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相続後も自宅に住む「配偶者居住権」とは?利用するメリット・デメリット|永代供養ナビ

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配偶者居住権」とは、配偶者が亡くなった後、もう1人の生存配偶者が現在住んでいる自宅に引き続き住む権利です。
 
この「配偶者居住権」は、相続の時に役立つ権利で、例えば相続税が高すぎて払えない、遺産分割で住み慣れた家を手放すしかない…、など、やむを得ず自宅を売却する事態を防ぎます。
 
今回は、配偶者居住権のメリットデメリットどのような人に配偶者居住権が役立つかを解説しますので、参考にしてください。
 

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「配偶者居住権」とは?

「配偶者居住権」とは?
●「配偶者居住権」は、被相続人(故人)の配偶者が、引き続き自宅に住み続ける権利です。

 
被相続人(故人)の名義だった場合、被相続人(故人)が亡くなると、住み慣れた自宅も相続の対象になりますよね。
この時、相続のなかでやむを得ず住み慣れた自宅を売却するケースは多くありました。
 

・相続税が発生し、相続税が支払えない
・遺産分割で不動産財産(自宅)を相続人同士で等分に分割する
・遺産分割で自宅を相続したものの、相当の支払いができない

 
…などなどの結果、自宅を売却し現金化して、支払いに充てる配偶者は多くいます。
無事に相続できた」と思う人もいるかもしれません。
 
けれどもこれは現実的に考えると、被相続人(故人)と70歳80歳と高齢になるまで住み慣れていた自宅を、配偶者の死をきっかけに追い出される人もいるでしょう。
 
そこで、このような事態を防ぐために施行された「配偶者居住権」の定義は、下記です。
 

●「夫婦である夫/妻が亡くなった時に残された配偶者が、亡くなった人の名義だった不動産に、亡くなるまで、もしくは一定期間を無償で居住できる権利」

 
この配偶者居住権のポイントは、「使用権である」という点でしょう。
配偶者居住権は、必ずしも遺産相続を約束するものではありません。
 

配偶者居住権のメリット

配偶者居住権のメリット

では具体的に「配偶者居住権」を利用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
前述した事例のように、特に高齢になったシニア夫婦が、自宅の名義人である配偶者を亡くした時に、特に役立ちます。
 

<配偶者居住権のメリット>
(1)現在住んでいる家に、住み続けることができる
(2)老後の生活資金を確保できる
(3)配偶者が代償金を払うリスクが軽減される

 
特に現代社会においては、定年退職を迎えると、年金だけで暮らしていくのは困難です。
 
現役時代から老後資金計画を立て、貯蓄などから少しずつ生活をしていくため、突然賃貸生活を強いられることは、死活問題にもなるでしょう。
 

※年金だけの暮らしが厳しい現代、老後の生活費については下記に詳しいです。
【老後に破産しない資金計画】定年退職後のシングル・夫婦世帯、家計はどうなってるの?

 

(1)現在住んでいる家に、住み続けることができる

配偶者居住権の最大のメリットであり、政府が施行した目的でもある事柄が、自宅を名義人とする配偶者を失った人が、相続発生後も現在住んでいる家に住み続ける権利です。
 

・遺産分割で自宅の所有権を相続できなかった
・他の相続人と仲が悪く、追い出されそう
・遺産分割が進まず、自宅が売却されそう

 
以前あった事例では、被相続人(故人)の後妻だった配偶者が、前妻の子ども達と仲が悪く、20年以上一緒に暮らしてきた自宅を追い出されそうになった事例がありました。
 
遺産分割で配偶者の遺留分は遺産の1/2(※)とされていますが、例えば遺産のほとんどが自宅の不動産財産だった場合にも、居住権を主張して住み続ける権利があります。
 

※相続人それぞれが持つ遺留分割合については、下記コラムに詳しいです。
【相続対策】遺言書を残しても遺留分は請求される?生前できる3つの遺留分侵害額請求対策

 

(2)老後の生活資金を確保できる

配偶者居住権」は、あくまでも被相続人(故人)の配偶者が自宅に住み続ける権利「居住権」であり、「所有権」ではない点も、大きなメリットです。
 
例えば遺産分割で不動産財産である自宅を相続すると、残りの現金や預貯金財産を相続できなくなり、これから老後の生活費を確保できない事態にもなり兼ねません。
 
そこで遺産分割において、例えば下記のような配分も可能です。
 

<配偶者居住権を利用した遺産分割の事例>
 
●不動産財産(自宅)3,000万円、預貯金財産3,000万円で、相続人が配偶者(母)と子ども1人だった場合
 
①子ども…自宅の所有権(不動産財産3,000万円)
②配偶者…預貯金財産(預貯金財産3,000万円)+配偶者居住権を利用

 
この点「配偶者居住権」は、所有権とは全く別物の権利に該当するので、自宅に住みながら老後資金も確保できます。
 

(3)配偶者が代償金を払うリスクが軽減される

一方、遺産分割で自宅を相続した場合、相続時に受けた不動産の評価額によっては、相続税や他の相続人への代償金(※)が高額になり、結果的に老後資金を確保できないケースもありました。
 

<遺産分割により配偶者が自宅を相続した事例>
 
●不動産財産(自宅)4,000万円、預貯金財産2,000万円で、相続人が配偶者(母)子ども1人だった場合
 
①子ども…預貯金財産(預貯金財産2,000万円)+代償金1,000万円
②配偶者…自宅の所有権(不動産財産4,000万円)-代償金1,000万円(子どもへ支払う)

 
つまりこの事例では、配偶者は子どもへ代償金として1,000万円を対価として支払わなければなりません。
 
ただ現実的に考えると、70歳80歳の高齢になって1,000万円の対価を用立てることは、相続した不動産を売却しない限りは、難しいと曹宇できますよね。
 

●そのため配偶者居住権を利用すれば、自宅の所有権を相続した際に比べて、評価額が抑えられるので、配偶者の代償金を支払うリスクが軽減されるでしょう。

 
(※)代償分割…相続における不動産財産の分割方法のひとつで、相続人のひとりが不動産財産を相続する代わりに、他の相続人にその対価を支払う仕組みです。
 

※不動産の分割方法について、詳しくは下記をご参照ください。
遺言書で代償分割を指定すれば家を残せる?相続で家族の住まいを残す3つの分割方法とは

 

 

配偶者居住権のデメリット

配偶者居住権のデメリット

これだけ助かる配偶者居住権ですが、全ての人々にベストな選択ではない時もあります。
例えば配偶者居住権を行使したものの「そもそも老後資金がほとんどない」との相談者もいました。
 

<配偶者居住権のデメリット>
(1)自宅の売却は不可
(2)必要経費がある

 
配偶者居住権を利用するならば、残された配偶者が生活費に困っていないこと、住み慣れた自宅を残す(住み続ける)ことを最優先としていること、が前提です。
 

自宅の売却は不可

配偶者居住権を利用すると、所有権を持たない配偶者はもちろん、所有者である相続人も含めて、下記のような事柄ができません
 

不動産を売却する
・融資の際に担保として設定する

 
相続の場面で不動産財産を売却したり、担保として設定できない他のケースは、遺産分割がまとまらないまま未了になっている場合や、共有財産として処理した場合などがあるでしょう。
 

●これは「配偶者居住権」が、自宅に住み続けることを前提としているためです。

 
自宅を継承した相続人に所有権はありますが、配偶者居住権が行使されているので、勝手に配偶者を追い出すような、売却や融資における担保は叶いません。
 
ここで問題になりやすい事柄が、配偶者居住権が行使されている時に、配偶者が認知症や怪我、病気などをきっかけに、老人ホームなどに引っ越すケースです。
 
配偶者居住権を行使している配偶者が老人ホームに入り、空き家になった自宅が残るケースも多々あります。
 

(2)必要経費がある

相続して自宅を残すのであれば、固定資産税が掛かります。
今後も維持するためには、固定資産税メンテナンス費用など、一定の経済的な余裕も必要です。
 

<不動産の相続と維持に掛かる費用>
・相続税
固定資産税(継続)
・修繕費(積み立て/継続)
・管理費(継続)
メンテナンス費(継続)

 
ただし相続を放棄し賃貸に住んでいても、毎月の家賃は掛かるでしょう。
また所有権が子どもなど、他の相続人にある場合、相続した不動産の維持管理費について、所有者が負担するのが一般的です。
 
そのため配偶者本人の負担になるとは限りませんが、配偶者居住権を利用し、売却できないまま所有することで、固定資産税などの維持費が継続的に掛かることも考慮してください。
 

 

配偶者居住権はどんな人が利用する?

では次に、配偶者居住権はどんな人が利用すると良いのでしょうか。
 
前述したように配偶者居住権を行使すると、相続した不動産を現金化したり、担保にできないので、それぞれの状況に応じた判断が必要です。
 

(1)自宅の評価額が高額
(2)後妻の家系ではなく、自分の子が相続する
(3)配偶者と子供が疎遠

 
以上のような人々は、配偶者居住権の行使を積極的に検討してみても良いでしょう。
それでは、下記よりそれぞれ詳しく解説していきます。
 

(1)自宅の評価額が高額

今まで住んできた自宅の評価額が高額な場合に、配偶者が自宅を相続して住み続ける選択をすると、他の相続人へ支払う代償金もそれだけ高額です。
 

・代償金を支払うと老後資金が底をつく
・代償金を支払う経済的余力がない

 
このような場合は、所有権として他の相続人に相続してもらうことで、代償金を支払う負担を免れます。
 
ただし代償金の負担を軽減する目的で配偶者居住権を行使するなら、所有権を相続する子どもなどの相続人との仲が良いと理想的です。
 

(2)後妻の家系ではなく、自分の子が相続する

高齢になってから再婚した場合に、前妻との子どもに家を相続してもらい、後妻に配偶者居住権を利用するよう、遺言書によって指定する事例があります。
 
これは自分が亡くなった後の「一次相続」は遺言書によって遺産分割を指定できても、自分亡き後、配偶者が亡くなった時の「二次相続」は、遺言書で言及できないための対策です。
 

<最終的に、自分の子に家を相続して欲しい>
 
①後妻が家を相続した場合
一次相続…後妻が家を相続
二次相続後妻の連れ子が家を相続する可能性
 
②前妻の子どもが家を相続した場合
一次相続…前妻の子どもが家を相続
二次相続…前妻の子どもが家を所有したまま(相続財産に当たらない)

 
…このように、自分亡き後に後妻が亡くなった時、家を後妻の家系である連れ子に相続されることなく、自分の子どもに最後まで所有権があります。
 
例えば、自分の子ども達が生まれ育った実家に愛着を持っている、独身の子どもが同居しているなどのケースで、二次相続になっても子どもが所有できるよう、一次相続の時点で遺言を残す方法です。
 

(3)配偶者と子供が疎遠

被相続人が遺書なしに亡くなった場合、被相続人の遺産は遺産分割によって話し合いで可決します。
 
配偶者との子どもに交流があり関係が円満であるならば、配偶者が法定相続分が上回ることがあっても、円滑に対処してくれるでしょう。
 
しかし配偶者と子どもが疎遠、確執がある場合は、別です。
相続人にはそれぞれに最低限遺産を相続できる割合「遺留分」を主張できる権利があります。
 

<配偶者居住権を利用して家を守る>
●現在住んでいる家が、遺産分割において他の相続人の遺留分を侵害すると…、
 
・家を売却して現金化を求められる(換価分割)
他の相続人が家を相続し、配偶者が追い出される

 
…などなどの結果になると、配偶者は住み慣れた家を出なければなりません。
 
このような事態を未然に防ぐために、配偶者居住権は有効です。
配偶者居住権を利用すると、他の相続人は例え所有権があっても、家は売却できません
 
そのため遺産分割で配偶者が相続できなくても、家は売却されることなく、住み続けることができます。
 

 

最後に

以上、配偶者が亡くなった一次相続において、残された配偶者が利用できる「配偶者居住権」のメリット・デメリット、どのような人々に有効なのかをお伝えしました。
 
配偶者居住権の行使は、住み慣れた家に安心して住み続けるだけではなく、「所有権」ではなく「居住権」なので、預貯金財産などが相続できるため、高齢の人々にとって老後資金の確保にも繋がる点がメリットです。
 
遺産分割で所有権を相続した子どもにとっても、固定資産税などの家の世話は自分が行いながら、遠方で気になる母親の住まいを確保できる、と喜ぶ声もありました。
 
遺産分割がまとまらない場合も、遺産分割協議書が作成(遺産分割の確定)まで、配偶者居住権により、相続から最も短いケースでも6ヶ月は住まいを守ることも可能です。
 

まとめ

配偶者居住権とは。メリット・デメリット
●配偶者居住権とは
・残された配偶者が自宅に住み続ける権利
・「所有権」ではなく「居住権」である
 
●配偶者居住権のメリット
・現在住んでいる家に、住み続けることができる
・老後の生活資金を確保できる
・配偶者が代償金を払うリスクが軽減される
 
●配偶者居住権のデメリット
・自宅の評価額が高額
・後妻の家系ではなく、自分の子が相続する
・配偶者と子供が疎遠

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永代供養ナビ編集長

株式会社霊園・墓石のヤシロ 営業本部長藤橋 靖雄

【経歴・プロフィール】

1998年入社。お墓販売、商品企画を経て、多様化する供養の形に応えるサービス・霊園プロデュースだけでなく、営業企画、WEBマーケティングなど幅広い埋葬、葬送事業を担当。
また、墓じまいや終活に関する各地域の終活イベント・セミナーにも講師として登壇し、終活のお悩みごとを解決するトータルアドバイザーとしても活躍。

【掲載メディア・登壇イベント】

株式会社エイチームライフデザイン運営

【保有資格】

終活カウンセラー 2級

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