
戒名料の相場や起きやすいトラブルとは?マナーと回避方法についても紹介

「戒名料はいくら掛かる?」
「そもそも戒名の意味がよく分からない」
「戒名料はいつ渡したらいいの?」
戒名料にどれくらいお金が掛かるか分からず、疑問や不安を感じていませんか。
本記事では、戒名の概要や戒名のランク、戒名料の相場、戒名料に関わるトラブルや回避方法について紹介しています。
普段、戒名について考える機会は少ないため、本記事を読むことで戒名料の内容や相場、戒名料で起こりがちなトラブルを知ることが可能です。また、トラブルを防ぐための対策についても、具体的に何をすればよいか理解できるでしょう。
トラブルなく戒名を授かりたいと希望している方は、本記事をチェックしてください。
戒名とは?
戒名とは「故人につける新たな名前」と思っている方も多いのではないでしょうか。本来、戒名は「仏弟子になった証拠として出家者に与えられた名前」です。戒名は仏教独自の名前のため、他の宗教でつけることはありません。
通常、戒名は菩提寺につけてもらいますが、自分でつけることも可能です。戒名は、位牌や墓に刻まれたり、菩提寺の過去帳に記載されたりしているため、菩提寺がある場合は事前に相談しながら進めてください。
戒名のランクを決める基準とは?
本来、仏の世界は平等と説かれていますが、実際にはランク(位)が存在しています。ランク(位)によって、戒名料が異なります。
戒名のランク(位)は低い順に「信士・信女」「居士・大姉」「院信士・院信女」「院居士・院大姉」となっています。
故人にどの戒名のランク(位)を授けるかは、地域や寺院に対する貢献度や社会的地位をもとに、菩提寺によって決められます。
たとえ高額な戒名料を用意しても、ランク(位)の高い戒名を授けてもらえるとは限りません。あくまでも、菩提寺が決めるので注意が必要です。
【宗派別】戒名料の相場
戒名を授かるときに掛かる料金を「戒名料」と言います。通常、戒名料はお布施にまとめて菩提寺に渡すため、料金は明確に定められていません。どの程度の金額を包むかは、施主のお気持ちとされています。
ただし戒名料には相場があり、宗派や戒名のランク(位)によってある程度の金額が決まっています。ここからは、各宗派の戒名料の相場について紹介していきます。
日蓮宗の戒名料の相場
日蓮宗の戒名料はどの程度あるのでしょうか。日蓮宗の戒名は「院信士・院信女」のランク(位)からはじまり、相場は30万円以上とされています。因みに、日蓮宗では戒名のことを「法号」と呼んでいます。
浄土宗の戒名料の相場
浄土宗は、戒名のランク(位)が「信士・信女」で30万円程度となっています。さらに、上位のランク(位)になる「居士・大姉」が50万円程度、「院信士・院信女」の相場が70万円程度です。
因みに、浄土宗の戒名には「誉」の字がつくという特徴があります。
臨済宗の戒名料の相場
臨済宗の戒名は、3つのランク(位)に分かれており、上位ランク(位)の「院居士・院大姉」が100万円以上になります。「信士・信女」が30万円以上、「居士・大姉」が50万円以上の相場です。
真言宗もしくは天台宗の戒名料の相場
真言宗と天台宗の戒名のランク(位)は4つで構成されており、「信士・信女」が30万円以上、「居士・大姉」が50万円以上となっています。さらに、「院信士・院信女」が80万円以上、「院居士・院大姉」が100万円以上の相場です。
因みに、真言宗の戒名には梵字がつくという特徴があります。
曹洞宗の戒名料の相場
曹洞宗の戒名も4つのランクに分かれており「信士・信女」は30万円以上、「居士・大姉」が50万円以上となっています。そして、「院信士・院信女」と「院居士・院大姉」が100万円以上という相場です。
因みに、曹洞宗の戒名は院号の上に梵字が入るケースがあります。
浄土真宗の戒名料の相場
浄土真宗は、「信士・信女」と「居士・大姉」という2つのランク(位)で構成されています。「信士・信女」が20万円以上、「居士・大姉」で50万円以上とされています。
ただし、浄土真宗は戒名が異なるため注意が必要です。「信士・信女」が「釋・釋尼」、「居士・大姉」が「院釋・院釋尼」となっています。
戒名や戒名料についてのトラブル
戒名の依頼をする前に、どのようなトラブルがあるか知っておくことが大切です。よく発生するトラブルを知っておけば、事前に対策を立てることもできるでしょう。
ここからは、戒名や戒名料についてのトラブルを3つに分けて解説します。
高額な戒名料を請求された
戒名は、宗派やランク(位)によって戒名料が変わるため、予想よりも高額な金額を請求されることがあります。
トラブルを回避するためには、戒名料がいくら掛かるか事前に確認しておきましょう。寺院の中には、戒名料まで丁寧に説明しない可能性があります。戒名料の確認を後回しにせず、できる限り早めに相談してください。
多く包んだのに高い戒名がもらえなかった
高額な戒名料を包んだにもかかわらず、高いランク(位)の戒名を与えられなかったというトラブルもあります。
実は、高額な戒名料を渡せば、高いランク(位)の戒名を与えられるわけではありません。高いランク(位)の戒名は戒名料ではなく、宗派や社会的地位、寺院への貢献度などによって決まります。
また、戒名はランク(位)が高ければ高いほどよい、ということでもないため、故人に適した戒名をつけてもらうことが大切です。
菩提寺以外で戒名をもらったため納骨を拒否された
菩提寺以外から戒名を授けられた場合、菩提寺から納骨を拒否される可能性があります。戒名は、菩提寺の過去帳に記載されたり、墓や位牌に刻まれたりするため、菩提寺以外が授けた戒名は不適切とされてしまうのです。
戒名については、菩提寺へ最初に相談しましょう。もし、菩提寺が遠方にあったとしても必ず相談してください。
戒名料のトラブル回避方法
もし、親族が亡くなった場合、気持ちの整理がつかないまま、葬式の準備などが進む可能性があります。そうした状態で、戒名料に関するトラブルが発生するとより辛くなるでしょう。
戒名料に関するトラブルを防ぐために、事前にできることがあります。ここからはトラブルを回避するための方法を3つ紹介しています。
生前戒名の検討をしておく
生前戒名とは、生存している間に戒名を授かることです。本人の納得のいく戒名料で戒名を与えられるため、トラブルを防げます。
ただし、生前戒名を検討するときは、家族や菩提寺などへ事前に相談する必要があります。
戒名料が明確なところへ頼む
金額が明確な寺院などへ戒名を依頼すれば、予想外の戒名料を請求されるトラブルを防げます。通常、戒名は菩提寺につけてもらいます。菩提寺以外には、葬儀社から紹介された寺院などが挙げられるでしょう。
戒名料について生前に確認しておく
戒名料がどの程度になるか、生前に菩提寺へ確認しておきましょう。早めに菩提寺へ確認しておけば、戒名料に関するトラブルを防ぐことが可能です。
事前に相談することで戒名のランク(位)や戒名料の金額が分かるため、安心して準備を進められます。
戒名料を納めるときのマナー
戒名料は通常、葬儀の際に読経料とまとめて「お布施」として僧侶に渡します。ここからは、戒名料を渡すときに注意すべきポイントを4つ取り上げました。それぞれのポイントについて解説しているので、参考にしてください。
表書きの書き方について
戒名料の表書きは、読経料とまとめて「お布施」と書きましょう。封筒の表面の上部に「お布施」、下半分に喪主のフルネームか「〇〇家」と記載してください。
表書きを書くときは、通常の濃い墨を使いましょう。お布施は、僧侶への感謝を表すものであるため、普通の墨を使用しても問題ありません。
戒名料を渡すタイミングについて
戒名料を渡すタイミングは、戒名の作成を依頼したとき、あるいは葬儀の終了後です。戒名の作成を依頼するときは、基本的にはお通夜の後になります。また、葬儀終了後の場合は「お布施」にまとめて渡します。
通常、喪主が戒名料を渡します。もし、喪主が葬儀で忙しいときは、親族に渡してもらいましょう。
使用する封筒について
封筒は、白い無地のタイプを使用してください。郵便番号欄が印刷された封筒は避けましょう。
実は、戒名料などお布施を包む方法には、奉書紙と封筒の2パターンあります。奉書紙で包む方法が正式なマナーと言われていますが、封筒でも問題はありません。
戒名料を渡す方法について
切手盆か袱紗(ふくさ)に戒名料などのお布施を載せて渡してください。切手盆とは、葬儀や法事などに使用する縦長の黒塗りのお盆で、20cm程度の大きさです。
実は、僧侶に戒名料などのお布施を直接手渡しすることはマナー違反とされています。僧侶に感謝の言葉を添えながらお布施を渡しましょう。
戒名を自分でつけるときの注意点
自分で戒名を作成すれば、高額な戒名料を支払わずにすむ可能性があります。ただし、菩提寺がある場合は事前に相談するなど、注意すべき点がいくつかあります。
ここからは、戒名を自分でつけるときの注意点を紹介します。今後、自分で戒名を作る可能性のある方は参考にしてください。
宗派のルールを確認する
自分で戒名を作る前に、宗派のルールを調べておきましょう。戒名は、宗派によって違いがあります。たとえば、戒名の構成が異なっていたり、使用される漢字が決められたりしているため、注意してください。
日蓮宗の場合、戒名の1文字目に「日」を使うと決められています。因みに、日蓮宗では戒名のことを「法号」と呼んでいます。帰依している宗派のルールを確認した上で、作成することが大切です。
親族から反対される場合がある
自分で戒名を作成する前に、親族から了承を得ておく必要があります。親族の中には、菩提寺との関係やしきたりを大切にしている方もいるでしょう。そのような場合、自分で戒名を作成することを、反対される可能性があります。
一緒に供養をしてくれる親族とのトラブルを避けるためには、事前に親族へ相談することが大切です。
トラブルとならないよう戒名料について知っておきましょう
戒名でトラブルにならないよう、戒名料について理解を深めておきましょう。戒名料の金額を抑えたいと思って、かえって菩提寺や親族とトラブルを起こしてしまうことがあります。
トラブルが発生すると、精神的にも経済的にも辛い立場になる可能性があります。戒名のことで慌てることのないよう、この記事を参考に事前に準備しておくことが大切です。
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