
納骨やお通夜などの葬式費用は相続税から控除できる?対象外になるものも紹介

「納骨費用は誰が負担するの?」
「葬儀でかかった費用は相続税で考慮してもらえないの?」
「相続財産から控除できる費用って?」
相続やお葬式は頻繁に経験することではないため、相続税や葬儀費用についてあまり詳しくない人も多いのではないでしょうか。
本記事では納骨とは何か、納骨するための費用は誰が支払うのか、相続税が発生した際に控除される費用と控除されない費用について紹介します。併せて、相続財産から葬儀の費用を支払って相続放棄できることも紹介しています。
この記事を読むことで、納骨にかかる費用や適した時期、費用負担は誰がするのかといったことが分かり、相続税から控除できる費用についても把握できるでしょう。
相続税や葬儀の費用について疑問や不安がある場合は、ぜひチェックしてみてください。
納骨とは何をするのか
人が亡くなり、お葬式をして遺体を火葬した後は故人の遺骨が残ります。この残された遺骨を、お墓や納骨堂といった安置場所に納めるのが「納骨」です。
実際に納骨する際には、家族や親族が集まって納骨法要を行い、遺骨を納めるスペースに納骨した後に会食することが一般的ですが、近年は会食を省略し簡略化するケースも増えています。
納骨を行う時期
ここでは一般的な納骨を行う3つの時期について、紹介していきます。納骨を行う時期は、特に定められていません。そのため、必ずしも以下で紹介する3つの時期に納骨しなければならないということはないでしょう。
1:四十九日
もっとも一般的な納骨時期は、四十九日法要に合わせて納骨することでしょう。
四十九日(七七日)というのは仏教由来の考え方で、亡くなった方が生前の行いによって極楽浄土に行けるかどうかが決まる日です。そのため忌日法要の中でも、四十九日法要は重要な法要と考えられています。
重要な法要であること、そして「中陰」が終わり忌明けのタイミングであることから、四十九日を区切りとして納骨するケースが多いでしょう。
2:一周忌
続いてのタイミングは、故人が亡くなって一周忌のときに納骨するパターンです。新しいお墓を建てている最中や、納骨にはまだ早いと考えていたなどの理由で四十九日に納骨できなかった場合、また百箇日法要を行わなかった場合は、一周忌の時期に納骨することになります。
一周忌が納骨の時期になるのは、喪が明けるタイミングで区切りとしてちょうど良い時期であること、家族や親族、故人と親しかった人が参加する法要であることなどの理由があります。
このパターンであれば、一周忌で集まった人たちに、そのまま立ち会ってもらいながら納骨できるでしょう。
3:三回忌
できるだけ長く手元に遺骨を残しておきたい人が納骨するタイミングは、三回忌になるでしょう。三回忌法要は、一周忌法要に続いて家族や親族が多く参加しやすい法要であること、節目になりやすいことから、納骨の時期に適しています。
ただ、三回忌法要までに納骨しなければならないということはありません。この後も七回忌や十三回忌、祥月命日といった納骨時期に適したタイミングはいくつかあります。心の整理がつき、家族や親族にとって良い時期を選んでみましょう。
納骨費用は誰が払う?
納骨費用は、一般的に葬儀で喪主になった人が負担することになります。しかし、喪主が支払わなければならないと決まっている訳ではありません。そのため話し合って相続人全員で分割して負担する場合や、故人が残した財産から支払うといった場合もあるでしょう。
大切なことは、納骨費用をどう支払うかをあらかじめ家族や親族間と話し合い、合意しておくことです。ただし、納骨費用を相続人以外が支払った場合、相続税の計算時に控除できなくなる場合があることには注意しましょう。
納骨費用の相場
納骨費用の相場は、どこに納骨するのかで変わってきますが、基本的に数万円~10万円前後かかるでしょう。
納骨で一般的なのはお墓への納骨ですが、それ以外に納骨するケースも増えています。ここからは、お墓へ納骨する場合の費用の相場と、お墓以外へ納骨する場合の費用の相場の目安について紹介します。
お墓へ納骨する場合
お墓へ納骨する場合、費用の相場はお布施・お車代・御膳料などで5万円~10万円程度になるでしょう。
お布施は納骨式で法要してくれる僧侶へ渡す費用であり、お車代は僧侶に出向いてもらったことに対して支払う費用、御膳料は納骨式で会食に僧侶が参加しなかった場合に支払う費用のことです。またこの他に、納骨式で必要になる物品購入費用がかかることもあります。
お布施とお車代は別にして渡す必要があること、御膳料を渡す場合はこちらも別に渡さなければならないことに注意してください。
費用の内訳 | 費用の相場 |
---|---|
お布施 | 3万円~5万円程度 |
お車代 | 5千円~1万円程度 |
物品費用 | 5千円~1万円程度 |
会食費 | 3千円~1万円程度 |
御膳料 | 5千円~2万円程度 |
お墓以外へ納骨する場合
お墓以外へ納骨する場合、候補となるのは「納骨堂」「永代供養墓」「樹木葬」などです。
納骨堂の平均的な相場は約60万円、永代供養墓は約30万円、樹木葬で約50万円となっています。お墓へ納骨した場合よりも費用相場が高くなっているのは、これらの費用にそれぞれの使用料または永代供養料などが含まれているためです。
お墓を持たない納骨方法として、散骨をする「海洋葬」や「空中葬」を行うという方法もあります。こちらの費用相場は、約25万円です。
相続財産から控除できる費用
ここではまず、相続財産から控除できる葬式の費用について紹介します。どの費用が控除対象かが分かれば、安心して準備に取りかかれるでしょう。以下の内容を参考にしてください。
納骨する費用
納骨そのものにかかった費用は、葬儀費用として、相続財産からの控除対象になります。納骨は葬儀ではありませんが、社会通念上、葬儀と共に行ってしかるべき儀式であると認められていることが理由です。
ただ、納骨に関する費用全てが控除の対象になる訳ではありません。控除の対象となるのは、納骨そのものに関する費用であることを理解しておきましょう。
お通夜や告別式でかかる費用
お通夜や告別式でかかる費用のうち、以下は控除対象になります。
・遺体や遺骨の運搬・回送費用
・火葬・埋葬費用
・お布施・読経料・戒名料
・葬式前後で通常葬式に必要な費用(お通夜など)
仮葬式・本葬式を両方行ったような場合でも、両方にかかった費用は控除対象です。またこれらの他に、死亡診断書の発行費用や遺体が万が一不明になった際の、捜索費用も控除対象になります。
控除対象外の費用
通常の葬儀費用のように思えても、相続税から控除対象にはならない費用もあります。
たとえば、香典は相続財産にはあたらないため、香典返しは相続財産の控除対象にはなりません。新しく墓石や墓地を購入したり墓地を借入れたりした場合も、その費用は控除対象にはならないため注意しましょう。
葬儀費用が控除できない人とは?
相続税から葬儀費用が控除されますが、葬儀費用を負担しても相続財産から控除できない人もいます。「相続人」や「包括受遺者以外(特定受遺者)」、「相続放棄者」そして「制限納税義務者」が葬儀費用を負担しても、控除することはできません。
包括受遺者以外(特定受遺者)というのは、たとえば指定された財産のみを相続した人のことです。相続放棄者は相続放棄して相続の対象から外れた人、制限納税義務者は国内にある財産のみ相続税がかかる人を指します。
相続財産から葬儀費用を払っても相続放棄ができる理由
通常、相続財産を処分したり、期間内に相続放棄しなかったりした際には相続を単純承認したと見なされ、相続放棄できる期間内であっても相続放棄できなくなってしまいます。
しかし、相続財産から葬儀費用を支払ったケースは「道義上必然の所為」とされ、単純承認には該当しないという判例が出ていることから、葬儀費用を相続財産から支払った後でも相続放棄は可能です。
ただこれは、一般的な葬儀費用として許容範囲内の額であれば、というただし書きがつきます。許容範囲内の額が不明確なため、故人に多額の債務があることがあらかじめ分かっていたような場合は、注意が必要です。
自分たちの納骨方法などに合わせて費用や相続税を確認しましょう
納骨費用は、納骨方法によっても変わってきます。ただどのような納骨方法を選んだとしても、納骨費用やお通夜・告別式などの葬儀費用は相続税の控除対象になります。
しかし控除対象にならない人もいるため、そちらについてはこちらの記事を参考にしてみてください。
どのような葬儀費用が相続税控除の対象なのか、対象にならない費用に何があるのか当日を迎える前に確認しておきましょう。
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