
初盆の法要とは?流れ・準備・お布施・服装まで|初めてでも安心できる基礎知識

初盆(新盆)は、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆であり、特別な意味を持つ大切な節目です。
遺族や親族が集い、僧侶を招いて法要を行うことが多く、通常のお盆以上に丁寧な準備や対応が求められます。
「何を準備すればいいの?」「服装は?お布施はいくら?」「香典のお返しは必要?」──
はじめて初盆(新盆)法要を行う方にとっては、分からないことや不安も多いのではないでしょうか。
本記事では、初盆(新盆)法要の流れや準備するもの、マナーや費用の目安などをわかりやすく解説します。
宗派や地域による違いにもふれながら、心を込めた供養を行うためのポイントを丁寧にご紹介します。
初盆法要とは?意味と大切さを知っておこう

初盆(新盆)は、故人が亡くなってから四十九日を経たあと、初めて迎えるお盆のことを指します。
通常のお盆よりも特別な意味合いを持ち、僧侶を招いて法要を行い、親族や友人を招いて丁寧な供養を行うのが一般的です。
この初盆(新盆)法要は、単なる仏教行事ではなく、故人への感謝と弔意を改めて形にする大切な機会でもあります。
宗派や地域によって形式や準備の内容はさまざまですが、共通して言えるのは「心を込めて故人を迎える」という姿勢です。
以下では、「お盆と初盆(新盆)の違い」「法要の意味」「初めての方がつまずきやすいポイント」など、基本的な理解を深めるための情報をまとめてご紹介します。
初盆(新盆)とお盆の違いとは?
「お盆」は、毎年8月(または7月)に先祖の霊を迎えて供養する、日本の伝統的な行事です。
一方で「初盆(新盆)」は、亡くなってから四十九日を過ぎて初めて迎えるお盆のことを指し、通常のお盆とは区別されます。
一般的なお盆では家族だけでお墓参りやお供えをすることが多いですが、初盆(新盆)では僧侶を招いて法要を行うのが一般的です。
また、香典やお返し(初盆返し)をやり取りするなど、準備やマナー面でもより丁寧な対応が求められます。
つまり、初盆(新盆)は「いつもと同じお盆」ではなく、特に大切に扱われる“はじめての供養の場”だと理解することが大切です。
この記事では、初盆(新盆)法要とは?日程や流れ、準備するもの、服装・香典・お布施のマナーまで丁寧に解説。初めてでも安心できる基礎知識をわかりやすく紹介します。宗派や地域による違いにもふれ、無理なく供養を進めるためのポイントをわかりやすくまとめています。
[お盆の基礎知識]
法要の意味と必要性
法要とは、故人の冥福を祈り、僧侶の読経やお供え、焼香などを通じて供養を行う仏教的な儀式のことです。
初盆(新盆)では、この法要が特に重視され、仏壇や祭壇の飾り付け、参列者の招待、お布施の用意など、さまざまな準備を整える必要があります。
法要を行うことには以下のような意味があります:
● 故人の魂を丁寧に供養する
● 遺族・親族が集い、故人のことを語り合う機会を持つ
● 仏教の教えに則り、次の世への導きを願う
また、法要の形式は宗派によって異なります。真言宗や浄土宗などでは読経の内容や供物の準備に違いがあり、事前に確認しておくと安心です。
初めての方が初盆の準備で迷いやすいこと
初盆(新盆)法要の準備は、思っている以上にやることが多く、「どこから手をつけていいかわからない」と感じる方も少なくありません。
特に初めての場合、以下のような点で迷いやすい傾向があります。
● 日程や場所はどう決めるの?
→ 自宅・お寺どちらで行うか、僧侶の都合と合わせる必要があります。
● お布施はいくらが相場?
→ 宗派や地域で異なるため、菩提寺に相談するのが無難です。
● 香典のお返しは必要?誰に渡す?
→ 初盆(新盆)では「初盆返し」として返礼品を用意するのが一般的です。
● 服装や招待客の範囲は?
→ 喪服や略喪服が基本ですが、暑さや参列者の年齢にも配慮を。
このように、初盆(新盆)の準備では“正解が一つではない”ことも多く、地域の慣習や親族への相談をしながら進めることが安心につながります。
初盆法要をしない選択はある?
「仕事や家庭の事情で準備が難しい」「遠方の親族が集まれない」など、さまざまな理由から初盆(新盆)法要を行わない(簡略化する)家庭も増えてきました。
本来、初盆(新盆)法要は“必ず行わなければならない”という決まりはありません。大切なのは、形式にとらわれず、故人を偲ぶ気持ちをどう形にするかということです。
たとえば、
● 自宅で簡単に線香をあげるだけの供養
● 白提灯は用意せず、仏壇に故人の好きな花を飾る
● 菩提寺に読経だけを依頼し、会食は省略する
といった「無理のない範囲での供養」も、立派な初盆の形といえるでしょう。
ただし、地域や親族の間で「やるのが当然」という意識が強い場合は、事前に一言伝えておくことでトラブルを避けやすくなります。
また、宗派や菩提寺の方針によっても考え方が異なるため、不安がある場合は住職や年長者に相談するのがおすすめです。
初盆法要をしないことを選んだとしても、心を込めた供養の気持ちがあれば失礼にあたることはありません。
大切なのは、「しきたりを守る」ことよりも、「想いを大切にする」ことだという点を忘れずにいましょう。
[通常のお盆でやること]
合祀墓に納骨した個人の初盆法要はなし?合同?
近年増えている合祀墓(ごうしぼ)や永代供養墓に納骨した場合、「個別に初盆法要をしなくてもよいのか?」「お寺で合同法要が行われるのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
結論からいえば、合祀墓に納骨された故人の初盆法要を必ず個別に行う必要はありません。
多くの霊園や寺院では、お盆や初盆の時期に合同法要(合同供養祭)を開催しており、参列・申込みすることで供養の機会を持つことができます。
ただし、
● 合祀墓の管理元によっては「初盆合同法要」を行わないケースもある
● 家族だけで自宅にてお線香をあげる「簡易な個人法要」も可能
● 合祀墓に納骨後も、菩提寺で初盆の読経をお願いするご家庭もある
など、選択肢はさまざまです。
特に初盆は、故人を偲ぶ最初のお盆という節目でもあるため、たとえ合祀墓であっても「気持ちを込めた供養」をすることが大切です。
どうすればよいか迷ったときは、合祀墓の運営先や、家族・親族の意向をふまえて検討するとよいでしょう。
また、初盆法要を合同で済ませる場合でも、可能であれば香典返しや感謝の挨拶などを通じて“心を伝える配慮”を忘れないことがマナーとされています。
初盆法要の時期や基本的な流れと準備

初盆(新盆)の法要は、通常のお盆以上に丁寧な準備と段取りが求められます。
とくに日程の調整や会場の確保、お供え物や返礼品の準備など、事前にやるべきことが多いため、余裕をもって計画を立てることが重要です。
ここでは、初盆(新盆)法要の具体的な流れや準備項目、家族だけで行う場合の対応などを詳しく見ていきましょう。
いつ・どこで行う?初盆法要の日にちと場所の決め方
初盆(新盆)法要の時期は、一般的にお盆の時期や日にち(8月13日~16日)に合わせて行います。
ただし、地域によっては7月盆(新盆)・旧暦盆などの時期に行う文化があるため、まずは「地域の慣習」に従った時期が基本です。※7月盆も「新盆」の別名がありますが、初盆の別名である「新盆」とは別のものです。
時期や日にちを決める際は、以下の3点を考慮しましょう:
● 僧侶の都合(お寺に早めに確認する)
● 参列者の集まりやすい日(平日か土日か)
● 会場の確保(自宅・お寺・斎場など)
時期だけではなく場所決めも不可欠です。自宅やお寺で行うのが一般的ですが、会場の広さや準備負担を考えて、外部の法要会場を借りるケースも増えています。
ご家庭の状況に応じて、無理のないスタイルを選びましょう。
法要に必要な準備リスト|お供え・香典返し・引き出物
初盆(新盆)法要を行うにあたっては、以下のような準備を整えておく必要があります。
【 基本的な準備リスト】
● 祭壇・仏具の準備(白提灯・位牌・精霊馬など)
● 僧侶への依頼とお布施の準備
● お供え物(故人の好物・果物・団子など)
● 香典返し(初盆返し用の返礼品)
● 引き出物(地域によっては別に用意)
● お茶・お菓子・手土産などの来客対応品
● 会食の手配(仕出しや弁当の準備など)
香典返しについては、「香典をいただいた方全員に渡す」のが基本です。
当日直接お渡しするか、後日郵送するかも事前に決めておきましょう。
引き出物は地域性が強く、「香典返しと一緒にする地域」「別で用意する地域」に分かれます。地元の葬祭業者や親戚に確認するのが安心です。
家族だけでも可能?会食や食事の判断ポイント
近年は、初盆(新盆)法要を「家族だけ」で行うご家庭も増えてきました。
とくに高齢の参列者や遠方の親族が多い場合、無理に大人数を招かず、小規模で心のこもった供養をするという考え方も一般的になりつつあります。
会食(食事)についても、必ずしもフルコースや仕出し料理を用意する必要はありません。
以下のような判断基準を参考にしましょう:
● 少人数の場合:簡単なお弁当やお茶菓子でも十分
● お寺や外部会場の場合:会場規約や利用時間も考慮
● 感染症対策・体調不安がある場合:会食を省略して「なし」にする選択もOK
大切なのは「形式にとらわれず、感謝の気持ちをどう伝えるか」です。
「家族だけで静かに過ごす初盆(新盆)」も、立派な供養の形のひとつといえるでしょう。
服装・参列マナー|参列者と主催側の注意点

初盆(新盆)の法要においては、服装やふるまいにも配慮が求められます。
特に夏の暑さの中で行われる行事だからこそ、「きちんとして見えること」と「無理をしないこと」のバランスが大切です。
ここでは、参列者・主催者双方の立場から、押さえておきたい服装マナーや香典の作法、避けた方がよいNG行動などを解説します。
喪服・略喪服の違いと夏の装いマナー
初盆(新盆)は正式な法要であるため、原則として喪服または略喪服を着用します。
ただし、季節や会場の雰囲気に応じて、少し柔軟に対応することも可能です。
【喪服と略喪服の違い】
●喪服(正式喪服):黒無地の礼服、黒ネクタイや黒ストッキングが基本。葬儀や通夜に使われる格式高い装い。
●略喪服:黒・濃紺・グレー系の地味な服。ワンピースやシャツ、セットアップなども含まれる。
初盆(新盆)では略喪服が選ばれることも多く、「暑さに配慮した清潔感のある服装」が好まれる傾向にあります。
【夏の装いマナー】
●ノースリーブは避け、袖付き・襟付きの服を選ぶ
●派手な柄・素材は避け、無地または控えめなデザインに
●靴やバッグも黒を基本とし、光沢のない素材が望ましい
子どもや妊婦の場合は、体調を最優先にしつつ、TPOに沿った「きちんと感」を意識するのがポイントです。
挨拶・香典袋の表書き・参列時のふるまい方
初盆(新盆)法要に参列する際は、服装だけでなく、挨拶や香典の渡し方にも気を配ることが大切です。
【香典袋の表書き】
●表書きは「御仏前」または「御供物料」などが一般的(※浄土真宗では「御仏前」が基本)
●水引は黒白、または双銀の結び切りを使用
●名前はフルネームで、連名の場合は目上の人を右側に記載
【挨拶・ふるまい】
●到着時には「本日はご供養に伺いました」などの丁寧な言葉を添えて受付へ
●焼香の際は姿勢を正し、短く黙祷するのが基本
●食事の席では故人を偲ぶ話題を心がけ、大声や笑い話は避けるのが無難
ふるまいに不安がある場合は、周囲の動きを見ながら慎重に対応することが安心です。
やってはいけないことを事前にチェック
初盆(新盆)は格式のある行事のひとつ。うっかり失礼にならないよう、事前にNGマナーをチェックしておくことも大切です。
【初盆(新盆)で避けたい行動リスト】
●明るすぎる服装(原色・光沢のある素材)を着る
●香典袋の表書きを間違える(「御霊前」は忌明け前の法要で使用)
●強い香水や派手なアクセサリーをつける
●遅刻・無断欠席・当日キャンセルをする
●大声で談笑する、故人と無関係な話題ばかりする
また、会食などでアルコールが出る場合でも、節度あるふるまいと丁寧な言葉づかいを意識しましょう。
「何を避ければいいかわからない」という方は、事前に喪主や主催者側に一言相談しておくと好印象です。
お布施・香典・金額マナーを知ろう

初盆(新盆)法要を行う際、避けて通れないのが「お布施」や「香典」に関するマナーです。
金額の相場や渡すタイミング、表書きの仕方など、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
また、似たような言葉である「引き出物」や「香典返し」との違いも、初めての方には分かりづらいポイントです。
このセクションでは、宗派ごとの考え方も交えつつ、お布施・香典に関するマナーを丁寧に解説します。
お布施はいくら?相場と渡すタイミング
お布施とは、法要の読経や供養をしてくださる僧侶にお渡しする謝礼金のことを指します。
【お布施の相場】
●自宅法要の場合:2万〜5万円程度
●寺院での法要:1万〜3万円程度
※読経のみか、会食・塔婆供養の有無でも異なります
地域によっては「お車代(5千円〜1万円)」や「御膳料(5千円〜1万円)」を別途用意することもあります。
【お布施を渡すタイミングとマナー】
●法要前または読経後、僧侶に直接手渡すのが基本
●白封筒または奉書紙に包み、外包みに「御布施」と表書きを記載
●水引は不要、または白黒の結び切りを使用(地域差あり)
あらかじめ準備し、取り出しやすいよう袱紗に包んで持参しましょう。
香典・お返し(お礼)・引き出物との違い
似ているようで異なる3つの項目、それぞれの意味と使い分けをしっかり把握しておきましょう。
項目 | 意味・目的 | 誰が渡す? | タイミング |
---|---|---|---|
香典 | 故人への弔意を表す金品 | 参列者から遺族へ | 法要当日に持参・受付で渡す |
香典返し | 香典へのお礼 | 遺族から参列者へ | 法要当日または後日送付 |
引き出物 | 会食のお礼・記念品 | 遺族から会食出席者へ | 会食後に手渡し |
香典と引き出物の両方を受け取る場面もあるため、主催側は重複感のない品選びが求められます。
浄土真宗・真言宗などお寺の宗派別の違いと注意点
法要にまつわるマナーや考え方は、宗派によって細かな違いがあります。
【代表的な違い】
●浄土真宗:故人の成仏ではなく「すでに仏となられている」という考え方。
→「御霊前」より「御仏前」を使うのが一般的。
●真言宗:密教的な儀式を重視し、供物・供花にも作法あり。
→読経の長さや法具に特徴。
●臨済宗・曹洞宗:儀式よりも静かな佇まいを重視。
→会食を簡素に行う家庭も多い。
【注意点】
●宗派によっては、「表書き」「焼香の回数」「供物の形式」などにルールがあります。
●迷った場合は、菩提寺や葬儀社、地域の年長者に確認するのが確実です。
特に初盆法要は親族が多く集まるため、宗派に即したしきたりを丁寧に行うことが、「失礼のない進行」につながります。
まとめ|初盆法要は“心を込めて行う”供養の時間

初盆(新盆)の法要は、故人が旅立った後、初めて迎える特別なお盆行事です。
初盆法要で必要な準備や当日の流れ…、例えば、会場の手配はもちろん、お布施や香典の金額、返礼(引き出物)のマナー、服装や作法など、初めての方には不安な点も多いかもしれません。
しかし、本当に大切なのは、形式よりも「心を込めて供養する気持ち」です。
地域や宗派による違いはあっても、遺族や参列者の誠実な姿勢が、もっとも大きな供養になるといえるでしょう。
無理のない範囲で丁寧に準備し、心を込めて初盆(新盆)法要を迎えることが、故人への何よりの贈り物になるはずです。
会場や服装、引き出物、お布施まで丁寧に解説していますので、この記事が少しでもあなたの安心につながれば幸いです。
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