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特別受益に時効はあるのか?対象となる財産・計算例もあわせて解説

特別受益に時効はあるのか?対象となる財産・計算例もあわせて解説

「特別受益とはどういうものなの?」
「特別受益には時効はある?」
「特別受益の対象となる財産って?」
このように、特別受益がどのようなものなのかわからない人や、特別受益に時効があるのかどうか気になっているという人もいるのではないでしょうか。

 

この記事では、特別受益の概要や、特別受益に時効があるのかどうか、特別受益者となる範囲などを紹介しています。この記事を読むことで、特別受益に時効があるのかどうか把握することができるでしょう。

 

また、特別受益の対象となり得る財産や成りえない財産なども紹介するため、特別受益について理解を深めることができます。

 

特別受益に時効があるのかどうか知りたい人は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

特別受益とは

特別受益とは、相続人が被相続人から受けた利益を意味する言葉です。被相続人から特別の利益を得た人のことを特別受益者と言いますが、特別受益者が受けた利益のことを特別受益と呼びます。

 

たとえば、被相続人が一部の相続人に生前贈与を行った場合、この生前贈与が特別受益にあたります。

特別受益が必要とされる理由

被相続人から生前贈与を受けた人が、相続人として他の相続人と同じ相続分を相続する場合、不公平が発生します。

 

このような不公平を発生させないためには、相続財産を分割する際には生前贈与など特別な利益を得た分を考慮して分割する必要があるため、特別受益という言葉が存在しています。

 

相続の際には、特別受益を相続財産に加算して各相続人の相続分を算定することにより、不公平を解消することが可能です。このように、遺産分割において特別受益を相続財産に加算し、相続分の算定を行うことで公平をはかることを「持ち戻し」と呼びます。

特別受益に時効はない

特別受益には時効の概念がありません。そのため、昔の贈与であっても特別受益だと主張される可能性があるでしょう。

 

しかし遺留分の計算においては、特別受益の時効は相続が開始する前の10年間までとなっています。このように、遺産分割協議を行う際の特別受益には時効の概念はありませんが、遺留分の計算を行う際には区別して考える必要があります。

 

出典|参照:遺留分侵害額の請求調停 | 裁判所

2019年民法改正前

2019年の民法改正前までは、特別受益の持ち戻しには期限はありませんでした。しかし、遺言を遺した被相続人の資産状況は、長い時間が経過するうちに変動することがあります。

 

そのため、かつて贈与した時点では遺留分を侵害していなくても、相続が発生した際には侵害してしまう事態が発生するケースが起こり得ました。

 

出典|参照:特別受益の持ち戻し徹底解説!民法改正で時効は10年に?免除もできる | 円満相続税理士法人

2019年民法改正後

2019年の民法改正後からは、遺留分を計算する際の特別受益の持ち戻しは10年以内と規定されました。先に紹介したような事態は、遺言者にとっても生前贈与を受けた相続人にとっても不測の事態となります。

 

そのため、2019年の民法改正の際に、遺留分の計算に関しては10年以上前の生前贈与は含めなくて良いという内容が規定されました。

 

出典|参照:遺留分侵害額の請求調停 | 裁判所

特別受益者となる範囲

特別受益を受けた人であっても、特別受益者に該当しないケースもあります。特別受益者とは、特別受益を受けた人の中で、さらに特定の条件に当てはまる人を指します。

 

特別受益者に該当した場合は、遺産分割の協議を行う際に特別受益を持ち戻し、調整を行わなければいけません。ここでは特別受益者となる範囲を紹介していきます。

推定相続人

推定相続とは、相続人になる可能性がある人を指します。たとえば、被相続人となる人が父親である場合、その妻と子供が推定相続人です。

 

父親が亡くなっている場合は妻と子供の扱いは相続人になりますが、まだ父親が亡くなっていないため、推定相続人という呼び方をされます。

 

相続の際に特別受益の持ち戻しが必要になる特別受益者は相続人だけであるため、特別受益を受けている推定相続人は特別受益者になる可能性が高いです。

代襲者

代襲者とは、相続人がすでに亡くなるなどして被相続人の財産を相続できない場合に、その相続人の子供が相続人となることを指します。つまり、被相続人の孫が相続人になります。

 

この場合、孫は特別受益を受けた相続人と同じ立場となるため、特別受益者になる可能性があるでしょう。また、このケースで相続人の子(孫)が亡くなっており、さらにその子供(ひ孫)がいる場合、ひ孫に再代襲される場合があります。

推定相続人になる予定の人

推定相続人になる予定の人も、特別受益者になる可能性があります。推定相続人になる予定の人とは、被相続人になる人と結婚する予定がある人や、被相続人の養子になる予定の人が該当します。

 

このような立場の人は今後推定相続人になるため、特別受益者になる可能性があるということです。ただし、養子になることが決定しており、養子縁組をする前に贈与があった場合については、特別受益にあたるのか個別に判断されることになります。

相続人の配偶者や親族

通常、相続人の配偶者や親族は相続人ではないため、特別受益者には該当しません。しかし、相続人の配偶者や親族に贈与があり、実質的に相続人に対する贈与であった場合は、相続人が特別受益者になる可能性があります。

 

つまり、相続人を特別受益者にしないためにその妻に贈与したとしても、実質的には相続人に対する贈与だとみなされれば、その相続人が特別受益者になる可能性があります。

特別受益の対象となり得る財産

贈与が特別受益とみなされるかどうかは、被相続人の経済状況にも左右されます。特別受益の対象となり得る財産も、被相続人の経済状況によっては特別受益とみなされない可能性があります。

 

それでは、一般的に特別受益の対象となり得る財産にはどのようなものがあるのでしょうか。

婚姻・養子縁組にかかる費用

婚姻・養子縁組にかかる費用は、特別受益の対象になります。民法903条では、「被相続人から婚姻若しくは養子縁組のために贈与を受けた者」と規定されているため、婚姻費用や養子縁組の費用を贈与された場合は特別受益とみなされます。

 

出典|参照:(特別受益者の相続分)| e-Gov法令検索

高等教育のための学資

高等教育のためにかかる学資は、特別受益の対象となる可能性があります。特に大学進学や留学などにかかった学資は、特別受益の対象となる可能性が高いでしょう。

 

高校については、近年では義務教育に準ずるものと判断されるため、高校の学資についても特別受益とみなされない可能性が高いです。高等教育のための学資が特別受益と判断されるかどうかは、被相続人の経済状況や金額、他の兄弟の学資との差などによって判断されます。

金銭・有価証券・金銭債権の贈与

金銭や有価証券、金銭債権なども、一般的な相場を超えた金額の贈与を行った場合、特別受益の対象となる可能性があります。金銭や有価証券、金銭債権については、その額によって特別受益と判断されるかどうかが変わります。

 

また、被相続人の経済状況によっても判断が異なるため、金銭や有価証券、金銭債権の贈与を特別受益とみなされないためには、一般的な相場を超えないように留めるのがおすすめです。

生計の資本としての贈与

同居している子供や家族の生活費を負担する程度であれば、一般的な扶養の範囲内であるため特別受益には該当しません。しかし扶養の範囲を超える贈与は、生計の資本の贈与として特別受益の対象となります。

 

民法903条でも「被相続人から生計の資本として贈与を受けた者」と規定されています。生計の資本としての贈与とは、独立している子供などへの多額の贈与のことです。

 

たとえば、住宅の購入資金などを贈与した場合は生計の資本となるため、特別受益だと判断されるでしょう。

 

出典|参照:(特別受益者の相続分) | e-Gov法令検索

不動産の贈与

居住用不動産の贈与は特別受益の対象となる可能性があります。前述のとおり、一般的な扶養の範囲を超えた多額の贈与を行った場合は特別受益に該当し、土地や建物などの不動産も多額の贈与だと判断されるため、特別受益とみなされます。

借地権の設定・承継

被相続人が所有する土地に相続人が建物を建設し借地権が設定し、さらに借地権者が相場相当の権利金の支払いがされていなかった場合は、借地権相当の贈与があったとみなされ、特別受益と判断される可能性があります。

 

借地権の名義を被相続人から相続人に承継した場合も、対価の支払いがなければ特別受益となる可能性が高いでしょう。

 

しかし権利金の支払いや借地権の承継への対価が支払われていれば、借地権相当額からこれらの支払い額を引いた額が特別受益となる可能性があります。

特別受益の対象となり得ない財産

被相続人から贈与を受けた場合でも、特別受益とみなされない財産も存在しています。

 

ただし、特別受益とみなされるケースと同様に、被相続人の経済状況などによっても判断がわかれるケースがあるため、ここで紹介する財産が必ずしも特別受益にあたらないというわけではありません。

 

ここでは、一般的に特別受益の対象となり得ない財産を紹介していきます。

死亡退職金

死亡退職金は特別受益の対象になりません。死亡退職金を受給する人が規定されている場合、その人には受け取る権利があるとみなされるため、相続財産に含まれません。

 

ただし、死亡退職金を受給する人が内規などによって規定されていない場合は、案件ごとに判断が変わってくるでしょう。また、内規によって死亡退職金を受給した場合でも、他の相続人と比較して公平でない場合には、特別受益とみなされる可能性があります。

生命保険金

生命保険金は特別受益の対象になりません。生命保険金は受取人固有の財産であり、そもそも遺産分割の対象ではないため、特別受益には該当しません。

 

ただし、被相続人の財産が生命保険金のみだった場合や、他の財産と比較して生命保険金の割合が高い場合、他の相続人に公平ではない状態になるため、特別受益とみなされる可能性があります。

遺産の無償利用

被相続人が持つ建物などを無償利用している場合は、特別受益の対象になりません。たとえば、父親と子供が父親の持ち家で一緒に暮らしているようなケースであれば、被相続人の家に相続人が同居しており、被相続人の財産が減るわけではないため、特別受益にはあたりません。

 

ただし、父親が持っているマンションに子供が一人で住んでいるようなケースであれば、特別受益とみなされる可能性もあります。

特別受益の計算例

実際に相続人の中に特別受益者が存在する場合、どのような計算で遺産の取り分を計算することになるのでしょうか。特別受益の計算は、法定相続分を超える特別受益が発生しているのか、法定相続分の範囲内で特別受益が発生しているのかによって異なります。

 

ここでは特別受益の計算例を紹介していきます。

法定相続分を超える特別受益が発生したパターン

法定相続分を超える特別受益が発生しているケースでは、特別受益を差し引くことで特別受益者の相続がマイナスになってしまいます。そのため、実際に相続は0円となりますが、他の相続人の相続もマイナスになるケースがあります。

 

このようなケースでは事例によってどのように計算するのかが異なるため、弁護士などに相談する必要があるでしょう。

法定相続分の範囲内で特別受益が発生したパターン

法定相続分の範囲内で特別受益が発生しているケースでは、法定相続分から特別受益を控除し、相続を算出します。たとえば相続開始時の財産が7,000万円あり、配偶者に4,000万円、2人いる子供のうち子供Aに1,000万円を生前贈与していたとします。

 

この場合、みなし相続財産は7,000万円+(4,000万円+1,000万円)の計1億2,000万円です。配偶者の法定相続分は2分の1となるため6,000万円、子供2人の法定相続分はそれぞれ4分の1となるため3,000万円ずつです。

 

配偶者は特別受益が4,000万円あるため、配偶者の相続分は6,000万円-4,000万円の計2,000万円となります。子供Aは特別受益が1,000万円あるため、相続分は3,000万円-1,000万円の計2,000万円です。子供Bは特別受益がないため、相続分は3,000万円となります。

 

出典・参照:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

特別受益の持ち戻しをしないパターン

特別受益だと判断された場合、遺産分割の際に特別受益の持ち戻しを行うことになります。特別受益の持ち戻しとは、遺産分割の際に特別受益を相続財産に加算し、相続分の算定を行うことで、公平をはかることです。

 

しかし特別受益の持ち戻しをしないパターンも存在しています。ここでは最後に、特別受益の持ち戻しをしないパターンを紹介していきましょう。

持ち戻し免除の意思表示をした場合

被相続人が遺言などで持ち戻し免除の意思表示を行った場合、特別受益者は持ち戻し免除となり、持ち戻す必要はなくなります。持ち戻し免除の対象は、法定相続人もしくは推定相続人です。

 

持ち戻し免除の意思表示は口頭で行うことも可能ですが、後から言った言わないのトラブルになる可能性があるため、遺言書として残しておいた方が良いでしょう。

配偶者に自宅を贈与した場合

結婚20年以上の配偶者に自宅を生前贈与した場合は、特別受益には該当しません。2019年の法改正の前までは、配偶者が住んでいる自宅でも特別受益とみなされ、配偶者が自宅に住み続けられなくなる問題が発生するケースがありました。そのため、現在では改正されています。

 

出典|参照:(特別受益者の相続分)| e-Gov法令検索

特別受益の時効について正しく理解しよう

特別受益には時効という概念は存在しないため、昔に贈与された財産であっても特別受益だと他の相続人に主張される可能性があります。

 

ぜひ本記事で紹介した特別受益者となる範囲や特別受益の対象となる財産などを参考に、特別受益について理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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永代供養ナビ編集長

株式会社霊園・墓石のヤシロ 営業本部長藤橋 靖雄

【経歴・プロフィール】

1998年入社。お墓販売、商品企画を経て、多様化する供養の形に応えるサービス・霊園プロデュースだけでなく、営業企画、WEBマーケティングなど幅広い埋葬、葬送事業を担当。
また、墓じまいや終活に関する各地域の終活イベント・セミナーにも講師として登壇し、終活のお悩みごとを解決するトータルアドバイザーとしても活躍。

【掲載メディア・登壇イベント】

株式会社エイチームライフデザイン運営

【保有資格】

終活カウンセラー 2級

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