卒塔婆とは、なぜ立てる?必要ある?その意味や立てるタイミング、本数や処分方法を解説
・卒塔婆とは?立てる必要はある?
・卒塔婆の費用や種類、立て方は?
・卒塔婆はいつまで立てる?処分方法は?
「卒塔婆(そとば)」とは、個々に故人を供養する卒塔婆供養で立て細長い木板です。
一般的には納骨式や、一周忌などの年忌法要などの節目に立てて供養します。
本記事では「卒塔婆(そとば)」とはなにか?立てる意味や立て方、誰がどのように立てるかや、注意点、処分方法まで解説します。
卒塔婆とは?
◇「卒塔婆」とは、故人の供養のために立てる木板です
卒塔婆は(そとば)(そとうば)などと呼び、サンスクリット語の「ストゥーパ」が語源で、「塔婆(とうば)」とも呼ばれます。
「ストゥーパ」とは、お釈迦さまのご遺骨「仏舎利」を納め、供養のために上に建てた塔がはじまりで、五重塔や五輪塔もストゥーパです。
そこでギザギザ上部のデザインは、五輪塔の名残りです。
<上部デザインの意味> ●上から順番に |
|
[デザイン] | [意味] |
・宝珠 | ・空 |
・半円 | ・風 |
・三角 | ・火 |
・円 | ・水 |
・四角 | ・地 |
この「空・風・火・水・地」は、宇宙やあらゆる世界を構成する5つの要素「五大要素
の意味があります。
このように、もともとは石塔でしたが、個人で石塔を立てて供養するのは現実的ではなく、時代とともに細長い木板が利用されるようになりました。
卒塔婆と塔婆は違うの?
◇卒塔婆と塔婆は同じ意味です
サンスクリット語の「ストゥーパ」が語源であることはお伝えしましたが、インドから中国に渡ると、「卒塔婆」という漢字をあてられました。
そのまま日本にも卒塔婆が入り変化したため、卒塔婆と塔婆には違いはありません。
敢えて言うならば、卒塔婆を簡略化した言葉が塔婆です。
そのため、卒塔婆(塔婆)は仏教の供養となり、仏教のお墓のみで扱われます。
卒塔婆に書かれている内容は?
◇戒名や経文、法要の日付などが記載されます
卒塔婆には多くの文字が記載されていますよね。
そのため具体的な内容は、把握していない人が多いでしょう。
大まかに卒塔婆に書かれていることは、下記の6点です。
<卒塔婆に書かれている内容> | |
[内容] | [説明] |
①戒名 | ・仏弟子として授かった名前 |
②命日 | ・故人が亡くなった日付 |
③経文 | ・仏教の教えを表すお経 |
④梵字 | ・空、風、火、水、地の五大要素 |
⑤施主名 | ・卒塔婆を立てた人の氏名 |
⑥法要日 | ・卒塔婆を立てた日 |
宗派によって内容が一部変わることもありますが、基本的には上記の内容が記されています。
卒塔婆は何のために立てる?
◇故人の追善供養が目的です
卒塔婆は、故人の追善供養として立てます。
「追善供養(ついぜんくよう)」とは、故人を偲ぶ生きている者が祈ることで、故人の善行となり、極楽浄土へ成仏するための後押しです。
仏教では卒塔婆を立てること自体が善行であり、それによって供養がなされます。
また個々の故人を供養する卒塔婆は「故人への手紙」ともされ、この世とあの世、生きる者と亡き者をを結ぶ役割も大きいです。
卒塔婆を立てて故人へ手紙を送り、家族が精一杯生きていることを報告します。
卒塔婆は立てなければダメ?
◇卒塔婆は必ず立てないと供養ができない訳ではありません
追善供養として行う卒塔婆供養は必ず準備すべきものではなく、必要性を感じなければ省略することもできますが、一般的には納骨式や年忌法要などの節目に立てられます。
そのため卒塔婆を立てるかどうかは、親族で話し合うと良いでしょう。
また卒塔婆は仏教によるもので、ほとんどの仏教宗派で行われますが、浄土真宗では卒塔婆を立てる考え方はありません。
卒塔婆の立て方
◇卒塔婆は僧侶が文字を書き入れ、作成します
そのため卒塔婆を立てる時には、法要の数週間前には依頼すると良いでしょう。
法事の日程を相談する際に、卒塔婆の料金を確認しておくとスムーズです。
<卒塔婆を依頼する> | |
[相談先] | ●墓地管理者 ・菩提寺 ・霊園など |
[期間] | ・法要の約2週間前まで |
[申し込み方] | ・直接相談する ・専用の申込書で発注する ・電話で相談する ・ネット注文 |
一般的には法要の2週間前までに卒塔婆の依頼をしますが、お盆など依頼時期やタイミング、寺院によって差があるので、事前に確認をしてください。
申し込み方法も現代ではさまざまです。
一般的には直接伺って相談をしますが、電話での受付や、専用の申込書が用意されている場合もあります。
申し込みは、戒名や命日が確認できるものを準備しましょう。
卒塔婆はいつ立てる?
◇本来、卒塔婆はいつでも立てることができます
基本的に卒塔婆はいつでも立てることができますが、一般的には回忌法要など、節目のタイミングで立てる人が多いでしょう。
ただ納骨式では、最初に卒塔婆がよく建てられます。
遺骨をお墓に納める際に、卒塔婆を立てて行う故人への供養です。
<卒塔婆を立てるタイミング> | |
●納骨式 | ・四十九日 |
●年忌法要 | ・一周忌 ・三回忌 ・七回忌 |
●年中行事 | ・お盆 ・お彼岸 |
●故人の日 | ・命日 |
卒塔婆を立てるタイミングは、親族で話し合っておくと準備がスムーズです。
通常、法事などでは施主がご案内状を出すタイミングで、参列者へ卒塔婆を立てるかどうかを確認します。
卒塔婆は誰が立てる?
◇卒塔婆は誰でも立てることができます
一般的には回忌法要などの節目に、施主により卒塔婆を立てることが多いです。
また地域によって施主や親族だけではなく、故人の友人・知人から卒塔婆を出す習慣もあります。
<卒塔婆を立て方> | |
①個人が出す | ・一本ずつ …など |
②まとめて出す | ・家族一同 ・兄弟一同 …など |
前述したように法要のご案内を通して、卒塔婆を立てるかどうかを施主が参列者に伺いますが、人数が多い場合には、施主がまとめて集計し、寺院のご住職へ依頼する流れです。
参列者へのお伺いの立て方
卒塔婆は何本立てる?
◇一般的には故人1人につき、1本の卒塔婆を立てます
故人の追善供養が目的なので、本数に決まりはありませんが、一般的には、故人1人につき1本の卒塔婆を立てます。
そのため兄弟で1本立てたり一家一同として立てることもありますが、一方で多く立てたからといってマナー違反とはなりません。
「7本卒塔婆」とは?
「7本卒塔婆」とは、亡くなったばかりの故人の追善供養として、四十九日までの7日ごとの法要のなかで、1本ずつ7本立てていく卒塔婆供養です。
卒塔婆を立てる数を検索すると「7本卒塔婆」が出てくることがありますが、追善供養のひとつの形ですので、卒塔婆を必ず7本立てる訳ではありません。
詳しくは卒塔婆の種類で詳しく解説します。
卒塔婆の数え方
◇卒塔婆の数え方は、大きさで違いがあります
大きな卒塔婆は五輪塔になぞらえて「基(き)」、小さい卒塔婆は「本(ほん)」と数えることが多いです。
大きい卒塔婆だと「5基(き)」、小さい卒塔婆は「5本(ほん)」になりますが、地域性もあります。
卒塔婆を立てる注意点
◇卒塔婆を立てる際、ご住職や墓地管理者へ相談をします
卒塔婆を立てる時は、霊園や寺院墓地などの墓地管理者に相談をすることで、卒塔婆を準備してくれますが、墓地の大きさや宗派などによっては、注意が必要です。
例えば、卒塔婆は仏教として何本立てても問題はありませんが、現実的に墓地区画の大きさから、卒塔婆を立てるスペースが限られていることもあります。
参列者へ卒塔婆のご案内をかけてから問題が起きないよう、事前に下記3点を関係者に確認をしましょう。
卒塔婆を用意する人は?
◇施主が自ら卒塔婆を用意する墓地もあります
卒塔婆は墓地管理者と施主どちらが用意すべきか、あらかじめ確認すると安心です。一般的には塔婆供養を申し込むと、墓地管理者側で用意をしてくれます。
けれども、なかには施主自身が卒塔婆を用意して、墓地まで届ける習慣を持つ地域や墓地もあるためです。
どちらが卒塔婆を準備すべきか、事前に確認しておくと良いでしょう。
卒塔婆が立つ本数は?
◇お墓に立つ卒塔婆の本数を確認します
卒塔婆供養では、卒塔婆を墓地区画内の他、本堂内に立てる墓地もあります。
お墓に卒塔婆を立てる時には、墓地に立つ卒塔婆の本数を事前に確認しておきましょう。
特に近年は墓石の横に卒塔婆を置くお墓も見かけますが、一般的には1本~3本までが多いです。
宗派を確認
◇浄土真宗では卒塔婆を立てません
お墓が建つ寺院が浄土真宗である場合、卒塔婆供養には対応しないでしょう。
浄土真宗以外の仏教宗派では、故人が極楽浄土へ成仏することを祈り、追善供養を行うため、卒塔婆供養も行うとされます。
けれども浄土真宗は、人が亡くなると阿弥陀如来様の他力本願により、誰もがすぐに極楽浄土に成仏する「往生即成仏」の考え方があり、供養も必要ないためです。
卒塔婆の種類は?
◇卒塔婆には5つの種類があります
卒塔婆には、大まかに5つの種類があり、それぞれに役割が異なるので、目的に合わせて選んでください。
卒塔婆供養は、卒塔婆を立てた法要の日のみの供養ですので、すぐに処分したり自宅へ持ち帰る人もいますが、一般的には新しい卒塔婆が立つまで、そのまま墓地に立てられます。
そのため家族で相談をしながら、適切な種類の卒塔婆を選ぶと良いでしょう。
卒塔婆の種類;7本卒塔婆
◇四十九日まで7日ごと、7回の法要ごとに立てる卒塔婆です
葬儀が終り初七日から四十九日までの忌中に、7日ごと・7回の法要で立てる7本の卒塔婆です。
①板塔婆を7本並べて立てる
②扇状になっている卒塔婆
③40~50cmほど、コンパクトな卒塔婆
卒塔婆7本全てを立てるとスペースがないお墓も多く、この場合にはコンパクトな卒塔婆が使われます。
また地域によっては7日ごとに毎回立てるのではなく、初七日に7本全てを立てて、その後7日ごとに1本ずつ抜く、あるいは裏返しにする風習もあるでしょう。
卒塔婆の種類:板塔婆
◇「板塔婆(いたとうば)」は、一般的な長くて細い木板の卒塔婆です
卒塔婆のなかでは最も利用される卒塔婆でしょう。
ただ地域によって長さが異なり、高さは60~200cmほどの幅があり、厚みは約1cmほどです。
「卒塔婆」のイメージ通り、お墓の後ろや周辺に設置されます。
卒塔婆の種類;角塔婆
◇「角塔婆(かくとうば)」は、四角い柱状の卒塔婆です
「角塔婆(かくとうば)」は、四角い柱状に削られた木の卒塔婆で、板塔婆よりも長く、厚くなります。
●角塔婆の長さは約120~210cmほど、厚さも約10cmほどです。
そのため角塔婆は墓石が完成するまでの間、お墓の目印として使用されることが多いでしょう。
また寺院の新築や再建、修繕、改築でもお祝いの儀式や落慶法要で使用されます。
卒塔婆の種類;経木塔婆
◇「経木塔婆(きょうきとうば)」は小さく軽い卒塔婆です
経木塔婆の厚さ1mm、長さは約27~36cmほど、板塔婆よりもずっと小さくて軽い卒塔婆を「経木塔婆」と言います。
経木塔婆は水に浮かべたり、川に流して卒塔婆供養を行うため「水塔婆(みずとうば)」とも呼ばれます。
寺院によっては川には流さず、本堂の壇上に置いて供養することもあるでしょう。
卒塔婆の種類;梢付き塔婆
◇「梢付き塔婆(うれつきとうば)」は、生木の枝が付いたの卒塔婆です
生木が付いたままの卒塔婆として「生木塔婆(なまきとうば)」の別名もあります。
一般的に三十三回忌や五十回忌など、最終の年忌法要の際に立てられる卒塔婆です。
そのため地域や寺社によって異なりますが、梢付き塔婆を立てて、年忌法要を終える「弔い上げ」を行ったり、永代供養で選ばれます。
卒塔婆を立てる費用「卒塔料」は?
◇「卒塔婆料」とは、卒塔婆を準備してもらう料金です
「卒塔婆料」は「塔婆料」「卒塔婆供養料」とも呼ばれ、卒塔婆に戒名などの文字を書いてもらう時に、寺院へ支払います。
そのためお布施と違い、卒塔婆料は依頼した人のみ支払う「料金」です。
寺院のご住職が卒塔婆料を決めるため、お布施よりも料金は明瞭ですので、塔婆代が分からない場合は、お寺に直接金額を尋ねることができます。
「〇月に法要を予定しておりますが、塔婆代に関するお決まりごとはありますか?」などと伺うと、寺院の人がスムーズに対応してくれるでしょう。
卒塔婆料の相場は?
◇卒塔婆料の相場は、約3,000円~5,000円/1本ほどです
全体的な卒塔婆料の目安幅としては、約2,000円~10,000円ほどでしょう。
地域や宗派によっても異なり、平均的には約3,000円~5,000円の範囲です。
家族や兄弟など、まとめて卒塔婆を依頼すると、複数の本数を依頼しますが、この場合は本数分の金額を支払います。(3,000円/1本×3本=9,000円など)
卒塔婆料の包み方は?
◇卒塔婆料はお布施と同様に、厚手の白封筒に包みます
卒塔婆料を包むマナーは基本的にお布施と同じです。
水引の付いていない厚手の白封筒に、お布施とは別に包みましょう。
・茶封筒
・郵便番号枠が印字している封筒
現代では最初から「御塔婆料」と印字された封筒も市販されています。
このような市販の封筒を活用しても便利です。
奉書紙に包む
◇卒塔婆料は奉書紙に包むこともできます
奉書紙に卒塔婆料を包む場合、事前にお札を半紙や封筒で包み、その上から上包みとして、奉書紙を利用します。
奉書紙の上に中包みを置いたら、左→右→下→上の順番で包むのがマナーです。
卒塔婆料の表書き
◇「御塔婆料」「卒塔婆料」「卒塔婆代」のいずれかを記載します
白封筒の表、上部の中央に濃墨の筆で書き入れます。
表書きの下には、卒塔婆を立てる施主などの氏名です。
フルネームが一般的ですが、複数人で塔婆を立てる場合は〇〇家とまとめて記載しても問題ありません。
中袋の書き方
◇中袋には、塔婆料の金額を記載します
金額を書く位置は、中袋の表の上部、中央です。
「金〇〇円」「金○○円也」と書き入れます。
金額は「壱」「弐」「参」などの旧字体の漢数字を使用しましょう。
卒塔婆代の包み方は基本的にお布施と同じですので、旧字体の漢数字など、詳細は下記コラムをご参照ください。
卒塔婆はいつまで立てる?
◇新しい卒塔婆を立てる時、古い卒塔婆を交換します
次に卒塔婆を立てる時に古い卒塔婆を下げますが、卒塔婆の状態が悪くなる前に、新しい卒塔婆を立てて交換すると良いでしょう。
①新しい卒塔婆と交換
・木が朽ちる前
・字が薄くなって読めなくなる前
②弔い上げ
(供養を終えること)
・25回忌法要
・33回忌法要
長期間放置してボロボロになった卒塔婆は、外から見ても少し怖いですよね。
それだけではなく、強風によって隣接したお墓を破損する危険性もあるでしょう。
卒塔婆の片付けは墓地管理者で異なるため、まずは確認すると安心です。
卒塔婆はどのように処分する?
◇卒塔婆供養は、立てたその日1日だけの功徳です
そのため法要やお墓参りが済めば、その役目を終え、木の板でしかなくなります。
けれども卒塔婆は次の法要までそのまま立てておき、新しく卒塔婆を立てる時に交換するのが一般的です。
寺院や霊園などでは卒塔婆を下した後、お焚き上げなどをして処分するためです。
ただの木の板になっているため、家で燃えるゴミとして処分することもできますが、一般的ではありません。
家で処分する場合は、塩を振るなどして清めてから捨てても良いでしょう。
卒塔婆は木製のため、時間が経つと劣化が激しくなります。
見た目が悪く、風に飛ぶと事故や他の墓主とのトラブルにつながる可能性もあるので、古くなってきたら墓地管理者へ相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ:卒塔婆は故人を供養する「手紙」です
卒塔婆の語源「ストゥーパ」は、サンスクリット語で「仏塔」を意味します。
インドの「ストゥーパ」にはお釈迦様の骨「仏舎利」が納められており、この塔が五重の塔の起源、五輪の塔が卒塔婆の起源です。
この卒塔婆は日本に古くから存在し、平安時代には墓標として使用されていました。現代でも、墓石を立てるまでの仮の墓標として塔婆が立てられる場合もあります。
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