家族の死亡で遺族がもらえるお金と手続き一覧。葬儀費用(埋葬料・葬祭費)提出期限は?
・家族が亡くなって遺族がもらえるお金は?
・遺族がもらえるお金の申請先は?
・併せてもらえるお金、もれないお金は?
家族が亡くなると精神的負担も大きいですが、遺族はお金の心配もしなければなりませんよね。
近年では費用を抑えた葬儀スタイルも増えましたが、香典辞退を選ぶ遺族も増えています。通夜・葬儀後も納骨の他、生計を共にしてきた家族は今後の暮らしへの不安も募るでしょう。
本記事では手続きを適切に行うことで家族を亡くした遺族がもらえるお金、条件や申請先が分かります。不安を感じる遺族も多いなか、冷静に給付金を整理して必要な手続きを行いましょう。
遺族がもらえるお金①国民年金死亡一時金請求
国民年金を3年以上納めたものの年金を1度も受給しなかった人が亡くなった時、故人と生計を共にしていたご家族に支給されます。
家族が亡くなってから2年以内に、故人の居住地を管轄する市区町村の国民年金課で手続きをしましょう。必要書類は下記ですが、予め電話確認をして書類を揃えると確実です。
[必要書類]
・死亡一時金裁定請求書
・年金手帳
・除籍謄本
・住民票写し
・受取人の印鑑
・振込先口座番号
遺族基礎年金・寡婦年金の受給資格があるご遺族は、国民年金死亡一時金請求はできないのでご注意ください。寡婦年金・国民年金死亡一時金の双方に資格がある場合、いずれかを選び申請します。
遺族がもらえるお金②葬祭・埋葬料
家族が亡くなると遺族はお金の心配もしなければなりません。2023年度に実施された調査で葬儀費用の平均は118.5万円となっています。
近年は葬儀費用を抑えた直葬(火葬式)も注目されていますが、直葬で平均42.8万円・一日葬は平均87.5万円・家族葬では平均105.7万円とのアンケート結果が出ているため、突然家族が亡くなると遺族の経済的負担がどれほどかが分かるでしょう。
健康保険等に加入していれば葬祭・埋葬料として補助金が支給されます。葬儀費用を支払ってから請求する手続きが多いですが、請求手続きを行い少しでも経済的負担を軽減しましょう。
・鎌倉新書2024年「第6回お葬式に関する全国調査」
健康保険加入者
故人が企業・団体に勤め健康保険組合に加入していた場合、葬儀・埋葬費用の一部が補助金として「埋葬料」が5万円の範囲内で支給されます。健康保険組合に加入していた人の扶養者だった家族が亡くなった時は、被保険者へ「家族埋葬料」として5万円が支給される仕組みです。
家族が亡くなってから2年以内に健康保険組合、もしくは社会保険事務所で申請をしましょう。
[必要書類]
・健康保険埋葬料請求書
・健康保険証
・死亡診断書の写し
・受取人の印鑑
・振込先口座番号
健康保険組合に加入していた故人に身寄りがなく、知人友人等が葬儀や納骨を行ったケースでも申請ができます。健康保険組合により埋葬料に付加給付金がプラスされることもあります。
・全国健康保険協会「ご本人・ご家族が亡くなったとき|こんな時に健保」
船員保険加入者
故人が船員保険組合に加入しており職務外で亡くなった場合には、船員保険から葬祭料・家族葬祭料が、一時金として5万円支給されます。船員保険組合に加入している人の扶養者だった家族が亡くなった時にも適用されるでしょう。
船員保険加入者に家族がいなかった場合は、葬儀費用を支払った人に上限5万円の葬祭料が支給されます。葬儀を執り行った日から2年以内の申請です。
[必要書類]
・船員保険葬祭料(家族葬祭料)請求書
・船員保険証
・死亡診断書の写し
・受取人の印鑑
・振込先口座番号
また船員保険では付加給付も併せて支給されます。
船員保険の被保険者本人が亡くなった時には「当時の標準報酬月額×2か月分-葬祭料=付加給付」です。被保険者の家族では「当時の標準報酬月額×1.4か月分-葬祭料=付加給付」が給付されます。
・全国健康保険協会「葬祭料|船員保険-全国健康保険協会」
国民健康保険加入者
国民健康保険の被保険者が亡くなると「葬祭費」として5万円が支給されます。葬儀を執り行った日から2年以内の申請が必要です。
葬儀社からの領収書、もしくは葬儀の案内状・挨拶状、葬儀社の電話番号など、葬儀を執り行ったこと・喪主が確認できる書類が必要ですので保管しておいてください。
申請先は故人が居住していた地域の市区町村・国民健康保険窓口となります。
[必要書類]
・葬祭費支給請求書
・国民健康保険証
・葬儀社の領収書等
・受取人の印鑑
・振込先口座番号
国民健康保険での葬祭費請求に必要な書類は一般的に以上ですが、自治体により必要書類が異なります。事前にホームページや電話確認をして手続きに行くと良いでしょう。
・大阪市「葬祭費の支給」
遺族がもらえるお金③高額医療費請求
「高額医療費制度」は1か月間で支払った医療費の自己負担額が自己負担額限度額を超えた場合に、申請をすることで払い戻しされる制度です。
自己負担限度額は年収により異なり、現役世代で平均的な年収である約370万円~770万円で月額67万円、老後世帯の平均的な年収とされる約156万円~370万円は56万円が目安となります。(2024年7月現在)
医療費を支払った日から2年以内に申請をしますが、死後も申請できる制度です。被保険者の健康保険組合・社会保険事務所・市区町村国民保険窓口等で申請をします。
[必要書類]
・高額医療費支給申請書
・高額医療払い戻しのお知らせ案内書
・健康保険証
・医療費を支払った領収書
・受取人の印鑑
・口座番号(振込先通帳)
ただし70歳以上は医療機関窓口で自己負担上限額までしか請求されません。窓口で公費負担額は差し引かれます。それぞれの保険組合で高額医療費支給の申請システムが違うこともあるので、事前に電話連絡などで確認をすると良いでしょう。
遺族がもらえるお金④労災保険
労働者である家族が業務上の事故等で亡くなった場合、労災保険から葬祭料を請求できます。葬儀を執り行った日から2年以内に、故人の勤務先を所轄しているる労働基準監督署にて手続きを行いましょう。
労災保険の葬祭料は「31万5千円+給付基礎日額30日分」です。ただし「31万5千円+給付基礎日額30日分」合計額が60日分に満たない場合、給付基礎日額を60日分として算出します。
[必要書類]
・埋葬料請求書
・死亡診断書(死体検案書)の写し
労災は通勤途中での事故も「通勤途上災害」として適用しますが、給付額や内容が異なるため労働基準監督署にて確認をしてください。
遺族補償給付
故人が労働中に業務上の事故で亡くなった場合は、故人と生計をともにしていた遺族にも遺族補償給付金が支給されます。労災保険から支給される遺族一時金・遺族特別年金も、遺族補償給付金とともに受け取ることができる仕組みです。
故人が亡くなってから5年以内に、故人の勤務先を所轄する労働基準監督署にて手続きを行いましょう。
通勤途中での事故「通勤途上災害」により亡くなった場合にも遺族補償年金は支給されます。労災保険請求について詳しくは下記資料をご参照ください。
・厚生労働省「労災保険制度制(度紹介・手続き案内)」
遺族がもらえるお金⑤生命保険金
故人が生命保険に加入していて家族が受取人だった場合、死亡保険金を請求できます。保険商品や保険会社により異なりますが、一般的に故人が亡くなってから3年以内の請求です。
死亡保険の受取人は故人が契約していた保険会社に請求手続きを行います。保険証券を確認しましょう。
[必要書類]
・死亡保険金請求書
・保険証券
・保険金受取人の戸籍謄本
・故人の戸籍謄本
・死亡診断書
・受取人の印鑑証明
突然家族が亡くなった場合、契約している保険を把握していないこともあるでしょう。「生命保険契約照会制度」を利用することで、故人が契約していた保険を照会できます。
遺族がもらえるお金⑥遺族基礎年金
故人が国民年金に加入していた場合、故人とともに生計を維持していた子どもがいる配偶者・子ども自身に遺族基礎年金が支給されます。
遺族基礎年金は子どもが18歳になった年度末日までの支給です。障がい者の子どもがいた場合は20になった年度末日となります。
[必要書類]
・国民年金遺族基礎年金裁定請求書
・年金手帳(故人のもの)
・戸籍謄本、もしくは法定相続情報一覧図の写し
・死亡診断書の写し
・源泉徴収票
・受取人の印鑑
・振込先口座通帳(口座番号)
遺族基礎年金を受けるには、故人に老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上あるなど、受給要件を満たさなければなりません。詳しくは下記より日本年金機構「受給要件・対象者・年金額」をご参照ください。
・日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
遺族厚生年金
故人の厚生年金保険料の納付済期間が免除期間を含み国民年金加入期間2/3以上あった場合に、さらに下記4つの要件いずれかに該当すると支給されます。
<遺族厚生年金4つの要件> |
|
①厚生年金加入者が在職中に亡くなった | |
②故人が高齢厚生年金の資格期間を満たしていた | |
③故人が退職等事由により厚生年金から抜けた後、厚生年金加入中に診察をしていた疾患が原因で初診日から5年以内に亡くなった | |
④故人に1級・2級障害厚生年金を受ける資格があった |
要件のいずれかに該当した場合に亡くなった日から5年以内の申請で受給できます。故人が勤務していた会社を所轄する社会保険事務所で手続きを行いましょう。
[必要書類]
・遺族厚生年金裁定請求書
・年金手帳(故人のもの)
・戸籍謄本、もしくは法定相続情報一覧図の写し
・死亡診断書の写し
・所得証明書
・住民票の写し
・受取人の印鑑
・振込先口座通帳(口座番号)
上記要件に該当し遺族厚生年金を受給しても、遺族基礎年金も併せて支給されるでしょう。ただしケースにより異なるため、年金事務所・街角年金相談センター等で相談をして手続きを進めてください。
・日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
寡婦年金
国民年金保険料の納付済期間が免除期間も含めて25年以上あった故人である夫が、年金を受け取らないまま亡くなった時に、生計をともにしていた妻に支給される年金です。
ただし・婚姻期間は10年以上・子どもがいない・65歳未満と言う条件があります。寡婦年金は60歳~65歳までの期間のみ支給され、65歳以上は本人の老齢基礎年金を受給する流れです。
夫が亡くなった日から2年以内に居住地の市区町村役場、国民年金窓口で手続きをしましょう。
[必要書類]
・国民年金寡婦年金裁定請求書
・年金手帳(故人のもの)
・戸籍謄本、もしくは法定相続情報一覧図の写し
・死亡診断書の写し
・妻の所得証明書
・受取人(妻)の印鑑
・振込先口座通帳(口座番号)
寡婦年金を受け取る場合、前述した「国民年金死亡一時金」の受給はできません。両方の受給資格がある方は、いずれかを選択し受給します。
また65歳以下の妻であっても60歳を過ぎて老齢基礎年金を繰り上げ受給していた場合には、寡婦年金は受給できないのでご注意ください。妻が再婚した場合も寡婦年金の要件に適用しません。
・日本年金機構「寡婦年金」
まとめ:遺族がもらえるお金を整理し手続きを行いましょう
生計をともに維持していた家族が亡くなると、遺族は悲しみのなかにありながらお金の心配もしなければなりません。精神的・経済的・肉体的な負担がのしかかります。
まずは冷静に残された遺族がもらえるお金を整理して、期限内に適切に請求手続きを行いましょう。
また故人が会社に勤めていた場合・死亡退職金の規定・福利厚生・団体保険・社内預金・未払い給与の有無を勤務先に確認し、遺族が受け取るお金があれば担当者と相談をしながら請求手続きを行います。
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