
墓じまいで取り出したご先祖様の遺骨の処分方法は?家族の遺骨だけを残すことはできる?

・墓じまいの遺骨を処分する方法は?
・墓じまい後、遺骨を残したい時はどうする?
・墓じまい後、遺骨処分を委託できる?
お墓を閉じる墓じまいでは、取り出した遺骨の処分が最も大きな課題です。
埋葬されている遺骨が1柱・2柱であれば、遺骨供養も手厚くできるでしょう。
けれども先祖代々墓など、古くから続くお墓や大きなお墓では、取り出す遺骨も6柱~12柱ほどあるケースも多く、墓じまいで出てきた多くの遺骨の処分に困ることも少なくありません。
本記事を読むことで、墓じまいで出てきた古いご先祖様の遺骨を処分する方法や、身近な家族の遺骨を残す方法が費用目安とともに分かります。

墓じまいでご先祖様の遺骨の処分方法は?

◇永代供養や自然葬の選択があります
墓じまいで複数出たご先祖様の遺骨の処分は、柱数が多ければ多いほど、安く抑えながら、維持管理の負担が掛からぬよう、遺骨が残らない形で進めたいですよね。
墓じまいの遺骨を残さない処分方法で、最も安く抑えた永代供養は、合祀タイプです。
「合祀(ごうし)」とは、他の遺骨と一緒に埋葬されることを指します。
①永代供養墓(合祀墓)
◇ひとつの供養塔に合祀されます
…費用目安は約3万円~10万円ほど
永代供養墓は合祀墓・合葬墓などとも呼ばれ、最初から他の遺骨と一緒に合祀埋葬される供養塔です。
地方では地域の合同墓など、集落の人々が入るお墓としても残っているかもしれません。
また地域によっては、一族のお墓が合祀タイプであるケースもあります。
永代供養墓は合祀された後、墓地管理者によって定期的な合同供養が催されるでしょう。
家族で参拝することが可能な霊園や墓地もあります。
②本山納骨
◇宗派の総本山で合祀する方法です
…費用目安は約3万円~10万円ほど
日本では江戸時代の昔から、集落の寺院に属する檀家制度がありました。
現在の戸籍のような役割ですが、菩提寺がある家では、ご先祖様が熱心な仏教徒だったこともあるでしょう。
菩提寺に永代供養墓がない場合など、菩提寺が属する宗派を統括する「総本山」を紹介していただき、総本山の供養塔で合祀する方法もあります。
③海洋散骨
◇海に粉骨した遺骨を撒きます
…委託散骨で約2万円~10万円ほどです
海洋散骨は粉骨した遺骨を海に撒く処分方法となり、一般的には散骨業者に粉骨・散骨を依頼します。
最も安い海洋散骨は遺骨を預けて散骨まで委託する「委託散骨」「代理散骨」です。
委託散骨(代理散骨)では、遺骨を郵送して委託できる業者もあります。
自分で粉骨・散骨ができない訳ではありませんが、禁止する自治体も多くトラブルの元になりがちなので、散骨業者に依頼する方法が一般的です。
一方、海洋散骨に同行し自分で散骨したい場合には、チャーターする船や他家族と同乗するかによって費用幅があり、30万円以上かかることもあるでしょう。
・海洋散骨にかかる費用はどれくらい?デメリットや注意点は?勝手に散骨したらどうなる?
④樹木葬
◇シンボルとなる樹木のふもとに埋葬されます
…合祀型樹木葬で約5万円~20万円ほどです
樹木葬は樹木のふもとに埋葬され、時間をかけて土に還ります。
樹木葬で1柱ごとの費用を抑えるならば、シンボルツリーのふもとで合祀される「合祀型樹木葬」が良いでしょう。
この他には個人の区画がある個別型や、家族で入る家族型があり、入る人数が増える分だけ費用も高くなるので、約20万円~80万円ほどにもなります。
ただ墓じまいの遺骨が多く処分に困るが、個別の参拝対象が欲しい場合は、家族型の樹木葬を探してみるのも良いかもしれません。
・自然葬とは?種類と特徴、メリット・デメリット|自然葬の進め方や費用目安も詳しく解説
⑤散骨
◇山林や空に散骨する方法もあります
…山林散骨で約1万5千円~30万円以上です
海洋散骨以外にも山林散骨(里山散骨)があります。
散骨業者が所有する里山で、粉骨した遺骨を散骨する方法ですが、プランや形式によって、費用幅は約1万5千円~30万円以上と大きいです。
この他にも、風船に散骨した遺骨を入れて飛ばす「バルーン葬」、ヘリコプターで遺骨を撒く「空葬(ヘリコプター葬)」、宇宙へ飛ばす「宇宙葬」などがありますが、いずれも墓じまい後の遺骨処分としては、高いでしょう。
墓じまいで家族の遺骨は処分しなきゃダメ?

◇家族の遺骨のみ、個別に残すことはできます
墓じまいで取り出した遺骨のなかには、古いご先祖様の遺骨もあれば、思い出深い配偶者や両親など、家族の遺骨もあるでしょう。
ご先祖様の遺骨も含めて、全てを個別に安置し、丁重に供養したいところですが、柱数が多いと経済的な負担が大きいです。
そのためご先祖様の遺骨は合祀する形で処分することは多くあります。
けれども墓じまいの行政手続きは、取り出した遺骨1柱ごとに行うため、両親や配偶者など、思い出が多い家族の遺骨だけを残すことは可能です。
①納骨堂
◇遺骨を収蔵するスペースが提供されます
…1人用の費用目安は約10万円~50万円ほどです
納骨堂にはロッカー型や位牌型、仏壇型など、遺骨の収蔵方法によって、さまざまな種類があり、安い価格帯を選ぶならば、ロッカー型が良いでしょう。
また寺院墓地に多い位牌型も費用が安い傾向ですが、なかには遺骨は合祀して、位牌を残し合同供養する仕組みもあるので、遺骨を残したい人は確認をしてください。
遺骨を残す位牌型納骨堂では、粉骨した遺骨を位牌に納める仕組みなどがあります。
ただし納骨堂は納骨後に年間管理料がかかること、最終的には合祀される仕組みが多いので、納骨堂の契約内容を理解してから決めましょう。
・納骨堂で永代供養を行う費用はどれくらい?納骨堂5つの種類で違う費用相場を詳しく解説!
②個別埋葬型樹木葬
◇個別区画に埋葬される樹木葬があります
…1人用の費用目安は約15万円~60万円ほどです
基本的に遺骨が土に還る樹木葬は、埋葬すると再び遺骨を取り出すことはできません。
けれども合祀ではなく、個別区画に遺骨を埋葬することができます。
個別区画に埋葬することで、家族は個別区画に向かって参拝ができるでしょう。
また庭園風に整えられた区画で遺骨供養をする「ガーデニング型樹木葬」であれば、個別の納骨スペースに一定期間は納骨され、小さな墓碑を置くプランもあります。
ただし、その分費用も高くなり、1人用で約50万円~100万円ほどが目安です。
・樹木葬の費用や内訳はどれくらいかかる?費用は種類で違う?騙されない後悔しない選び方
③手元供養
◇遺骨を自宅で祀る遺骨供養です
…予算に合わせた手元供養ができます
手元供養とは、自宅で遺骨を保管・管理して日々供養する遺骨供養の方法です。
現代の手元供養では、一般的に遺骨をパウダー状に粉骨してコンパクトにします。
骨壺を祀りお線香を供えて日々供養する手元供養の他、ペンダントトップなどのアクセサリーに粉骨した遺骨を納めて持ち歩く手元供養が人気です。
また墓じまいの場合、遺骨処分の必要がなく、手厚い供養をしながらもお金がかからない手段として、ご先祖様の遺骨も全てを粉骨して仏壇に納める「自宅墓」の選択も増えました。
④屋外型納骨堂
◇屋外にある遺骨を納めるスペースです
…1人用の費用目安は約50万円~100万円です
「屋外型納骨堂」は屋外にある、遺骨を納めるスペースが提供された墓石で作られたお墓となり、上下左右にロッカーのように個別のスペースが並びます。
住居で例えると個別墓が戸建てであれば、集合墓は分譲マンションです。
「集合墓」とも呼ばれますが、供養の形としては屋外にある納骨堂と考えれば分かりやすいでしょう。
屋外型納骨堂には1人用・夫婦用・家族用など、人数に合わせたプランも多く、なかにはペットと入る屋外型納骨堂、ペット専用の屋外型納骨堂などもあります。
・ペットメモリアルガーデン(ページ下部)
⑤永代供養付き個別墓
◇個別墓にも永代供養を付けることができます
…費用目安は一基で約150万円~300万円以上です
墓じまいはお墓の維持管理への負担や、継承者問題をきっかけに行うケースがほとんどですが、遠方で定期的なお墓の掃除ができない墓主などの場合、住まいの近くにお墓を建てることもあるでしょう。
このような場合、個別墓でも永代供養を付けることが可能なので、将来的にもしも継承者がいなくなった時にも、無縁墓にはなりません。
ただし墓石が建つため費用もかかり、納骨した後は年間管理料の支払いや定期的なお墓の掃除など、個別区画内でのメンテナンスは必要になります。
・お墓を建てる費用はどれくらい?平均的な費用と内訳、安く抑える方法まで|永代供養ナビ
墓じまい後の遺骨は捨てちゃダメ!

◇墓じまい後の遺骨を勝手に捨てる行為は違法です
墓じまいでは多くの遺骨が出てくるお墓もありますが、古い遺骨でも行政手続きなく、勝手に埋葬したり、ゴミとして処分することは、刑法190条「死体損壊罪」にあたります。
墓じまい後の遺骨を処分する際、散骨をすることもありますが、粉骨した遺骨であっても埋葬すると刑法190条に触れますのでご注意ください。
<墓じまい後の遺骨について関連記事>
・墓じまい後の遺骨はどこへどうなる?費用はいくら掛かる?いらない遺骨の処分はできる?|永代供養ナビ
①墓じまい代行を利用する
◇墓じまい代行はワンストップで進みます
…費用目安は約30万円~150万円です
墓じまい代行業者には、葬送業による紹介制、霊園や墓石業者が提供する墓じまいパック、行政書士による墓じまい手続き代行などがあります。
なかでも墓じまいで取り出した遺骨の処分まで請け負うプランなら、希望する永代供養から逆算して、ワンストップで依頼ができてスムーズです。
また墓じまいの遺骨処分までトータルで費用が出るので、予算も立てやすいでしょう。
墓じまいの遺骨処分が多い場合、結果的に安く収まることもあります。
・墓じまい代行の費用はいくら?墓じまい代行業者の種類や選び方、代行できる内容・注意点
②遺骨を郵送する永代供養
◇遺骨を郵送して委託できる永代供養もあります
日々の忙しさに追われ、墓じまいで遺骨の処分に困った時には、遺骨の郵送を受け付けてくれる永代供養サービスを検討しても良いでしょう。
永代供養墓や散骨業者のなかには、遺骨の郵送を受け付けてくれるサービスもあり、専用の遺骨郵送パックも購入できます。
ちなみに遺骨の郵送は、どこの宅配業者でも受け付けてくれる訳ではありません。
日本国内のゆうパックのみですので、郵送の際はゆうパックを利用しましょう。
・ゆうパック公式サイト
③家族が亡くなった時の遺骨処分は?
◇火葬場で遺骨の引き取りを拒否する
九州・東北地方、関西地方などの一部地域では、火葬場で遺骨の引き取り拒否が可能です。
遺族が遺骨の引き取りを拒否した場合、遺骨は自治体が回収し供養します。
回収した遺骨に含まれる金属などを財源にする自治体があるためです。
このような火葬場で遺骨の引き取りを拒否する方法を、遺骨のない「0葬」、「遺骨の焼き切り」などと言われます。
また遺骨を自分で2mm以下のパウダー状に粉骨して、海洋散骨する方法も0円でできますが、
遺骨の粉骨は精神衛生上、あまりおすすめできるものではありません。
また遺骨の散骨を禁止する自治体もあり、近所迷惑などトラブルリスクもあるでしょう。
家族が突然亡くなり遺骨の行方に困った時には、葬送業者や霊園、菩提寺など、専門業者に相談することをおすすめします。
まとめ:墓じまい後の遺骨の処分は分けることができます

墓じまいで出た遺骨の処分は、柱数が多く戸惑う人も少なくはありません。
ただ墓じまい業者や霊園、菩提寺などに相談することで、何らかの解決策は出てくるでしょう。
また遺骨を埋葬することは罪になるものの、そのまま自宅に安置することは違法ではないため、一度自宅に持ち帰って供養先を探すこともできます。
墓じまいで出た遺骨の処分について、行政手続きは1柱ごとなので、いご先祖様と近しい家族の遺骨を分け、それぞれに適切な供養方法を選ぶことで、予算調整も可能です。
ただ遺骨の骨箱や骨壺などは遺骨ではないので、ゴミとして扱うことができます。
受け取り拒否をする自治体があれば、クリーンセンターで受け付けてくれるでしょう。
・大阪市:ごみの持ち込み
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