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そもそも「家督相続」とは?旧民法における相続制度の特徴や対策ポイントも紹介

そもそも「家督相続」とは?旧民法における相続制度の特徴や対策ポイントも紹介

「家の財産は長男(もしくは長子)がすべて相続するものだ」と思い込んでいる方もいるでしょう。

 

かつての日本では、原則的に「家を継ぐ」のは1人で、他の家族は財産を引き継ぐことができませんでした。家を子孫のうちの1人が継いでいくシステムは「家督相続」と呼ばれ、法律で定められていました。

 

「家督相続」は戦前の制度であり、現行の相続制度とは異なりますが、現代でもまれに耳にすることもあるでしょう。

 

本記事では「家督相続」というかつての相続制度について解説しています。こちらの記事を参考にすれば、現行の相続制度との違いを理解でき、まれにある「家督相続」という旧法の適用事例も確認可能です。

 

急に「家督相続」という古い制度を持ち出されて、困惑してしまうことのないよう、ぜひ理解しておいてください。

そもそも家督相続とは?

戦前の民法では、親族に関する扱いのなかに「戸主」という位置づけがありました。

 

戸主が死亡したときや隠居したときは、「戸主」たる地位を受け継ぐ者が、財産も相続するものと定められていました。「家督相続」とは、一家の戸主という権利・義務と一家の財産を引き継ぐ制度です。

 

「家督相続」はあくまでも戦前の制度であり、昭和22年の憲法公布により廃止されています。ただし、昭和22年の段階では、家督制度の廃止による混乱を避けるため、民法改正前の暫定措置が設けられていました。昭和23年の民法改正により、正式に廃止されています。

 

出典:民法の一部を改正する法律 昭和22年12月22日法律第222号|日本法令索引

出典:裁判所法中の一部を改正する等の法律 昭和23年12月21日法律第260号|日本法令索引

旧民法における家督相続制度の特徴

旧民法で制定されていた「家督制度」には、現行民法になじんでいる者にとって特異と感じる定めもあります。

 

ここでは、旧民法における家督制度の特徴について紹介します。家督制度の規則のなかで、今でも継続しているものと勘違いしている内容がないかも含め、確認してみましょう。

 

出典:民法第四編第五編・御署名原本・明治三十一年・法律第九号|国立公文書館

  • 家督相続における順位
  • 原則的に長男がすべてを相続する制度
  • 家督相続制度における財産留保

家督相続における順位

旧民法の家督相続における相続順位について、現行法との大きな違いは、同順位に複数の該当者がいる場合でも複数で相続することはないという点です。

 

家督相続の第1順位は「第一種法定推定家督相続人」、第2順位は「前戸主が生前に又は遺言で指定した者」第3順位は「第一種選定家督相続人」でした。

 

法定家督相続人とは、前戸主と同じ戸籍の直系卑属です。前戸主に子や孫が複数いる場合は、法定の順序で1人に決められます。選定家督相続人とは、父や母、親族会により、家族のなかから選定された者です。

 

第4順位は「第二種法定推定家督相続人」、第5順位は「第二種選定家督相続人」が定められていました。

原則的に長男がすべてを相続する制度

家督制度は、財産だけでなく戸主という地位も受け継ぐ制度です。地位や財産は分割されることなく、前戸主から新たな戸主へと受け継がれます。

 

旧民法第970条第2項には、家督相続の同順位内に該当者が複数いる場合、同順位内で親等が同じ場合は、男子を優先する旨の定めがありました。

 

したがって、前戸主に子どもが複数いても、子どものなかに男子がいれば、原則的に長男が家督相続人として全権利・義務・財産を相続していました。

家督相続制度における財産留保

昔の家督相続は、戸主の死亡だけでなく、戸主が「隠居」や「入夫婚姻」することで開始することもありました。

 

前戸主の存命中に「隠居」や「入夫婚姻」により家督相続を開始した場合は、すべてを新しい戸主に譲るのではなく、前戸主のもとに財産を留保することができました。

 

留保した財産は家督相続の対象から外れ、前戸主の死後は遺産相続の対象として処理されていました。

現在の民法に基づいた相続における法定相続分

現行法では、相続人の順位が見直され、旧民法下の家督相続人の順位と大きく変更されています。死亡した人(被相続人)に配偶者がいる場合は、配偶者は必ず相続人になり、加えて以下の早い順位に該当する人も相続人になります。

 

第1順位は「被相続人の子ども」、第2順位は「被相続人の直系尊属(父母または祖父母)、第3順位は「被相続人の兄弟姉妹」です。各順位に該当者が複数いる場合は、1人に絞ることはせず、該当者全員が相続人となる点でも家督相続の順位とは異なります。

 

出典:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

相続登記に家督相続が適用される場合がある?

件数として多くはないものの、現代でも家督相続が適用される事例もあります。代々相続登記がなされておらず、相続法が改正される以前に死亡した「戸主」の名義が残っていることがあります。

 

旧民法の時代に発生した相続については「家督相続」を適用して相続人を判断しなければなりません。家督相続に基づく相続人を経由して、現行民法に基づく相続人名義とする登記が必要です。

家督相続に近い遺産相続をするための方法

現在の法の下でも、自分の財産を分割することなく、子孫の1人に受け継いで欲しい場合は、どのように相続を進めればよいのでしょうか。生前に何の準備もしていない状態では、死亡して相続が開始すると、財産は法の定めに従って分割されてしまうことになります。

 

ここでは、遺産を家督相続のように1人の相続人に受け継いでもらうことを可能にする方法を紹介します。

遺言書の作成を行う

特定の1人に相続させたい場合には、遺言書で相続人を指定しておくという方法を使いましょう。

 

遺言書で被相続人の意思を表明することができますが、現行の民法では「遺留分」が認められているので注意が必要です。

 

相続できなかった法定相続人が「遺留分請求」を行うと、被相続人の意思に反して、遺留分にあたる財産は、遺言書で指定した相続人以外の法定相続人に分割されてしまいます。

 

出典:民法 | e-Gov法令検索

家族信託の制度を利用する

家督相続と同じように、直系の卑属(子孫)へと脈々と財産を繋いでいきたい場合、「家族信託」という信託方式を選択することも可能です。

 

家族信託では、順位を設定して受益者を指定することができます。

 

委託者を第1順位の受益者とし、第2順位を長男、第3位を孫(長男の長男)のように設定しておけば、上位受益者が死亡したタイミングで、次の順位の受益者に財産が移ります。

他の相続人全員との遺産分割協議を行い同意を得る

遺言書に子孫の1人に全財産を残す旨の指定をしても、法定相続人が遺留分の請求を行うことで財産が分割されてしまうというリスクがあります。このリスクを避けるために、あらかじめ相続人全員と協議しておくか、遺産分割協議の場で同意を取るという方法があります。

 

他の相続人が遺産分割内容に納得していれば、1人で全財産を相続することも可能です。

家督相続に近い遺産相続をしたいなら「遺留分」についても確認をしておく

家督相続のように、家を継いでくれる人のみに財産を残したいという場合は、意思に反して「遺留分の請求」をされることがないように、「遺留分」を理解しておきましょう。

 

法定相続人と被相続人の関係によって、遺留分となる割合は異なります。遺留分を超える財産が分配されていれば、遺留分を請求されることもありません。また、遺留分については、被相続人となる者の存命中でも死亡後でも放棄できます。

家督相続を主張する相続人がいた場合の対策ポイント

家督相続は、すでに廃止されていますが、親族のなかで家督相続を主張する者が現れた場合は、どのような対処をすればよいのでしょう。

 

ここでは、現在の相続方法も踏まえながら、対処方法を考えてみましょう。

  • 遺言書がない場合は話し合いをする
  • 話し合いが進まなければ遺産分割調停をする
  • 遺言書がある場合は内容の確認をする
  • 遺言書に基づいて家督相続に近い相続がされた場合は遺留分請求をする

遺言書がない場合は話し合いをする

相続人のなかに「家督相続」を主張する者が現れた場合、まずは故人が遺言書を残していないか確認してみましょう。

 

遺言書が存在しない場合は、法定相続人間で話し合って解決することになります。家督相続を主張している相続人に、主張の理由を確認することから始めましょう。現代の相続法で考えても理にかなっている主張の可能性もあります。

話し合いが進まなければ遺産分割調停をする

当事者同士の話し合いで決着がつかなければ、遺産分割の調停を申し立てます。調停でも遺産分割の内容が決まらないのであれば、審判や裁判による遺産分割を申し立てて、裁判所に解決してもらいます。

遺言書がある場合は内容の確認をする

故人が遺言書を残している場合は、内容を確認しましょう。「家督相続」を主張している相続人に対して、故人が遺言書で全財産を譲っているのであれば、故人の意思に従うのもひとつの方法です。

遺言書に基づいて家督相続に近い相続がされた場合は遺留分請求をする

遺言書で家督相続に近い相続方法を指定されている場合でも、必ず従わなければならないというわけではありません。

 

遺言書に「一切の財産を譲る」旨の記載があっても、相続分が遺留分に満たない場合、一定の相続人は遺留分を請求できます。遺留分として認められた割合分の財産は分割してもらえるでしょう。

旧民法における家督相続制度について理解して参考にしよう

旧民法下の制度である家督相続について、不要な知識だと考えるのは早計です。家督相続制度に則って相続をしなければならなかった時期に、相続の手続きがされていなかった場合は、今をもっても旧制度に則って手続きしなければなりません。

 

また、家督相続制度に関する民法改正がされてから年月が経っているにもかかわらず、今でも相続手続き時に家督相続を主張されるケースもあります。現代において役立つこともあるので、旧民法下の家督相続制度についても理解してきましょう。

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永代供養ナビ編集長

株式会社霊園・墓石のヤシロ 営業本部長藤橋 靖雄

【経歴・プロフィール】

1998年入社。お墓販売、商品企画を経て、多様化する供養の形に応えるサービス・霊園プロデュースだけでなく、営業企画、WEBマーケティングなど幅広い埋葬、葬送事業を担当。
また、墓じまいや終活に関する各地域の終活イベント・セミナーにも講師として登壇し、終活のお悩みごとを解決するトータルアドバイザーとしても活躍。

【掲載メディア・登壇イベント】

株式会社エイチームライフデザイン運営

【保有資格】

終活カウンセラー 2級

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