
【2025年春のお彼岸】行事食はぼたもちだけじゃない?地域ごとの供養食とその意味を解説

・2025年、春のお彼岸の行事食は?
・春のお彼岸での、行事食の供え方は?
・お墓参りに行けない時の供養は?
2025年春のお彼岸は3月17日(月)~23日(日)、春分の日が3月20日(木)、春のお彼岸での行事食は、ぼたもちの他、春の訪れを愛でる旬の食材もいただきます。
近年ではお墓も遠方にあり、お墓参りに行けない春のお彼岸も増えましたが、行事食を家族でいただいて、仏前供養を行っても良いです。
本記事を読むことで、2025年春のお彼岸でいただく行事食や、お仏壇への供え方、お墓参りに行けない時の供養の仕方が分かります。

春のお彼岸にいただく行事食とは

◇「入りぼたもちに明けだんご、なかの中日の小豆めし」
これは、昔の春と秋のお彼岸でいただく、行事食を唄ったものです。
空きのお彼岸では「入りおはぎ」になったり「入りうどん」など、季節や地域によって多少変わりますが、基本的には春のお彼岸ではこの唄を目安に行事食をいただきます。
<春のお彼岸の行事食> | |
①春彼岸の入り | …ぼたもち |
②春分の日(中日) | …小豆飯(小豆粥) |
③春彼岸の明け | …明けだんご、彼岸うどん・そば |
旧暦で数えるため、その年で暦は変わりますが、春のお彼岸はちょうど、お釈迦様の命日に五色だんごをいただく「涅槃会(ねはんえ)」と重なることが多いため、春のお彼岸にいただく行事食に「三色だんご」をイメージする人もいます。
春彼岸の行事食①ぼたもち

◇春のお彼岸の行事食「ぼたもち」は「牡丹餅」です
「ぼたもち」は、春の季節に咲く牡丹「牡丹餅」からきた愛称で、秋のお彼岸には秋に実る「萩(はぎ)」から「おはぎ」と言われます。
ぼたもちは、もち米とうるち米を混ぜたお米を炊いたご飯を、少しついて丸め、さらにこしあんで包んだ和菓子です。
ぼたもちやおはぎでついたお米は、米粒の食感が残る程度に軽くつくので、一部地域では「はんごろし」とも呼ばれます。
現代では炊飯器があるので炊く家が多いですが、蒸しても良いでしょう。
<ぼたもちとおはぎ> | ||
[愛称] | [季節] | [特徴] |
・ぼたもち (牡丹餅) |
・春のお彼岸 (牡丹の季節) |
・こしあん |
・おはぎ (お萩) |
・秋のお彼岸 (萩の季節) |
・粒あん |
もち米の「はんごろし」ですが、包むあんこの具合として言う地域もありますね。
収穫したての秋は粒を残しますが、貯蔵して冬を越した小豆はこしあんでいただきました。
<小豆の潰し方の愛称> | ||
[あんこの種類] | [呼び方] | [状態] |
・こしあん | ・ぜんごろし(全殺し) | ・全つぶし |
・粒あん | ・はんごろし(半殺し) | ・半つぶし |
物騒な言い方ですが、面白いですね。
あんこの他に、青のりやきなこがあるのは、春分の日は季節を掴む雑節のひとつなので、大地や緑の息吹などを表します。
春彼岸の行事食②小豆飯

●春分の日には、「小豆飯」つまりお赤飯や小豆粥などをいただきます
春のお彼岸でいただく行事食は、体調を崩しやすい季節の変わり目に、体を労わる健康的な食べ物をいただく、厄祓いとしていただくものが多いです。
●小豆の「赤」が厄を祓う
・お赤飯
・小豆粥
ぼたもちも小豆をつぶすあんこで包みますね。
疲れた体を労り、胃腸に優しい小豆粥をいただく風習もありましたが、現代では祝いの席の「ハレの料理」で出されるお赤飯が多いです。
春彼岸の行事食③彼岸だんご

●春のお彼岸の行事食でいただくだんごは、「彼岸だんご」と呼ばれます
地域や家によっても違いますが、一般的に彼岸だんごはヨモギだんご、もしくは三色だんごが多いでしょう。
<春のお彼岸の行事食:だんご> | |
①ヨモギだんご | …家庭ではヨモギ粉を使い作ります。 |
②三色だんご | …春らしいカラフルな三色だんごも人気です。 |
前述した涅槃会は旧暦2月15日、色とりどりのおだんごを撒くのですが、暦を合わせて新暦3月15日に執り行う寺院も多いので、涅槃だんごと彼岸だんごを混合する人もいるようです。
ただ涅槃会で撒くだんごはお釈迦様の五光が差した遺骨を表す「五色だんご」、実は3色だんごではありません(^_^)。
春彼岸の行事食④彼岸そば・うどん

●春のお彼岸では、彼岸の入りに「彼岸そば」をいただく習慣もあります
今では男女関係なく家仕事を担いますが、かつてはお彼岸の女性は、お彼岸に親族が訪れる地域もあり、おもてなしなどで忙しい家も多くありました。
そのため「引っ越しそばと似た役割があったのでは?」と言う人もいます。
●彼岸そば・うどん
・魚や肉は乗せない
・春野菜の天ぷら
・山菜
…など
お彼岸は精進料理をいただく習慣もあったため、山菜や季節の野菜を乗せたものでした。
「彼岸そば」か「彼岸うどん」かは、関東はそば、関西はうどんなど、地域性や家族の好みもあるでしょう。
彼岸そばやうどんは、中日である春分の日(秋分の日)にいただく家が多いです。
ただ霊園(墓地)周辺にはお蕎麦屋さんも多かったそうで、お墓参りの帰りにいただく料理だったのかもしれません。
春のお彼岸、行事食のお供えと供養

●春のお彼岸では、自宅で行事食や精進料理を供え、お仏壇のお世話をします
春のお彼岸はぼたもちなどの行事食はもちろん、お墓参りのイメージが何より強いです。
ただ供養行事ですので、お墓だけではなく、お仏壇への供養で構いません。
またお仏壇がない家では、家でお盆を祭壇に見立てて、春のお彼岸の行事食をお供えしても良いでしょう。
●自宅でのお彼岸の供養方法
①精進料理を供える
②季節の料理を供える
③毎日、お仏壇のお世話をする
できればお墓とお仏壇の両方で供養したいところですが、お墓参りに行けなくても、春の彼岸の入り日にお仏壇の掃除をして、一日、一日を丁寧に供養すると良いでしょう。
①精進料理を供える
●「精進料理」とは、植物由来の食材で作った料理です
基本としては豆腐や野菜などの植物由来の食材ですので、動物由来の卵やチーズ、バターや牛乳なども避けます。
春のお彼岸の行事食ですので、細かな作法は省きますが、大まかに言えば粗食・菜食を意識して、殺生をイメージする食材や刺激物を避ける料理です。
<春のお彼岸の行事食:精進料理とは> | |
[精進物] (精進料理の食材) | ・穀物 ・野菜 ・海藻 ・豆類 ・木の実 ・果物 |
[タブー食材] (精進料理のタブー) | |
●動物由来 | ・肉類 ・魚介類 ・動物由来の食材 (バターやチーズなど) |
●五辛・五葷 (ごしん・ごくん) | ・にんにく ・ニラ ・玉ねぎ ・長ねぎ ・ラッキョウ |
また人間の煩悩を刺激する刺激物は避けるとして、香辛料なども避けられます。
ねぎ科の野菜は刺激が強いとして五辛に数えられるので、この他にもノビルなどは、精進料理に適していません。
春彼岸の行事食を供える「御霊供膳」

●春のお彼岸では「御霊供膳」を供えます
「御霊供膳(おりょうぐぜん)」とは、お供え物用の御膳です。
専用の御膳や器のセットがあるので、正式にはコチラを利用しますが、市販のお茶碗などをお盆に乗せても問題はありません。
<春のお彼岸の行事食:御霊供膳> | |
①親碗 | …ご飯 |
②汁椀 | …汁物 |
③つぼ椀 | …和えものなどの副菜 |
④平椀 | …煮物などのおかず |
⑤腰高 | …漬物などの箸休め |
御霊供膳は五品を盛りつける器があり、器に合わせてご飯と汁物、おかずに副菜、箸休めを盛りつけます。
②季節の料理を供える
●春のお彼岸では、春の到来を感じる季節の料理をいただきます
ここまでお伝えすると、春のお彼岸の行事食は「野菜ばかりの一週間なんて!」とがっかりする人もいるかもしれません。
けれども春のお彼岸の行事食は、山菜やキノコ類がふんだんで美味しいものが多いです。
<春のお彼岸の行事食:季節の料理> | |
①精進揚げ | ・旬の野菜 ・キノコ …など |
②たけのこご飯 | ・たけのこ |
③厚揚げに菜の花の煮びたし | ・厚揚げ ・菜の花 |
これは一例ですが、このような季節の料理が人気です。
山菜おこわも良いですよね!
春のお彼岸は供養行事ですが、その中日にあたる春分の日は、日本独自の季節を掴むための雑節のひとつなので、このように季節の食材をふんだんに使います。
ぜひ家族で楽しまれてみてはいかがでしょうか。
③毎日、お仏壇のお世話をする

●春のお彼岸には、中日がご先祖様供養、残る6日は「六波羅蜜」を意識してお仏壇をお世話します
「六波羅蜜(ろくはらみつ)」は、仏道へ繋がる6つの修行です。
もともとは出家していない「在家信者」が、悟りの境地へ向かうために家で行う6つの修行として行われてきました。
<春のお彼岸の行事食:六波羅蜜の7日間> | |
[1日目]布施(ふせ) | …利他の心、供物を供える |
[2日目]持戒(じかい) | …戒律(規律)を守る、お線香を供える |
[3日目]忍辱(にんにく) | …心を動かさない、花を供える |
[4日目]精進(しょうじん) | …身を清め慎む、塗香を手に刷り込む |
[5日目]供養の日 | …故人を想い偲ぶ |
[6日目]禅定(ぜんじょう) | …心を静め動かさない、ご飯を供える |
[7日目]智慧(ちえ) | …気づきを得る、ろうそくに火を灯す |
…簡単な説明ですが、この6の修行つが六波羅蜜です。
お仏壇への日々のお世話やお供養は六波羅蜜の修行でもあります。
まとめ:彼岸そばも、春彼岸の行事食です

今回は春のお彼岸に家でいただく行事食やお供え物とともに、家で行う供養をお伝えしました。
できればお墓とお仏壇、両方を丁重に供養したいところですが、何らかの事情でお墓参りに行けない時などは、丁寧にお仏壇やお盆の上にお供え物を供えて、お供養をします。
その昔のお彼岸は家で行うご先祖様供養でしたが、近年では家族から個人へと変わりつつあるなか、家族や一族のみならず、友人や先生など、血縁関係がなくとも恋しい故人を、彼岸の日に想い慕う人々も増えています。
まとめ
春のお彼岸の行事食や、家で行う供養の仕方
●春のお彼岸の行事食
<春のお彼岸の行事食>
・ぼたもち
・小豆飯(小豆粥)
・彼岸だんご
・彼岸うどん
・彼岸そば
・精進料理
・季節の料理
<彼岸の六波羅蜜とは>
・布施…利他の心 [供物を供える]
・持戒…戒律(規律)を守る [お線香を供える]
・忍辱…心を動かさない [花を供える]
・精進…身を清め慎む [塗香を手に刷り込む]
・供養の日…故人を想い偲ぶ
・禅定…心を静め動かさない [ご飯を供える]
・智慧…気づきを得る [ろうそくに火を灯す]
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