
自然葬とは?種類と特徴、メリット・デメリット|自然葬の進め方や費用目安も詳しく解説

・自然葬とは?種類や特徴
・自然葬のメリット・デメリットは?
・自然葬の費用目安、進め方は?
「自然葬」とは、故人の遺骨を自然に還す供養方法です。
樹木葬は土に還り、海洋散骨では海に撒いて自然に還します。
本記事を読むことで、自然葬とはなにか?種類やそれぞれの特徴とメリット・デメリット、自然葬を進める手順や費用目安が分かります。

自然葬とは?

◇自然葬は故人の遺骨を、自然に還す葬送です
粉骨した遺骨を撒く海洋散骨や空葬などの「散骨」の他、樹木のふもとに遺骨を埋葬して土に還す「樹木葬」に人気があります。
従来の骨壺やお墓に埋葬する形式ではなく、生き物本来の姿に倣い、故人を自然に還す方法です。
・宗旨宗派不問
・遺骨が残らない
・納骨しない葬送
自然葬は主に「散骨」と「自然埋葬」の2つの種類があり、遺骨の供養にお墓がいらないことが、従来の供養と大きく違います。
「散骨」はセレモニーとしての要素も強く、分骨をして一部を散骨するご遺族も少なくありません。
自然葬は法的・宗教的にどうなるの?
◇自然葬はいずれも法的に違法ではありません
ただ散骨は法的にグレーゾーンとされ、自治体で散骨を禁止する地域もあります。
そのため賛否両論分かれていましたが、1991年に法務省が散骨に関する見解を発表しました。
「葬送のための祭祀として節度をもって行われる限り遺骨遺棄罪(刑法190条)に違反しない」
では何が「節度をもって」とされるのかは、一般社団法人日本海洋散骨協会でガイドラインが定められています。
また墓地埋葬等の法律を定める「墓地埋葬等に関する法律(墓埋法)」のなかで、遺骨は知事が認めた「墓地」以外での埋葬は違法です。
[第4条]
「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」
宗教的にも問題はありません。
「埋葬しないと成仏しない」との話もありますが、仏教の教えでは、埋葬に関係なく四十九日を過ぎると成仏されるとされているためです。
・遺骨の納骨をしないで家に置くのはダメ?他にも納骨しない人はいる?しないとどうなる?
自然葬の種類

◇自然葬には、主に「散骨」と「樹木葬(自然埋葬)」があります
遺骨が残らないイメージが強い自然葬ですが、種類によっては家族が手を合わせる個別の墓標を一定期間保ちながら、ゆっくりと自然に遺骨を還すことも可能です。
宇宙葬や空葬、ダイヤモンド葬など多種多様な自然葬の種類ですが、そのなかでも多くの人々に選ばれている2つの種類をご紹介します。
(1)散骨
(2)樹木葬
お墓がない・納骨しない供養方法としては、散骨や樹木の他にも、手元供養の選択も増えてきました。
手元供養も故人の遺骨のみを祀るのではなく、ブック型の遺骨収納BOXで仏壇下の収納スペースに保管する「お墓型仏壇」も登場しています。
・【手元供養の体験談】娘の手元供養。娘の遺骨を納骨できないまま5年、分骨をして祭壇へ
自然葬(1)散骨

◇ご遺骨を海や山林などの自然に撒く葬送方法です
自然葬のなかでも散骨はセレモニー要素が強く、分骨して一部を散骨するご遺族も多い傾向にあります。
例えば「生前に好きだった沖縄の海に、遺骨の一部を撒く」などで、故人の遺言による散骨も少なくありません。
散骨は海や山林の他、近年ではロケットで飛ばす宇宙葬も登場しました。
<自然葬の種類(1)散骨> | |
[散骨の種類] | [費用] |
①海洋散骨 | ・約2万円~50万円以上 |
②山林散骨 | ・約1万5千円~30万円以上 |
③宇宙葬 | ・約50万円~200万円以上 |
④空葬 (バルーン葬) |
・約20万円~60万円以上 |
●粉骨 | ・約1万5千円~3万円以上 |
散骨は約2mm以下まで遺骨を細かく粉骨しなければなりません。
まず粉骨が必要ですが、多くの散骨業者で粉骨から請け負ってくれるでしょう。
散骨は希望によって費用のふり幅が大きいです。
例えば空葬ではご遺骨を入れて飛ばすだけのバルーン葬は約20万円~30万円で抑えられますが、ご遺族がヘリコプターに乗り、空で撒く空葬では約30万円以上にはなります。
散骨を選ぶ人
里山などさまざまな散骨場所がありますが、なかでも一般的に広まりつつある散骨は「海洋散骨」です。
里山散骨では、寺院など墓地管理者が所有する山林や、故人が所有していた私有地に散骨した事例もありました。
・思い出の海で散骨
・新婚旅行で訪れた海で散骨
・海が好きだったから
・遺言にあった
・「お墓に納骨しないで」と託された
故人の人生で山や海と縁が深かった人、遺言にあった人の他、そもそもお墓に納骨されるのを嫌い、出会った海洋散骨を本人(故人)が希望したとの体験談もありました。
散骨のガイドライン
◇散骨のニーズに対して法整備が追い付いていない状況です
違法ではないものの法的にはグレーな部分が多く、散骨業者と関係各所との打ち合わせで同意の元、行われています。
基本的には前述した 一般社団法人日本海洋散骨協会「ガイドライン」に倣いますが、配慮する項目は下記です。
・粉骨して撒く
・人々の居住区域を侵害しない
・自治体の許可を得る
・周辺住民の許可を得る
・公園などの公共エリアを侵害しない
・私有地を侵害しない(許可がない場合)
また自治体によっては散骨への規約が明記されている地域もあり、なかには散骨を禁止している自治体も少なくありません。
個人でもできなくはありませんが、基本として散骨業者に依頼をすると安心です。
自然葬(2)樹木葬

◇樹木のふもとに埋葬し、ゆっくりと土に還る供養です
…そのため樹木葬を行ってから一定年数は、墓標に向かい供養ができます。
自然葬は2mm以下に粉骨しますが、樹木葬では土に埋葬されるため、粉骨の必要はありません。
遺骨は骨壺や骨袋から遺骨を取り出して埋葬したり、土に還る素材の骨袋に入れて埋葬する方法もあります。
土に還る骨袋に入れて埋葬する方法では、個別に埋葬できるでしょう。
<自然葬の種類(2)樹木葬> | |
[樹木葬の種類] | [内容] |
①合祀型 (シンボルツリー型) |
・大きな樹木のふもとに埋葬 ・他のご遺骨とともに合祀 ・合祀墓と同じく全体へ供養 |
②個別埋葬型 (個別区画型) |
・ご遺骨1柱に個別の区画がある ・埋葬後、植樹をする ・個別の区画へ供養できる |
③ガーデニング型 (公園型、集合型) |
・花々が咲き誇る公園区画 ・ワンプレート型のお墓が建つ ・一定期間はお墓に納骨 ・一定期間が過ぎると合祀墓 |
ガーデニング樹木型は樹木葬のひとつですが、ワンプレート型の墓石がある遺骨の供養方法です。
庭園のような草花が咲き誇る区画に、小さなお墓が立ち並ぶスタイルで、納骨後の維持管理費は掛かりませんが、契約した一定年数はお墓がありお墓参りができるなど、一般墓と同じように扱えます。
①合祀型

◇合祀型樹木葬は、シンボルツリーのふもとに他の遺骨とともに合祀されます
大きな一本の樹木「シンボルツリー」の根本に埋葬される、合祀墓の供養塔が樹木になった供養方法です。
遺骨は区別されず骨壺から出して、もしくは骨袋のまま埋葬されます。
合祀型(シンボルツリー型)樹木葬は、埋葬する場所で違う2つの種類です。
<①合祀型樹木葬> | |
[種類] | [内容] |
●里山型(山林型) | ・墓地管理者が所有する山林で埋葬 |
●霊園型(都市型) | ・墓地内のシンボルツリーのふもとに埋葬 |
ちなみに最初の樹木葬は1999年に提供された岩手県の知勝院で、山林全体を墓地とした里山型です。
埋葬の他、里山型では散骨をする「里山散骨」ができる業者もあるでしょう。
②個別埋葬型樹木葬

◇個別埋葬型樹木葬は、個別のエリアに埋葬される供養方法です
樹木葬の敷地のなか、遺骨を埋葬する個別のエリアが提供されます。
契約をするタイミングによっては、夫婦隣同士で並べることもできるでしょう。
<個別埋葬型樹木葬の種類> | |
[種類] | [内容] |
●個別エリア型 | ・墓標はないものの個別埋葬エリアが後々まで分かる |
●植樹型 | ・個別埋葬エリアに木の苗などを植える |
個別エリアに遺骨を埋葬できる自然葬(樹木葬)の種類ですが、個別エリアはごく小さなスペースです。
お墓参りも個別の墓標に向かう霊園よりは、全体に向かってお線香を供えるスタイルが多く、墓石も用いないため、後にお伝えするガーデニング型樹木葬よりも割安に供養ができるでしょう。
③ガーデニング型樹木葬

◇樹木に囲まれた区画に、一定期間は個別の墓石があります
永代供養が付いたコンパクトなお墓は「永代供養型」「集合型」とも言われます。
また庭園のような区画から「公園型」もガーデニング型のひとつです。
霊園内にガーデニング型樹木葬専用の公園墓地を設けた、自然葬の種類です。
「花々や樹木などの自然に囲まれて眠りたい」とのニーズが多くあります。
<ガーデニング型樹木葬> | |
[種類] | [内容] |
●シンボルツリー型 | ・大樹の麓に小さなお墓が並ぶ |
●公園(庭園)型 | ・草花に囲まれた庭園 ・小さなお墓が集合している |
「お墓」と言ってもワンプレート型の墓石が多いため、一般墓のような費用は掛かりません。
どちらかと言えば永代供養墓としての意味合いが強く、契約した一定年数が過ぎると、霊園施設内にある合祀墓に合祀供養されるシステムが多いでしょう。
契約期間内に家族が更新を行うことで、個別安置期間が延長できる施設もあります。
自然葬(樹木葬)に関する法律
樹木葬は埋葬する供養方法なので、扱いは墓地と同じです。
お墓に関する法律「墓地埋葬等に関する法律(墓埋法)」では、樹木葬は「墓地」と同じく扱われます。
シンボルツリー型樹木葬は、いわゆる合祀墓と捉えると良いでしょう
自然葬を選ぶ注意点

◇後々まで供養をする自然葬であれば、見学は必須です
その場限りではなく、後々まで家族でお参りに訪れたい、供養がしたいのであれば、自然葬でも、一度見学に行くと安心です。
「分骨をした一部を海洋散骨する」などのケースでは、散骨業者に委託することもあるでしょう。
<自然葬の種類で違う注意点> | |
[種類] | [内容] |
●樹木葬 | ・日照環境 ・地盤環境 (軟弱地盤ではないか) |
●里山型 | ・辺境の立地ではないか ・土砂や水没の危険性 |
墓地管理者により管理されている一般的な自然葬は、立地環境などはそれほど気にする必要はありません。
ただし自然葬専用のエリアがある場合、「後々まで快適にお参りできるのか?」に注意して選びます。
まとめ:自然葬はお墓がない人にもおすすめです

菩提寺から離れて無宗教として自立する人が増えた現代では、自然葬は「自然に還る」信仰としてのニーズだけではありません。
お墓を建てる建墓費用は、安くなったと言われる現代でも約160万円ほどが平均的ななか、お墓を持たない選択肢のひとつとしても注目されています。
また手元供養など「納骨しない供養方法」も注目されるようになりました。
このことで、自然葬も改めてニーズが高まっている状況です。
・遺骨の納骨をしないで家に置くのはダメ?他にも納骨しない人はいる?しないとどうなる?
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