛けることも多くあります。気になるご遺族は、ひと言添えても良いでしょう。

 

 

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まとめ:遺骨の喉仏は丁重に扱われます

まとめ:遺骨の喉仏は丁重に扱われます

日本では火葬後に残る遺骨の喉仏を、人に宿る仏様(お釈迦様)と捉えて丁重に扱ってきました。手元供養では喉仏のみを祀り、供養する人も昔から多くいます。

 
喉仏は男性の喉にある喉仏ではなく、第二頸椎なので女性にも男性にもあるでしょう。しかしながら骨粗鬆症等、稀に喉仏が残らない人もいます。ただそれを気に病む必要はありません。

 
現代の手元供養では技術が発達し、ご遺骨をパウダー状に粉骨する方法が主流です。そのため喉仏にこだわらず、ご遺骨全骨を祀る人が多いでしょう。全骨を祀ることで納骨先を決める必要もありません。

 

 

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永代供養ナビ編集長

株式会社霊園・墓石のヤシロ 営業本部長藤橋 靖雄

【経歴・プロフィール】

1998年入社。お墓販売、商品企画を経て、多様化する供養の形に応えるサービス・霊園プロデュースだけでなく、営業企画、WEBマーケティングなど幅広い埋葬、葬送事業を担当。
また、墓じまいや終活に関する各地域の終活イベント・セミナーにも講師として登壇し、終活のお悩みごとを解決するトータルアドバイザーとしても活躍。

【掲載メディア・登壇イベント】

株式会社エイチームライフデザイン運営

【保有資格】

終活カウンセラー 2級

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