花まつりとはどんな祭り?4月のいつ・どこで何をする?意味や由来、食べるものも解説!
・花まつりとは?
・花まつりには、なにをするの?
・2024年に花まつりを行う寺院は?
「花まつり」とは、お釈迦様の御誕生を祝う誕生祭「灌仏会(かんぶつえ)」です。
一般的に春先の4月8日に寺院で行われる行事で、2024年は4月8日(月)となります。
花まつりでは寺院で「甘茶」がふるまわれ、お釈迦様の誕生仏へ甘茶をかける行事もあります。
本記事を読むことで、「花まつり」とはどんなお祝い行事か?何を行うのかや、花まつりにいただく食べ物、花まつりの意味や由来、扱う花々などが分かります。
花まつりとは
◇「花まつり」とはお釈迦様の誕生日を祝う誕生祭です
…花まつりは「灌仏会(かんぶつえ)」「仏誕会(ぶったんえ)」ともよばれます。
仏教には浄土真宗や浄土宗、真言宗などさまざまな宗派はあるものの、花まつりを始めとする、お釈迦様の人生の転機となった仏教三大法会(さんだいほうえ)は、ほとんどの宗派で執り行われることでしょう。
では「仏教三大法会」とは、どのような行事を指すのでしょうか?
仏教3つの法会を、流れとともに読み解くことで、より花まつりの意味が分かってきます。
仏教三大法会①涅槃会(ねはんえ)
◇「涅槃会」とは、お釈迦様の命日(2月15日)です
涅槃会(ねはんえ)の涅槃(ねはん)は、お釈迦様が亡くなった(入滅された)ことを差します。
そのため「涅槃(ねはん)に入る」は亡くなった(入滅された)日、命日です。
毎年旧暦2月15日が涅槃会(ねはんえ)とされ、新暦祭では3月15日頃に行います。
また京都や奈良の寺院では、涅槃会(ねはんえ)にお釈迦様の最期を描いた仏教が「涅槃図(ねはんず)」が開帳されることでも有名です。
仏教三大法会②灌仏会(かんぶつえ)とは
◇「灌仏会」がお釈迦様の誕生日(4月8日)、花まつりです
お釈迦様が誕生した姿「誕生釈迦仏(たんじょうしゃかぶつ)」は有名ですよね。
「誕生仏(たんじょうぶつ)」とも言われます。
蓮の花の上にお釈迦様が立ち、右手が御天を指で指し示し、左手は反対の地を差し示す姿です。
お釈迦様は誕生してすぐ、7歩歩いて「宇宙のなかで (天の上や下をもってしても)私より尊いものはいない」と言う意味を持つ「天上天下唯我独尊(てんじょうてんがゆいがどくそん)」と言ったと伝えられます。
仏教三大法会③成道会(じょうどうえ)
◇「成道会」は、お釈迦様が悟りを開いた日(12月8日)です
「臘八会(ろうはちえ)」とも言われ、菩提樹の元35歳でお釈迦様が悟りを開き、仏陀(ぶっだ)として生まれ変わった日とされます。
京都では大根を炊いてふるまう行事などがあるでしょう。
灌仏会はお釈迦様がこの世にお生まれになった誕生祭ですが、成道会は悟りを開き、生まれ変わった日となります。
花まつりでは何をするの?
◇花まつりでは、お釈迦様の仏像へ甘茶をかけます
花まつりの有名な行事は、花に囲まれたお釈迦様の仏像に甘茶をかける行事です。
誕生仏の頭から体へと甘茶をかけた後、参拝に訪れた人々も甘茶をいただきます。
お釈迦様の仏像は「誕生釈迦仏(たんじょうしゃかぶつ)」「誕生仏(たんじょうぶつ)」
と呼ばれ、お釈迦様がお生まれになった時の様子から、花々に彩られているでしょう。
これが花まつりの正式名称「灌仏会(かんぶつえ)」の由来です。
灌仏会の「灌(かん)」は、「灌水(かんすい)」「湯灌(ゆかん)」など、水をそそぎかける、流し入れる意味があります。
●またお釈迦様の母「摩耶」は、お釈迦様を妊娠する前に白い像が自分の体に入っていく夢をみたとされ、白い像を祀る花まつりもあります。
この白い象は普通の象ではなく牙が6本あったとされ「六牙の白象(ろくげのびゃくぞう)」として有名です。
お釈迦様がお生まれになった時の様子は、後ほど詳しく解説します。
なぜ花まつりで甘茶をかけるの?
◇甘茶は不老不死を司る神様の飲み物「甘露」の代わりです
お釈迦様の誕生仏に甘茶をかける由来は諸説ありますが、多く語られるものは、甘茶は一度飲むと不老不死の力を得る「甘露(かんろ)」の代わりとされます。
お釈迦様の誕生仏に甘露(甘茶)をかけるのは、生まれたてのお釈迦様の産湯ともされてきました。
これは、お釈迦様の誕生を祝いに天からおりてきた龍の言い伝えからきています。
「お釈迦様がご誕生になると、九頭の龍(九頭竜)がお祝いに天からおりてきました。
そして産まれたばかりのお釈迦様を祝い、甘い水を吐き出します。
人々は、九頭竜から吐き出された甘い水「甘露」を産湯に使ったのです。
こ九頭竜が吐き出した甘露を甘茶に見立てています。
この他、甘茶には「上に立つ物が良い時代をつくり、平和な世の後に甘い露(甘露)が降る」とも言い伝えられてきました。
では「甘茶」とはなに?
なぜ「花まつり」と言われるの?
◇お釈迦様は、花々が咲き誇る場所で産まれたためです
お釈迦様が誕生した場所は、花々が美しい庭園「ルンビニー園」でした。
またお釈迦様の御誕生には、「天上天下唯我独尊」にまつわる有名な逸話があります。
逸話ではお釈迦様は生母「摩耶(まや)夫人」の右脇から産まれたとされ、産まれてすぐに7歩、歩きました。
お釈迦様は歩いた後、御天と御下を指差して「天上天下唯我独尊(てんじょうてんがゆいがどくそん)」とおっしゃったとされます。
花まつりで彩られる花々は、ツバキや桜、レンギョウなどです。
お釈迦様のお誕生日祝いなので、普段供える仏花とはまた違う、カラフルだったり可愛らしい、華やかな花々を供える寺院が多いでしょう。
また寺院では、花まつりに檀家さんや地域の人々が参加し献花をする様子が伺えます。
もちろん、供物でも問題はありません。
「天上天下唯我独尊」とは?
◇天上天下に唯一の人間であることを指します
世間では「俺様」なイメージが強い「天上天下唯我独尊」ですが、本来の意味はそうではありません。
誰もが天上にも天下にもどこにもいない、この世でただひとりの誰とも代わることのない人であることを指します。
そして誰もが、その命そのままに尊く、何も加える必要がない存在であることです。
「唯我独尊」が「我はただひとり、この世に自分より尊い者はいない」と訳されるため、俺様なイメージが付きまといますが、違います。
お釈迦様はご誕生の時に、ただひとりの私だけが尊い「天上天下唯我独尊」を発見したお言葉です。
ルンビニー園を模した「花御堂」
◇花まつりでは花御堂に誕生釈迦仏を祀ります
お釈迦様がお生まれになった、色とりどりの花々が咲き誇る「ルンビニー庭園」を模した姿が、花まつりに寺院で見る「花御堂(はなみどう)」です。
花まつりで寺院では、花々で敷き詰めた花御堂の中央に誕生釈迦仏を祀り、参拝客はふるまわれた甘茶を頭から体へと注いでいきます。
花まつりを行う寺院は?
◇花まつりは多くの寺院で行います
花まつりは浄土真宗や真言宗、臨済宗など宗派を問わず多くの寺院で行っているので、地域の寺院を問い合わせてみるのも良いでしょう。
昔ながらの花まつりでは、甘茶がふるまわれる「甘茶接待」なども見受けましたが、2020年のコロナ襲来以降は甘茶接待を省略する寺院が増えました。
<花まつりを行う寺院> | ||
[地域] | [寺院] | [花まつり] |
①大阪府寝屋川市 | ・大阪成田山不動尊 (真言宗) |
・特別大護摩供祈祷 |
②大阪府大阪市 | ・北御堂 (浄土真宗本願寺派) |
・花まつり |
③大阪府大阪市 | ・和宗総本山四天王寺 (和宗) |
・仏誕会 |
④京都市 | ・浄土真宗本願寺派 (西本願寺) |
・西本願寺はなまつり |
⑤鎌倉市 | ・臨済宗円覚寺 | ・降誕会 |
⑥北海道 | ・日蓮宗妙慶寺 | ・花まつり法要 ・龍神様大祭 |
この他、全国各地の寺院で花まつりは行われます。
東京都では観光地としても国内外で人気が高い浅草寺でも、仏生会・花まつりが行われるなど、仏教宗派に関係なく、多くの寺院で行われる行事です。
それでは、下記より大阪3つの花まつりが行われる寺院について、詳しくご紹介していきます。
花まつり①大阪成田山不動尊
◇「釈尊降誕会特別大護摩供」が行われます
不動明王をご本尊とする大阪成田山不動尊では、例年4月8日に誕生釈迦仏を中央に祀った花御堂を設置し、甘茶がふるまわれてきました。
この他、特別な護摩祈祷「釈尊降誕会特別大護摩供(しゃくそんごうたんえとくべつおおごまく)」も行われます。
<花まつり①大阪成田山不動尊> | |
[住所] | 〒572-8528大阪府寝屋川市成田西町10-1 |
[TEL] | 072-833-8881 |
[HP] | https://osaka-naritasan.or.jp/ |
釈尊降誕会特別大護摩供は例年4月8日当日、午前11時30分~御本堂での開催です。
参加者の毎日の幸せを祈祷します。
花まつり②北御堂
◇北御堂では2024年4月6日(土)に「北御堂花まつり」が行われます
浄土真宗本願寺津村別院「北御堂(きたみどう)」では、4月8日前後の「北御堂花まつり」が行われます。
誕生仏へ甘茶をかけて手を合わせる行事はもちろん、イベント色が強い点が特徴で、大道芸など、地域の人々が集まる賑やかなイベントです。
<花まつり①大阪成田山不動尊> | |
[住所] | 〒541-0053大阪府大阪市中央区本町4-1-3 |
[TEL] | 06-6261-6796 |
[HP] | https://www.kitamido.or.jp/ |
北御堂は大阪メトロ御堂筋線「本町駅」2号出口エレベーターすぐ左となり、子どもと一緒でもアクセスしやすいでしょう。
例年、バルーンアートやエアドーム、ミニコンサートなど、子どもが喜ぶイベントが企画されているので、訪問してみてはいかがでしょうか?
・北御堂:花まつり開催のご案内
花まつり松③四天王寺
◇大阪市天王寺の花まつりは、仏足石で知られています
和宗総本山四天王寺の花まつりは、お釈迦様が説法の旅をした足跡を留めるため、石に刻んだお釈迦様の足文「仏足石(ぶっそくせき)」が有名です。
通例、四天王寺の花まつりは午前中に仏誕会の法要、午後からは仏足石法要が行われています。
<花まつり③四天王寺> | |
[住所] | 〒543-0051大阪府大阪市天王寺四天王寺1-11-18 |
[TEL] | 06-6771-0066 |
[HP] | https://www.shitennoji.or.jp/history.html |
以前は花御堂の近くで甘茶をふるまってきましたが、2020年のコロナ襲来以降、安全・健康を考慮した結果、以降の甘茶接待は今のところ中止となりました。
最後に
花まつりはお釈迦様の誕生日を祝う誕生祭で、正式名称は灌仏会(かんぶつえ)です。
お釈迦さまは天からお祝いにおりてきた龍が、口から出した不老不死の水「甘露(かんろ)」を産湯に使ったとされ、お釈迦様の誕生釈迦仏に甘露の代用として、甘茶をかけるようになりました。
花まつりの甘茶はヤマアジサイ(山紫陽花)などの変種を発酵させ、乾燥させてからよく揉んだ葉が原料で、お砂糖を使用しないのに甘い甘い飲み物です。
けれどもその昔は、七色の水を誕生釈迦仏にかけたと言われます。
仏教三大法会である花まつりは、宗派を問わず多くの寺院で行っているでしょう。
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