
喪中期間に初詣へ行ってもいい?喪中に迎える年末年始マナー・禁忌を犯してしまったら?

「喪中にお正月を迎えるけど初詣に行ってもいい?」
「喪中に迎えるお正月マナーは?」
「喪中なのに初詣をしてしまった!」
喪中の年末年始は初詣に行って良いか迷いますよね。喪中だからこそ初詣で厄払いをしたいと考える方もいます。またお正月は、どこまでがお祝い事と捉えられるかも線引きが難しいです。
本記事を読むことで、喪中の初詣ができるところ・年末年始の迎え方やマナー、喪中の初詣で禁忌を犯してしまったらどうするかが分かります。

喪中に初詣へ行ってもいい?

喪中に初詣に行くことはできますが、忌中の神社参拝は忌まれるため初詣もできません。喪中に神社へ初詣したい場合は、四十九日法要以降の忌明けを選びましょう。
一方、寺院では忌中でも初詣ができます。これは神道・仏教における死への考え方が異なるためです。
①神社への初詣
神道では死を穢れとします。遺族は忌中の間「死の穢れ」をまとっているため、神様の目に触れてはなりません。神様だけではなく遺族は他者へ死の穢れを移さぬよう、自宅で身を慎んできました。
そのため忌中の遺族はむやみに外出したり、人の集まる場は控えます。贈り物も死の穢れが移るとして控えるため、香典返しは忌中を過ぎてから送ることが習わしです。
このようなことから神社では神様に死の穢れを見せぬよう、忌中の神社参拝もしてはいけません。けれども忌中が過ぎていれば、喪中でも神社参拝ができます。
②寺院への初詣
仏教では死を穢れとする考え方はありません。神社には敷地内にお墓を建てないが、寺院の境内にはお墓を建つことからも分かるでしょう。
そのため忌中であっても寺院への初詣なら可能です。もちろん忌明け以降の喪中も、初詣はできるでしょう。
ただし仏式であっても日本の風習として忌中・喪中の考え方はあります。
喪中に年末年始を迎える場合に初詣はしても良いものの、賑やかなお祝い事やお正月飾り等は控えましょう。
喪中に初詣ができる期間は?

喪中でも初詣ができる期間は、忌明け以降が目安です。忌中は故人の逝去日から49日目、一般的に四十九日法要が節目となり翌日から忌明けとなります。
忌中の数え方は逝去日を第1日目として数えるため「1日+48日目」です。逝去日が1月1日であれば2月18日の計算になるでしょう。
①喪中はよい理由
忌中は死の穢れを他者に移さず、神様の目に触れぬように神社参拝を控えますよね。一方、喪中は遺族が故人を偲び喪に服す期間であり、死の穢れとは関係がありません。
遺族は喪に服しながら1年間を通して体力的にも精神的にも少しずつ回復し、日常生活に戻ります。
③忌中に神社へ初詣をしていたら?
喪中に初詣できる期間は仏教・神道で違う?

喪中に参拝できる期間は忌明けからですが、「忌中」にあたる日数が仏教と神道で違います。ただ全国的に仏式の法要が多いため、四十九日法要を境に忌明けと考える方が多いでしょう。
①仏教における忌中
仏教における忌中は、故人の逝去日から49日目の四十九日法要までです。仏教の教えでは、人がなくなると7日ごとに生前の行いに対して裁判を受けます。
忌中の故人は、あの世とこの世を彷徨う霊魂の状態です。けれども四十九日法要を境に、故人は今後の行き先が決まり成仏します。これが仏教における忌明けとなります。
・初七日…無益な殺生
・ニ七日…盗みを働いたか
・三七日…生前の不貞
・四七日…生前の嘘
・五七日…輪廻転生先の決定
・六七日…生まれ変わる条件の決定
・七七日…最終判決(性別・寿命)
四十九日後も百日法要・一周忌・三回忌等の法要が引き続き執り行われますよね。これは追加の審理が行われるためです。
遺族は忌中の四十九日間、故人の供養をすることで裁判により極楽浄土へ行くことを後押しします。これが初七日から始まる追善供養であり、四十九日法要が追善供養の最終日、節目です。
②神道における忌中
神道における忌中は故人が逝去した日を第1日目とし、第50日目の翌日までです。
神道では仏教における四十九日法要の代わりに、「五十日祭」と呼ばれる霊祭を行います。神道では故人亡き後、10日ごとに霊祭を行う日程です。
神道において五十日祭は故人が家を守る守護神となって帰ってくる日であり、遺族は守護神となった故人を迎えます。
・10日目…十日祭
・20日目…二十日祭
・30日目…三十日祭
・40日目…四十日祭
・50日目…五十日祭
成仏の概念がない神道の五十日祭で包む香典の表書きは「御神前」等が良いでしょう。対して五十日祭の引き物は、表書きが「志」「偲び草」等が適切です。
仏教では追善供養が行われますが、神道における霊祭は神様へ今在ることに感謝する儀式です。故人を含め子々孫々と時代を繋ぎ、今自分達がここに在ることに感謝します。
③キリスト教は?
キリスト教では死は悲しむべきものではなく、故人は逝去後に神様のもとで安らかに復活の日を待ちます。死はむしろ喜ぶべきことであり仏教のように忌中の概念はなく、追悼に細かな決まり事はありません。
キリスト教は大まかにカトリック・プロテスタントの宗派に分かれ、カトリック派は「追悼ミサ」、プロテスタントは「記念集会」が行われます。
[カトリック]
・3日目…追悼ミサ
・7日目(10日目)…追悼ミサ
・30日目…追悼ミサ
[プロテスタント]
・7日目(10日目)…記念集会
・1ヵ月目…召天記念日(記念集会)
キリスト教において葬儀や儀式は生きる者のためにあります。生きる者が故人を思い出し、偲びながら喪失の悲しみを癒すための儀式なのです。
喪中の初詣でやってもいいことは?

喪中であっても寺院ならば初詣はできます。
寺院であれば忌中・喪中に関係なく通常通りの初詣ができますが、派手な着物等でお祝いをする感覚ではなく、落ち着いた服装が適切です。
神社では喪中であっても初詣はできますが、忌中の初詣は忌まれます。忌中に迎える年末年始では、寺院への初詣がより適しているでしょう。
①喪中のお祓い
喪中であっても忌中でなければ基本的に厄払いが可能です。忌中でも寺院へ参拝できるので、寺院での厄払いもできるでしょう。
ただし忌中はそもそも神社へ入ることができないため、神社での厄払いもできません。忌中が過ぎさえすれば神社での厄払いも可能です。
親族の不幸が続き「忌中だけど神社で厄払いしたい」と考える方もいるようです。この場合には厄払いのみ忌中でも受け入れる神社が稀にあるため、調べてみるのも良いでしょう。
②喪中のお焚き上げ
お焚き上げも喪中のお焚き上げは受け付けるものの、忌中は控えます。
忌中期間でも一刻も早くお焚き上げをしたい場合は、忌中にあたらない知人・友人・遠い親族等にお焚き上げの品を託す方法もあるでしょう。
また近年ではお焚き上げの品を郵送受付してくれる神社もあります。郵送であれば敷地内に入ることもないため、郵送によるお焚き上げも一案です。
③喪中のおみくじ
喪中のおみくじは参拝できるか否かによります。寺院では忌中の参拝もできるため、忌中・喪中に関わらずおみくじを引くことが可能です。
一方、神社では忌中の参拝は忌まれますが、忌明け後であれば喪中でも神社への参拝・おみくじともに問題はありません。
喪中の年末年始で控えること

故人を偲び喪に服す遺族が、喪中に避けたい事柄がお祝い事です。お正月のお祝いはもちろん、建築祝い・結婚式等への参列も避けた方が良いとされます。
ただ喪中でも先方から「ぜひ出席して欲しい」とお願いされたお祝い事は、主催者に確認を取ったうえで出るケースもあるでしょう。
①年賀状を送る
喪中でも年末年始の儀式を行って問題はありませんが、お祝い事は避けます。年賀状の「賀」は新年を祝うことを意味します。
喪中は人々が年賀状の準備を始める12月15日頃までを目安に「喪中欠礼ハガキ」を送り、喪中により年賀状を欠くことを詫びましょう。
新年の御挨拶をしたい相手には、幕の内となる1月7日の翌日~春分の日(毎年2月3日頃)までを目安に寒中御見舞いを送ると丁寧です。
喪中欠礼ハガキを書くマナーは、下記コラムで詳しく解説しています。
・喪中ハガキのマナーとは?いつからいつまでに出す?12月過ぎたら?文例8つと徹底解説
②正月飾り
喪中の年末年始は身を慎み静かに過ごすとされます。門松・鏡餅・しめ縄等の正月飾りはお祝い事に分類されるため、喪中は避けましょう。
その年の吉兆を運ぶ年神様を迎える飾り物が正月飾りですが、神道で「神様の目に死の穢れを見せない」意味からも、年神様を迎える飾り物は控えます。
ただし縁起物として破魔矢・熊手・福笹は飾っても良いです。この他、菊・松・南天・梅等の正月花を飾るほどなら問題はありません。
③お年玉
お年玉もお正月を祝う行為なので控えます。ただし名目を「お年玉」としなければ、子どもにお金を包むこと自体に問題はありません。
喪中にお金を包む時、一般的には「お小遣い」の名目が多いです。この他「心ばかり」「ほんの気持ち」等、抽象的な言葉を添える方も増えました。
④お祝いの御挨拶
年賀の御挨拶もお祝い事になるため注意をしましょう。
「明けましておめでとうございます」等のお祝いの言葉を避け、「今年もよろしくお願いいたします」等の御挨拶に留めます。
ただし相手から年賀の御挨拶をいただくことに問題はありません。有難く受け取り対応すると良いでしょう。
⑤お祝い事
忌中でなければ喪中の初詣はお祝い事にあたりませんが、年末年始のお祝い事行事への参加は控えます。特に忌中は寺院への初詣はできるものの、お祝い膳等は控えた方が良いです。
おせちに関しては意見がさまざまです。
「喪中のおせちは忌まれる」とする地域もありますが、もともと年末年始に家事を担う女性が台所仕事を休めるために、もちの良い食事を詰めたことから始まったとされます。
ただしお祝い事で出される伊勢海老や紅白かまぼこ等を詰めることは控えた方が良いでしょう。基本的に身を慎み喪に服す、厳かなおかずをいただきます。
まとめ:喪中は初詣ができますが、忌中は避けます

神社・寺院に関わらず忌明け後であれば、喪中でも初詣は可能です。故人が逝去して49日目までの忌中の場合、喪中の初詣は寺院に限ります。
故人の配偶者や両親であれば13ヵ月、もしくは一周忌までが喪中です。けれども故人の兄弟姉妹・祖父母の喪中は3ヵ月~6ヵ月とする地域もあります。
一般的な目安として同居家族は12ヵ月(一周忌)~13ヵ月が喪中とされますが、故人との関係性や地域性、宗派によっても変わってくるため、周囲に確認しても良いでしょう。
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