
【納骨しない体験談】妻の遺骨を手元供養+海洋散骨。遺言で棺桶に入れてもらうよう指示

近代では墓じまいが増え、「納骨しないで済む方法はありますか?」との相談も受けるようになりました。
確かに墓じまいによりお墓が無くなると、改めてお墓を建てるにも費用が掛かるため、終活では子どもに建墓費用の負担を掛けないためにも、納骨しない方法を検討したくなりますよね。
今、墓じまいを終えた後に、終活で選ばれる納骨しない方法には、手元供養や自然葬があるでしょう。
今回は、近年増えた納骨しない選択肢について、坂本さん(仮名)ご夫婦の体験談をお伝えします。

定年退職後、最初に行った「墓じまい」

●高齢になって郷里にあるお墓の管理が大変になり、坂本さんご夫婦は墓じまいを決断します
30代で宮崎の郷里から大阪へ転勤したまま移住し、そのまま定住した坂本さんご夫婦にとって、宮崎の菩提寺に建つ先祖代々墓は、継承者と言っても名ばかりで、実質的な管理は、宮崎に住む伯父夫婦が担ってきました。
・頼りになる伯父も伯母も亡くなった
・定期的なお墓参りができない
・満足な法要が執り行えない
・高齢になり意見が通りやすくなった
・弔い上げに良いタイミングだった
伯父の七回忌法要を執り行った際、土日に設定して細やかな配慮をしたものの、忙しかったり、交通費の問題で、結局5人しか集まらなかった出来事が、坂本さんご夫婦が本格的に墓じまいを考えるようになったきっかけです。
また子ども達にお墓の継承を打診したところ、難しそうな返答だったこともあります。
「これは今後、お墓の維持管理は難しい」と感じ、伯父や伯母、両親の法要を終える「弔い上げ」を行った後、墓じまいを決断しました。
坂本さんご夫婦は高齢になり、親族トラブルはなかったものの、墓じまいでは親族トラブルにも配慮すると良いでしょう。
・墓じまいや仏壇じまいで親族間トラブル☆話し合いがまとまらない事態を解決した3つの対策
墓じまいで取り出した遺骨は、樹木葬へ
●墓じまいにより取り出した遺骨は、自宅近くの霊園施設で自然葬を選択しました
ご住職へ相談して、紹介してもらった石材業者に依頼し墓じまいを済ませます。
最初はそのまま菩提寺の合祀墓への納骨を考えていましたが、定期的にお墓参りがしたかったため、菩提寺のご住職や夫婦で相談をして、自宅近くの霊園を探します。
●[10万円/1柱]×[6柱]で60万円が、樹木葬に掛かった費用です。
・伯父伯母2柱
・両親2柱
・祖父母2柱
※加えて納骨式の費用が掛かっています。
(ご住職へ納骨式の読経供養を依頼し、坂本家の場合はお布施として約7万円)
シンボルツリー型樹木葬を選んだため、合祀墓と同じく大きな大樹へ向かい手を合わせる葬送でしたが、区画の前には供花、お焼香台も設置され、心を込めて供養がしやすい環境だと感じました。
坂本さんご夫婦が利用した霊園では、毎月の合同供養も行われていたため、近所だったこともあり、夫婦で散歩がてら参加していましたが、これが定期的なデートのようで、夫婦仲が良くなったと言います。
妻の海洋散骨

●墓じまいから5年後に妻が病気になり、納骨しない葬送のため、終活を始めます
墓じまいを済ませたことで、坂本さんご夫婦の納骨先もありません。
そこで夫婦で、自分達の遺骨をどうするか…、子ども達に建墓費用やお墓の維持管理の負担を掛けないよう、納骨しない葬送の生前契約など、終活を進めようと話していました。
けれどもその矢先に妻が病気を患い、一人で積極的に納骨しないための終活を進めます。
●妻の希望で坂本さんは新婚旅行の海へ行きますが、そこで妻は、積極的に海洋散骨の生前契約を済ませました。
坂本さんご自身は「まだ早い!」と嫌がったものの、妻としては「もう来れないかもしれない。」として、どんどんと進めてしまったと言います。
そのため坂本さんご自身としては、納得して進めた納骨しない終活とは言えませんでした。
妻が亡くなった後
●坂本さんは妻が亡くなった後、「手元供養+海洋散骨」パックへ契約を変更します
契約時に感じた不安が的中するように、妻が亡くなった後、新婚旅行の海へ行きましたが、契約通り海洋散骨を進めようとした時、坂本さんは改めて、遺骨が全く無くなる「0葬」に抵抗を感じました。
●すると現地の散骨業者に「手元供養+海洋散骨」パックがあると提案されます。
・遺骨をパウダー状に粉骨
・一部を海洋散骨セレモニー
・一部を手元供養用の骨壺に収める
…以上の流れで約30万円でした。
(サービス内容によって、業者で料金には費用幅があります)
坂本さんは「手元供養であれば、お墓がなくても供養できる」と考え、手元供養+海洋散骨のパックを利用し、帰宅後に骨壺を置く小さな台と、仏具3点セットを購入しています。
なぜ「手元供養+海洋散骨」なのか?
●手元供養も海洋散骨も、現代はまず遺骨を粉骨してパウダー状にするためです
手元供養でも海洋散骨でも、現代では遺骨を粉骨してパウダー状にしてから行います。
そのため全ての遺骨を粉骨してパウダー状にした後、その一部を海洋散骨、残りの一部を手元供養にするパックが提案されるようになりました。
●また坂本さんが選んだ海洋散骨の母体は霊園だったため、海を眺める霊園内の石碑に名前を彫刻するサービスが付加されていました。
合祀墓には近いものの、お墓参りをして手を合わせる先も得られたため、坂本さんはその後も定期的にお参りに訪れています。
「先祖代々墓を墓じまいしたのに!」と坂本さんは笑いますが、現代の行き届いた霊園で高齢でもお参りしやすいこと、お墓掃除などの負担がないことが、気軽にお参りに行けた原因だとも感じたようです。
●さらに遺骨を自宅に祀る手元供養により、納骨しない選択であっても、通常の供養と同じように、自宅でも供養ができてお墓参りも実現しました。
・【手元供養の体験談】娘の手元供養。娘の遺骨を納骨できないまま5年、分骨をして祭壇へ
夫婦が亡くなった後はどうする?

●坂本さんは墓じまいで利用した霊園で、シンボルツリー型樹木葬の生前契約をしました
坂本さんの妻が亡くなり手元供養にして5年、坂本さんご自身もさらに高齢になり、再び納骨しないための終活を始めます。
坂本さんが亡くなると、自分の遺骨と妻の遺骨、2柱の遺骨が残るためです。
妻の遺骨は少しばかりですが、両親2柱の遺骨が残るとなると、せっかく苦労して墓じまいをしたのに、子どもも再びお墓を建てると考えました。
●調べたところ、妻の遺骨を棺桶に入れて火葬することはできたため、子ども達に棺桶に妻の遺骨を入れることをお願いします。
・口頭で子ども達に伝える
・遺言で記す
・エンディングノートにお礼と詳細を記す
…と言う、3つの手順で伝えることにしました。
棺桶に妻の遺骨を入れることで一緒に火葬され、シンボルツリー型樹木葬で埋葬されるとして、夫婦ともに供養されると考えたためです。
・【樹木葬の選び方】自然(土)に還るシンボルツリー型樹木葬|仕組みで選ぶ6つのポイント
海洋散骨は子どもに託す
●けれども坂本さんは、海洋散骨について生前契約はさけました
海洋散骨も考えたものの、新婚旅行で行った遠い海です。
子ども達に夫婦の思い出の海まで来てもらい、散骨をしてもらうことは忍びないと感じました。
そのためエンディングノートを利用して「新婚旅行の思い出の海に海洋散骨され、妻・良子と同じ石碑に名前を刻みたいけれど、代行委託散骨は受け入れにくいものです。
そのため「判断は子どもに任せます」と記しています。
以上のことから坂本さんは、自分亡きあと「どのように海洋散骨されるのか」にも拘っていたかもしれません。
・代行委託散骨…業者に遺骨を郵送して散骨
・合同散骨…複数の遺族が一緒に船に乗り散骨
・チャーター散骨…一隻の船をチャーターして個別で散骨
代行委託散骨は坂本さんにとって、事務的な感じがしてしまったことが選択の理由のひとつです。
また年数が経ち、良子さんの名前の近くに自分の名前が刻まれないため、海洋散骨に大きな執着はなかったと言います。
最後に
以上が、夫婦で墓じまいをして遺骨の行く先を失った後、納骨しない方法を選んだご夫婦の体験談です。
後に老衰により坂本さんも亡くなり、子ども達の判断により、妻・良子さんが散骨された海に海洋散骨されました。
坂本さんの妻、良子さんの遺骨と同じように、全ての遺骨がパウダー状に粉砕され、一部は海洋散骨、そして残る一部は手元供養ではなく、坂本さんが生前契約をしたシンボルツリー型樹木葬として埋葬されています。
坂本さんご夫妻のお子様は男女3人いますが、都心部近郊で兄弟も集まりやすく、これをきっかけに定期的に兄弟が集まり、公園のような樹木葬で、兄弟の子ども達も一緒に、にぎやかにお参りをしているそうです。
まとめ
墓じまい後、納骨しない体験談
・夫婦で郷里の先祖代々墓を墓じまい
・お墓が無くなり終活をする
・妻が海洋散骨の生前契約
・妻亡き後、夫は「海洋散骨+手元供養」へ
・夫亡き後、妻の遺骨は夫の棺桶に
・夫が生前契約した、樹木葬に埋葬
・子どもが一部を海洋散骨
・子ども達も定期的に樹木葬へお参り
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