お墓を放置したらどうなる?継承したけど維持費が払えない!管理できない時5つの対処法
・お墓を放置したらどうなる?
・お墓を放置すると通達はくる?
・お墓が維持できない対処法は?
お墓を継承したものの維持管理が負担になり、悩む墓主は多いですよね。
お墓を放置すると、いずれは無縁墓になりますが、無縁墓になるまでには催促状など、経緯があります。
本記事を読むことで、お墓を放置したらどうなるか?無縁墓になるまでの経緯、お墓を維持管理できない時の5つの対処法が分かります。
お墓を放置するとどうなる?
◇お墓を放置して問題になるのは、維持管理費です
お墓を継承すると、維持管理費として「年間管理料」を定期的に墓地管理者へ支払います。
「墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)」により、遺骨は知事が認める墓地以外で埋葬できません。
そのため遺骨は公営墓地・民間霊園・寺院墓地など、いずれかの霊園・墓地で埋葬していますが、お墓を放置しているとみなされるのは、霊園や墓地に定期的に支払う維持管理費の不払いです。
<霊園・墓地の維持管理費> ●公共部分の維持管理費用 |
|
[墓地の種類] | [費用目安] |
・公営墓地 | …約2,000円/年~ |
・寺院墓地 | …約9,000円~15,000円/年~ |
・民間霊園 | …約9,000円~15,000円/年~ |
以上が目安ですが、高い霊園や墓地になると約30.000円掛かることもあるほどです。
お墓を放置したくない、今後も維持したい場合、維持管理費が高いと感じたら、公営墓地などへお墓の引っ越し「改葬(かいそう)」を検討するのも良いでしょう。
お墓の維持費は墓地管理者へ毎年支払う、管理費が最も気を付けるべき費用です。
年単位で支払う費用なので、それほど大きい金額ではないのですが、しばしば滞納が続いて大きな金額になり、「お墓の維持費が払えない」との相談もあります。
お墓の掃除を放置するとどうなる?
◇周辺区画の墓主から、墓地管理者へ苦情が来ることもあります
また定期的に掃除に行かない墓地区画は草花が茂り荒れるため、周辺区画の墓主から苦情が来ることもあります。
掃除業者へ依頼することができますが、掃除業者にも費用が掛かるでしょう。
●費用相場…約15,000円~20,000円/1回~
遠方にお墓がある場合、自分達でお墓掃除をしても交通費が掛かります。
お墓近郊に住む親族に相談して、掃除をしてもらうこともできますが、高齢など事情がある相談が多いです。
お墓の維持管理費を放置したら?
◇お墓の維持管理費を払わずにいると、まず催促の通達が届きます
墓主がお墓の維持管理を行う責任を放棄したとみなされるきっかけの多くは、霊園や墓地に支払う維持管理費の滞納です。
ただ、お墓の維持管理費を放置しても、すぐに墓石の撤去に至る訳ではありません。
①督促の通達
②官報の情報登録
③お墓が撤去
④合祀墓に移動
以上4段階でお墓の撤去が進みます。
「合祀墓(ごうしぼ)」とは、ひとつの供養塔に、不特定多数の人々の遺骨を合祀埋葬するお墓です。
墓じまいとは違い、個人への適切な供養が行われない可能性もあるなか、他の遺骨とともに合祀墓に埋葬されます。
そのためお墓の維持費が払えなくても、墓地管理者へ相談だけはしたいところです。
…それでは、それぞれの段階と注意点をお伝えします。
①督促の通達
◇まず最初に、墓地管理者から維持費の催促状が届きます
この段階で何らかの対応を行えば良いのですが、なかにはお墓の維持費が払えないため、催促状に反応せず、放置してしまう墓主が少なくありません。
相談を受けた墓地管理者からは、分割の提案などを受けるかもしれません。
催促状に応じない場合、内容証明郵便でお墓の使用権を解除されてしまう恐れがあります。
②官報の情報登録
◇お墓の維持費を3年間滞納すると、官報へ情報登録されます
「官報(かんぽう)」とは国が発行している情報で、法改正などの情報提供の他、個人的な破産や相続情報、裁判内容まで記録される、新聞のようなものです。
お墓の維持費を3年以上滞納すると、この国が発行する「官報」に、個人名が登録されてしまいます。
・お墓の名義人(墓主)の氏名
・埋葬されている故人の氏名
墓地管理者としては、この官報にお墓の維持費を滞納した情報を登録してから1年が経つと、墓主の許可を得ずともお墓の撤去ができる流れです。
そのため墓主は、この官報に情報登録されてから1年以内(目安としてお墓の維持費滞納から4年以内)には、墓地管理者へ相談や支払いをした方が良いでしょう。
③お墓が撤去
◇官報に登録された後、1年経つと撤去の可能性があります
現在では墓主が行う「墓じまい」によるお墓の撤去もありますが、墓地管理者が行う場合は、個別の丁寧な供養も期待できません。
後々、思い立った時にお墓参りに行ってもお墓がない、放置されて朽ちているなどの事例の他、「埋葬されていた遺骨の納骨先も曖昧」と言う体験談もありました。
※ただし無縁仏になったお墓の扱いは、墓地管理者によって対応が違うでしょう。
④合祀墓に移動
◇無縁仏になったお墓が撤去されると、遺骨は合葬墓に移動します
…官報に登録してから1年で、無縁仏と認定されます。
無縁仏と認定されたお墓は、撤去・粉砕され、埋葬されていた遺骨は無縁仏専用など、敷地内にある合祀墓(供養塔)に合祀埋葬される段階です。
合祀墓に埋葬される時には、骨壺や骨袋から遺骨を取り出して、他の不特定多数の人々の遺骨とともに、ひとつのカロートに合祀埋葬されます。
お墓を放置する要因は?
◇お墓の放置で多い要因に、相続があります
嫡男に家の財産を全て譲る家督相続があった時代には、お墓の継承に意義がありましたが、均等に分ける現在の相続法では、お墓を相続しても得はありません。
祭祀財産であるお墓は相続財産とみなされないため、相続税は掛かりませんが、お墓を継承しても、その負担に見合った財産が分割される訳ではないためです。
そのため、なかなかお墓の継承者が決まらない、曖昧になるケースは増えています。
お墓の継承者が曖昧
◇前の墓主が亡くなり、相続時に継承者が曖昧になったケースです
新しい継承者が決まっていないため、責任の所在も曖昧になり、お墓の維持管理費の支払いも放置されます。
お墓の名義人の変更もないため、霊園・墓地管理者が催促通知を出しても届かない、返事が来ないケースも多いです。
墓主が急に亡くなった
◇墓主の急死で、お墓の管理状況が把握できない
墓主の急死により次の継承者は決まったものの、いざ蓋を開けてみると、お墓の維持費トラブルに出くわしたりもします。
・お墓の維持費を滞納していた
・滞納や放置トラブル
このような事態を防ぐためには、日ごろから墓主ひとりにお墓の管理や維持費の負担を押し付けることなく、他の家族親族で協力し合えるよう、話し合いをしておくと有効です。
お墓を放置しない方法
◇墓じまいにより、お墓の放置問題は解決されます
継承者が曖昧になりお墓が放置されるようならば、墓じまいが有効です。
またお墓を継承したものの、維持管理費や掃除が負担になる人もいます。
墓主が高齢になってきて続く継承者に不安がある場合にも、生前に墓じまいをしてしまうことで、後々にお墓が放置されるリスクも軽減されるでしょう。
墓じまいとは?
◇「墓じまい」は、現存のお墓を撤去し閉じることです
墓主が墓じまいを行う場合、石材業者に依頼して遺骨を取り出し、墓石を撤去して墓地管理者へ返還します。
・子孫が遺骨を取り出す
(丁重に供養して取り出す)
・新しい納骨先でも供養ができる
・遺骨の所在が分かる
また霊園や墓地によっては経済上の問題から、無縁仏と判断されたお墓を撤去せず、放置したままの状態も見受けます。
お墓を放置したままだと、草木で荒れ果ててしまうでしょう。
その様子を見て、子孫の手で遺骨を丁重に取り出し供養を決断する人もいます。
お墓を放置しない墓じまいの後は?
◇墓じまいで取り出した遺骨は、永代供養や自然葬で処理します
ただ墓じまいをしても、取り出した遺骨は何らかの形で処理しなければなりません。
主には永代供養、自然葬が選ばれます。
<霊園・墓地の維持管理費> ●公共部分の維持管理費用 |
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[墓地の種類] | [費用目安] |
・公営墓地 | …約2,000円/年~ |
・寺院墓地 | …約9,000円~15,000円/年~ |
・民間霊園 | …約9,000円~15,000円/年~ |
また一般的に、お墓の継承者がいない場合には墓じまいを選びますが、「お墓を残したい」「次の代でお墓の継承者が現れるかもしれない」と考える時には、お墓に永代供養を付ける選択もあるでしょう。
ただし永代供養料が掛かるうえ、毎年の維持管理費は払い続けなければなりません。
①永代供養
「永代供養」とは、家族に代わって墓地管理者が、お墓や遺骨の管理・供養を担うサービスです。
永代供養は遺骨やお墓の管理や供養を担う、形のないものなので、さまざまな供養の形に付加できます。
<永代供養の一例> | |
[供養塔のみ] | ・合祀墓 |
[個別の墓標がある] | ・納骨堂 ・集合墓 ・ガーデニング型樹木葬 |
個別スペースに遺骨を収蔵する納骨堂や集合墓では、契約した一定年数は個別に遺骨が残り、個別に手を合わせる墓標もあります。
けれども個別スペースが確保される契約年数期間は、お墓と同じく維持管理費を支払うシステムが多いです。
生前の終活などで一括契約をしたい場合、事前に契約年数分の維持管理費を支払う流れになるでしょう。
②自然葬
◇遺骨を自然に還す自然葬では、継承の必要がありません
自然葬は海や山林に遺骨を撒いたり、ゆっくりと土に還元する埋葬方法です。
いずれ遺骨は自然に還ることを前提とするため、そもそもお墓のように管理者や継承者が必要ありません。
<自然葬の種類> | |
①樹木葬 | ・合祀型(シンボルツリー型) ・個別区画型(植樹型) |
②散骨 | ・里山散骨 ・海洋散骨 ・空葬(バルーン葬) ・宇宙葬 |
土に還る樹木葬では、ゆっくりと土に還る骨壺や骨袋を用いたり、骨袋から出して遺骨を埋葬するため、最終的に遺骨自体が残りません。
散骨でもパウダー状に粉骨した遺骨を撒く葬送なので遺骨が残らず、結果的にお墓の維持費を支払う、継承者を残す必要がないでしょう。
⑤手元供養
◇「手元供養」では、遺骨を自宅で供養します
手元供養とは、自宅で遺骨を管理・供養する方法です。
自宅で遺骨を供養するため、遺骨の手入れや粉骨費用以外に費用が掛からず、予算に合わせた準備ができます。
<手元供養の種類> | |
①アクセサリー | ・ペンダント ・ブレスレット ・キーホルダー |
②ステージ(祭壇) | ・骨壺を祀る |
現代は新しい供養の形として根付き始め、仏壇仏具店では手元供養専用の小さなステージ(祭壇)や骨壺も販売されるようになりました。
美しく遺骨を祀るため、粉骨業者に粉骨を依頼する流れが一般的です。
粉骨は業者により費用幅がありますが、約3万円/1柱を目安にすると良いでしょう。
散骨も粉骨をするため、家族など身近な故人の遺骨だった場合、セレモニーとして散骨を行い、残りを手元供養にする体験談もあります。
・【手元供養の体験談】娘の手元供養。娘の遺骨を納骨できないまま5年、分骨をして祭壇へ
まとめ:お墓を放置すると無縁仏とみなされます
継承者が曖昧なまま、お墓を放置すると無縁仏として撤去され、取り出した遺骨はどこかの供養塔に納骨されるでしょう。
一方で家族や親族が同じ集落に住んでいた頃と違い、お墓を継承すると、維持費はもちろん管理も、墓主ひとりに負担が掛かりがちです。
さらにお墓もいずれは老朽化するため、お墓の修繕や建て替えを必要とする事態にも直面します。
お墓の維持費が払えないということは、無理があるということです。
この機会に、誰もが無理をしないお墓の維持管理方法を検討してみてはいかがでしょうか。
・お墓の継承をしたくないなら、継承後の墓じまいがベスト|継承手続きから墓じまいの手順
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