
お墓のデザインには種類が増えた?和墓や洋墓に留まらない、今人気がある6つのスタイル

近年お墓のデザインは、種類が多岐に広がっていますよね。宗旨宗派を問わない民間霊園が広がったことで、デザイン墓や墓石に予算を掛けないシンプルなお墓など、宗教にこだわらない、自由なお墓の種類が増えました。
また最近は、菩提寺から離檀して無宗教になる若い世代が増えたことと、それに伴うお墓デザインの種類増加に伴い、それぞれの供養方法や葬送の形も変化に富み、バリエーションが豊富になりつつあります。
そこで今回は、予算や希望に合わせたお墓デザインの種類について、「永代供養」によって継承者を必要としないお墓など、現代の自由な葬送と共にお伝えします。
お墓のデザインには種類が増えた?和墓や洋墓に留まらない、今人気がある6つのスタイル

永代供養サービスにより増えた選択肢

近年お墓デザインの種類が豊富になった背景には、地域で代々根付いてきた菩提寺と檀家の関係性が薄れたきたことがあるでしょう。
● 遠く江戸時代の昔から、日本では寺院墓地に先祖代々墓を建て、その寺院の信徒(信家)となって、お布施として菩提寺(檀那寺=信徒・お墓を建てている寺院)を経済的に支える関係性がありました。
→ 当然寺院にはそれぞれ宗旨宗派がありますから、その宗旨宗派に則ってお墓を建ててきた訳です。
けれども近代では、宗旨宗派を問わない民間霊園が広がり、菩提寺から離檀して宗旨宗派に囚われない民間霊園に改葬(お墓の引っ越し)を行う家が増えました。
この流れにより、それぞれが希望するお墓デザインの種類が増えています。特に多い傾向として、「洋墓」と呼ばれるシンプルなデザインのお墓に「希望」「絆」など、故人や遺族の心に響く言葉を彫刻したお墓です。
さらに永代供養サービスの登場により、「個人墓」や「夫婦墓」など、先祖代々ではなく個人で建てるお墓が増えたことも、お墓デザインの種類が増えた理由のひとつとなるでしょう。
● 「永代供養」のサービスは、本来継承者が必要となるお墓に対して、子どもや孫など家族に代わり、墓地管理者が遺骨を永代に渡り供養をしてくれる形のない「サービス」です。
→ この永代供養サービスの登場により、継承者を必要とする先祖代々墓を必ずしも建てる必要がなくなりました。
※ 継承者を必要としないため、一代で終わる個人墓や夫婦墓などのニーズが増え、ご先祖様や子孫へ気遣う必要のない、自由なデザインのお墓が選ばれる流れがあります。
お墓の自由な供養の形

今回はお墓デザインの種類についてお伝えしていますが、ここでは少し、永代供養サービスが登場したことで増えた、5つの供養の形を大まかにお伝えしていきます。
(1)累代墓 … 継承者が必要な昔ながらのお墓です。「先祖代々墓」や「家墓」などと呼ばれていますよね。
→ 累代墓は昔ながらのデザインに則ったお墓が多く、棹石の表面には「〇〇家」などと彫刻された一般的なお墓が多いでしょう。裏面には納骨された故人の名前・没年月日が刻まれています。
(2)両家墓 … 両家墓とは、複数の家を1つにまとめお墓にしたものです。両家墓自体は昔から存在しますが、あまり一般的ではありません。妻方の家で継承者がいない場合など、夫婦両家の累代墓を並べて改葬(※)する事例も多いでしょう。
→ こちらも基本的には、夫婦の累代墓を両家でまとめたお墓なので、昔ながらの一般墓がほとんどです。
(3)個人墓 … 個人墓とは、名前の通り一人が埋葬されるお墓です。そのため継承者がいないお墓となり、永代供養サービスが必須となります。
→ 終活をきっかけに生前に建てる「生前墓」スタイルも多く、自分の自由にお墓デザインを決めるため種類もさまざまです。
(4)夫婦墓 … 個人墓は一人で埋葬されるお墓ですが、こちらは夫婦2柱のみ埋葬されるお墓となり、永代供養サービスにより継承をしないことを前提にしている為、自分達の子どもや親も基本的には同じお墓に入ることはありません。
(5)共同墓 … 共同墓とは、血縁のない友人や知人、同じ趣味や宗教を持つ人と一緒にお墓に入ることです。
→ 昔ながらの共同墓であれば「村墓」など集落単位のお墓などが考えられますが、近年では「墓友」の言葉があるように終活で知り合った友人同士などの事例も多く、こちらもお墓デザインの種類は豊富で自由な傾向にあります。
※改葬とは、お墓やお墓に埋葬されている遺骨の一部を、他のお墓などに引っ越すことです。
などなどがお墓デザインの種類が増えた背景にありますが、この他にも「お墓のない葬送」も終活現場で注目されているのはご存知でしょうか。
昔ながらの「お墓のない葬送」で代表的な形は合葬墓です。遺骨を他の多くの遺骨とともに合葬墓(供養塔)に合祀埋葬し、墓地管理者が合同で供養します。そのため個々のお墓はありませんし、遺骨は後々改葬できません。
※ このお墓のない葬送には、この他、散骨や手元供養などがあります。詳しくは別記事「大阪でお墓がない、予算もないときはどうやって納骨するの?お墓を持たない葬送の選択肢」などでもお伝えしています。
お墓デザイン、6つの種類

…以上がお墓デザインの種類が増えた背景ですが、現代では昔ながらの和墓や洋墓、五輪塔のお墓3種類ばかりではありません。あらゆるお墓デザインの種類によりバラエティーが増えました。
一般的に「永代供養」と言うと、お墓のない葬送である合葬墓などをイメージする方々がまだ多いのでですが、永代供養は形のないサービスなので、「お墓」とは関係がありません。
樹木葬などの自然葬、納骨堂や合葬墓はもちろん、昔ながらの和墓や洋墓など、お墓の形であっても永代供養サービスは付加できるものです。
それでは、現代、永代供養サービスの登場により増えたお墓デザイン6つの種類について、下記より詳しく解説していきます。
昔ながらの和墓
お墓の種類のなかでも和墓は、最も一般的なお墓ではないでしょうか。昔からの馴染みがあるため安心感があり年齢層問わず幅広く利用されています。
● 「〇〇家之墓」「先祖代々之墓」などと彫刻される長方形の棹石(さおいし)から、最上部、上台、中台、芝台と四段に積み上げられたものが一般的です。(「南無阿弥陀仏」などのお題が彫刻されたお墓もあります。)
→ 棹石(さおいし)の先端が四角錐のように尖っている形状の場合、神道のお墓であることが多いでしょう。
一般的にはこの他、花立てや水鉢、香立て、卒塔婆立ても一緒に準備します。先祖代々墓などでは墓誌が墓地内に建てられることも多い傾向です。
和墓は「和風墓」「和型墓」などとも呼ばれます。お墓の大きさだけではなく、それぞれの石の彫刻が複雑であれば、それだけコストも掛かります。
今ニーズが高い、洋墓
洋墓とは、欧米風のスタイリッシュな墓石で明るいイメージを持たせる現代的なスタイルです。一部では「オルガン型」などの言葉があるように、シンプルな斜面の横長な形状が多いでしょう。
● 現代、改葬(お墓の引っ越し)により離檀して無宗教になった家では、シンプルな洋墓を選ぶことで建墓コストが抑えられます。墓地が狭くても建墓が可能な点も魅力です。
→ また洋墓では「一期一会」など、故人や遺族の好きな言葉を彫刻する方々が増えました。
…このような事情から、今最もニーズが高いお墓デザインの種類と言えます。2018年に一般社団法人全国優良墓石店の会により行われた、全優石お墓購入者アンケート調査結果では、新規に建墓されたお墓のうち60%が洋墓でした。
※ 墓石の文字彫刻については別記事「大阪でお墓に文字を彫刻する費用目安は?和墓洋墓で違う文字数、宗旨宗派で違うお題目 とは 」でもお伝えしています。
地上に遺骨を収蔵する、納骨堂型墓
昔ながらの和墓や洋墓では、遺骨は地下カロート(遺骨を収蔵するスペース)に埋葬されますが、納骨型墓は地上に遺骨の収蔵スペースがあります。
● 地下に埋葬されないので、よりカビや湿気の被害を受けにくく、後々改葬(遺骨の引っ越し)をする場合にも、遺骨の手入れが楽になる点がメリットです。
→ お墓の正面に扉がある形状が多く、複数の遺骨を後々埋葬する場合にも、扉を開けやすいでしょう。沖縄のお墓は地上に遺骨の収蔵スペースを設けた納骨堂型墓が一般的です。
また、この地上に遺骨を収蔵するスペースを設ける納骨堂型墓は、集合墓などでも多く用いられます。
屋外集合墓の事例を例えると、一般墓が戸建てであれば、集合墓は分譲マンションのようなものです。そのため納骨堂ほどの価格帯(約50万円~70万円など)で購入できるでしょう。
信仰を体現した、五輪塔
五輪塔とは和墓の一つで、石塔タイプ・宝篋印塔・五輪塔と3タイプに分かれています。それぞれの特徴と意味があり、五輪塔は「5つのパーツ」で形成されているのが特徴です。
● 五輪塔は5つのパーツの名称があり仏教における自然5大要素と言われる「空・風・火・水・土」に分かれています。
→ 「空」は空間、災難を取り除き水を浄める。「風」は呼吸を意味し、「火」は体温、「水」は血液や水など流れるもの、「土」は大地です。
それぞれの意味は仏教においてとても重要で、五輪塔は死者を成仏させ、極楽浄土に誘導すると役目もあると言われます。
そのため、お墓デザインに五輪塔の種類を選ぶ方々は、無宗教が広がる今、より信心深いと言えるでしょう。墓地内、和墓の隣りに五輪塔を建てる方も多いです。
※ 以上、和墓・洋墓・五輪塔については別記事「大阪で家墓に和墓が選ばれる理由。三段墓や五輪塔の意味とは」などでもお伝えしていますので、ご参照ください。
自由なお墓の象徴、デザイン墓
デザイン墓とは、形・刻印・墓石の種類などのデザインに対して、自由にアレンジを加えるオーダーメイドのスタイルです。
他と違った個性を持たせることもできるので決まった形にとらわせずに世界に1つだけのお墓を作る事ができます。
● 一般的なデザイン墓では、建築物で利用されるCADなどの3Dソフトを使用して、立体的にデザインをしながら打ち合わせを進めることが多いでしょう。
→ 例えば、音楽家であればピアノや楽器の形状をしたお墓、石を自然の形のまま乗せたようなデザインもありますし、動物などの形状も見受けられますが、やはり形状が複雑になればなるほど、コストも掛かります。
終活による寿陵墓(じゅりょうはか※)などで多いデザイン墓ですが、なかには遺族が故人をイメージして建てるデザイン墓も見受けます。
※寿陵墓(じゅりょうはか)とは生前に建てるお墓です。以前は「不吉だ」などと避けられてもいましたが、もともと昔の皇帝は長寿や繁栄祈願のために生前にお墓を建ててきました。
※生前に建てるお墓については別記事「 【大阪おひとりさま終活】離婚してひとり身でお墓の生前契約☆誰が私を埋葬してくれるの? 」などもご参照ください。
コスト重視の、ワンプレート型
さらに近年ではコスト面を重視した「ワンプレート型」墓石も見受けます。ただこの場合、永代供養を前提とした、公園型墓地や樹木葬などで霊園側の提供により用いられ、墓石の彫刻のみを自由に選ぶスタイルが多いでしょう。
● 公園型樹木葬など、一定年数(5年・10年・50年など)は個別で埋葬供養され、一定年数を過ぎて更新などの手続きがなければ、そのまま合葬墓に合祀埋葬されるシステムが多い傾向です。
→ そのため、墓石代もほとんど掛からず約50万円・60万円などの価格帯から購入できる商品も多く、墓石の彫刻は戒名や名前に限らず、自由な言葉や花などのイラストを彫刻できるシステムも多いでしょう。
この場合、「絆」などの文字(言葉)は、墓石代に含まれているものの、花などのイラストを彫刻したい時には、別途費用が掛かるシステムが多いので注意をしてください。
とは言え、一例として絵の彫刻(絵柄彫刻)を1点依頼するとして、プラス5万円が目安です。
いかがでしたでしょうか、今回は近年増えたお墓デザインの種類について、それぞれの特徴や傾向を詳しくお伝えしました。
合葬墓などお墓のない葬送の永代供養では、予算約10万円~遺骨の埋葬が可能ですが、安い料金の場合、個別の墓標やスペースを持たないケースが多いです。
また納骨堂や集合墓、樹木葬などの場合でも、予算約10万円~30万円ほどの永代供養の場合、個別で遺骨を収蔵(埋葬)する期間が短くなる(1年・3年・5年など)仕組みが多い傾向です。
個別にお墓を建てる、今回お伝えしたような個別墓の場合、現代では平均的に125万円~150万円、200万円前後が多いと言われ、1基のカロート(遺骨を収蔵するスペース)で、お墓の大きさによっても違いますが、3柱~8柱と言われます。
※ お墓を建てる予算については別記事「【大阪の終活】夫婦で入るお墓「夫婦墓」の費用相場☆継承者がいなくても建墓はできる?」や「大阪でお墓を建てる予算はどれくらい?掛かる費用の内訳とは」でもお伝えしていますので、ご参照ください。
まとめ
お墓デザイン6つの種類とは
・昔から一般的な和墓
・現代ニーズが高い洋墓
・地上に遺骨を納める納骨堂型墓
・仏教の教えを体現した五輪塔
・自由なデザインで建てるデザイン墓
・コストを抑えたワンプレート型
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