
永代供養の費用は浄土真宗だとどうなる?浄土真宗の墓じまいや永代供養を進める方法は?

「永代供養は浄土真宗ではできない?」
「浄土真宗で永代供養をするなら、費用はどうなる?」
「浄土真宗で墓じまいや永代供養をする方法は?」
供養の考え方がない浄土真宗では、確かに永代供養ができません。けれどもご家族の負担を軽減するために、浄土真宗でも墓じまいや永代供養墓の利用はできます。
本記事を読むことで、永代供養の費用は浄土真宗だとどうなるのか?浄土真宗での墓じまいの進め方、永代供養の進め方が分かります。
後半では浄土真宗におけるお布施の表書き・包み方マナーも解説しているので、どうぞ最後までお読みください。
浄土真宗だと永代供養ができない?

「浄土真宗だと永代供養ができない」との声があります。確かに浄土真宗には永代供養や墓じまいの概念がありませんが、浄土真宗の方でも永代供養施設の利用はできるでしょう。
現代では浄土真宗でも、永代供養墓や樹木葬を併設した寺院が登場しています。背景には継承者不在による無縁墓が急増していることもあるでしょう。
浄土真宗でも、継承者がいないため墓じまいを行うお墓が増えました。浄土真宗の考え方を理解しながら、ご住職やご家族・親族と相談して墓じまいや永代供養を進めることは可能です。
①浄土真宗に永代供養がないのはなぜ?
浄土真宗には「往生即成仏」との考え方があります。「往生即成仏」とは浄土真宗を信仰する者はみな、亡くなると即座に成仏する考え方です。
浄土宗をはじめとする他の仏教宗派では人が亡くなると冥土の道を歩み、四十九日目にして成仏します。遺されたご遺族は追善供養により、故人の成仏を後押しします。
けれども浄土真宗では即日に成仏するため、そもそも追善供養の必要がありません。故人は供養せずとも極楽浄土に成仏しているため、永代供養の概念がないのです。
・喪中と忌中の違いとは?やってはいけないことは?初詣や七五三、お祭りに行ってもいい?
②浄土真宗の「永代経」とは
「永代経」は「永代読経」を略しています。「永代読経」とは、浄土真宗以外の仏教宗派の法要で読まれる「般若心経」に代わるお経です。
浄土真宗以外の仏教宗派では、般若心経を故人の追善供養として読みます。
一方で浄土真宗には供養の概念がありません。そのため「永代経」は浄土真宗を守り、浄土真宗の開祖「親鸞聖人」の教えを未来まで繋げることを目的としたお経です。
浄土真宗以外の仏教宗派において「法要」とは、故人があの世で成仏するための供養と捉えます。けれども浄土真宗で法要を執り行う際には、その教えを説く機会と考えます。
③浄土真宗の「遷座法要」とは
浄土真宗の「遷座法要」は、他の仏教宗派における「閉眼供養(閉眼法要)」と同じ役割です。墓石の撤去や移動、仏壇じまいや交換などの際に、鎮座されている仏様に移っていただくために行います。
・墓じまい、墓石の撤去
・お墓の扉を開く(ご遺骨の引越し)
・仏壇じまい、ご位牌の処分
・仏壇やご本尊の修理修繕
・ご位牌の処分
…など
一般的な「閉眼供養(閉眼法要)」は「魂抜き」とも呼ばれ、お墓や仏壇に眠っているご先祖様の魂を抜く儀式です。けれども浄土真宗では仏様の魂は極楽浄土にあるため、魂を抜く概念がありません。
浄土真宗で永代供養をする方法

浄土真宗に供養の概念はありませんが、永代供養墓は利用できます。
浄土真宗の家で菩提寺に永代供養墓がない場合、ご遺骨を移動する「改葬(かいそう)」が必要になるでしょう。
浄土真宗の墓じまいによる永代供養を検討するならば、離檀トラブルを未然に防ぐため、まずはご住職へ相談することをおすすめします。
菩提寺や寺院墓地の墓じまいで注意したい「離檀トラブル」については、下記コラムをご参照ください。
①永代供養墓がある浄土真宗の寺院
永代供養墓がある浄土真宗の寺院に相談をして納骨する方法があります。菩提寺に永代供養墓があれば問題ありませんね。
菩提寺に永代供養墓がなければ、ご住職へ相談して永代供養墓がある寺院をご紹介いただく方法もあるでしょう。ただし菩提寺のご住職にとっては、あくまでもご厚意です。お布施も持参しながら丁重に相談することをおすすめします。
永代供養墓がある浄土真宗の寺院は数少ないです。けれども浄土真宗の教えを厚く信仰しているけれど、永代供養を検討する方にとっては良い選択肢となるでしょう。
②本山納骨
「本山納骨」とは、菩提寺が所属する仏教宗派の総本山で納骨することです。総本山とはその宗派を統括する寺院となります。本山納骨ではご遺骨は、他のご遺骨と一緒にひとつの場所に埋葬「合祀」されるでしょう。
<浄土真宗の総本山> | |
①浄土真宗本願寺派…西本願寺(お西さん) | |
[住所] | 〒600-8501京都市下京区堀川通花屋町下る本願寺門前町 |
[TEL] | 075-371-5181 |
[HP] | https://www.hongwanji.kyoto/ |
②真宗大谷派…東本願寺・真宗本廟 | |
[住所] | 〒600-8505京都市下京区烏丸通七条上る |
[TEL] | 075-371-9181 |
[HP] | https://www.higashihonganji.or.jp/ |
信仰心の深い信徒が分骨して本山納骨を行ってきました。また経済的にお墓を建てることができない信徒の納骨先としても選ばれています。
本山納骨をする際にはお布施を包み、感謝の気持ちを表してください。お布施の費用相場は約3万円~5万円ほどです。浄土真宗におけるお布施について包み方マナー等、詳しくは後ほど解説します。
③宗旨宗派不問の霊園
浄土真宗にこだわりがなければ、宗旨宗派を問わない霊園・墓地の永代供養墓を利用する方法は柔軟性が高いです。
自治体が運営する公営墓地の永代供養墓、民間企業・団体が運営する民間霊園などは宗旨宗派を問わないでしょう。ただし永代供養では、墓地管理者が提携する寺院の宗派により定期的に供養が行われます。
宗旨宗派不問の霊園には永代供養の形式も数多くあるため、納骨堂・永代供養付き個別墓・永代供養型樹木葬などの選択も可能です。選ぶ永代供養によっては、ご遺骨を個別に残すことができます。
永代供養の費用は浄土真宗だとどうなる?

浄土真宗で永代供養墓を利用する費用相場は、他の宗派とあまり変わりはありません。永代供養の種類により、費用幅があります。
個別墓や納骨堂など、ご遺骨が個別に残る種類は永代供養の費用も高い傾向です。ご遺骨を個別に管理する年数「個別安置期間」の長さも、費用に影響します。
・永代供養について後悔しないように改めて考えよう。永代供養のその後、供養はどうなる?
①永代供養付きの個別墓
従来のお墓「個別墓」に永代供養を付けた種類です。墓石を建てるので費用は一般墓と同程度と割高になるでしょう。
ただ近年ではコンパクト・シンプルなお墓が増えたことで、建墓費用も約50万円~180万円ほどで建てることができます。
鎌倉新書が2024年に発表した「第15回お墓の消費者全国実態調査」によると、2024年の建墓費用平均額は約149.5万円でした。
個別墓に永代供養を付けるメリットは継承者を立てる必要がない点です。継承者がいらないため個人墓や夫婦墓、同世代の友人同士で入る「友墓」なども実現します。
・鎌倉新書「第15回お墓の消費者全国実態調査」
②納骨堂(集合墓)
納骨堂とはご遺骨を収蔵する屋内施設です。墓石を建てる必要がないので、一般墓よりは費用が安い傾向にあります。約30万円~80万円ほどが費用相場になるでしょう。
納骨堂で契約した一定の個別安置期間を経た後、ご遺骨は永代供養墓に合祀される仕組みです。
納骨堂にはロッカー型・仏壇型・ビル型(自動搬送型)など、さまざまな種類があります。ビル型(自動搬送型)納骨堂は、参拝に行くと個別の参拝ブースに案内されてご遺骨が自動的に搬送される仕組みです。
一方、ロッカーのように個別スペースが提供される納骨堂が「ロッカー型納骨堂」となります。このように納骨堂の設備や種類によって、費用にも幅があるでしょう。
・納骨堂で永代供養を行う費用はどれくらい?納骨堂5つの種類で違う費用相場を詳しく解説!
③永代供養墓
永代供養墓は正確には「合祀永代供養墓」です。ご遺骨は個別安置期間を設けずに、最初から骨壺や骨袋から取り出して、不特定多数の他のご遺骨と一緒に合祀(埋葬)されます。
個別安置期間がないので最も安い永代供養墓のひとつです。費用相場としては約5万円~30万円となるでしょう。墓碑に名前を彫刻するなど、他のメモリアルサービスや設備により費用幅があります。
合祀永代供養墓は一度納骨すると二度と、個別に取り出すことができません。そのため、なかには納骨してから後悔するご遺族もいます。家族・親族間でもじっくりと話し合い、納得してから決めるようにしましょう。
・永代供養墓はどんなお墓かわかりやすく解説!何年供養してくれる?選び方のポイントは?
浄土真宗でのお布施の表書き

浄土真宗の方が永代供養墓を利用する際は、納骨式でお布施をお渡しする機会がありますよね。納骨式や一周忌などの法要ならば、お布施の表書きは「お布施」「御布施」で良いでしょう。
表書きの下に施主の名前をフルネームで記載します。
①納骨法要

浄土真宗の納骨法要で包むお布施の表書きは「お布施」もしくは「御布施」です。表書きの右肩に法要の目的「納骨法要」と小さく記載します。
厚手の白無地封筒で問題はありませんが、水引きを掛ける場合は黄色×白色が適切です。
②墓じまい(仏壇じまい)

浄土真宗の墓じまいで遷座法要を執り行う際のお布施は、「お布施」もしくは「御布施」で問題はありません。表書きの右肩には「御礼法要」と小さく記載します。
浄土真宗では「閉眼供養(閉眼法要)」「お性根抜き」などの言葉は使用しないので、この点だけご注意ください。
墓じまいのお布施の書き方は、この他仏壇じまいなどでも同じです。
③建碑法要・御入仏法要

永代供養付き個別墓など、新しくお墓を建てた時のお布施は「御法礼」の表書きが良いでしょう。御仏壇を仕立ててご本尊を迎え入れる時の表書きも「御法礼」です。
お墓を建てた時の建碑式では、表書き「御法礼」の右上に「建碑法要」と添えます。お仏壇にご本尊をお迎えする場合は、右上に添える言葉は「御入仏法要」です。
建碑法要や御入仏法要では厚手の白無地封筒の他、赤色×白色のお祝いを表す水引きを掛けても問題はありません。できれば熨斗は避けた方が良いでしょう。
④個別法要

浄土真宗で一周忌や三回忌など個別に法要を依頼する時には、「お布施」もしくは「御布施」の表書きです。右上に添える言葉は「永代経法要」もしくは「永代経」と書きます。
浄土真宗の法要はご遺族が故人を偲ぶことが目的です。一般的に33回忌で弔い上げですが、50回忌まで執り行うとする寺院や「弔い上げ」の概念を持たない寺院もあります。
⑤永代経懇志
浄土真宗で永代供養を行うお布施は?

浄土真宗でも法要を執り行う際には、永代経のお礼としてお布施を包みます。基本的なお布施マナーは他の仏教宗派と同じです。
浄土真宗で僧侶へお布施をお渡しするタイミングも法要が始まる前の控室、もしくは終わってからお礼の言葉を添えてお渡しします。
①浄土真宗のお布施の封筒
お札の柄が空けない白い厚手の封筒に入れれば問題はありません。内袋を奉書紙で包んだ市販の封筒でも良いでしょう。
地域によって黄色×白色の水引き、お墓が完成した時の建碑法要など、内容によっては赤色×白色の水引きを掛けます。水引については後ほど詳しく解説するので、どうぞ最後までお読みください。
黒墨の毛筆を使用しますが、筆ペンやインクペンでも失礼にはあたりません。香典で使用する薄墨は避け、黒墨を使用します。
②お札の入れ方

お布施は香典ではないのでお祝儀の包み方に倣います。お札は新札、封筒の表側・上側にお札の肖像画がくる方向で入れましょう。
お布施は香典ではないので、折り目を入れることは避けます。お布施の場合は2万円・6万円など偶数の金額でも失礼にはあたりませんが、奇数で揃える方が多い傾向です。
③浄土真宗でのお布施の金額相場
お布施の金額相場は地域性もありますが基本的には1回の永代経に付き、約3万円~5万円が目安です。
墓じまいで遷座法要と納骨式を同日に行う場合、永代経も2回読経されますよね。この場合は、お布施を包む金額も約1.5倍~2倍として約5万円~10万円を包みます。
④お布施以外に包むお金

僧侶をお呼びする法要では、お布施とは別に「御膳代」「御車代」も状況に合わせて包みましょう。
「御膳代」は会食場を設けた法要において、僧侶が欠席された時にお食事代として包みます。御膳代の費用相場は約5千円~2万円、実際のお食事代金が包むお金の目安です。
「御車代」は僧侶が寺院から出張された時に、交通費として包みます。御車代の費用相場は約3千円~1万円ほど、寺院から現地までのタクシー代が目安です。
⑤お布施の裏書き

厚手の白封筒の場合、左下に施主の・郵便番号・住所・氏名・金額を記載します。金額は旧字体の漢数字で書きましょう。
金額の上には「金」、後ろには「也」と添えます。例えば5万円を包んだ場合には「金伍萬圓也」と添えましょう。
⑥中袋がある場合

中袋があるならば、表面の中央に金額を記載します。旧字体の漢数字で記載しましょう。裏面の左下に・郵便番号・住所・氏名を記載します。
中袋は毛筆・黒墨である必要はありませんが、ボールペンはカジュアル過ぎるので不適切です。万年筆やインクペンなどを利用しましょう。
⑦お布施の渡し方

お布施をお渡しする時は、小さな漆塗りのお盆「切手盆」に置いてお渡しします。お布施の向きは、僧侶が「お布施」の向きが読める方向です。
切手盆は両手を添えて差し出しましょう。切手盆がなければ、お布施を包んで持ち歩いていた専用の袋「袱紗(ふくさ)」を切手盆代わりにします。
本来、お布施は机越しでお渡しするものではありません。畳間であれば机からずれて、何も跨がない形でお渡しします。
・【図解】お布施マナーとは?封筒や書き方、金額は?お札の入れ方・渡し方もイラスト解説
浄土真宗で墓じまい後、永代供養の費用は?

浄土真宗で墓じまいをする際、永代供養の費用相場は約30万円~300万円と幅広いです。これは取り出したご遺骨の柱数や納骨先(永代供養先)が影響しています。
お墓を撤去するだけならば約30万円~50万円が費用相場です。行政手続きにも手数料がかかりますが、自治体によって違いはあるものの数百円~約千円ほどとなるでしょう。
①遷座法要のお布施
浄土真宗で墓じまいを進めるにあたり「遷仏法要」を執り行います。この際のお布施相場は約3万円~5万円です。一基のお墓であれば一回の永代経のみでしょう。
墓じまいでは遷仏法要が終わるとすぐ、ご遺骨を取り出して墓石の撤去作業に入ります。墓石業者のスケジュール調整を行い、待機してもらう流れです。
②墓石の撤去費用
墓石の撤去費用の相場は1㎡あたり約10万円~15万円がかかります。一般的なお墓であれば、約20万円~30万円ほどが撤去費用となるでしょう。
墓石の撤去費用に墓石の処分・更地にする費用も含まれる石材業者が多いです。この他、ご遺骨を取り出す費用が発生します。費用相場は1柱あたり約3万円~5万円です。
③離檀料
寺院墓地に建つお墓の墓じまいでは、檀家から離れるにあたり「離檀料」が求められることがあります。離檀料は通常の法要で包むお布施金額の2倍~3倍が目安です。
ただし離檀料は法的に決められた費用ではありません。今までの感謝の気持ちとして包むお金なので、基本的には檀家が包む金額を決めます。
今は少なくなりましたが、もしも法外な離檀料を求められることがあっても、必ずしも支払う義務はありません。トラブルがあれば弁護士などに相談をしても良いでしょう。
まとめ:浄土真宗でも永代供養墓は利用できます

阿弥陀如来の他力本願により、人が亡くなると即極楽浄土へ成仏する「往生即成仏」の考え方を持つ浄土真宗では、確かに永代供養の考え方がありません。
けれども継承者不在による無縁墓問題が深刻化する現代では、浄土真宗を信仰する信徒でも、形式として永代供養墓を利用することができます。
納骨先のないご遺骨・墓じまいで取り出したご遺骨は、確かに自宅で祀ることも法的に問題はありませんが、放棄することはできません。宗旨宗派を問わない霊園・墓地などの永代供養墓を利用するなど、負担を軽減する方法を選ぶことは可能です。
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