永代供養に宗派は関係するの?考え方と浄土真宗の場合についても解説
「寺院や霊園で永代供養をお願いする場合って、宗派は関係があるの?」
「宗派の違いがあまりよく分からない」
「浄土真宗には永代供養がないって聞いたけど、どうすればいいの?」
永代供養をしようと考えたとき、このような疑問や不安を抱いている人も多いでしょう。
近年、お墓の継承者がいない人や、配偶者・子ども・孫などに負担をかけたくない人が増えており、永代供養を検討している人が増えています。
この記事では、寺院や霊園における永代供養と宗派、戒名の付け方などについて解説します。また、浄土真宗の永代供養についても解説するため、主要な仏教の宗派と永代供養に関する知識が深まるでしょう。
これからお墓選びをしようとしている人は、ぜひ参考にしてください。
永代供養とは?
「永代供養」とは、本来永年に渡って先祖を供養し、極楽往生を願う習慣の1つでした。しかし、少子高齢化が進む現代では、墓参りができない遺族や子孫に代わって、寺院や霊園が遺骨の管理・供養を代行することと捉えられています。
永代供養をお願いすれば、寺院や霊園がお墓の草むしりをしたり、お彼岸・お盆に読経をしてくれたりするため、故人の配偶者や子ども、親戚などに頼ることはありません。そして、将来お墓の継承者や縁故者がいなくなっても安心です。
近年では、生前に永代供養つきのお墓を希望し、契約する人も増えています。
永代供養するときの流れとは?… メリットやデメリットついても詳しく知る>
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日本における代表的な5つの宗派
現在、日本における仏教の宗派と言えば、天台宗・日蓮宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗が代表的でしょう。それぞれの教えや教義には特徴があり、宗派によってお葬式やお墓に対する考え方も異なります。
まずは、各宗派の特徴を見ていきましょう。
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天台宗
平安初期に唐で仏教を学んだ最澄によって日本に伝えられた「天台宗」は、定められている本尊は特になく、円・密・禅・戒のすべてを大切にするという考え方をします。
「妙法蓮華経」を主な経典としているため、「天台法華宗」と呼ばれることもあります。天台宗は宗派を区別せず、すべての人が救われるよう菩薩の精神でいようという教えの宗派です。
日蓮宗
鎌倉時代に日蓮によって開かれた「日蓮宗」は、「南無妙法蓮華経」の7文字に、法華経の功徳がすべて込められているという考え方が特徴の宗派です。
本尊は大曼荼羅で、「妙法蓮華経」以外の経典はほとんど使われず、江戸時代までは「日蓮法華宗」と呼ばれていました。日蓮宗は、人の生き方と妙法蓮華経を一体化させようとする教えの宗派です。
真言宗
平安時代に最澄と同じく唐に渡った空海によって開宗された「真言宗」は、日本で唯一の純粋な密教です。密教とは大衆に向けて布教するのではなく、信者にのみ教えを広めていく宗教のことです。
真言宗には、心のあり方や価値観などを10段階に分けて考える「十住心思想」があり、最終的には、本尊である大日如来の域まで達することを目標にして、修業する大切さを説いています。
浄土宗
平安時代末期に法然が開宗した「浄土宗」は、修行により成仏することを否定する宗派で、「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えることが大切であるという思想が特徴の宗派です。
往生と成仏は別の意味として捉え、成仏するためには極楽浄土での修業が必要であるという教えがあります。また、経典は「浄土三部経」の1つである「観無量寿経」を重視する宗派です。
浄土真宗
鎌倉時代に法然の弟子の親鸞が開祖である「浄土真宗」は、浄土宗と同じく修業による成仏は認めておらず、仏の救いを信じることで往生できるという教えの宗派です。
人は求めていなくても、阿弥陀如来の働きで成仏できるという「他力回向」の思想のもと、改めて修行する必要はなく、救ってくださると信じていれば往生できるとしています。経典は浄土宗と同様に「浄土三部経」であり、「無量寿経」に重きをおいています。
永代供養に宗派は関係ない?
本来、永代供養には「宗旨や宗派を問わず広く受け入れ、故人の供養を行う」という基本的な考え方があるため、永代供養に宗派は関係ないと言えます。
ただし、寺院はいずれかの宗派に所属しており、霊園も法要を担当する住職が宗派を持っています。そのため、永代供養の申し込みをする前に、宗旨や宗派を問わず永代供養をしてくれるか否かの確認をする必要があるでしょう。
寺院や霊園によっては、条件付きでの受け入れをする場合もあります。
寺院が永代供養を受け入れる際の宗派に関する条件
永代供養を受け入れる寺院や霊園の宗教条件は、さまざまです。まず、条件がまったくなく、キリスト教やイスラム教など仏教以外の宗教から無宗教の人まで、すべての人の永代供養を受け入れる寺院・霊園があります。
続いて、条件つきの寺院・霊園は、「在来仏教であれば宗派は問わない」という場合や、「寺院・霊園と同じ宗派のみ受け入れる」という場合、「檀家のみ受け入れる」という場合に分かれます。
これらの条件に合わない人が、どうしてもその寺院・霊園で永代供養してもらいたい場合は、改宗するもしくは檀家になる必要があるでしょう。
なお、いずれの条件も、過去の宗旨・宗派については不問です。
神道と仏教の違いとは?…神道と仏教の違いについて詳しく知る>
永代供養の法要について
永代供養は、ほとんどの寺院や霊園で宗派を問わず受け入れてもらえます。そのような永代供養つきのお墓では、骨壺から遺骨を取り出し、他の遺骨と一緒に埋葬する合祀という形がとられることが多いでしょう。
永代供養の法要は、寺院や霊園が定期的に行ってくれます。春・秋のお彼岸やお盆の時期に行われる法要や、1周忌・3回忌・17回忌・33回忌・50回忌などに年忌法要などがあります。
ただし、自分が契約する寺院や霊園はいつ、またはいつまで法要を行ってくれるかは、事前に確認しておきましょう。
また、永代供養の法要について事前に確認しておきたい!という方は下記の資料を請求して相談してみましょう。
永代供養で「戒名」「法号」はどうなる?
「戒名(かいみょう)」とは、本来出家して厳しい戒律のある仏門に入り、仏弟子になった証として与えられる名前です。しかし、現在では出家していなくても、亡くなったときに戒名を授けてもらう習慣が定着しました。
なお、浄土真宗では戒律がないため、戒名ではなく「法名(ほうみょう)」が、日蓮宗では「法号(ほうごう)」が授けられます。
永代供養において、戒名は必ずしも必要ありません。しかし、戒名を付けたい場合は、住職のいる寺院を供養先に選び、戒名を授けていただきましょう。
宗派によって違う「戒名」「法号」を付ける上でのしきたり
まずは、戒名、法号、法名と、宗派によってその呼び名が異なります。また、戒名を付ける上でのしきたりにも違いがあります。
例えば戒名と呼ばれる名は、一般的に院号(院殿号)・道号・戒名・位号によって構成されます。以下では、宗派によって異なるしきたりを紹介します。
天台宗
天台宗の戒名は、得度授戒を受けて生前に戒名を授かることもできます。死後に戒名を授かる場合は通夜が始まるまでに授与され、白木の位牌に書いて開眼を行います。
一般成年の戒名は、道号・戒名の下に、「居士」「大姉」「信士」「信女」などの位号を付けます。
日蓮宗
日蓮宗の法号は、院号・道号・法号・位号(日号)となり、寺門や宗門として功績のある人に「日号」を授与することがあります。
道号は男女で異なり、男性は「法」、女性は「妙」の冠字が入り、法号の下に「居士」「大姉」「信士」「信女」などの位号を付けます。
真言宗
真言宗は即身成仏の道を説く教えのため、生前にも戒名が授けられます。死後に戒名を授かる場合は、葬儀の際に剃髪授戒作法が行われます。
一般成年の戒名は、戒名の頭に大日如来を表す梵字「ア」を入れ、道号・戒名の下に「居士位」「大姉位」「信士」「信女」などの位号を付けます。
浄土宗
浄土宗の戒名は、生存中に授かる場合は授戒・剃髪などの儀式のあとに、死後に授かる場合は葬儀前に授与戒名の作法が行われ、授与されます。
戒名は、道号の代わりに2文字目に「誉」の文字を入れた誉号を用い、戒名の下に「居士」「大姉」「信士」「信女」などの位号を付けます。
浄土真宗
浄土真宗の法名は、釈迦の略称である「釋」を用います。これは、出家して仏門に入ったことを表す文字です。
院号の下に、男性の場合は釋を含めて3文字で「釋○○」、女性の場合は4文字で「釋尼○○」となります。道号と位号はありません。
浄土真宗には永代供養の考え方がない
浄土真宗には永代供養の慣習がありません。これは、亡くなった人を供養しなくても、念仏を唱えることで成仏できるという浄土真宗の教えからきています。
そのため、浄土真宗には故人の成仏を願う追善供養などは不要であり、永代供養という概念がないと考えられます。
永代経法要とは?
浄土真宗には永代供養の考え方がないものの、「永代経法要」というものがあります。永代経とは、仏様から受けるご恩に感謝の気持ちを持ち、永代に渡って念仏の教えが子々孫々続いていくようにという願いが込められたお経のことです。
永代経法要は回忌法要のように執り行われる場合もありますが、異なる概念の法要であることは認識しておきましょう。
浄土真宗で永代供養を行う方法
浄土真宗を信仰している人の中にも、他の宗派と同様にお墓の継承者がいない人や、親族にお墓の管理の負担をかけたくない人もいるでしょう。
浄土真宗への信仰心が強い場合は、本山納骨をするという方法があります。全国どこからでも遺骨を納骨できる本山納骨は、合祀型の永代供養墓と同じような位置付けで、社会救済の一環として考えられています。
また、浄土真宗でも継承者の代わりに遺骨を管理してくれる寺院はあるため、永代供養という考え方はないということを前提で、一度相談してみましょう。
永代供養は基本的には宗派を問わない
日本には数多くの宗派・宗旨があり、それぞれの教えが異なります。しかし、ほとんどの寺院・霊園では宗派を問わず、永代供養を受け入れてもらえるでしょう。
そのため、寺院・霊園の選択肢が増え、埋葬方法などその他の事項についても選ぶことができるようになります。
いずれにしても、永代供養をしてもらう寺院・霊園は終の棲家となる場所です。安心して遺骨の管理を任せられるように、理解を深めておくことが大切です。
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