
キリスト教の葬儀とは?カトリックとプロテスタントでの流れや参列時のマナー

「キリスト教葬儀の流れやマナーが分からない」
「キリスト教葬儀は、一般的な葬儀と何が違うの?」
「キリスト教葬儀にかかる費用が知りたい」
多くの人にとって、キリスト教葬儀に参列する機会は少ないのではないでしょうか。そのため、いざキリスト教式の葬儀に参列したり出席したりする場合に、疑問や不安を抱えてしまうこともあるでしょう。
本記事では、最初にキリスト教における葬儀について触れていき、次に葬儀の流れや参列するときのマナーについて紹介していきます。そして、記事の後半ではなぜ、キリスト教葬儀には他の宗教、特に仏教にはない特徴があるのかを解説します。
本記事を読むことでキリスト教葬儀について深く知れるため、実際に式に参列する場合に自信を持って臨むことができるでしょう。キリスト教葬儀について知りたい方は、ぜひ本記事を読んでみてください。
キリスト教における葬儀とは
日本においてキリスト教徒の人口は非常に少ないため、ほとんどの人がキリスト教式の葬儀に参列する機会がないでしょう。そこで、キリスト教葬儀について紹介する前に、キリスト教の宗派や宗派に共通した葬儀の特徴について、簡単に触れていきます。
キリスト教は、大別するとカトリックとプロテスタントといった2つの宗派があります。以下で、カトリックとプロテスタントそれぞれの葬儀の特徴について紹介していくため、この機会に把握してみましょう。
出典|参照:宗教年鑑 令和3年版
カトリック
カトリックの葬儀は、神父か司祭と呼ばれる聖職者が執り行います。カトリックにおける葬儀では、神に対して故人の罪を告白して神からの許しを請い、永遠の命が得られるように祈りを捧げる儀式が行われます。
そのため、葬儀では、神父による聖書の朗読や説教を行う「言葉の典礼」と、パンなどを祭壇に奉納する「ミサ」が中心となって行われるのです。
プロテスタント
プロテスタントの葬儀は、牧師と呼ばれる聖職者が執り行います。プロテスタントにおける葬儀は、神に対して感謝を伝えて遺族を慰め、そして友人や知人へ告別をする機会です。
また、プロテスタントの葬儀は、神に捧げる祈りと故人を通した説教が中心となって、葬儀が進んでいきます。
キリスト教の葬儀の流れ
キリスト教式の葬儀に参列する場合、その流れが気になる人もいるのではないでしょうか。前述したように、カトリックとプロテスタントとでは葬儀の捉え方に違いがあります。
以下では、カトリックとプロテスタントの葬儀の捉え方を踏まえながら、それぞれの葬儀の流れについて紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
カトリックの場合
カトリックの葬儀は、故人が所属していた教会の神父あるいは司祭によって執り行われます。一般的なカトリックの葬儀の流れは、下記の通りです。
1.病者の塗油(終油の秘跡)
2.通夜の集い
3.葬儀ミサ
4.告別式
5.出棺式
6.火葬
危篤の知らせを受けたとき、その旨を教会に知らせましょう。連絡を受けた神父は、故人の意識がある間に「病者の塗油」を執り行います。この病者の塗油で故人の安らかな旅立ちを願いながら、「回心の祈り」と「ことばの典礼(聖書朗読)」をします。
通夜の集いは、もともと通夜の概念がなかったキリスト教がなかったため、日本の風土や慣習に合わせて、故人の親族や友人が集えるよう設けられたものです。そのため、仏式の通夜振る舞い」の代わりになる会食の場を設けることもあります。
また、聖歌の斉唱、聖書朗読、神父による説教などを行います。これらが終わり次第、すぐに告別式へと移ります。
告別式は、入堂式とミサ聖祭式、赦祈式(しゃとうしき)という儀式が行われますが、ミサ聖祭式は省略される場合があるため、注意しましょう。
プロテスタントの場合
プロテスタントの葬儀は、カトリックの葬儀の流れと大きく異なり、葬儀と告別式を分けていません。一般的なプロテスタントの葬儀の流れは、以下の通りです。
1.聖餐式
2.前夜式(通夜)
3.葬儀・告別式
4.火葬前式・火葬
危篤状態になった場合、連絡を受けた牧師によって「聖餐式」が行われます。また、プロテスタントでは、通夜の代わりに「前夜式」が教会で執り行われる場合もあり、牧師の説教、参列者による賛美歌の斉唱や献花などが行われるのです。
葬儀・告別式は同時に行われ、牧師の進行のもとに進んでいきます。葬儀は聖書朗読、祈祷、賛美歌の斉唱、牧師による故人の紹介と説教、弔辞・弔電、そして遺族代表者の挨拶、献花などの流れで進んでいきます。
最後に、火葬場で牧師によって火葬前式(祈り、聖書朗読、賛美)がされ、火葬へと移ります。
キリスト教の葬儀へ参列するときのマナー
キリスト教葬儀へ参列する際には、カトリックやプロテスタントといった宗派によるマナーの違いにも注意が必要です。また、仏式にはない慣習やマナーもあるため、キリスト教葬儀に初めて参列する場合には事前に確認しておきましょう。
服装について
葬儀に参列する際の服装は、カトリックでもプロテスタントでも仏式と基本的に変わりありません。ただし、仏式の道具である「数珠」はキリスト教の葬儀には必要ないため、持参しなくてよいでしょう。
男性の場合には、通夜であればダークスーツ、葬儀・告別式であればブラックスーツを着用します。ネクタイは、いずれの式についても黒を選ぶことをおすすめします。
女性の場合には、黒のワンピースや喪服を選び、襟や胸元が開きすぎていないデザインにしてください。ストッキングや靴は黒にし、アクセサリー類は白か黒の真珠、あるいはオニキスを選びましょう。
また、カトリックの女性が葬儀の際に、黒い帽子とベール、手袋を身に付けている姿を目にした人もいるのではないでしょうか。これは、遺族が行う正装になるため、参列する人は必要ありません。
御花料について
仏式にある香典は、カトリックの場合には「御ミサ料」や「御花料」など、プロテスタントの場合には「御花料」や「献花料」といわれます。そのため、香典袋の表書きを間違えないように、注意してください。
使用する香典袋は、十字架や白いユリの花が描かれたものを選びましょう。準備が間に合わない場合には、白無地の封筒に薄墨で表書きします。
また、香典袋に包む金額は、仏式のときと変わりはありません。3親等内の親族が50,000円~100,000円程度、3親等以上の親族の場合には10,000円~30,000円程度になります。
聖歌を知らなくともできるだけ歌う
キリスト教の葬儀では、賛美歌や聖歌を歌う機会が多くなります。しかしながら、キリスト教葬儀に馴染みのない人にとっては、戸惑ってしまうこともあるでしょう。
そのため、式に参列する際に、案内の人から賛美歌などの歌詞やメロディが書かれた式次第を配ることもあります。式次第を受け取った場合には故人への哀悼の意を込め、できる限り歌うようにしましょう。
献花のマナー
キリスト教葬儀の場合、参列者が焼香の代わりに行うのが「献花」です。献花を行う際には、焼香と同じようにいくつかの手順があります。
まず、遺族に対して一礼をし、係りの人から両手で白いユリやカーネーションなどのお花を両手で受け取ります。花の部分が自分側にくるように、また茎が祭壇に向くようにして両手で献花します。
そして、献花が終わったら一礼をし、黙祷してください。最後に、遺族に対して再度一礼をして自席に戻ります。
供花のマナー
キリスト教葬儀では、故人や遺族の関係者、親族が葬儀式場に送るお花があり、「供花(あるいは弔花)」と呼びます。
供花を送る際には直接、教会などの葬儀式場に送るようにしてください。ただし、場合によっては、祭壇に供花やお花を飾らないといったケースもあるため、事前に供花を送っても良いかどうかの確認を取るようにしましょう。
キリスト教の葬儀の特徴
前述してきたように、キリスト教葬儀の流れやマナーには、仏式や神道式にはない特徴があります。キリスト教葬儀が他の宗教と異なる特徴を持つ理由としては、キリスト教の死生観によるところが大きいでしょう。
以下ではキリスト教の死生観とともに、キリスト教葬儀の特徴について紹介していきます。
死に対する考え方の違い
キリスト教と他の宗教で行われる葬儀の違いは「死に対する考え方・捉え方」、つまり死生観の違いが大きいでしょう。
キリスト教では、仏教などのように「死」を縁起の悪いものや不幸なこととして、捉えていません。キリスト教徒にとって、「死」は永遠の命の始まりであり、神の元へ召される祝福すべきものとして捉えています。
そのため、キリスト教の葬儀では、仏式や神道式の葬儀よりも比較的明るい雰囲気の中で執り行われることが多いです。
本来はお通夜がない
キリスト教の葬儀では死生観や慣習の違いから、本来は仏式で行われる通夜がありません。しかしながら、日本の風土や慣習に合わせて、通夜の代わりとなる集いを設けるようになってきました。
カトリックの場合には「通夜の祈り」や「通夜の集い」、プロテスタントの場合には「前夜祭(式)」が執り行われることが多いでしょう。
基本的に教会で行われる
仏教では寺院で通夜や葬儀を行うように、キリスト教では教会で葬儀を行います。そのため一般的には、故人が所属していた教会で通夜の集いや、前夜式、葬儀・告別式が実施されています。
ただし、諸事情によっては所属教会で葬儀などが行えない場合があり、その際には一般の葬儀施設などで行われることもあるでしょう。一般の葬儀場で執り行われる場合でも、キリスト教式葬儀となります。参列する際には、マナーや挨拶の言葉などに注意しておきましょう。
お悔やみの言葉を言わない
キリスト教式の葬儀では、仏式の葬儀でいわれる「お悔やみの言葉」を使いません。前述したように、キリスト教徒にとって「死」は縁起が悪く不幸なものではなく、永遠の命を得て天国での新しい人生が始まる節目になります。
そのため、キリスト教式の葬儀に出席・参列する場合には、お悔やみの言葉の代わりに「安らかな眠りをお祈りいたします」や「ご遺族の上に、主の慰めがありますように」などの言葉が相応しいでしょう。
葬儀後の法事がない
いわゆる「法事」とは、故人に対して読経や焼香を行う供養のための法要や会食など、故人の冥福を祈る一連の行事のことをいいます。そのため、キリスト教では、葬儀後に法事は行いません。
キリスト教の場合、カトリックでは命日祭や万霊節を行い、プロテスタントでは記念集会や召天者記念礼拝を葬儀後に行います。
キリスト教の葬儀にかかる費用
キリスト教の葬儀にかかる費用は、一般的な葬儀と比較すると安価であるといわれています。ただし、実際に行う葬儀の規模や地域、あるいは葬儀会社などによって費用に違いがあるため注意が必要です。
葬儀の主な費用項目は、式場利用費、祭壇や棺・骨壺などの物品費、遺体の保管や搬送、火葬費、参列者に配る返礼品費、また教会への献金や神父や牧師、オルガン奏者などへの謝礼が挙げられます。
これらを含めたキリスト教葬儀の費用相場は、家族葬の場合で40万円~100万円程度、特別葬の場合で200万円程度でしょう。
キリスト教の葬儀について知っておこう
今回の記事では、キリスト教における宗派ごとの葬儀の仕方や流れ、また葬儀に表れている死生観などについて紹介してきました。
キリスト教の葬儀は日本人にとってはあまり馴染みがなく、また仏式と異なることが多いために戸惑うこともあるでしょう。しかしながら、本記事を参考にキリスト教の葬儀について知識を深めることで、いざというときに備えておくことができます。
キリスト教葬儀について詳しく知りたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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