
2025年の春の社日はいつ?社日の意味・産土神への祈り方・お供え物を詳しく解説

「社日(しゃにち)」は、春分や秋分に最も近い「戊(つちのえ)」の日に、産土神(うぶすながみ)を祀る日本の伝統行事です。2025年の春の社日は3月20日(木)にあたります。
社日は、農作物の豊穣を祈願する大切な日であり、地域によっては特別な供物や祈りの方法が伝承されています。本記事では、2025年の社日がいつなのか、社日の起源や意味、産土神へのお供え物や拝み方について詳しく解説します。社日の風習を知り、日々の暮らしに感謝を捧げてみませんか。

「社日」とは

◇「社日」とは、季節を感じる雑節のひとつ、産土神を祀る日です
「雑節(ざっせつ)」とは、旧暦において季節を感じるために設けられた暦日を差し、中国から伝わる二十四節気や五節句とは違い、日本で設けられた暦日となります。
「産土神(うぶすながみ)」とは、産土(うぶすな)とも言われ、産まれた土地の守護神です。
この産土神はそこで産まれた人が引っ越しても、一生を通じて守護してくださいます。
<2025年社日とは:決まり方> ●社日には「春社」と「秋社」の2つの暦です |
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[社日] | [読み方] | [いつ] |
・春社 | (しゅんしゃ) (はるしゃ) |
・春分の日に最も近い「戊」の日 |
・秋社 | (しゅうしゃ) (あきしゃ) |
・秋分の日に最も近い「戊」の日 |
長い歴史のなかで区別は付きにくくなってきたのですが、もともとの産土神と氏神は違う役割がありました。
<産土神様と氏神様> | |
・氏神様 (うじがみ) |
・血族で祀る神様 (一族の祖先神) |
・産土神 (うぶすながみ) |
・産まれた土地の神様 |
ただいつしか人々は血族に関係なく、住んでいる土地の神様を「氏神様」として祀り拝む人や家も増えたため、区別は難しいと言えます。
「戊」の日とは?

●「戊(つちのえ)」の日とは、1日ごとに「十干」が割り振られている暦の「戊」にあたる日です
旧暦では十干(じっかん)と十二支(じゅうにし)が、1日1日の暦に割り振られています。
旧暦カレンダーなどを確認すると、数字の傍に「先負/戊亥」などの文字がありますが、この文字が「六曜/十干十二支」です。
①六曜
●六曜(ろくよう/りくよう)とは、1日1日の縁起を示した暦です
例えば「大安」は縁起が良く慶事に良い、「仏滅」は弔事を行うのに適した日、「先勝」では早い時間帯に用事を済ませる(先に行うと勝つ)などと、その日の吉凶を予想します。
<2025年社日:六曜> | ||
[六曜] | [読み] | [意味] |
・先勝 | (せんしょう) (さきがち) |
・先手必勝 ・午前中が良い |
・友引 | (ともびき) | ・友を導く (良い意味でも悪い意味でも) ・弔事は凶 ・慶事は吉 |
・先負 | (せんぶ) (せんぷ) (せんまけ) |
・負けて勝つ ・午後が良い |
・仏滅 | (ぶつめつ) | ・一番の厄日 ・弔事は良い |
・大安 | (たいあん) | ・幸運な日 ・万事良し |
・赤口 | (しゃっこう) (しゃっく) |
・凶日 ・慶事は凶 |
六曜は暦注、暦に対する縁起を占うものであり、日本では結婚式や新築祝いなどの慶事や、法要などの日程を決める時に利用します。
例えば「友引」は友を引くため、故人が友人を引かぬよう、納骨式を避けるなどです。
②十干十二支
●「十干十二支」とは、古来に中国から伝わった暦です
十二支(じゅうにし)は現代の日本でも馴染み深く、主には暦の他、方角を表す用語としても用いられてきました。
この十二支が、暦では1日1日繰り返され、さらに十干(じっかん)が割り当てられます。
<2025年社日:十干十二支> | |||
●十二支(じゅうにし) | |||
・子(ね) | ・丑(うし) | ・寅(とら) | ・卯(う) |
・辰(たつ) | ・巳(み) | ・午(うま) | ・未(ひつじ) |
・申(さる) | ・酉(とり) | ・戌(いぬ) | ・亥(い) |
●十干(じっかん) | |||
・甲(きのえ) | ・乙(きのと) | ・丙(ひのえ) | ・丁(ひのと) |
・戊(つちのえ) | ・己(つちのと) | ・庚(かのえ) | ・辛(かのと) |
・壬(みずのえ) | ・癸(みずのと) |
昔の日本では成績表が「甲・乙・丙・丁」で評価されました。
このように十段階に区切られた数字の役割です。
暦では、このように十二支と十干がそれぞれ繰り返し用いられています。
六十干支とは?
2025年、社日はいつ?

●2025年の社日は、春社が3月20日(木)・秋社が9月26日(金)です
2025年は春分の日が3月20日(木)、秋分の日が9月23日(火)となるので、この日から最も近い「戊の日」となります。2025年の春は、春分の日が戌の日です。
<2025年社日はいつ?> | ||
[社日] | [日にち] | [六十干支] |
・春社 | ・2025年3月20日(木) | ・仏滅(戊子) |
・秋社 | ・2025年9月26日(金) | ・仏滅(戊子) |
農耕の衰退により現代ではすっかり少なくなった社日ですが、五穀豊穣は現代の収入向上や収入の安定と同じ意味合いです。
産まれた時から守護してくれる産土神へ、日々の暮らしを守護していただくよう、春社と秋社の年に2回、感謝を捧げてみてはいかがでしょうか。
2025年社日:お供え物は?

◇①ぼたもち(おはぎ)、②新米、③お酒、が供えられます
農作祈願だったかつての社日では、産土神はその集落の「土地神」して、産土神を祀る日であるため、土いじり(農作業)を行わない忌み日でもありました。
その昔は、春は種・秋は収穫した農作物と、その集落に馴染みのある農作物が供えられてきましたが、現代では下記のようなお供え物が一般的です。
①ぼたもち(おはぎ)
②新米
③お酒
新米は一般家庭では小皿に乗せてお供えしますが、一部地域では一升瓶に詰めて供える家も見受けます。
お酒は銚子に入れて供える家が一般的です。
社日の供物にタブーはある?
●社日にタブーの供物は、①肉と②魚です
土地神としても祀られ、農業の収穫祈願(春社)や収穫祭(秋社)として、五穀豊穣を祈願する農耕儀礼であった社日では、基本的にお米や野菜、稲穂や種といった農作物を供えます。
①肉
②魚
神社で供物を供え参拝する家もありますが、自宅の仏壇や神棚へぼたもちや米、お酒などを供える家内の行事でも大丈夫です。
「今日は社日の日です。」とお伝えして供えると良いでしょう。
「社日詣」とは
◇「社日詣」とは、社日に七社の神社を巡拝することです
2025年の今でも、社日に「社日詣」として七社の神社を巡拝する人を見受けます。
食べる運を付ける、暮らしを守護していただくとして、農業を営む人々に限らず、家計の安心を得るとして参る人が増えました。
●鳥居のある神社を七社を巡拝します。
・五穀豊穣(家計の安泰)
・痛風の予防
・ボケ封じ
社日には春社と秋社で目的が少しだけ異なり、春社は祈願の社日詣、秋社は春社で祈願した事柄に対して感謝を捧げる社日詣です。
社日詣は「平穏な暮らし」を守るため、大きな祈願事ではなくとも、春社に祈願した私たちが、秋社の頃も無事にご飯を食べ、平穏に生きている毎日に感謝します。
2025年に残る、社日の風習

●2025年でも、社日の「焼き餅」や「治聾酒」が残っています
以上が一般的な社日の供物や行事ですが、この他にも地域や家によって、さまざまな供物や風習があることは、ご存知でしょうか。
今では社日は家計安泰の祈願を目的として、サラリーマンや起業家など、一般家庭でも家庭内での拝み行事になりつつあります。
①焼き餅
②治聾酒(じろうしゅ)
③塩水と塩(砂)
社日は一部地域では、集落単位で江戸時代から親しまれてきました。
長野県では「お社日様」として田畑の神様として祀られ、春社ではついたお餅を供え、秋社では稲穂を供えて収穫祈願が今も行われています。
②治聾酒(じろうしゅ)
●「治聾酒」とは、社日に供えるお酒のことです
治聾酒(じろうしゅ)と言うお酒は存在しませんが、社日にお酒を供えていただくと、耳の病気が良くなる、耳が良くなると言われてきました。
③お潮井
◇「お潮井」とは、砂浜の砂による厄祓いです
「お潮井(おしおい)」とは、社日に海に行き、砂浜の砂「真砂(まさご)」を持ち帰り、家や自身に撒いて厄を祓う風習です。
福岡県の箱崎浜から竹の籠「でぼ」に入れて砂浜の砂「真砂」を持ち帰って、そのまま玄関に供えておき、出掛ける時などに身にふることで、災いから守ってくれます。
このお潮井は田畑に撒いても用いられてきました。
現代では海に行けないとして、塩水と塩を撒く家も見受けます。
まとめ:2025年社日に家計安泰を祈願します

産土神様や氏神様への祈願「社日」は、経済的にも世情的にも不安定な現代、農耕時代から培われてきた、昔ながらの祈願事が見直されるようになっています。
五穀豊穣の農耕儀礼として一時期は廃れつつありましたが、産まれた土地や神様へ祈りを捧げることで「心が強くなる」「未来を信じる力を得られる」などの声もありました。
2025年の社日では、仏壇や神棚へ供物を捧げたり、お酒をいただなど、試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
社日とは、2025年の社日はいつ?
●社日とは
・産土神を祀る日
①春社…春分の日に最も近い戊の日
②秋社…秋分の日に最も近い戊の日
●ご利益
・五穀豊穣
・家計の安泰
・収入向上
・商売繁盛
・痛風の予防
・ボケ封じ
●2025年社日はいつ?
・春社…2025年3月20日(木)
・秋社…2025年9月26日(金)
●供物
・おはぎ
・お米
・お酒を供える
●社日や供物のタブー
・魚
・肉
・土いじりをしない
●七社詣
・社日に鳥居のある七社を巡拝する
・ボケない
・痛風予防
・暮らしの守護
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