親を扶養に入れる条件とは?別居でも可能?所得制限・健康保険・節税メリットを徹底解説
「年金暮らしの親を扶養に入れると、税金が安くなるって本当?」
「別居している親でも扶養に入れられるの?」
親御さんの老後を支える世代にとって、「扶養」という仕組みは大きな関心事です。
所得税や住民税の負担を軽減できるメリットがある一方で、条件や手続きが複雑で、二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。
私たち霊園業者が日々お話を伺う中で感じるのは、扶養控除などで浮いたお金を、親御さんの将来の介護費用や「もしも」の時のための供養費用(お墓の建立や維持管理)に充てているご家庭が非常に多いということです。
本記事では、親を扶養に入れるための年収制限や同居・別居の違い、さらに健康保険の手続きまで、専門家視点で分かりやすく解説します。
※この記事は2026年2月時点の制度・法律に基づいて執筆しています。
親を扶養に入れるとは?「税法上」と「社会保険上」の違い
親を扶養に入れる際、まず整理しておかなければならないのが、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」は全く別物であるという点です。ここを混同すると、思わぬ手続き漏れが発生するため注意が必要です。
知っておきたい親の2つの扶養(税金・健康保険)の仕組み
多くの人がイメージする「扶養」には、大きく分けて以下の2つの種類があります。
● 社会保険上の扶養(健康保険): 親を自分の健康保険に加入させることで、親自身が国民健康保険料を支払う必要がなくなる仕組みです。
霊園の相談現場でも話題に!親を扶養に入れるメリット・デメリット
私たちがお客さまから「お墓の維持管理費」や「永代供養の費用」についてご相談を受ける際、この扶養の話題がよく出ます。
● デメリット: 一方で、親を扶養に入れることで世帯の合計所得が変わり、親が利用する介護サービス費用の「自己負担割合」が上がってしまうケースがデメリットとしてあります。
デメリットを避けるためには、目先の節税だけでなく、トータルでの家計管理が求められます。
控除で浮いたお金を「将来の供養」の備えに活かす考え方
「親のために何かしてあげたいけれど、余裕がない」という方も、扶養控除を正しく活用すれば、年間で数万円〜十数万円の資金を確保できる可能性があります。この資金を、親御さんが希望するお墓の準備や、将来の管理料の積み立てに充てることは、立派な親孝行の形といえるでしょう。
メリット・デメリットを理解して、扶養による節税だけでなく、自分たちが将来どれくらいの資金を蓄えておくべきか、最新の基準を確認しておきましょう。
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【税法上の扶養】所得税・住民税を安くするための条件
日本の税制では、家族を養う負担を考慮し、一定の所得以下の親族がいる場合に所得控除を受けられる仕組みが整っています。
「親を扶養に入れる」ことで得られる最大のメリットは、あなたの所得税や住民税の負担を軽減できる「扶養控除」です。ただし、親であれば誰でも対象になるわけではなく、年齢や収入といった明確な条件が定められています。
対象となる親の年齢と「扶養控除」の金額計算(70歳以上は控除額アップ)
扶養控除の対象となる親族は、その年の12月31日時点で「16歳以上」である必要があります。さらに、親御さんの年齢によって受けられる控除額が段階的に変わるのが大きな特徴です。計算をしながら進めましょう。
● 親が70歳以上の場合: 「老人扶養親族」という扱いになり、控除額が48万円(別居の場合)または58万円(同居の場合)にアップします。
このように、親御さんが70歳を超えると節税メリットが一段と大きくなるため、以上の点を計算して、申請漏れがないか毎年確認することが重要です。
収入の壁はいくら?年金受給者やバイト・パートの場合の所得制限
扶養に入れるためには、親御さんの年間の「合計所得金額」が48万円以下(2026年時点)であることが条件となります。ここで注意したいのは、「収入」と「所得」は違うという点です。
● パートやアルバイト収入がある場合: 給与所得控除を差し引いた後の金額で計算します。一般的に「103万円の壁」と言われるように、給与収入のみであれば103万円以下が目安となります。
● 各種手当の確認: 親御さんが自治体から受給している手当(非課税のもの)がある場合、それは所得には含まれませんが、社会保険の「収入基準」には合算されるケースがあるため注意が必要です。
年金とパート両方の収入がある場合は、それぞれの所得を合算して判定します。もし判定が難しい場合は、源泉徴収票をお持ちいただければ霊園の相談窓口等でも概算のアドバイスが可能です。
[働きながら年金受給の壁]
同居(同居老親等)と別居で控除額はどう変わる?
親御さんと同居しているか、あるいは別居しているかによって、適用される控除の名称と金額が異なります。
● 別居の老人扶養親族(48万円控除): 離れて暮らしていても、あなたが生活費を仕送りしており「生計を一にしている」と認められれば、48万円の控除を受けられます。
この10万円の差は、住民税まで含めると年間で数万円の税額差を生みます。「施設に入ったから扶養から外れる」と勘違いしがちですが、仕送りを続けていれば引き続き扶養控除の対象となる点は覚えておきましょう。
兄弟姉妹の誰が扶養に入れるのが一番お得?
一つの家庭に兄弟姉妹がいる場合、誰が親を扶養に入れるべきでしょうか?ここで守らなければならないルールは、「重複して扶養に入れることはできない」ということです。
● 父と母で分担する: 例えば、長男が父親を、長女が母親をそれぞれ扶養に入れるという形であれば、二人とも控除を受けることが可能です。
家族でしっかり話し合い、どの組み合わせが最も家計(そして親御さんの供養資金の確保)にプラスになるかを検討しましょう。
【社会保険上の扶養】親の健康保険料を無料にする条件
◇税法上の扶養と並んで家計に大きなインパクトを与えるのが、社会保険(健康保険)上の扶養です。
親をあなたの健康保険の被扶養者にすることで、親自身の国民健康保険料の支払いが不要になります。
ただし、社会保険の扶養認定は、各健康保険組合や協会けんぽが、厚生労働省の指針に基づき厳格に審査を行います。ここでは、認定を受けるための重要な3つのポイントを解説します。
[参照] 被扶養者の範囲|日本年金機構健康保険組合
75歳以上の親は対象外?老人の「後期高齢者医療制度」への切り替えに注意点
◇まず最も注意したいのが、親御さんの「年齢」です。
結論から言うと、75歳以上の親は、健康保険の扶養に入れることができません。
日本には「後期高齢者医療制度」という仕組みがあり、75歳になるとすべての人が現在加入している保険を脱退し、この制度へ移行します。
● 75歳から: 自動的に後期高齢者医療制度の被保険者となり、個人で保険料を納める(扶養からは外れる)。
「昨日まで扶養に入れていたのに、誕生日を境に通知が来た」と驚かれる方も多いですが、これは法律上の仕組みです。ただし、税法上の扶養(扶養控除)は75歳以降も継続できるため、混同して両方やめてしまわないよう注意しましょう。
健康保険の収入基準(年収130万円・180万円の壁)
◇社会保険の扶養認定には、厳しい収入制限があります。
税法上の「所得」ではなく、交通費や非課税の年金まで含めた「総収入」で判定されるのが特徴です。
● 親が60歳以上または障害者の場合: 年収180万円未満
霊園の相談者様の多くは、親御さんが60歳を超えていらっしゃるため、この「180万円」が大きな目安となります。さらに、もう一つの条件として「被保険者(あなた)の年収の2分の1未満であること」も求められます。
つまり、親御さんの収入が180万円以下であっても、あなた自身の年収を上回っている場合は扶養に入れられません。
[年金制度改正について詳しく]
別居の親を健康保険に入れるための「仕送り」の条件と証明方法
離れて暮らす別居の親を健康保険の扶養に入れる場合、同居の場合よりも厳しい条件が課されます。それは、「親の収入以上の金額を、あなたが継続的に仕送りしていること」の証明です。
健康保険組合の審査では、主に以下の点がチェックされます。
● 証明方法(重要): 銀行振込の控えや、通帳のコピーが必要です。
「現金手渡し」は、公的な証明にならないため原則認められません。
「お墓参りのついでに現金を渡しているから大丈夫」と思われがちですが、社会保険の審査では通用しないケースがほとんどです。
別居の親を扶養に入れる際は、必ず「振込」という記録を残すようにしましょう。こうした「お金の流れの透明性」を保つことは、将来の相続や生前整理をスムーズに進めるための第一歩でもあります。
別居の親でも扶養に入れられる?認定を受けるためのポイント
「遠方に住んでいるから扶養は無理だろう」と諦めてしまう方も多いですが、物理的に離れて暮らしていても、一定の条件を満たせば認定は可能です。
「生計を一にしている」ことの定義と証明
税法や社会保険において重要なのは、同居か別居かよりも「生計を一にしている(生活費を共有している)」かどうかです。
別居の場合、あなたが親御さんの生活を経済的に支えている実態を、客観的に証明できるかがカギとなります。
銀行振込の控えが重要!現金手渡しが推奨されない理由
別居の親を扶養に入れる際、最も確実な証明になるのが「振込の記録」です。
● 仕送りの頻度: 毎月定額を振り込む形が最も信頼されます。
将来、お墓の相談などで「家族の家計状況」を振り返る際にも、こうした振込記録は「親を継続的に支援してきた証拠」として、親孝行の記録にもなります。
霊園の現場でよく聞く「扶養」と「介護」の切実な悩み
私たち霊園のスタッフがお客さまからご相談を受ける中で、実はその背景にある「親の扶養と介護費用のバランス」に悩まれている方が非常に多いと感じます。
「所得税の還付」vs「介護保険の自己負担増」どっちがお得?
◇親を扶養に入れる(あなたの所得を減らす)ことで節税になる一方で、注意が必要なのが「親側の世帯所得」の変化です。
親を扶養に入れた(特に同居の場合など)ことがきっかけで、親御さんの世帯区分が変わり、介護サービスの自己負担割合が上がってしまうケースがあります。
● 介護費増: 状況により、それ以上の負担増になる可能性
「節税した分以上に介護費が増えてしまった」とならないよう、事前のシミュレーションが欠かせません。
介護保険制度を正しく理解しておくことは、扶養の判断基準にもなります。資金計画と併せてチェックしてみてください。
[公的介護保険でできる範囲]
世帯分離と扶養控除、どちらを選ぶべきか?
最近では、介護費用を抑えるためにあえて「世帯分離(住民票を分ける)」をされるご家庭も増えています。
● 答え: はい、可能です。世帯を分けて介護保険料などの負担を抑えつつ、経済的な支援(仕送り)を証明することで、税法上の「扶養控除」を受けることはできます。
お墓の継承(名義変更)や維持費に扶養の有無は影響する?
「親を扶養に入れていると、お墓の名義変更の際に不利になるのでは?」と心配される方もいますが、基本的に扶養の有無が直接的に墓地の承継に悪影響を与えることはありません。
むしろ、扶養控除を賢く利用して家計にゆとりを作ることで、将来のお墓の管理料支払いや、法要の費用の準備がスムーズに進むというポジティブな側面の方が大きいと言えるでしょう。
親を扶養に入れるための具体的な手続きと必要書類
親を扶養に入れるための申請は、あなたが会社員か自営業かによって窓口が異なります。不備があると再提出の手間がかかるため、事前の準備が大切です。
会社員の場合:年末調整の書き方と健康保険組合への申請
お勤め先が会社の場合、主に2つの手続きが必要です。
● 社会保険上の扶養: 勤務先の担当部署(総務・人事など)を通じて「被扶養者(異動)届」を健康保険組合等に提出します。こちらは条件を満たしたタイミングで、年間を通じていつでも申請可能です。
自営業や副業がある場合:確定申告での申請方法
個人事業主の方や、会社員であっても年末調整で申請し忘れた場合は、確定申告で手続きを行います。
● メリット: 正しく申告することで、払いすぎた所得税が還付されるだけでなく、翌年の住民税も軽減されます。
[参照]国税庁「家族と税(扶養控除)」
必要な添付書類(住民票、非課税証明書、振込明細など)
申請時には、親子関係や収入状況を客観的に証明する書類が求められます。
● 収入の証明: 公的年金等の源泉徴収票の写し、または市区町村が発行する所得証明書(非課税証明書)。
● 生計維持の証明(別居の場合): 過去1年分程度の銀行振込明細書負。
[ねんきん定期便の見方]
[年金定期便に載らない年金]
要注意!親を扶養に入れる際の意外な落とし穴
「家計が助かるから」と安易に扶養に入れる前に、以下の「例外的なケース」を知っておくことが重要です。
親の所得が急に増えた場合(不動産売却や一時所得など)
親御さんが所有していた土地や建物を売却したり、多額の生命保険金(満期金)を受け取ったりした場合、その年の所得が一時的に基準を超えてしまうことがあります。
大きな入金があった年は、必ず所得を確認しましょう。
介護保険料や老人ホームの利用料への影響を再チェック
これが霊園の現場でも最も多く耳にする注意点です。
その結果、老人ホームの「食費」や「居住費」の減免措置(特定入所者介護サービス費)が受けられなくなることがあります。
● トータルの判断: 数万円の節税のために、それ以上の介護費用の値上がりを招いていないか、ケアマネジャーさん等と連携して確認するのが賢明です。
「老後2000万円問題」についても、過度に不安がる必要はありません。正しい根拠を知ることで、冷静な資金計画が立てられます。
[老後2000万円問題の正しい根拠とは]
まとめ|正しい知識で、親御さんの安心と供養の備えを両立
親を扶養に入れることは、単なる節税の手段ではありません。それは、家族全体の家計を最適化し、親御さんが安心して老後を過ごし、将来の供養までしっかりと備えるための「家族会議」の大切なきっかけとなります。
今回の記事の重要なポイントを改めて整理しましょう。
● 税法上の扶養: 70歳以上の親を扶養に入れると、最大58万円の大きな控除が受けられるメリットがある。
● 社会保険上の扶養: 60歳以上の場合は年収180万円未満が基準。75歳になると後期高齢者医療制度へ移行するため注意が必要。
● 別居の条件: 銀行振込などの「客観的な仕送りの記録」を継続して残しておくことが不可欠。
● 介護とのバランス: 節税額だけでなく、介護保険の自己負担増などの落とし穴がないか総合的に判断する。
● 供養への活用: 扶養控除で生まれたゆとりを、親御さんの希望するお墓の準備や生前整理の資金に充てることで、将来の不安を安心に変えることができる。
「わが家の場合はどうなるの?」と迷われたときは、まずは会社の担当部署や税務署、あるいはケアマネジャーさんといった各分野の専門家へ相談することをお勧めします。
私たち霊園の窓口でも、お墓の維持管理や承継のご相談を通じて、こうしたご家族の「これからのお金と供養」のお悩みをお聞きすることがよくあります。正しい知識を身につけることは、大切なご家族を守ることにもつながります。
将来の供養やお墓について、少しでも気になることがあれば、いつでもお気軽に私たち専門スタッフへご相談ください。
● また、将来を見据えた節約術や「おひとりさま」の生活設計など、自分たち自身のライフプランニングも並行して進めていきましょう。
[おひとりさま老後の生活費]
※本記事の監修・運営について
このコラムは、墓じまいや供養のプロである「株式会社霊園・墓石のヤシロ」が運営しています。公平な情報提供を心がけていますが、専門家としての知見を活かした自社サービスのご案内も含まれます。
【監修者メッセージ】
親を扶養に入れることは、単なる節税対策ではなく、ご家族全体の生活をより豊かにし、将来への「心のゆとり」を作るための大切な一歩です。
浮いた資金を親御さんのこれからの生活や、将来の供養の備えに充てることで、家族全員が安心して明日を迎えられるようになります。制度は複雑ですが、一人で抱え込まず、私たちプロの知見をぜひ頼ってください。
【執筆・監修:永代供養ナビ編集長】
株式会社霊園・墓石のヤシロ 営業本部長 藤橋 靖雄
1998年入社。
お墓販売、商品企画を経て、多様化する供養の形に応えるサービス・霊園プロデュースだけでなく、営業企画、WEBマーケティングなど幅広い埋葬、葬送事業を担当。
また、墓じまいや終活に関する各地域の終活イベント・セミナーにも講師として登壇し、終活のお悩みごとを解決するトータルアドバイザーとしても活躍中。
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