初盆法要の香典マナーと金額相場｜袋の書き方・提灯料も解説

「香典（こうでん）」とは、故人の霊前に供える金銭のことを指します。
もともとは線香や供物の代わりに金銭を包む習慣があり、葬儀や法要の際に、故人を偲ぶ気持ちと供養の意味を込めて渡すものです。

初盆（はつぼん）法要は、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆の行事であり、特に丁重に供養が行われることが多いため、香典も葬儀と同様に重要な弔意の表現となります。
参列者は、故人への供養の気持ちと、ご遺族への心遣いを込めて香典をお渡しします。

また、初盆法要では僧侶を招いて読経が行われるケースも多く、お布施や御膳料と併せて香典を用意する場合もあります。これらの違いや併用の考え方は次で詳しく見ていきましょう。

香典とお布施は、いずれも法要の場で金銭を包む行為ですが、目的や渡す相手が異なります。

一般的な初盆法要では、参列者が施主に「香典」を渡し、施主が僧侶へ「お布施」や「御膳料」「お車代」を渡します。
ただし、地域によっては、親戚の中でも特に立場の近い方が、香典とは別にお布施を添えることもあるため、事前に親族や施主へ確認しておくと安心です。

香典の金額を決める際、「奇数（3, 5, 7, 9など）で包むのが良い」とされるのは、日本古来の縁起を重んじる考え方に由来します。
奇数は割り切れない「陽数（ようすう）」とされ、人との縁が切れない、関係が続くという意味を込められるため、弔意を表す場でもよく使われます。

とくに初盆法要では、故人と親しかった人ほど丁重に対応しようとするため、

といった具合に、奇数金額で包むのがマナーとして定着しています。

ただし、地域や宗派によって慣習が異なる場合もあるため、迷ったときは施主や身近な親族に確認すると安心です。

初盆法要で包む香典の金額は、故人との関係性によって異なります。以下に一般的な目安をご紹介します。

ただし、あくまで目安であり、家族間で事前に話し合って金額を揃えることもよくあります。また、地域や家族の慣習によっても金額が異なることがあるため、地元の習慣を確認しておくと良いでしょう。

初盆法要後に会食（精進落とし）に招かれる場合、その費用も見越して金額を上乗せするのがマナーとされています。

「香典＋会食代」として包む場合、会食費用を分けて包む必要はなく、一包みにまとめて問題ありません。

香典の金額や包み方には、宗派や地域による違いもあります。とくに以下のような点に注意が必要です。

そのため、参列先の地域性や宗派が分かっている場合は、事前に確認しておくと安心です。また、香典の金額についても、地域や家族の慣習によって異なることが多いため、地元の風習に詳しい親戚や知人に相談すると良いでしょう。これにより、失礼がないように配慮することができます。

不祝儀袋（ふしゅうぎぶくろ）は、香典を包む際に使用する袋で、水引（みずひき）の種類や装飾によって格が異なります。金額や贈る相手にふさわしいものを選びましょう。

なお、神式やキリスト教式では異なるデザインを用いることもありますが、初盆は多くの場合「仏式」のため、蓮の絵柄や「御仏前」の文字が印字されたものが多く用いられます。

表書き（袋の表面に書く言葉）は、宗教やタイミングに応じて適切なものを選びましょう。

表書きを書く際は、故人やご遺族への敬意を示すために、丁寧に心を込めて書くことが大切です。使用する言葉や表現には地域や宗教による違いがあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。香典を通じて、故人への思いを伝え、ご遺族に寄り添う気持ちを大切にしましょう。

中袋（なかぶくろ）は、香典袋の中に現金を入れるための封筒です。金額や氏名を明記し、丁寧に入れることでマナーを守ります。

中袋がないタイプの不祝儀袋には、奉書紙や半紙を折って現金を包む方法もあります。その場合も同様に金額・氏名を記載し、香典袋に入れます。

香典袋の中袋に金額を記載する際は、一般的なアラビア数字ではなく、旧字体の漢数字（大字）を使うのがマナーとされています。これには改ざん防止や格式を保つ意味があり、通夜・法要を問わず共通です。

具体的には、以下のような大字・表記ルールが一般的に使われます。

ポイントとして、中袋の表に「金壱萬円也」と書く際、最後の「也（なり）」は付けても付けなくても構いません。格式を重んじたいときは付けるとより丁寧です。

香典袋に使われる水引きは、包む場面によって色や結び方が変わります。初盆法要では以下のような水引が一般的です。

特に初盆では、地域差も考慮しながら、以下の点を確認して選ぶと安心です。

ワンポイントの注意点として、不祝儀袋のパッケージに「仏事用」「御仏前用」などと表記されていることが多いため、購入時はよく確認しましょう。

また、大阪では地域特有のマナーが根づいていることもあります。以下の記事もあわせてご覧ください。

御提灯料とは、初盆に飾る「迎え提灯」や「白紋天（しろもんてん）」などの購入・設置にかかる費用の一部を支援するものです。香典と併せて渡す場合もありますが、そもそもの意味や金額の目安が異なります。

御提灯料と香典の違いを整理すると、以下の通りです。

御提灯料として包む金額は、一般的には3,000〜10,000円程度が目安です。実際の提灯を贈る代わりに、現金で渡すケースも多く見られます。

包む・包まないは地域や家系の習慣によって異なるため、迷った際は家族間で相談しておくと安心です。

御提灯料も香典同様、不祝儀袋を用いて丁寧に包むのが基本です。ただし、目的が異なるため、表書きや水引の種類にも注意が必要です。

特に初めて御提灯料を包む方は、次の基本マナーを押さえておくと安心です。

なお、御提灯料と香典は同じ袋にまとめず、必ず別々に包むのが正式とされています。

御提灯料に関する風習には、明確な地域差が存在します。なかでも関西地方では、御提灯料を重視する傾向が顕著で、準備しておくことがマナーとされる場合もあります。

地域や宗派ごとの違いを把握しておくと、より丁寧な対応ができます。以下に、代表的な傾向をまとめました。

施主側が特定の宗派や地域慣習に従っている場合は、事前に確認しておくと安心です。特に関西圏での初盆法要に参列する場合は、御提灯料を念頭に置いておくとよいでしょう。

法要がない初盆では、遺族の負担を考慮しながらも、故人を偲ぶ気持ちを形にして伝えることが大切です。あらかじめ連絡を入れ、訪問のタイミングを相談しましょう。

実際に訪問する際は、以下のような点に気を配ると、より丁寧な印象になります。

とくに暑中見舞いやお中元の時期と重なる場合は、時候の挨拶を添えるとより丁寧な印象を与えられます。

初盆に法要がない場合、「香典を包むべきか」「手土産だけでよいか」と悩む方も少なくありません。ケースによって対応が変わりますが、どちらでも失礼にはあたりません。

迷ったときには、故人との関係性や相手の家の意向をふまえて判断するのがポイントです。以下に主な目安をまとめました。

なお、手土産のみの場合も、必ず「初盆のお供えとして持参したい」という趣旨を伝えると誤解がありません。

遠方などの理由で直接弔問できない場合は、香典やお供物を郵送する方法もあります。その際は、現金書留を使う・常温配送品を選ぶなど、いくつかのマナーに配慮しましょう。

郵送で対応する場合は、次のような点に気をつけると丁寧な印象を与えられます。

たとえば、「ご仏前にお供えいただければ幸いです」「初盆に際し、ささやかですがお届けいたします」など、やわらかな表現が好まれます。

お悔やみの手紙を送る際の例文や書き方の参考として、以下の記事もご覧ください。

もちろん新盆（しんぼん）は異なりますが、基本的に「初盆」も「新盆」も、故人が亡くなってから最初に迎えるお盆という意味では同じです。ただし、地域によって呼び名やタイミングが異なるため、混乱を招きやすい用語でもあります。

用語や使われ方の違いは、以下の通りです。

補足として、「新盆」という言葉には、宗教的な意味での「にいぼん」と、日程上の「しんぼん（7月盆）」という2つの解釈があります。どちらを指しているかは文脈次第となりますが、仏事としては「新盆（にいぼん）＝初盆」と理解して問題ありません。

お盆の時期は全国で異なる場合があります。以下の関連記事もぜひ参考にしてください。

初盆法要に香典をいただいた場合、「香典返し（お返し）」を用意すべきかどうかは悩ましいポイントです。地域や家庭の考え方によって対応が分かれるため、正解は一つではありません。

実際にどう対応するかは、風習やその場の状況によって変わります。以下に、よく見られる対応パターンをまとめました。

また、法要後に会食（精進落とし）を設けている場合は、その場での引き物が「香典返し」の代わりとされるケースもあります。

香典返しをする場合でも、いつ・どのように返すかはケースバイケースです。贈るタイミングや品物選びにも一定のマナーがあるため、基本的なパターンを押さえておくと安心です。

以下に、香典返しに関する一般的な対応例をまとめました。

送り状には、お礼の気持ちと簡潔な挨拶文を添えると丁寧です。文面に迷った場合は、葬儀社や仏具店が用意する文例を活用するのも一つの方法です。

より詳しい香典返しのマナーやタイミングについては、以下のコラムも参考になります。

故人の初盆に参列できない場合は、電話やメールだけで済ませるのではなく、できれば何らかの形で「ご家族への気遣い」と「故人への想い」を伝えましょう。

ごく身近な知人や親戚であっても、形式だけで終わらせず、丁寧な姿勢を示すことが大切です。以下のような方法が配慮ある対応とされています。

お悔やみの言葉を添える際は、「ご初盆を迎えられ、心よりお祈り申し上げます」など、柔らかく配慮ある表現を選びましょう。

遠方や事情によりどうしても訪問できない場合は、香典やお供物を郵送するという方法もあります。その際は、郵送方法や書き添える手紙にも心配りが必要です。

郵送時に注意したいポイントを、以下にまとめました。

たとえば、「ご家族皆様でお供えいただければ幸いです」「参列は叶いませんが、心よりご冥福をお祈り申し上げます」など、遺族の気持ちに寄り添う表現が望まれます。

香典を郵送する際の具体的な方法や添え状の文例については、以下のコラムも参考になります。