
香典返しの挨拶状(お礼状)の書き方ポイントとは?マナーや5構成、3つの例文を紹介!

・香典返しに添える挨拶状の書き方は?
・香典返しの挨拶状マナーは?
・香典返しの挨拶状の例文は?
香典返しには挨拶状を添え、感謝を伝えると良いです。
葬儀当日に渡す「当日返し」や、直接ご挨拶に伺いお渡しする場合、香典返しに挨拶状を添えない人もいますが、郵送ではお礼を添えると良いでしょう。
本記事を読むことで、香典返しに添える挨拶状の書き方やマナー、基本5つの構成を例文とともにお伝えします。

香典返しの挨拶状は品にあった形式で

◇香典返しの金額と挨拶状は、釣り合った形式を選びます
例えば、千円~2千円ほどの香典返しであれば、お礼状の形式もカード式など、カジュアルなものでも良いでしょう。
5万円、10万円の御香典をいただいた時の香典返しは、選ぶ品もそれなりの金額です。
<香典返しの挨拶状:3つの形式> | ||
[形式] | [内容] | [香典返しの金額] |
●奉書式 | ・奉書紙に書く | ・約1万円以上 |
●熨斗(のし)式 | ・熨斗に書く | ・約5千円以上 |
●カード式 | ・メッセージカードに書く | ・約3千円以下 |
熨斗(のし)とは、お中元やお歳暮、慶事や弔事で送る品に包む紙で、水引きなど熨斗にも状況や目的により、マナーがあります。
香典返しの表書きにはさまざまありますが、「志」と書くのが一般的です。
宗旨宗派や地域により異なり、「粗供養」「偲び草」「茶の子」などの表書きも、完済を中心に見受けるでしょう。
・【大阪の葬儀・法要】お供え物に掛ける熨斗(のし)・掛け紙。場面に対応する5つの作法
奉書式による、香典返しの挨拶状
◇巻物のように横に長い和紙に、香典返しのお礼状を書きます
正式な香典返しの挨拶状形式で、高い金額を包んでいただいた時の香典返しや、高齢の人々へ送る香典返しには、安心できる挨拶状の形式です。
●奉書式では和紙に縦書き、毛筆(筆ペン)で書かなければなりません。
けれどもお返しする人数によっては、印刷会社に依頼する場合もあるでしょう。
端から巻くように折り畳み、縦型封筒に入れます。
熨斗(のし)式の香典返しの挨拶状
◇香典返しの熨斗(のし)に、お礼状を書き入れます
費用を抑えることができる点もメリットです。
故人の友人知人など、一般的な参列者への香典返しで利用されます。
<香典返しの挨拶状:熨斗(のし)式> | |
[香典の金額] | [香典返しの予算] |
・約3,000円~5,000円ほど | ・約1,500円~2,500円ほど |
地域によって住民の負担を軽減するために「香典の金額が一律千円」と、自治会などで決まっている集落もありますよね。
このような時にも手軽な熨斗(のし)式が扱いやすいです。
まとめて香典返しを手配し、郵送する香典返しの挨拶状としては、依頼しやすいでしょう。
カード式の香典返しの挨拶状
◇一般的な名刺大・ハガキ大ほどのカードに書きます
近年の香典返しの挨拶状に多い形式です。
カードの大きさや形はさまざまで、二つ折りのものなど、しきたりにこだわらず自由に選ぶ人が多いでしょう。
一般的な誕生日プレゼントなどと同じように、カジュアルに送る香典返しの形式となり、香典返しで選ぶ品や、金額によって判断します。
香典返しの挨拶状を書くマナーとは?

◇香典返しの挨拶状は、弔事のひとつです
そのため一般的な季節の挨拶ハガキとは、マナーも異なることは意識してください。
特に注意すべきは、お悔みの手紙や香典返しの挨拶状など、弔事におけるご挨拶では、季節の言葉や挨拶を使いません。
<香典返しの挨拶状マナー> | |
●形式マナー | ①二重封筒を避ける ②便箋は一枚で済ませる ③黒墨を用いる |
●内容マナー | ④句読点を入れない ⑤重ね言葉を避ける ⑥頭語・結語を用いる ⑦逝去は使わない ⑧季節の挨拶は必要ない |
香典返しの挨拶状では、内容を簡潔に伝えることがポイントです。
そのため「枯れ葉が舞う季節になりました」などの時候の言葉や季節の挨拶は必要ありません。
一方、「拝啓(はいけい)」などの頭語や結語は必ずしも必要ではありませんが、付けても問題はないでしょう。
ただし頭語を付けたら結語も付ける必要があります。
香典返しの挨拶状:形式マナー
◇香典返しの挨拶状は黒墨を用います
通夜や葬儀で薄墨を使うのは「涙で墨が滲む」ためです。
そのため四十九日法要後に郵送する香典返しの挨拶状では、忌中を超えて心の整理が付いた頃として、使用する墨も黒墨になります。
<香典返しの挨拶状:形式マナー> | |
[マナー] | [理由] |
①二重封筒を避ける | ・不幸が重なる |
②便箋は一枚 | ・不幸が重なる |
③黒墨を用いる | ・忌明けに送るため |
ただし、一部地域では黒墨ではなく薄墨を使用することもあるので、思い当たる人は高齢の親族や家族に確認をすると良いでしょう。
二重封筒や二枚以上の便箋を避ける意味合いは、「不幸が重なる」ことを避ける意味合いで、これは重ね言葉を避ける意味にも繋がります。
香典返しの挨拶状:内容マナー
◇香典返しの挨拶状では、忌み言葉に注意します
香典返しの挨拶状だけではなく、お悔みの手紙や弔電など、通夜や葬儀から始まる一連の書き物に句読点は付けません。
句読点を入れることで「途切れた」印象を与えるためです。
<香典返しの挨拶状:内容マナー> | |
[マナー] | [理由] |
④句読点を入れない | ・途切れるため |
⑤重ね言葉を避ける | ・不幸が重なる |
⑥頭語・結語を用いる | ・先方への敬意 (なくても良い) |
⑦「逝去」は使わない | ・尊敬語にあたる (参列者は使っても良い) |
⑧季節の挨拶は必要ない | ・簡潔に書くため |
「逝去(せいきょ)」は葬儀で使っても良い言葉ですが、尊敬語に当たるため、身内が使う言葉ではありません。
反対に「往生(おうじょう)」は身内が使うものの、参列者が使うと違和感がありますよね、これと同じです。
・永眠
・他界
・亡くなる
…などの言葉を逝去に代わり用いるようにしてください。
「死」など、直接的な言葉は忌み言葉ですので、避けます。
香典返しの挨拶状:5つの構成

◇香典返しの挨拶状は、5つの構成で組み立てます
香典返しの挨拶状は、基本的に例文を参考にしながら、相手に合わせて自分の言葉をところどころに添えて組み立てる人が多いです。
個々の状況に合わせて修正するにあたり、下記5つの構成を意識してください。
<香典返しのお礼状、基本の5構成> | |
①香典のお礼 | ・会葬のお礼 |
②報告 | ・四十九日法要 ・納骨式 |
③感謝 | ・生前のご厚意 |
④香典返しを送る旨を報告 | |
⑤お詫び | ・略式で済ませるため |
最後の「お詫び」とは、本来は香典返しを持参してご挨拶をしなければならないところ、郵送で済ませる「略式」で済ませることへのお詫びです。
また、自分の言葉を添える部分は「③生前の故人へのご厚意への感謝」でしょう。
生前の故人と香典返しのお礼状を送る相手との関係性、昔の思い出を想起しながら、より感謝が伝わるエピソードを選びます。
香典返しの挨拶状:基本の例文

◇香典返しの挨拶状は、例文を基に修正すると進めやすいです
香典返しの挨拶状は最初から書く人もいますが、忙しい時期ですので、例文を基に自分の状況に合わせた内容に修正すると便利です。
一般的な香典返しのお礼状、例文からご紹介します。
「拝啓
この度 母(続柄)山田紀子(仮名/俗名)の他界に際しましては ご多用のなかご会葬を賜り かつご丁重なるご厚志を賜り 誠にありがとうございました
お陰をもちまして○月○日に四十九日の法要を滞り無く済ませることができました
つきましては心ばかりの品ではございますが 偲び草のしるしまでにお届け致しましたので何卒ご受納くださいますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上御礼申し上げるべきとは存じますが 失礼ながら書中を持ってご挨拶申し上げます
敬具
令和○年○○月○○日
喪主 山田孝雄(仮名)
親族一同」
四十九日法要を無事済ませたことを報告した後、生前のエピソードを添えても良いでしょう。
生前のエピソードを添えることで、より親しみやすい内容となり、感謝の気持ちが伝わりやすいです。
香典返しの挨拶状:親し人への例文
◇ご遺族が前を向いて歩き始めたなど、現状をご報告します
故人が生前親しくしていた人へ、香典返しの挨拶状を添えるならば、「ご遺族が前を向いて歩み始めている」など、現状報告をすると喜ばれるでしょう。
またその後には、生前のご厚意への感謝も添えると丁寧です。
「拝啓
この度(母(続柄)山田紀子(俗名)の永眠に際しましては お心のこもったお手紙と御香典を賜り 誠にありがとうございました
お陰をもちまして 〇月〇日に 四十九日法要を滞りなく相営みました
生前どれほど皆様に支えられた一生であったかと思うと感謝に絶えません
親しい皆様に見送っていただき 故人もきっと喜んでくれていることと存じます
つきましては 供養のしるしに心ばかりの品をお送りしますので 何卒 ご受納くださいますと幸甚に存じます
私たち家族も徐々に以前の生活に戻りつつありますのでご安心ください
本来であればお目にかかってお礼をすべきところ まずは略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます
敬具
令和○年○○月○○日
喪主 山田孝雄(仮名)
親族一同」
一般的に前向きな現状をお伝えしますが、間柄によっては最終的に前向きな内容になるならば、ある程度正直に書く人も増えました。
香典返しの挨拶状:キリスト教式の例文
◇仏教用語を避け、キリスト教の宗派に見合った言葉使いが必要です
キリスト教式による香典返しの挨拶状では、同じキリスト教でも宗派を意識して書かなければなりません。
キリスト教の宗派カトリックとプロテスタントでしきたりが異なるためです。
仏式の四十九日法要は、カトリックが追悼ミサ、プロテスタントが召天記念式となります。
「謹啓
時下益々ご清祥のこととご拝察申し上げます
先般は 亡○○(続柄)○○○○(故人の洗礼名 故人の俗名)の帰天に際し 丁寧なご会葬とお心遣いを賜りまして 篤く御礼を申し上げます
このほど(忌日)記念祭を相営むことができました
つきましては 心ばかりの品をお送りいたしますので ご受納いただけますよう お願い申し上げます
本来であれば直接お目にかかってお礼を申し上げるべきところ 略儀ながら書中にてご挨拶とさせていただきます
敬具」
今回の文例はカトリック・プロテスタント共有の例文です。
仏教の「永眠」に当たる言葉に代わり「帰天」を使用しています。
「帰天」はどちらの宗派でも使用できますが、宗派によって掘り下げると、カトリックが「昇天」、プロテスタントが「召天」です。
・【図解】キリスト教の葬儀マナーとは?献花の仕方やカトリック・プロテスタントの違い?
香典返しの挨拶状:送るタイミング

◇香典返しと挨拶状は、四十九日法要後7日~14日までに送ります
香典返しは近年、葬儀当日にお渡しする「当日返し」が増えていますが、一般的には納骨式を終える四十九日法要後に香典返しを送る方法が一般的です。
・四十九日法要後、7日~14日まで
・香典返しに挨拶状を添える
・香典の1/3~1/2ほどの予算
…以上が基本的な香典返しのマナーです。
ただ約3万円以上になると、香典返しの品も高額になるため、大きなお金を御香典に包んでいただいた時には、いただいた御香典の1/4~1/3ほどの品を選んでも問題はありません。
・香典返しはいつ送る?「当日返し」とは?早く送るとダメ?品選びのタブーや金額相場は?
まとめ:香典返しの挨拶状は弔事マナーに倣います

以上、今回は香典返しに添える挨拶状の構成やマナーを、3つの例文とともにお伝えしました。
本記事ではキリスト教式の挨拶状に触れましたが、神式の香典返しに添える挨拶状は、仏教用語「供養」などの言葉を避けます。
仏教式で「永眠」や「他界」に当たる神教の言葉は「帰幽」、お悔みの言葉は「御弔詞」、香典は「御玉串料」です。
また仏式では四十九日法要後を目安に香典返しを送りますが、神道でこれに当たるものは五十日祭、香典返しの表書きは「偲草」となります。
・お悔みの言葉とは?葬儀や訃報で返す言葉や注意点は?状況や故人の立場で違う10の例文
まとめ
香典返しのお礼状の書き方
(1)香典返しを送るタイミング
・四十九日法要後
・挨拶状を添える
・香典1/3ほどの品を選ぶ
(2)香典返しのお礼状、3つの形式
・奉書式
・熨斗(のし)式
・カード式
(3)香典返しのお礼状
・御香典のお礼(会葬のお礼)
・四十九日法要や納骨を終えたことを報告
・生前の故人へのご厚意への感謝
・香典返しを送る旨を報告
・お礼を郵送(略式)で済ませることのお詫び
(4)香典返しのお礼状マナー
・二重封筒を避ける
・便箋は一枚で済ませる
・黒墨を用いる
・句読点を入れない
・重ね言葉を避ける
・頭語・結語を用いる
・逝去は使わない
・季節の挨拶は必要ない
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