今さら訊けない「永代供養」お悩み、疑問がスッキリ解決!
永代供養ナビTOP永代供養コラム父親が自宅で倒れて脳死宣告。臓器移植カードはないが生前に意思表示が。同意を迷う家族

父親が自宅で倒れて脳死宣告。臓器移植カードはないが生前に意思表示が。同意を迷う家族

父親が自宅で倒れて脳死宣告。臓器移植カードはないが生前に意思表示が。同意を迷う家族

突然の自宅で倒れた父親が脳死宣告を受け、臓器移植を決断した娘の小野田優紀さん(35歳会社員:仮名)は、「ドナー家族と言われてやっと、家族の脳死も臓器移植も、誰にも身近にあるものだと気付いた」と話します。
 
優紀さんの父親、国光達夫さん(享年68歳:仮名)のケースでは、脳死と診断された時、臓器移植カードもなく、運転免許証にも臓器提供の意思表示はありませんでした
 
優紀さんご家族が、父親の脳死宣告を受けてから臓器移植の決断まで4日…、限られた時間内で大きな決断を迫られることは、大きな負担も伴います。
 
今回は、突然の脳死宣告から4日で臓器移植を決断した、小野田優紀さん(35歳会社員:仮名)の体験談を、脳死や臓器移植の背景とともにお伝えします。
 

自然葬COCORO特設ホームページへ

突然、自宅で倒れて手術

突然、自宅で倒れて手術

●ある日の朝、キッチンで突然倒れた父親は救急搬送され手術、「無事に終わった!」と思いました
 
母親を8年前に乳癌で亡くしていた優紀さん、結婚後はひとりで父親が暮らす実家の徒歩圏内に、3歳の息子・夫と暮らしています。
 
けれども「その日」が訪れる数日前から、父親が珍しく「肩こりが酷い」「頭が痛くて起きれない」と言うので、かかりつけの病院に掛かった後、3歳の息子とともに実家で寝泊まりしていました。
 
そんな朝5時頃、ガシャンと音がしたので起きると、キッチンで父親が倒れていたのです。
 

<父親の脳死で臓器移植:手術は成功だと思った>
●急いで救急車(119番)に電話をして救急搬送、そのまま手術となりましたが、出てきた父親の様子を見て「無事に終わった!」と、思い込んでいました。

 
出てきた父親は見た目にも血色が良く、このまま回復に向かう人に見えたのです。
そのまま病室に運ばれ、さまざまな機械を付けながらでも、元気に息をしていました。
 

 

脳死状態を告げられる

脳死状態を告げられる

●ところが、お医者様から「お父様の命は、もってあと7日です」と言われます
 
現在は呼吸器があるから生きている状態だと、脳死状態であると告げられると、続いて臓器提供の可能性が説明されました。
 
意識が戻ることはないのですか?」優紀さんが聞くと、お医者様は「それはない」と言われましたが、これは父親の状況は「脳死」であり、「植物状態」ではないためでした。
 
ここで、当時はすぐには理解できなかったのですが、3つの選択肢が迫られます。
 

<父親の脳死で臓器移植:3つの選択肢>
臓器移植を拒否する
 
●臓器移植をする場合
心臓が動いているうちに提供する(脳死下の臓器移植)
心臓が止まった後に提供する(心臓停止下の臓器移植)

 
父親は母親が亡くなってからの8年間、ボランティア活動に精を出していました。
病院で高齢者の介護をしたり、時には被災地へ赴いたこともあります。
 
そのせいか生前の数年間は、脳死や臓器移植についても親子で話す機会がありました。
そこで優紀さんの父親は、「もしも脳死状態になったら臓器移植をしたい、使える臓器はいくらでも提供したいと思っている」と、何度か聞いたことがあるのです。
 
…そのため「脳死状態になったら臓器移植を受け入れる」踏ん切りは付いていたのですが、「心臓が動いているうちか、止まってからか…」を決めることが出来ず仕舞いでした。
 

脳死と植物状態の違い

●脳死は死亡する見通しであり、植物状態は生命の維持ができます
 
脳死と植物状態の身体的な違いは、脳の根源である「脳幹」が働いているか否かです。
 
家族が脳死も植物状態も同じように見えるのは、大脳が働いていないため、話したり、動くことができないためですが、植物状態では他の脳機能が働いている場合があります。
 
・大脳…感情や運動、記憶など
・小脳…姿勢などを司る
・脳幹…呼吸や循環機能などを司る

 
脳幹呼吸や循環機能など、日ごろは意識していない人が生きるための機能を司る部分なので、脳幹が動いている植物状態は、意識がない状態でも呼吸をし続け、生き続けることが可能です。
 

<父親の脳死で臓器移植:植物状態との違い>
①脳死…大脳、小脳、脳幹、全てが機能していない
・多くの国で「人の死」として扱っている
意識が戻ることはない
・いずれ亡くなる
 
②植物状態脳幹が機能している
・自分で呼吸ができる
・意識が戻る可能性がある

 
このように勘違いする人も多いのですが、脳死と診断された時には意識が戻ることはなく、呼吸器を外すと亡くなる、いずれは亡くなる状態です。
 
そのため脳死と診断された時から数日間で、臓器移植の可否と、脳死下・心臓停止下での臓器移植を決断しなければなりません。
 

臓器移植コーディネーター

臓器移植コーディネーター

●翌日、臓器移植コーディネーターを紹介され、話し合いが進みます
 
「この数日だけは、今でも他人事のように思い出され、全てを覚えている訳ではありません。」と前置きしながら、優紀さんは翌日に臓器移植コーディネーターを紹介されてからの数日を話してくれました。
 

<父親の脳死:臓器移植コーディネーターさんの説明>
①脳死判定後の臓器移植
・心臓
・肺
・肝臓
・腎臓
・膵臓
・小腸
・眼球
 
②死後(心臓停止後)の臓器移植
・腎臓

 
使える臓器はいくらでも」と言っていた優紀さんの父親は、脳死判定後の臓器移植が良いのでしょう。
 
●脳死判定は臓器提供を前提とした時に、人の死として扱われます
 
けれども院内で「まだ生きているような温かな体で手術室に入ったのに、いくつもの臓器を取り出して戻ってきた時には、すっかり冷たくなっていた」と聞きます。
 
また臓器移植コーディネーターは「臓器移植後は体に詰め物をするので、傷口が残るだけで通常と変わりません」と説明するものの、「体に詰め物」が苦しそうで、なかなか決断できなかったそうです。
 
一方で心臓停止後に腎臓を臓器移植する場合でも、腎臓機能の保全目的で血流を促す措置が必要だと聞くと、内容が「痛そうで」、決断までには複雑な思いが去来しました。
 

 

臓器移植の意思表示

臓器移植の意思表示

●臓器移植の意思表示は、本人が書面で意思を表記するだけで構いません(臓器移植法)
…ただし、時間に限りがある脳死判定による臓器移植は、本人の意思がすぐに分かる手段が必要です。
 
結果的に優紀さんは、生前の父親の言葉を尊重し脳死判定による臓器移植を決断します。
 
ただ脳死判定は臓器移植が前提ですので、優紀さんが決断すると法的に父親が死ぬことになるため、家族(遺族)が臓器提供を決めることは酷だと感じました。
 
けれども脳死宣告を受けてしまうと、臓器移植を決断するのは身内しかいません。
ですから、優紀さんはつくづく「臓器提供の意思表示を生前に残して欲しかった」と言います。
 

<父親の脳死で臓器移植:意思表示>
[公益財団法人]日本臓器移植ネットワークに、インターネットで意思登録
保険証に意思を記載
運転免許証に意思を記載
臓器提供意思表示カード
⑤臓器提供意思表示シール

 
臓器提供意思表示カードは、市町村役場の行政窓口総合交通センター、運転免許更新所警察署、県庁、保健福祉事務所など、あらゆる場所で置いてあります。
最近では民間機関、コンビニ銀行などでも見ることができるでしょう。
 

臓器提供の細かな意思表示

●本人の意思表示には、細かな意思表示もあります
 
以上の心停止下・脳死判定による臓器移植の意思表示には、もちろん臓器を提供しない、脳死判定に従わない、意思表示も可能です。
 
●本人による臓器移植の意思表示は15歳以上から適用されますが、臓器を提供しない、脳死判定に従わない意思表示は、15歳以下でも尊重されるでしょう
 
ここで臓器提供意思表示カードでは、優紀さんが迷った①心停止下での臓器移植、②脳死下での臓器移植などの選択肢もあり、親族へ優先的に臓器を提供したい場合には、意思表示により優先的に提供されるでしょう。
 

<父親の脳死で臓器移植:細かな意思表示>
心停止下か、脳死下か
<臓器提供意思カードでは…>
・心停止下での臓器移植…「1」に〇
・脳死下での臓器移植…「2」に〇
 
親族への優先的な臓器提供の意思

 
また臓器提供先の判断基準として、20歳未満の臓器提供者(ドナー)だった場合に、臓器移植希望者(レシピエント)も20歳未満を優先的に選択する基準があります。
 
※一方、臓器提供の意思表示はいくつになってもできますが、心臓50歳以下、腎臓70歳以下、膵臓60歳以下、肺70歳以下、が臓器提供適応基準(望ましい)です。
 

脳死判定と臓器移植

脳死判定と臓器移植

●父親の脳死判定による臓器移植を決断後、複数の書類にサインをした後、脳死判定、死亡宣告が行われました
 
決断するまでは4日掛かってしまいましたが、優紀さんが父親の脳死判定による臓器移植を決断すると、臓器移植コーディネーターの先導でどんどん進みます。
 
これらの書類にサインをして間もなく父親が採血を受けた後、法的な死を意味する脳死判定が行われました。
さらに数時間後、再び2回目の脳死判定が行われると、とうとう死亡宣告を受けます。
 

<父親の脳死で臓器移植:決定後の流れ>
①書類にサイン
・脳死判定承諾書
・臓器摘出承諾書
 
②脳死判定(2回)
 
③臓器摘出手術
(死後の処置)

 
父親が脳死と告げられた当初、臓器移植コーディネーターから説明を受けていた通り、戻ってきた父親はきちんと体に厚みもあり、傷口があるだけでした。
 
決めていた葬儀社に連絡をして斎場の安置室に搬送した後は、一般的な流れと同じです。
約30人ほどの家族葬を執り行いました。
 

 

最後に

以上、思いがけず父親が脳死と告げられ、臓器移植を決断した小野田優紀さん(35歳会社員:仮名)の体験談です。
 
以前は本人による臓器提供の意思表示がなければ、臓器移植が難しかったのですが、2010年の臓器移植法改正により、本人の意思表示が明確でなくても、遺族の判断により、脳死判定による臓器移植が可能になりました。
 
迷った4日間を振り返り、優紀さんは言います。
 
「毎日父親の体を拭いてくれたり、気道の痰を吸引してくれる看護婦さん、臓器摘出の日に集まった大勢のお医者様、力づけてくださった臓器移植コーディネーターの人々の優しさが、時を重ねるごとに身に染みる」
 
どうしても「臓器とともに父親は生きている」とは思えない、(レシピエントの人格・人生を尊重し)思ってはいけない、と感じる優紀さんですが、関わった人々の思い出から、脳死判定と臓器提供の決断に納得しています。
 
 

まとめ

父親の脳死判定から臓器提供の体験談
・父親が倒れ救急搬送、手術
・脳死の宣告
・臓器提供の説明
 
●優紀さんの選択肢
・臓器提供をするかしないか
・脳死判定による臓器提供か
・心停止下の臓器提供か
 
・父親の意思表示の記載はない
・口頭では臓器提供の意思表示があった
 
●脳死判定による臓器移植の決断
・書類にサイン
・脳死判定(2回)
・臓器摘出手術
 
・葬儀社に依頼し遺体搬送

自然葬COCORO特設ホームページへ
ヤシロの永代供養墓の
ご見学、資料請求はお気軽に
  • 見学予約オンラインでも可能です
  • 資料請求

お電話でも受け付けております

0120-140-8469:15~17:30(年中無休)
ヤシロの永代供養墓の
ご見学、資料請求はお気軽に
  • 見学予約オンラインでも可能です
  • 資料請求

お電話でも受け付けております

0120-140-8469:15~17:30(年中無休)
永代供養ナビ編集長

株式会社霊園・墓石のヤシロ 営業本部長藤橋 靖雄

【経歴・プロフィール】

1998年入社。お墓販売、商品企画を経て、多様化する供養の形に応えるサービス・霊園プロデュースだけでなく、営業企画、WEBマーケティングなど幅広い埋葬、葬送事業を担当。
また、墓じまいや終活に関する各地域の終活イベント・セミナーにも講師として登壇し、終活のお悩みごとを解決するトータルアドバイザーとしても活躍。

【掲載メディア・登壇イベント】

株式会社エイチームライフデザイン運営

【保有資格】

終活カウンセラー 2級

  • 永代供養墓の選び方
  • エリアで探す
  • 納骨堂
  • ヤシロの墓じまい
  • 仏壇・仏具COCOテラス
  • ヤシロのお葬式
  • 火葬・埋葬ペット供養
pagetop
永代供養の選び方