
大阪で相続にともなう墓じまいを行うには?費用・手続き・祭祀承継の注意点を徹底解説【2025年版】

お墓を継ぐ人がいない、相続人の間で意見が分かれる──そんな時に選択肢となるのが「墓じまい」と「永代供養」です。
近年、大阪でも高齢化や少子化の影響から、相続にともなう墓じまいの相談が増えています。とはいえ、いざ進めようとすると「費用はいくら?」「手続きの流れは?」と疑問も多いものですよね。
本記事では、大阪で相続が関係する墓じまいを行う際の基本的な流れや注意点、祭祀承継者の決め方、そして永代供養の費用相場までをわかりやすく解説します。後悔しないために、トラブルを避ける準備のポイントも一緒に確認していきましょう。
相続と墓じまいの関係とは?まず理解したい基本の考え方

お墓を整理する「墓じまい」は、単なる供養の問題にとどまらず、相続の考え方や家族の関係性にも大きく関わります。お墓の所有や管理をめぐって、相続人の間で意見が分かれることも少なくありません。
ここでは、墓じまいを行う前に理解しておきたい「相続」と「祭祀承継」の基本的な仕組みを確認しておきましょう。
なぜ墓じまいで「相続問題」が起こるのか
相続の話し合いでは、財産の分け方や名義変更などの具体的な事務手続きに意識が向きがちです。
しかし、お墓や仏壇、遺骨の扱いといった「供養に関わる部分」は法律上の位置づけが異なるため、思わぬトラブルの原因になります。
● 「誰が墓を守るのか」
● 「墓じまいの費用は誰が負担するのか」
● 「遺骨をどこへ移すのか」
このような点で意見が対立しやすいのが実情です。
特に大阪のように、代々同じお寺や霊園で供養を続けてきた家庭では、「墓を残すべきか」「整理すべきか」で親族間の考えが分かれる傾向があります。
お墓は「財産」ではなく「祭祀財産」として扱われる理由
法律上、お墓や仏壇・遺骨などは「相続財産」ではなく、祭祀財産(さいしざいさん)に分類されます。
これは「家族の信仰や先祖供養に関するもの」とされ、通常の遺産分割の対象には含まれません。
民法897条では、祭祀財産の承継者は遺言または慣習によって定められると規定されています。
つまり、他の財産とは異なり、「誰が相続人か」よりも「誰が供養を引き継ぐか」が重視されるのです。
このため、墓じまいの判断や永代供養への切り替えを行う場合も、相続人全員の共有財産ではないことを理解しておく必要があります。
相続人より「祭祀承継者」が優先される仕組み
お墓の管理・供養を担う「祭祀承継者」は、相続人の中から1人が指定されるのが一般的です。
たとえば長男や長女など、これまでお墓を守ってきた人が自然と承継する場合もあれば、遺言書で明確に定めておくケースもあります。
祭祀承継者が決まっている場合、他の相続人が勝手に墓じまいを進めることはできません。
一方、承継者が不在の場合や意見がまとまらない場合には、家庭裁判所に申し立てて調整を図ることも可能です。
つまり、相続におけるお墓の扱いは「相続人全員の権利」ではなく、祭祀承継者が代表して管理・供養を行う特別な制度なのです。
この仕組みを正しく理解しておくことで、墓じまいの話し合いを円滑に進めやすくなります。
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祭祀承継者は誰?お墓や遺骨を後継人の決め方と注意点

相続の場面では「財産を分ける人=相続人」という考えが一般的ですが、お墓や仏壇などの供養に関するものはそれとは異なる扱いになります。このとき重要になるのが、お墓や遺骨を引き継ぐ人「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」です。
祭祀承継者は、先祖代々の供養を継続するための中心的な存在であり、墓じまいを行う際にも大きな役割を担います。
祭祀承継者の役割と法律上の位置づけ
民法第897条では、祭祀承継者を「慣習または被相続人の指定によって定める」と規定しています。
つまり、遺言書や家族の合意によって選ばれた1人が、墓や仏壇などの祭祀財産を引き継ぐ仕組みです。
この承継者は、相続人の中から選ばれることが多いものの、必ずしも長男や代表相続人である必要はありません。
近年では、娘や甥姪など血縁者の中で意志のある人が承継するケースも増えています。
また、祭祀承継者に指定された人は、次のような責任を負います。
● 命日や法要などで先祖を供養する
● 墓じまいや永代供養を判断・手配する
つまり、単なる「名義人」ではなく、先祖代々の供養を実務的にも精神的にも引き継ぐ立場と言えるでしょう。
相続人が複数いる場合の話し合い方とトラブル防止策
祭祀承継者をめぐるトラブルの多くは、相続人が複数いる場合に起こります。
「誰が継ぐのか」「費用はどう分担するのか」といった話し合いが不十分だと、後々の対立につながることもあります。
トラブルを防ぐためには、次の3点を意識しましょう。
親が元気なうちに「誰が承継者となるか」を共有しておくことが重要です。
● ②意志を文書に残す
遺言書やエンディングノートなどで、祭祀承継者を明記しておくと安心です。
● ③宗派やお寺にも相談する
お墓の管理先である寺院や霊園に、承継や墓じまいの意向を伝えておくことで、円滑に進められます。
大阪では、地域のつながりが強い分、親族間での感情的な対立も起こりやすい傾向にあります。
そのため、第三者を交えた冷静な話し合いがトラブル回避のポイントになります。
承継者がいない場合の対応(無縁仏・永代供養など)
高齢化や少子化の影響で、「継ぐ人がいない」という家庭も増えています。
このような場合、放置するとお墓が無縁仏(むえんぼとけ)として扱われる可能性があります。
承継者がいない場合の主な対応策は以下の通りです。
寺院や霊園に供養を託し、管理を任せる方法。遺骨を永く丁寧に祀ることができます。
● 納骨堂や合祀墓を利用する:
維持管理費が抑えられ、跡継ぎがいなくても安心。都市部の大阪でも選ばれる傾向があります。
● 生前のうちに準備しておく:
自分の代で墓じまいを行い、供養の方法を明確にしておくと、家族への負担を減らせます。
このように、祭祀承継者が不在でも、永代供養や改葬といった形で先祖を敬う方法は存在します。
「継ぐ人がいないから終わり」ではなく、今の時代に合った供養の形を選ぶことが大切です。
放棄した後、お墓はどうなるか解説
お墓を「放棄」した場合、そのまま放置しておくと、一定期間を経て無縁仏(むえんぼとけ)として扱われる可能性があります。
墓地や霊園では、管理料の未納や承継者不在が続くと、「管理不全墓地」として公告・整理の対象になることが多く、最終的には合祀墓に移されるケースが一般的です。
特に大阪では、都市部の墓地で「後継ぎがいない」「遠方で通えない」といった理由から墓じまいを検討する家庭が増えています。
多くの寺院では、無縁化する前に「永代供養」や「合同供養」への移行を提案してくれる場合があります。
また、墓地管理者によっては、放棄後の遺骨を一定期間保管したのち、合同供養墓(永代供養塔)へ合祀する手順を定めていることもあります。
放棄を決断する際は、「供養をどうするか」「どこに管理を任せるか」を家族で十分に話し合い、
書面(申出書や委任状)として残しておくとトラブルを防げます。
一方的に放棄する形ではなく、「供養を引き継ぐ放棄」という考え方を持つことが、先祖への敬意を守る第一歩です。
[お墓の継承について役割まで詳しく]
墓じまいにかかる費用相場と相続税・控除の考え方

墓じまいを行う際には、改葬許可の取得からお墓の撤去、遺骨の移動、供養まで複数の工程が発生します。
そのため、全体の費用や税金の扱いを正しく理解しておくことが重要です。
ここでは、墓じまいの費用相場と、相続税や控除・申告に関する考え方を整理してみましょう。
墓じまいにかかる主な費用内訳(撤去・改葬・供養費など)
墓じまいの費用は、墓石の撤去や整地、遺骨の移動先の手配など、複数の項目に分かれています。
大阪で一般的な費用相場は、以下のとおりです。
項目 | 内容 | 相場費用(目安) |
---|---|---|
墓石の撤去・処分費 | 墓石を解体・撤去し更地に戻す | 10万〜30万円 |
改葬許可・行政手続き費 | 改葬許可申請・書類作成 | 1万〜3万円 |
遺骨の移送費 | 新しい納骨先までの運搬・郵送など | 1万〜5万円 |
永代供養・納骨堂費用 | 寺院・霊園に供養を委託 | 5万〜30万円 |
閉眼供養・僧侶謝礼 | 僧侶へのお布施やお礼 | 1万〜5万円 |
合計では20万〜70万円前後が目安ですが、墓地の場所や墓石の大きさ、遺骨の数によって金額は大きく異なります。
都市部の大阪市内では、搬出経路が狭い墓地も多く、撤去費が割高になる傾向があります。
墓じまいが課税対象になるケース/ならないケース
墓じまいにかかる費用や、お墓そのものの価値は、原則として相続税の課税対象外です。
なぜなら、お墓や仏壇・位牌などは「祭祀財産」に該当し、相続税法第12条で非課税扱いとされているためです。
ただし、次のようなケースでは注意が必要です。
売却益が発生すると「譲渡所得」として課税対象になることがあります。
● 生前に高額な墓石を購入し、贈与扱いになる場合:
「生前贈与」とみなされるケースがあり、贈与税の対象になることがあります。
一方、墓じまい後に永代供養を行った場合、その費用や手数料は非課税扱いとなります。
このように、供養のために支出する費用は課税されず、営利目的での売却や譲渡のみが課税対象になる点を理解しておきましょう。
墓じまい費用の相続税控除・確定申告方法と注意点
墓じまいの費用は、相続税の控除対象にはならないのが原則です。
ただし、状況によっては確定申告や経費計上で扱える場合があります。
たとえば、次のようなケースです。
● 改葬に伴う移転費が、相続財産の処理として明確に必要と認められる場合
このようなケースでは、税理士に相談のうえ、相続財産の管理費用として一部控除を申請できることもあります。
また、墓じまいに関する出費は「お布施」や「供養費」など領収書が発行されにくいため、次の点を記録しておくと良いでしょう。
● 支払日
● 金額のメモ
これらを残しておくと、申告の際に根拠資料として活用できます。
なお、相続税や控除の取り扱いは年ごとに変更されることがあるため、
最新の情報は国税庁や税務署の公式サイトを確認しておくと安心です。
[墓じまいの費用まとめ]
[国税庁公式サイト]
墓じまいの手続と相続手続のやり方・流れを一緒に整理

墓じまいは「改葬許可申請」「名義変更」「永代供養契約」など、複数の手続きや流れを正しい順番で進める必要があります。
特に相続と関係する場合は、法律的なやり方や書類の提出先が異なるため、全体の流れを理解しておくことが大切です。
ここでは、墓じまいを行う際の主な手続き方法と、相続に関連する注意点を整理してご紹介します。
改葬許可申請の手順と必要書類
墓じまいの中心となるのが「改葬許可申請」です。
これは、現在の墓地から別の場所(永代供養墓・納骨堂など)へ遺骨を移すために、市区町村に申請して許可証をもらう手続きです。
基本的な流れは以下のとおりです。
お墓に誰が埋葬されているかを証明する書類です。
② 移転先の霊園や寺院から「受入証明書」をもらう:
新たな納骨先が正式に受け入れることを証明します。
③ 上記2つを添付し、市区町村役場に改葬許可申請書を提出する:
許可証が交付されて初めて、遺骨を移動できます。
改葬許可証は1体ごとに必要で、発行までに3日〜1週間程度かかるのが一般的です。
大阪市や堺市などでは、オンラインや郵送申請ができる自治体も増えているため、事前に市役所のホームページで申請方法を確認しておくとスムーズです。
相続登記・名義変更と並行して進める際の注意点
墓地の使用権が故人名義のままになっている場合、墓じまいを行うには名義変更や相続登記の手続きが必要になることがあります。
名義が古いままだと、墓地管理者が「現在の使用者」を確認できず、改葬許可が下りないケースもあります。
このような場合は、まず祭祀承継者(お墓の管理責任者)を決めることが重要です。
相続人が複数いる場合は、代表者を1人選び、他の相続人の同意書を添えて名義変更の申請を行います。
また、墓地の種類によって手続きの流れが異なります。
● 民営霊園:霊園事務局が発行する「使用承継届」を提出
● 寺院墓地:住職に申し出て、檀家名簿の名義変更を依頼
これらの手続きを同時に進める場合、行政書士や司法書士に相談して流れを整理しておくと安心です。
申請順序を誤ると、再申請が必要になる場合もあるため注意しましょう。
大阪での手続き窓口(市町村・霊園・寺院)の確認方法
大阪で墓じまいを行う際の手続き窓口は、市町村によって名称や担当部署が異なります。
主に「環境衛生課」または「生活衛生係」が改葬許可申請を受け付けています。
代表的な自治体の窓口は次のとおりです。
地域 | 担当窓口 | 主な業務内容 |
---|---|---|
大阪市 | 各区保健福祉センター 環境衛生監視事務所 | 改葬許可証の発行・相談受付 |
堺市 | 健康福祉局 環境衛生課 | 墓地改葬の相談・申請書受付 |
東大阪市 | 市民生活部 生活衛生課 | 改葬・墓地関連の申請窓口 |
吹田市・豊中市 | 環境政策課 | 墓地管理・廃止手続きの案内 |
また、寺院墓地の場合は、直接住職に連絡して必要書類や手続き方法を確認するのが基本です。
霊園によっては「墓じまい代行」や「行政手続きサポート」を行う業者もあり、忙しい方には便利な選択肢です。
ただし、自治体によっては申請期限や書類形式が異なるため、必ず公式サイトや電話で確認してから提出するようにしましょう。
大阪府内ではお彼岸や年末前に申請が集中するため、混雑期を避けて早めの準備を心がけることも大切です。
[大阪の墓じまい手続きガイド]
[大阪市公式サイト]
・改葬許可申請について(天王寺区・城東区・都島区・旭区・北区・住吉区・阿倍野区・西区・淀川区)
大阪で墓じまいを選ぶ際の相談先と注意点

墓じまいを進めるときは、「お墓の改葬手続き」と「相続に関わる手続き」が並行して発生することがあります。
いずれも関係書類が多く、順序を誤ると再申請になることもあるため、全体の流れを理解した上で計画的に進めることが大切です。
ここでは、墓じまいに必要な手続きの流れを、相続との関係を踏まえてわかりやすく整理します。
大阪の霊園・石材店でよくある相談の事例
墓じまいの最初のステップは、「改葬許可申請書」の提出です。
遺骨を別の墓地や納骨堂へ移す場合には、自治体でこの手続きを行う必要があります。
一般的な流れは次の通りです。
お墓に誰の遺骨が埋葬されているかを証明する書類です。
② 改葬先(移転先)の受入証明書をもらう:
新しい納骨先の霊園や寺院が発行します。
③ 上記2つを添付して、市区町村役場で改葬許可申請書を提出:
許可証が交付されて初めて、遺骨の移動が可能になります。
改葬許可証が交付されるまでには通常3日〜1週間程度かかります。
大阪市や堺市などの都市部では、オンライン申請や郵送受付を行っている自治体もあるため、
役所のホームページで事前に申請方法を確認しておくとスムーズです。
行政書士・司法書士・石材業者との連携方法
墓じまいに関する書類は、相続登記や名義変更と重なる部分もあります。
特に、墓地の使用権が故人名義のままになっている場合には、名義変更を同時に進めておくと後のトラブルを防げます。
たとえば、墓地契約書の名義が亡くなった親のままになっていると、
改葬許可の際に「現在の使用者」として扱えず、申請ができないケースがあります。
このような場合は、次のような対応が必要です。
● 使用承継届や契約変更届を管理者(寺院・霊園)に提出する
相続登記の手続きと墓じまいを同時に進める際は、
司法書士や行政書士に相談して進行スケジュールを調整するのがおすすめです。
トラブルを防ぐためのチェックポイント
大阪府内で墓じまいを行う場合、手続きの窓口は市区町村役場の「環境衛生課」「生活衛生係」などになります。
たとえば、
地域 | 担当窓口 | 主な対応内容 |
---|---|---|
大阪市 | 環境衛生監視事務所(各区保健福祉センター) | 改葬許可申請の受付・証明書発行 |
堺市 | 健康福祉局 環境衛生課 | 墓地改葬の相談・手続き案内 |
東大阪市・豊中市など | 市民生活課 衛生係 | 改葬・墓地に関する一般相談 |
また、寺院墓地や霊園墓地では、管理者が独自に申請書を取り扱っている場合もあります。
このため、申請前に必ず「寺院または霊園の管理者」「市役所の担当窓口」の双方へ連絡し、
必要書類・印鑑・日数などの確認を行うことが重要です。
大阪では、墓じまいの相談件数が年々増加しており、春と秋のお彼岸前は窓口が混み合う傾向にあります。
手続きを急ぐ場合は、繁忙期を避けて早めに申請準備を行うと安心です。
[墓じまいによる親族トラブル例]
まとめ|相続と墓じまいをスムーズに進めるために

お墓を整理する「墓じまい」は、単なる供養の問題ではなく、相続・費用・手続きが複雑に関係する大切な終活の一部です。
特に大阪では、霊園や寺院の管理方法、行政手続きの窓口、費用相場が地域ごとに異なるため、正しい流れを理解して進めることが欠かせません。
まずは、相続人同士で話し合いを行い、祭祀承継者を明確にすることが第一歩です。
誰が引き継ぐのかが決まっていない状態で墓じまいを進めると、親族間のトラブルや再申請が発生するおそれがあります。
次に、改葬許可申請や名義変更などの手続きは、行政書士・司法書士などの専門家に相談しながら進めると安心です。
また、費用の相場や支払い方法は業者によって差があるため、複数社の見積もりを比較し、契約内容を必ず確認しましょう。
墓じまいにかかった費用は相続税の控除対象ではありませんが、領収書を保管しておくことで確定申告時の確認や家族間の共有に役立ちます。
こうした細かな記録を残すことが、後のトラブル防止にもつながります。
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