2024年秋のお彼岸は何をする日?秋彼岸の過ごし方や由来まで、知っておきたい豆知識
・そもそも「お彼岸」とはどんな日?
・2024年・2025年のお彼岸はいつ?
・どうして春と秋にお彼岸があるの?
お彼岸は毎年、春分の日・秋分の日を中日とした前後3日間、それぞれ7日間を指します。
お彼岸の7日間は、あの世とこの世が1年で最も近づく日とされ、家族はこの7日間の間にお墓参りに行きます。
本記事を読むことで、お彼岸とはなにか?2024年・2025年のお彼岸日程や、なぜお彼岸があるのかなど、基本的な豆知識が分かります。
そもそも「お彼岸」ってなに?
◇「お彼岸」とは先祖供養をする7日間です
お彼岸の「彼岸(ひがん)」はあの世を指し、お彼岸期間の7日間は、あの世とこの世が1年で最も近づく期間と言われています。
お彼岸にお墓参りに行く習慣は、あの世とこの世が近づく期間に、故人やご先祖様に会いに行き、感謝を伝え供養をするためです。
またお彼岸を境に春は温かく、秋は寒くなりますよね。
そのためお彼岸期間には、季節を感じる食材をいただく7日間でもあります。
なぜ、あの世とこの世が近づくの?
◇太陽が真東から真西へ、一直線に動くためです
仏教では「西方浄土(せいほうじょうど)」の考え方があります。
特に他力本願の力で生けとし生きる者を成仏させるとされる、阿弥陀如来様を御本尊とする大乗仏教で言い伝えられる極楽浄土で、西方にあるとされてきました。
阿弥陀如来様を御本尊とする仏教宗派は、浄土宗・浄土真宗・天台宗(釈迦如来様も御本尊とする)などです。
・お仏壇の配置に決まり事はある?各宗派が推奨する3つの配置と3つの注意点|永代供養ナビ
お彼岸とお盆の違いは?
◇お彼岸は墓前供養、お盆は御仏前供養です
あの世とこの世が1年で最も近くなる、春と秋のお彼岸に、家族はお墓参りに行きご先祖様や故人に会います。
そしてご先祖様や故人の棲み処であるお墓を、家族でキレイにして帰る行事です。
一方、お盆はご先祖様や故人が自宅まで「帰省」するため、家族はおもてなしをします。
お盆初日にご先祖様や故人は自宅へ帰省し、御仏壇の位牌に宿って3日間~4日間を過ごすため、家族は御仏前へ供養をする行事です。
お彼岸はいつ?
◇春分の日・秋分の日を中日とした前後7日間です
お彼岸は毎年、春と秋に7日間ずつ訪れます。
春のお彼岸は、春分の日を中日として前後3日間、秋のお彼岸は、秋分の日を中心とした前後3日間となります。
春分の日・秋分の日は毎年2月、国立天文台が翌年の二十四節気や天体の動きを発表する「暦要項」で分かるため、お正月や七夕のように暦が決まっているものではありません。
全く外れた日程ではないものの、毎年数日のズレは生じるので注意をしてください。
2024年・2025年のお彼岸はいつ?
◇2024年秋のお彼岸は、9月19日(木)~25日(水)です
2024年は9月22日(日)が秋分の日になるため、秋のお彼岸は9月19日(木)~25日(水)、秋分の日の翌日9月23日(月)は振り替え休日になります。
2024年秋のお彼岸、2025年春のお彼岸日程は下記ですので、ご参考にしてください。
<2024年・2025年のお彼岸はいつ?> | |
[2024年秋のお彼岸] | |
●彼岸入り | ・2024年9月19日(木) |
・春分の日 | ・2024年9月22日(日) |
・振替休日 | ・2024年9月23日(月) |
●彼岸明け | ・2024年9月25日(水) |
[2025年春のお彼岸] | |
●彼岸入り | ・2025年3月17日(月) |
・秋分の日 | ・2025年3月20日(木・祝) |
●彼岸明け | ・2025年3月23日(日) |
秋のお彼岸は毎年9月ですが、9月第3週に敬老の日があるので、秋の長期連休「シルバーウィーク」にかかる年もあります。
ただ2024年の秋のお彼岸は、前後で3連休があるのみですね。
また春のお彼岸は毎年3月20日頃に訪れるので、春休みの学生の方々も多く、比較的お墓参りに行きやすい季節です。
・秋のお彼岸、2024年(令和5年)はいつ?彼岸入り~明けまでの日程、秋彼岸の過ごし方
お彼岸のお墓参りはいつ行くの?
◇一般的に六曜を意識して日を選びます
「六曜(ろくよう)」とは、その昔から扱われてきた暦注、その日の占いです。
大安・赤口・先勝・友引・先負・仏滅の6つの運勢から成り、注意事項があります。
そのなかでもお墓参りに避けたい六曜は「友引」と「赤口」です。
友引では友を引くためお墓参りには縁起が悪いとされ、赤口は赤が血をイメージするため、ケガをしやすい日ともされます。
<2024年の秋のお彼岸・六曜> |
||
[日にち] | [六曜] | [お墓参り] |
・9月19日(木) | ・赤口 | 避ける |
・9月20日(金) | ・先勝 | 午前が良い |
・9月21日(土) | ・友引 | 避ける |
・9月22日(日) | ・先負 | 午後が良い |
・9月23日(月) | ・仏滅 | 良し |
・9月24日(火) | ・大安 | 非常に良し |
・9月25日(水) | ・赤口 | 避ける |
このことから2024年秋のお彼岸でおすすめの日程は、先勝の9月20日(金)午前中、先負の9月22日(日)午後、仏滅の9月23日(月)、大安の9月24日(火)、なかでも9月24日(火)の大安は、最も縁起が良い日にちです。
仏滅は「仏をも滅する」万事良くない日ですが、お墓参りや法要・葬儀など、弔事に関しては執り行っても良い日とされてきました。
どうして春と秋にお彼岸があるの?
◇春分の日と秋分の日を中日とした日程だからです
春のお彼岸・秋のお彼岸は、それぞれ春分の日と秋分の日を中日とすることはお伝えしましたが、この春分の日と秋分の日は太陽が赤道線上にある日です。
1日の太陽の動きを「黄道(おうどう)」と言い、この黄道と赤道が交差する日は1年に2回、春分の日・秋分の日となります。
春と秋はお墓参りがしやすい
◇春と秋は季節の変わり目で、お墓参りのしやすい季節です
また現実的には、お墓は定期的に草刈などのメンテナンスが必要ですよね。
春分の日・秋分の日を起点に、春はこれから暑くなり、冬はこれから寒くなります。
そのため1年のなかでも過ごしやすい時期にお墓参りをして、定期的にお墓掃除をすることで、お墓を衛生的に保つこともメリットです。
より簡単にできるお墓掃除のコツなどは、下記コラムをご参照ください。
・お墓掃除のやり方6つのポイントは?誰が年に何回、いつ掃除をする?持ち物や順番も解説
・【大阪のお墓】お墓の雑草、草むしりが大変!玉砂利や防草シート5つの雑草対策を解説!
春と秋のお彼岸に違いはあるの?
◇秋のお彼岸はより、先祖供養の役割が強いです
春のお彼岸と秋のお彼岸は、いずれも西方浄土へ繋がりやすい、通じているとされますが、いずれかでお墓参りに行く家では、秋のお彼岸に行く家が多いでしょう。
これは春と秋のお彼岸で、少しだけ役割が異なるためです。
特に春分の日・秋分の日で意味合いが異なります。
春のお彼岸
◇「今ここに在る」ことを感謝します
春は寒い冬に冬眠していた草木や虫たちが、温かくなり外に出てきたり、芽吹き始める頃ですよね。
そのため、先祖供養とともに「この世の自然や生物などの万物を慈しむ日」とされます。
春のお彼岸にはたけのこご飯や山菜など、季節の行事食をいただきましょう。
春のお彼岸で「今在る幸せ」に感謝をして、地球や自然が在ること、この暮らしをご先祖様へ感謝します。
秋のお彼岸
◇今日まで、脈々と続く血筋に感謝する日です
秋は今まで生い茂り栄えていた草木が枯れ始め、翌年への準備を始める頃ですよね。
そのため、今日の自分まで脈々と続いてきた血筋、ご先祖様へ感謝し敬う日です。
そのため亡き故人やご先祖様を偲ぶ、正に先祖供養の7日間となります。
お墓参りへ行き故人を偲び、先祖供養を行ってきました。
・納骨堂のお参りマナーとは?お墓と納骨堂で違うお参り、迷惑を掛けない5つのポイント!
お彼岸は日本だけって本当?
◇お彼岸は、日本独自の仏教行事です
仏教がインド発祥であるのに、日本固有の習慣であることは驚く人々も多いのではないでしょうか。
春と秋のお彼岸が日本ならではの習慣であるのには、前述した「西方浄土」の考え方と、日本古来のご先祖様を崇拝する民衆信仰「祖霊信仰」や「太陽信仰」が重なったためと言われます。
仏教からみた「お彼岸」はどんなもの?
◇西方浄土にいらっしゃるご先祖様へ感謝する日です
仏教では西方の先に西方浄土と呼ばれる極楽浄土があります。
春分の日・秋分の日は太陽が真西へ沈むため、西方浄土へいらっしゃる故人やご先祖様を偲び供養する日です。
全国的なご仏壇は「家にある小さなお寺」と呼ばれ、ご本尊に守られた浄土空間ですので、お墓参りに行けなくても、日々御仏壇のお世話をして先祖供養とともに仏教修行をします。
民間信仰からみた「お彼岸」はどんなもの?
お彼岸の先祖供養とは?
◇主にお墓参り、そして御仏前供養です
お彼岸の期間中にお墓参りに行く風習が、日本の全国的な風習となります。
ただ仏教では在家信者の修行道として、お彼岸の7日間は、御仏壇のお世話を通して日々の気付きを深めることも大切です。
御仏壇のある家庭では、お彼岸の7日間を通して春分の日・秋分の日が先祖供養の日、残る6日間は、仏飯のお供えやお水の取り換え、お線香をあげるなどの基本的な御仏壇のお世話を通して、仏教の修行「六波羅蜜」を行います。
お墓参り
◇お彼岸はお墓参りに行きます
春と秋のお彼岸と言えば、お墓参り行事です。
春分の日・秋分の日は故人と繋がりやすいとされるためですが、年に2回のタイミングとして、お墓掃除に適切な時期でもあります。
<秋のお彼岸にお墓参り> | |
[お供え物] |
・供花 ・食べ物(お萩など) ・飲み物(水など) ・線香 ・ロウソク |
[お墓掃除] | ・墓地区画内(草むしりなど) ・墓石の水洗い ・墓石の乾拭き |
[お墓参り] | ・お供え ・お線香を手向ける ・合掌 |
お墓参りは基本的に午前中に行きましょう。
墓地は無縁仏が彷徨っているとも言われ、また暗闇では足元が見えにくく怪我の原因にもなるため、少なくとも16時頃にはお墓参りを行います。
仏壇仏具の掃除
◇仏壇は水拭きを避け、毛はたきと乾拭きで済ませます
春と秋のお彼岸は、定期的な仏壇仏具の掃除に良いタイミングです。
またお彼岸は「仏道の修行」でもあります。
仏教の教え「六波羅蜜(ろくはらみつ)」に倣い、日々一点の仏具に集中して掃除をすると良いでしょう。
<六波羅蜜と仏壇仏具の掃除> | |
[ご報告] |
・お線香をあげる ・掃除が始まるとご報告 |
[埃を払う] | ・毛バタキで埃を払う ・細かな部分は筆など |
[乾拭き] | ・柔らかい乾いた布を使用 |
[仏具を掃除する] | ・仏具の素材に合わせて掃除 |
[お供え] | ・お茶や水を取り替える ・ご飯を供える ・供花を供える ・お線香をあげる ・合掌 |
お供えを終えた後には、お茶や水を取り替えるなど、仏壇のお世話をしながら、ご先祖様に無事にお仏壇掃除が終わったことを伝えましょう。
仏壇掃除を行う日は、仏壇がカビ付くのを防ぐため、湿度の少ない日を選びます。
お仏前供養と仏道修行
◇春と秋のお彼岸7日間は、「六波羅蜜」に倣い仏前供養・修行をします
仏門では春と秋のお彼岸を「倒彼岸(とうひがん)」と言い、彼岸に至るまでの修行の道とされました。
「彼岸に至る」とは悟りを開く意味合いがあり、修行の期間です。
「来世に至る道」と言われ、より良い来世のために尽くします。
ただ「修行」と言っても、日々の暮らしのなかでひとつひとつの徳行を意識することを差し、日々の暮らしで意識をすれば十分です。
<秋のお彼岸の六波羅蜜とは> | ||
・第1日目(彼岸の入り) | 布施(ふせ) | 供物を供える |
・第2日目 | 持戒(じかい) | お線香を供える |
・第3日目 | 忍辱(にんにく) | 花を供える |
・第4目(中日) | 先祖供養の日 | |
・第5日目 | 精進(しょうじん) | 塗香を手に塗る |
・第6日目 | 禅定(ぜんじょう) | ご飯を供える |
・第7日目(彼岸の明け) | 智慧(ちえ) | ろうそくの火を灯す |
ちなみに塗香(ずこう)とは粉状の香りで、修行前に手に擦り込んで邪を祓い、禊落としをします。
春と秋のお彼岸では、以上の六波羅蜜を意識しながら、日々お仏壇のお勤めをすることで、良い来世に至る道が開けるとされてきました。
秋のお彼岸の行事食は?
◇お彼岸には赤い小豆をいただき邪気祓いをします
もち米で炊いたご飯を小豆で包んだ「おはぎ」「ぼたもち」がお彼岸の行事食であることは有名ですよね。
小豆の「赤」が邪を祓うとされてきたためです。
あの世とこの世がつながるお彼岸の時期は、ご先祖様や故人はもちろん、無縁仏などとも出会いやすいとされ、邪気を祓う行事食が好まれてきました。
小豆の他には、香りの強いネギなども、邪気祓いに好まれます。
秋彼岸の行事食にはおうどんもありますが、おうどんにネギをたっぷり入れていただくのも良いでしょう。
・【2024年春のお彼岸】行事食はぼたもちだけ?お墓参りに行けない時の供養方法とは?
春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」
◇春の牡丹から「ぼたもち」、秋の萩から「おはぎ」です
春は牡丹の花から名付けた「ぼたもち(牡丹餅)」、秋が萩の葉から名付けた「おはぎ(お萩)」です。
春の「ぼたもち」はこしあん、秋に収穫した小豆を、寒い冬に貯蔵し月日が経っているため、しっかり漉して美味しくいただくためです。
牡丹の花に見立てて、大きく丸いぷっくりとした形で小豆を包みます。
小豆を収穫したての秋の「おはぎ」は粒あん、粒々でもそのまま美味しくいただけます。
萩の葉に見立てたおはぎはひし形、ぼたもちと比べて小ぶりに仕上げると良いでしょう。
春と秋のお彼岸の行事食について、詳しくは下記コラムも併せてご参照ください。
・おはぎとぼた餅の違いとは?お彼岸に食べるのはなぜ?お彼岸7日間に食べたい行事食は?
まとめ:お彼岸は墓前供養の7日間です
お彼岸は、彼岸(あの世)と此岸(この世)が最も近くなり、1年で最もつながりやすくなる日とされ、家族は故人やご先祖様に会い、供養するためにお墓参りに行きます。
お彼岸は日本古代の民間信仰と仏教が結びついた、日本のみの風習ではありますが、日本では聖徳太子の時代から行われてきました。
また先祖供養や仏道の修行とされるお彼岸には、結婚式などの慶事を忌む高齢の人々も少なくありません。
お彼岸時期に慶事を検討している人は、別日にずらしておくと安心です。
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