位牌の魂入れをしない選択はあり？実施する際のタイミングやマナーを解説

ご本尊などに魂を宿らせる儀式は魂入れ以外に、開眼供養（かいげんくよう）やお性根入れ（おしょうねいれ）などと呼ばれることも多いです。

開眼供養の開眼は仏像を作る時に目を最後に描くことからきており、お性根入れの性根には確かな心という意味があり、故人の心を入れるという意味で使われています。また、御霊入れや開眼法要など、さまざまな呼び方があります。

魂入れは開眼供養や開眼法要とも呼ばれますが、この「開眼」は元来仏像の目を開くという意味です。

仏像を作る際にはまず仏像の形を作り、最後に目を描き入れることによって、ただの彫像であったものが仏像となります。これを儀式化したのが開眼供養であり、魂入れによってはじめて仏像に霊験が宿るのです。

日本では、奈良時代に聖武天皇の勅願により建立された東大寺の大仏に開眼供養を行ったのが始まりとされています。

親族が亡くなり新しく位牌を用意した場合には、四十九日法要の時に魂入れを実施するのが一般的です。位牌には葬儀から四十九日までの間使われる白木を使った仮の位牌である白木位牌と、四十九日以降に祀られる本位牌があります。

四十九日法要の時には、この白木位牌から本位牌へ故人の魂を移し替えるという儀式が行われ、魂入れを行った本位牌は自宅の仏壇に移します。

位牌が古くなったり劣化したりして新しい位牌に買い替えた場合や、新しい仏壇を用意した時にも位牌の魂入れが必要です。

新しい位牌に買い替えた場合には、古い位牌に宿っている魂を位牌から抜く魂抜きを行い、新しい位牌には魂入れを行って仏壇に安置します。

魂抜きを行った後の位牌は単なる木の板になっているため、菩提寺にお焚き上げを依頼するか、位牌を購入した仏壇店に引き取りを依頼してください。

また、新しい仏壇を用意した際にも、位牌を安置する前に魂入れをする必要があります。

位牌を安置している仏壇を移動させたいという場合、同じ家の中で移動させるような場合には魂入れは不要です。

しかし引っ越しなどで仏壇を別の家に移す場合には、宗派によっては仏壇と一緒に一度魂抜きを行い、仏壇を移した後で再度魂入れを行う場合があります。

引っ越しで別の家に移す場合だけでなく、母屋から離れに移す場合にも魂抜きや魂入れが必要になる場合があるため、迷った場合には菩提寺に尋ねるようにしましょう。

魂入れは僧侶が読経をすることによって行います。そのため、位牌への魂入れを行う際は菩提寺に依頼すると良いでしょう。

菩提寺が遠方にあり依頼するのが難しいという場合には、菩提寺に相談すれば同じ宗派のお寺を紹介してくれます。宗派や地域によって魂入れの作法が異なることもあるため、事前にしっかり確認をしておきましょう。

菩提寺との付き合いがあまりない場合には、菩提寺と同じ宗派のお寺に依頼しましょう。菩提寺がない場合には、葬儀社や石材店、仏壇店などでも魂入れの相談を受け付けていることが多いため相談してみるのがおすすめです。

魂入れを行う日時はお寺や僧侶の都合を確認して決めるようにしましょう。魂入れをする時間帯は午前でも午後でも問題ありませんが、縁起が良くないとされる仏滅の日や先勝の日の午後、先負の日の午後などを避ける人もいます。

また、菩提寺へ魂入れを依頼する際は遅くても1ヶ月前までにするようにしてください。

魂入れを行う位牌も事前に準備しておくことが必要です。本位牌には戒名を文字彫りするため、位牌を選んでから手元に届くまで10日～2週間程度要するのが一般的です。

魂入れを行う日に間に合うよう、余裕を持って仏壇店などに依頼するようにしましょう。

魂入れの際に準備するお供え物は、魂入れのみを行う場合と四十九日法要を同時に行う場合で異なります。

自宅で魂入れのみを行う場合には、慶事用の朱ろうそくとお花、線香、赤飯、餅、お膳、お菓子、果物などを準備しましょう。

四十九日法要を同時に行う場合には、ろうそくは朱ろうそくではなく白いものを使用し、香、花、灯明、水、飲食の五供のお供え物を準備します。

位牌の魂入れを行う際には、読経のお礼としてお布施を準備することも必要です。菩提寺の僧侶を自宅に招いて魂入れを行う場合には、お布施と一緒にお車代を準備しましょう。

お車代の金額は菩提寺から自宅までの距離にもよりますが、5千円程度が相場と言えます。遠方の場合には1万円程度を用意するのが一般的です。

位牌の魂入れのみを行う場合と四十九日法要を同時に行う場合で、お布施の包み方に違いがあります。

位牌の魂入れのお布施には、白い無地の封筒に表書きは濃墨で「御礼」や「お布施」などと書くのが一般的です。

位牌の魂入れのみを行う場合には、紅白の結び切りまたはあわび結びの水引きでのしがない白の祝儀袋を用意し、表書きは「内祝」や「開眼御礼」と書く場合もあります。

また、魂入れと四十九日法要を同時に行う場合には「お布施」としてまとめて包むか、それぞれ別の封筒を用意し表書きをして包みます。この場合は、白い無地の封筒か不祝儀袋に黒白か双銀結び切りを使用します。

いずれの場合も、中袋がある場合には中袋の裏面に氏名と住所、金額を記載し、中袋がない場合には、封筒の裏面に記載しましょう。

一般的にお布施では金額を明示することはありませんが、目安となる相場があります。お布施の金額の相場も魂入れのみの場合と、四十九日法要を同時に行う場合で異なります。

位牌への魂入れのみを行う場合の相場は1万円～3万円程度です。一方で、四十九日法要を同時に行う場合のお布施の相場は3万円～5万円程度とされています。

位牌の魂入れのみの場合は不要ですが、四十九日法要と一緒に行う場合などは、食事代や法要に参列してくれた人への引き出物が必要です。

食事代は僧侶が会席に臨席しない場合に用意します。食事代の相場は5千円～1万円程度が相場と言われています。また、引き出物の相場は3千円～5千円程度です。引き出物に高額なものを用意するのは避けましょう。

魂入れ当日は一般的に礼服を着用するようにしましょう。仏壇を新しくした時に魂入れを行う場合には慶事であるため、法事や葬儀の時のように黒いネクタイを着用する必要はなく、普通のスーツ姿でも問題ありません。

しかし四十九日法要と同時に魂入れを行う場合には、四十九日法要に参列する時と同じ服装を着用するようにしましょう。

まず僧侶が読経をして、葬儀の時に用いた白木の仮の位牌から本位牌に魂を移します。魂入れの儀式を行うことによって、単なる木の板であった本位牌に魂が宿り礼拝の対象となるのです。

四十九日の魂入れで魂が宿った本位牌は、中陰棚から仏壇へと移すのが通例となっています。

四十九日法要では僧侶が読経を行います。僧侶の読経が始まったら、施主から順番に焼香をしていきます。施主が焼香した後は前の席から後ろの席へ向かって順番に行うのが一般的です。

焼香は前に用意された焼香台まで移動して行う場合と、着席したまま回して焼香を行う場合があります。読経の長さは僧侶によって異なりますが、20分～30分程度の時間で行われることが多いです。読経が終わると僧侶による法話が行われます。

四十九日の法要の後には、お斎と呼ばれる参列者での会食を行うのが一般的です。会食ではまず施主が参列者に挨拶を行い、献杯をしたら食事を始めます。会食が始まったら各々で自由解散となる場合と、施主が最後に挨拶をする場合があります。

会食に参加できない僧侶は通常法話後に帰ることになりますが、その際に御膳料をお渡しするのが一般的です。

なお会食は必ずしも必要というわけではなく、法要の後に会食を行わない場合には引き出物と一緒にお弁当とお酒を持ち帰っていただくようにしましょう。

四十九日法要の後、本位牌に魂を移して不要になった白木位牌は菩提寺でお焚き上げをしてもらうのが一般的です。

魂を本位牌に移した白木位牌はものとして扱うことが可能であるため、家庭ごみとして処分することもできますが、一度は魂が宿っていたものであるため、菩提寺に依頼してお焚き上げをしてもらうと良いでしょう。

塗り位牌は白木に彫刻を施し、そこへ漆を何度も塗り重ねて作られます。仕上げには蒔絵や金箔、金粉で装飾をしており手間暇をかけて作られる位牌です。

一般的に位牌と言ってイメージするのがこの塗位牌であり、需要が高いため販売数も多く、価格帯も幅広いです。

日本製の塗位牌の相場は2万円～10万円程度、外国製の場合は8千円～3万円程度と言われており、中には20万円～30万円程度もする高価な塗位牌もあります。

唐木位牌は塗位牌と並ぶ代表的な位牌であり、素材には黒檀や紫檀などが使用されます。黒檀や紫檀は唐木の種類であり、高品質で木目の美しさや重厚感が特徴と言えるでしょう。

華やかな印象の塗位牌と比較して、少し落ち着いた雰囲気になっています。唐木は仏壇の素材にも用いられるため、仏壇との調和を考えるなら素材が同じ唐木位牌がおすすめです。

唐木位牌の価格相場は1万円～7万円程度と言われています。唐木位牌は細かい彫刻が施され芸術品としての価値もあるため、30万円以上もする高額なものもあります。

モダン位牌はシンプルなデザインのものが多く、一般の家庭にも馴染みやすいものが多いのが特徴です。モダン位牌の素材にはウォールナットやタモなどがよく使われます。

また、木製のものだけでなく、ガラス製やクリスタル製などの一風変わった素材を使用しているものもあります。モダン位牌の価格相場は1万円～5万円程度です。

位牌を移動させる前に僧侶に来てもらい位牌の魂抜きを行い、位牌を移動させた後で再び読経してもらい魂入れを行います。

位牌を移動させるのが同じ部屋の中だったり、同じ家の中だったりする場合は魂抜きや魂入れの必要はありません。

位牌を修理する時にも魂抜きを行う必要があります。そのため、修理に出す前に僧侶に来てもらうか、位牌を菩提寺に持参して魂抜きをしてもらいましょう。

位牌を修理した後は、仏壇に位牌を戻す前に再び僧侶に読経してもらい魂入れを行います。