
弔事での「平服」は普段着ではない?「平服でお越しください」と指定されたらどうする?

・「平服でお越しください」と指定されたら?
・身内のみの法要は平服でもいい?
・後日の弔問はや偲ぶ会は、平服で行く?
弔事の「平服」とは普段着ではなく、そこまで厳密ではない格式の低い喪服「略喪服(略式喪服)」です。
最近では身内のみの家族葬や法要も増え、「平服でお越しください」と、平服の指定がある案内状も増えました。
本記事を読むことで「平服」とはなにか?平服指定があった時の服装マナーや注意点、平服で行くシーンが分かります。
弔事の「平服」とは?

◇弔事の「平服」とは、略喪服(略式喪服)です
「平服(へいふく)」をそのまま解釈すると日常服となりますが、弔事で平服とあった場合は、一般的には「本来なら礼服や正装で出席するが、そこまで厳密でなくても良い」というニュアンスです。
平服という言葉は、あまり日常的には用いません。
一般的には結婚式などの慶事、法要などの弔事の案内状で添える言葉となり、正装よりも少し簡略的な軽装を差します。
①結婚式…簡略的な略礼服
②弔事…軽装の略喪服
「平服でお越しください」の文言を分かりやすく意訳すると「そこまで正装しなくても大丈夫です。」となるでしょう。
平服は普段着ではない
◇弔事の平服は、畏まった落ち着いた色目のお出かけ着です
納骨式や法要の案内状で平服指定があった場合、基本的には男性なら落ち着いた色目、無地のビジネススーツを選びます。
喪服ほど正装ではないものの、畏まった服装ですので、華美にならないよう、小物やアクセサリー、化粧などのマナーは、喪服に準ずると良いでしょう。
ブラックスーツや黒のアンサンブル・ワンピースなどが、濃紺やダークグレーなどでも良くなっただけで、髪の毛も後ろにまとめるなど、喪服と同じ配慮が必要です。
<平服のタブー> | |
●服装のタブー | ・派手な色や柄 ・カジュアルすぎる服装 (Tシャツやジーンズなど) ・露出が多い服装 |
●小物のタブー | ・革製品、アニマル柄 ・ゴールドなどの金具 |
●アクセサリー | ・パールの一連ネックレス ・パールのひと粒イヤリング ・結婚指輪 |
●装飾 | ・派手な化粧 ・華美な髪型 |
また平服であっても、男性は三回忌の法要まで、ネクタイを着用します。
一方女性は、一周忌法要まではパンツスーツを避けましょう。
・弔事の化粧「片化粧」とは?ナチュラルメイクとは何が違うの?通夜や葬儀での化粧マナー
喪服の格式を揃える
◇平服の指定があれば、平服で参列します
喪服には故人との関係性に準じた「格式」があるため、一般参列者は弔事において、施主(喪主)やご遺族よりも格式の高い喪服を着用しての参列はマナー違反です。
不安があれば法事に参列する親族、関係性によっては施主やご遺族などにご相談しても良いでしょう。
弔事への参加で服装に迷う時、基本的には周囲と「喪服の格式」を揃えます。
喪服の格式を揃えなければ、カジュアルすぎても格式が高すぎても、浮いてしまうので注意をしてください。
平服(略喪服)の「格式」とは

◇喪服の「格式」は、正喪服・準喪服・略喪服の3つです
四十九日法要か七回忌か、など、参列する法事の種類や参列者の立場によって、着るべき喪服の格式は異なります。
基本的に施主(喪主)や第三親等までの親族は格式の高い喪服、その他の参列者は親族よりも格式の低い喪服を着用するとされますが、近年では広く「準喪服」が多いです。
正喪服

◇最も格式の高い喪服が「正喪服」です
喪主(施主)、故人との関係性が第三親等までの親族が主に着用します。
男性は黒紋付き羽織袴やモーニングコート、女性であれば黒無地着物や黒いアフタヌーンドレスなどで、くるぶし丈などの丈の長い洋装が特徴です。
葬儀や告別式、一周忌までの法要では、主催する側の喪家が着る喪服ですので、一般参列者は基本的に着用しません。
詳しくは葬儀の服装マナーを解説したコラムで説明しています。
・葬儀に参列する服装マナーは?身内だけの家族葬でも喪服が必須?タブーとされる服装は?
準喪服

◇一般参列者が広く着用する喪服が「準喪服」です
通夜や葬儀に一般参列者として参列する時の服装が準喪服となり、三回忌までの法要ではほとんどの人々が準喪服で参列するでしょう。
準喪服は「正喪服に準じた服装」ですので、男性であれば光沢のないブラックスーツに黒ネクタイ、女性は光沢のない黒のワンピースやアンサンブルを着用します。
準喪服についても下記コラム内、「四十九日前の納骨式の服装」で詳しく解説していますので、ご一読ください。
・納骨式に参列する服装マナーとは?納骨するタイミングで変わる?家族のみの納骨式では?
平服(略喪服)
男性の「平服」とは?

◇男性の「平服(略喪服)」は、ダークスーツでまとめます
喪服ではないので、必ずしも無地の黒である必要はありません。
ただ目立たず落ち着いた色目を選び、光沢や派手なデザインは避けましょう。
<男性の「平服」とは?> ●ビジネススーツ |
|
[色] | ・黒 ・グレー(ダークグレー) ・紺(濃紺) |
[シャツ] | ・白いシャツ |
[ネクタイ] | ・濃くて地味な色 ・無地 ・シングルノット |
[足元] | ・黒無地の靴下 ・黒の革靴 |
[アクセサリー] | ・結婚指輪のみ |
スーツの柄は無地が理想的ですが、織柄・薄いストライプなどは良いでしょう。
シャツは白無地のレギュラーカラーを選び、ネクタイはシングルノットで結びます。
足元は黒の革靴、紐で結ぶ内羽根式のシンプルなものが好ましいです。
多くの男性は手ぶらで参列する人が多いですが、もしバッグを持つ場合は、黒で金具など装飾のないシンプルなデザインのものを選びましょう。
男性の平服タブー
◇金具で反射するものや、光る素材を避けます
男性の平服は落ち着いたビジネススーツで問題はないのですが、基本マナーとして、カジュアルすぎたり、装飾のある服装は考慮しなければなりません。
<男性の平服タブー> | |
[ネクタイ] | ・光る素材 ・派手な柄 ・ダブルノット (カジュアルすぎる) |
[ベルト] | ・光る素材 ・金具の付いたもの |
[靴] | ・エナメル素材 ・スェード素材 ・尖がったデザイン |
ネクタイはダブルノットでくびれを作らない方が良いとされます。
また平服であっても、ネクタイを外すのはカジュアルすぎるので避けましょう。
また靴は金具のない黒い靴、光って華美になるエナメル素材、カジュアルすぎるスエード素材は避けましょう。
女性の「平服」とは?

◇濃紺やダークグレーなど、落ち着いた色目で整えます
正喪服・準喪服ではないので黒以外の色でも着用できますが、濃紺やダークグレー(グレー)・深緑など、ダークカラーの服装です。
<女性の服装タブー> | |
[服装] | ●ダークスーツ ・ワンピース ・アンサンブル ・スーツ |
[色目] | ・黒 ・濃紺 ・グレー (ダークグレー) |
[インナー] | ・ダークカラー (黒・濃紺など) |
[アクセサリー] | ・パールの一連ネックレス ・パールのひと粒イヤリング ・結婚指輪 |
[ストッキング] | ・透ける黒ストッキング(無地) |
[靴] |
・フラットパンプス ・ヒールは5cm以下 |
女性のアクセサリーは涙を表すパールであれば着用できます。
バッグは基本的に黒の布地を使用しましょう。
女性の平服タブー
◇光る素材や革の素材は避けます
基本的に平服でも略喪服(略式喪服)なので、喪服マナー同様、カジュアルすぎる、派手過ぎる服装は控えるのが基本です。
ダークスーツやアンサンブルのインナーは白ではなく、黒を選びます。
<女性の平服タブー> | |
[インナー] | ・白は避ける |
[アクセサリー] | ・二連、三連ネックレス ・パール以外のアクセサリー |
[靴] | ・基本は黒 ・光沢を避ける ・華美なデザインは避ける ・5cm以上のヒール |
[その他] | ・露出の激しいもの ・派手な髪型 ・ネイル |
お化粧は控えめで口紅を塗らない「片化粧」が基本ですが、現代は落ち着いた色の口紅くらいは付ける人も多いです。
また髪型は派手過ぎず、長い髪は後ろに束ねます。
・弔事の化粧「片化粧」とは?ナチュラルメイクとは何が違うの?通夜や葬儀での化粧マナー
子どもの「平服」とは?

◇成人前の子どもは、学生服が正装です
成人前の学生で制服があるなら、平服に限らず弔事に学生服を着用します。
この場合、制服の色が黒でなかったり、チェック柄があっても問題ありません。
<子どもの平服> | |
[制服がある] | ・学生服 |
[赤ちゃん] | ●普段着でも良い ・落ち着いた色 (水色、生成色、黒色など) ・派手な色柄を避ける |
[就学前] | |
●男の子 | ・控えめな色のズボン (グレー、黒、濃紺など) ・白いシャツ ・黒い靴下 ・黒い靴 …など |
●女の子 | ・控えめな色のスカート (グレー、黒、濃紺など) ・白いシャツ ・白、黒の靴下 ・黒の靴 |
学生服がなかったり、就学前の子どもは、白いシャツに黒やグレーのズボンやスカートを合わせる平服が一般的です。
赤ちゃんは基本的に弔事に参列しませんが、故人と近しい人など、何らかの事情で参列する場合には、無地やそれに近い、落ち着いた服装で整えます。
キャラクターなどの絵柄が入った服は避けましょう。
平服(略喪服)を着るシーンとは

◇平服(略喪服)のタイミングは、三回忌~七回忌以降です
一般的に参列者が準喪服から平服(略喪服)に代わるタイミングは、三回忌以降の法要が多いでしょう。
ただし地域や家、寺院によっても平服に切り替わるタイミングは違うので、年配の親族や菩提寺の僧侶などに確認し、他の参列者と服装マナーを揃えることが大切です。
危篤・お通夜前の弔問
◇危篤の連絡を受けたら、病院に駆けつけることが最優先です
危篤の連絡を受けたときは、一刻も早く病院に駆け付けることが最優先ですので、服装は普段着や、仕事帰りの服装でも構いません。
●喪服は患者の死を予想していたとして、縁起が悪いため避けます。
…遠方から駆けつける場合は、万が一を考えて喪服の用意も必要です。
ビジネススーツやワンピースで駆けつけても問題ありませんが、もしも着替える余裕がある場合、黒・紺・グレー(ダークグレー)など、地味な色の平服で行きましょう。
お通夜
◇昔は平服(略喪服)での参列でしたが、現代は準喪服が一般的です
現代のお通夜は準喪服で参列する人が一般的ですが、訃報のご案内で「平服でいらしてくださいね」と声をかけられた場合、平服で問題ありません。
ただ平服(略喪服)で参列する場合でも、ご遺族の気持ちに配慮した服装や身だしなみに気を付けましょう。
●かつては、喪服での参列をマナー違反とすることもありました。
…しかし今では、お通夜に喪服で参列される方も多くいます。
お通夜前の喪服と同じく、突然の訃報にも関わらず喪服を着ていることを「あらかじめ亡くなることを予測して準備をしていた」とされたことが理由です。
後日の弔問
◇後日、自宅弔問する場合、一般的に平服を着用します
お通夜や葬儀に参列できず、後日自宅まで弔問する場合には、喪服を選びがちですが、一般的には平服(略喪服)での弔問で問題ありません。
…そのため弔問をする側も、喪服を避けるのが通例です。
ただ平服(略喪服)ですので、反対にカジュアルな服装は避けます。
お通夜前の弔問は「突然の訃報に駆けつけた」ため、ある程度ラフな服装でも失礼には当たりません。
けれど改めて訪問する弔問では、平服(略喪服)マナーに倣います。
三回忌以降の法要
◇三回忌以降の法要では、平服(略喪服)が一般的です
故人が亡くなって間もない三回忌までは重要な年忌法要とされるため規模も大きく、遺族や親族、参列者ともに準喪服を着用します。
<法要の平服マナー> | |
①一周忌~三回忌 | ・準喪服 |
②三回忌~ | ・平服(略喪服) |
※地域や寺院でも違うので確認してください。 |
年忌法要は一般的に三十三回忌までで弔い上げとする家が多いです。
年忌法要は回を重ねていくごとに規模が小さくなり、準喪服から平服(略喪服)へと簡略化していきます。
ただし「平服でお越しください」と案内された場合は、その指示に従ってください。
お別れ会や偲ぶ会
◇お別れ会や偲ぶ会は、主催者側から服装指定があるでしょう
一般的にお通夜や葬儀を終えた後、知人友人へ向けて行われるお別れ会(偲ぶ会)は、宗教的な儀式も少なく、厳密なルールやマナーはありません。
多くは主催者側から「普段通りの格好でお越しください」「当日は平服でお越しください」など、案内状でドレスコードの指定があるでしょう。
納骨式での法要
◇四十九日以降の納骨式では、平服(略喪服)が多いです
ただし一般的に四十九日の忌中に行う納骨式では、身内のみでもお通夜や葬儀と同じ準喪服で参列します。
四十九日の忌中以降の納骨式は平服(略喪服)で参列が多く、墓前法要は法要の規模によりさまざまですので、施主や親族と相談して、喪服の格式を揃えると良いでしょう。
<納骨式や法要での平服マナー> | |
①家族のみ | ・四十九日前…準喪服 ・四十九日後…平服(略喪服) |
②参列者が多い | ・一周忌前…準喪服 ・一周忌後…平服(略喪服) |
※地域や寺院、家によっても違います。 |
またお墓が辺境にあるなど、お墓までの道のりが困難な場合は、案内状で平服(略喪服)指定の他、足元も「歩きやすい靴」などのご案内を添えます。
ご案内で平服指定があった時
まとめ:弔事の平服は略式喪服(略喪服)です

弔事で「平服」と指定されたら、失礼のないようカジュアルすぎる服装は避けた略式喪服(略喪服)です。
最近の年忌法要は遠方の親戚など多くの参列者をご案内せず、家族だけで執り行うことが増えました。
特に七回忌以降の年忌法要はその傾向が顕著ですが、故人への弔いの気持ちとして丁寧な服装を心がけます。
このようなごく身内のみで執り行う場合でも、僧侶をお迎えした法要では、僧侶への配慮として平服とし、あまりカジュアルな服装は避けましょう。
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