年神様(歳徳神)とは?2026年の恵方と迎え入れ方
「年神様とは?」
「歳徳神とは誰のこと?」
「2026年の恵方は?神社はどこに行けばいい?」
年末年始が近づくと、こうした疑問が浮かぶこともありますよね。
年神様(歳徳神)は、新しい一年の福徳を授けるために年始にいらっしゃる神様で、正月飾りや鏡餅を通して家庭に迎え入れる存在です。本記事では、年神様の由来や意味、2026年の干支と恵方、年神様とゆかりのある神社、そして正月の迎え入れ方・過ごし方を分かりやすくまとめています。
新しい一年を気持ちよく迎えたい方、正月行事の意味を知りたい方にも役立つ内容です。
年神様(としがみさま)・歳徳神とは?
◇「年神様」とは、新しい一年を司る神様です
「年神様(としがみさま)」とは、元旦の初日の出とともに、一年の福徳を持って高い山から家々に訪れ、その家の一年の守護を統べる来訪神です。
またご先祖様の魂が山の方へ行き、七代後にして、その家を守る神様「祖霊(それい)」として戻ってくるとする地域もありました。
一般的には年神様とされますが、「歳神様」とする家や地域もあるでしょう。
基本的には家々を訪れる来訪神として、家で鏡餅やおせち料理でもてなします。
別名が「歳徳神」
◇「年神様」は陰陽道の「歳徳神」と言われています
陰陽道で、巡る一年の福徳を担う「歳徳神(としとくじん)」は、年神様(歳神様)と同一神だと言われてきました。
・大歳神(大歳神)…スサノオノミコトとクシナダヒメの子
・御歳神
・若年神(若年様)
・歳徳神(としとくじん)
・恵方様
・とんど様
・トシドシ
・おとんど
・お正月様
また「大歳神」「御歳神」も年神様の別名です。
「年神様」は「歳神様」とも書きますが、いずれも各家庭の一年を守護する、年神様に変わりはありません。
年神様(歳神様)の由来(神道)
◇年神様(歳神様)は、正月に家へ訪れるとされる神道の神様
…五穀豊穣や一年の無病息災を授ける存在と考えられてきました。山から降りて家々を訪れ、正月飾りや鏡餅に宿ることでその年の福をもたらすと伝えられています。
七草粥をいただく正月七日(1月7日)は、年神様(歳神様)を丁重に迎えたお正月行事の締めくくりの時期にあたります。新しい一年の健康を願い、七草や若菜をいただく風習は、年神様(歳神様)の恵みをいただくという意味にもつながります。
元旦~松の内は「神在」いつまでいる?
◇お正月は、「神在(かみあり)」の時期
…年神様(歳神様)が家に滞在している特別な期間にあたります。
一般的に元旦から松の内(神在)までがその期間で、地域によって松の内(神在)は「1月7日」または「1月15日」までとされています。
松の内(神在)は正月飾りを飾り、年神様(歳神様)をお迎えしてもてなす期間です。そのため鏡餅やしめ縄を片付けるタイミングは、松の内(神在)が明けてからが良いとされます。
正月七日の七草粥は、この「神在」の期間を締めくくる行事でもあり、一年の健康を願っていただく風習として続けられています。
正月飾り「鏡餅」|どんな意味がある?
◇鏡餅は、お正月(神在)に年神様(歳神様)が宿る依り代です
鏡餅はお正月の元旦~鏡開きの11日(神在)まで、家にやってきた年神様の居場所「依り代」となりますので、家族が日ごろから集まるリビングなどに飾りましょう。
・人が集まるリビングが多い
・大きい丸餅に小さい丸餅を重ねる
・橙(みかんなど)を上に置く
鏡餅を飾る期間(神在)は地域によって大きく違います。
例えば(神在)全国的には「鏡開き」である1月11日までを神在としますが、関東では1月7日までであったり、関西では1月15日までを神在とし、飾る家もあるでしょう。
もしも家族が集まるリビング以外でも、書斎や玄関など、年神様(歳神様)にいていただきたい場所があれば、そこに鏡餅を飾っても構いません。
鏡餅のタブーと理由
◇鏡餅は神在に、年神様(歳神様)の依り代(よりしろ)とされる神聖な供え物です。
そのため扱いにはいくつかのタブーがあります。
刃物を使うと神様と縁を切る行為に通じ、不吉とされます。
● 鏡餅を捨てない
神聖な依り代を粗末に扱う行為につながるため避けるべきです。
● 供えたまま残しておかない
開いていただくことで、年神様の力を授かると考えられています。
鏡餅には年神様(歳神様)の力が宿るとされ、丁寧に開いて(割って)お雑煮やおしるこでいただくことが大切です。七草粥と同じく、鏡餅をいただくことも「一年の無病息災を願う」大切な行事につながっています。
鏡餅・正月飾りはお焚き上げ|どんど焼き
◇松の内が明けると、地域によって「どんど焼き(どんと焼き)」が行われます。
正月飾りや書き初めなどを火にくべて焚き上げ、年神様を天へお返しする行事です。
お焚き上げの炎にあたると、その年の無病息災を得られるとする地域もあります。
しめ縄・松飾り・しめ飾りなどの正月飾りは、家庭ごみとして捨てるのではなく、どんど焼きで清めて処分することが望ましいとされます。
鏡餅は破片が飛び散るため焚き上げには向きませんが、正月飾りはどんど焼きと相性が良く、正月行事の締めくくりとして多くの地域に残る風習です。
・鏡開きやどんど焼きとはなに?鏡餅を下げるタイミングや美味しいレシピ、注意点も解説!
子どもと行こう!年神様を祀る神社
◇大歳神様、御年神様を祀る神社もあります
年神様は年始に果報・福徳を持って、山頂から元旦にそれぞれの家庭に来訪し、一致期間が過ぎると山へ帰る来訪神です。
また、山頂などに位置する神社では、年神様を祀る神社がいくつかあります。
| <年神様とは:年神様を祀る神社> | |
| [1]葛木御歳神社 | |
| [住所] | 奈良県御所市東持田269番地 |
| [TEL] | 0745-66-1708 |
| [2]飛騨一宮水無神社 | |
| [住所] | 岐阜県高山市一之宮町5323 |
| [TEL] | 0577-53-2001 |
| [3]大歳神社 | |
| [住所] | 山口県下関市竹崎町1-13-10 |
| [TEL] | 083-223-0104 |
現代は年末年始の飾り物として、鏡餅や門松を飾りますが、このようなお正月飾りのほとんどは年神様を家庭に迎え入れるためのものであり、鏡餅はお札がある家では年神様へのお供えとして、年神様のお札がない家では、年神様の依り代として飾られてきました。
お札を神棚に飾る|飾り方・祀り方
◇年神様を祀る神社では、お札をいただける神社もあります
年神様(大歳様・歳神様)のお札を授かると、家に帰り、お札を「歳神棚(としがみだな)」に祀る家も多いでしょう。
今は少なくなりましたが、かつては年神様を祀る神社でお札をいただき、家内に棚を仕立てて、年神様のお札を祀る家庭がありました。
| <年神様とは:年神様を祀る神社> | |
| [その1] | ・歳神棚を仕立てて祀る |
| [その2] | ・床の間(とこのま)に祀る |
| [その3] | ・神棚の下に垂らして祀る |
「歳神棚(としがみだな)」は「恵方棚(えほうだな)」と呼ぶ地域もあります。
かつて農耕が盛んだった時代には、人間にもどうにもならない天候や自然の驚異から作物を守っていただけるよう、毎年豊作を祈願し、収穫後には感謝祭で感謝を捧げてきました。
年神様とは、毎年の農耕が潤沢に稔るための守護をしてくださり、生きる身の食べる御運をいただき命を支えてくださる、暮らしを、引いては命を守護してくださる神様です。
2026年のご本尊や干支・恵方(縁起の良い方角)は?
◇2026年は丙午(ひのえうま)、午年です
2026年は十干十二支で言うと丙午(ひのえうま)の午年、ご本尊は勢至菩薩です。
また毎年2月3日の節分で、一年の福徳と家族の健康を願い、その年に縁起の良い方角「南南東」。恵方巻を食べる時は南南東・やや南方(コンパスでは165°南)を向きます。
| <2026年の干支・恵方> | |
| [干支] | ・午年(丙午) ・勢至菩薩 |
| [恵方] | ・南南東 (やや南方) |
| [2026年の特徴] | ・強い情熱と行動力が際立つ一年(丙午) ・焦らず一歩ずつ積み重ねる姿勢(勢至菩薩) ・ラッキーカラー…赤・橙・金 |
年神様(歳徳神)によると「その年の恵方に向かって何事も行うことで、その事柄は成功する」との考えがあります。
年神様(歳神様)のお札を祀る棚「歳神棚(恵方棚)」は、その年の恵方に向かい仕立てると良いともされてきました。
2025年の干支・恵方は何だった?
◇2025年は乙巳(きのとみ)、巳年でした
2025年は十干十二支で言うと乙巳(きのとみ)の辰年、ご本尊は普賢菩薩でした。2025年に普賢菩薩を祀る神社仏閣へ訪れ祈願をした人は、お礼参りをしても良いでしょう。
| <2025年の干支・恵方> | |
| [干支] | ・巳年(乙巳) ・普賢菩薩 |
| [恵方] | ・西南西 (やや西方) |
| [2025年の特徴] | ・植物の豊穣(巳) ・発展途上の成長期(乙) ・その努力が実を結び始める |
また毎年2月3日(2025年は2月2日)の節分で、一年の福徳と家族の健康を願い、その年に縁起の良い方角「恵方」に向かっていただく恵方巻の邦楽は西南西でした。
正月に年神様を迎え入れるのはなぜ?(由来)
◇巡る一年を司る年神様を手厚く迎えて、新しい一年を守護します
年神様の「トシ」は、「稔り(みのり)」を表し、年神様を家庭に迎えることで、巡りくる新しい一年の稔り(みのり)を守護してくださいます。
●年神様の「年」は一年から来ているのではなく、その昔の穀物を意味する言葉「トシ(登志)]が語源であり、稔る(みのる)の意味合いです。
稔り(みのり)は農耕が盛んだった昔で言えば五穀豊穣、豊かな収穫を指すように、現代ではその家の家族が一年を通してご飯をいただける、安定した収入への御運です。
お迎えにあたり、お供え料理は?
◇年神様(歳神様)をお迎えする正月には、鏡餅やおせち料理を整え、家族みんなで福を迎え入れる準備をします。
お供え料理はその家の一年の健康と豊作を願うもので、地域によって内容が少しずつ異なります。鏡餅は年神様の依り代とされ、もっとも大切な供え物です。
・ 黒豆(まめに働けるように)
・ 田作り(五穀豊穣)
・ 数の子(子孫繁栄)
正月七日にいただく七草粥は、この正月のおもてなし期間を締めくくる食事として、年神様の恵みをいただく行事食とつながっています。
お供え料理は、派手である必要はありません。
家庭の無理のない範囲で整え、感謝の気持ちを込めて迎えることが何より大切です。
・七草粥とは?正月七日の意味と春の七草・作り方を解説
年神様は初日の出とともに|掃除から始まる新年のお迎え
年神様(歳神様)は、初日の出とともに各家庭へ訪れるとされ、松の内のあいだ家を見守る存在です。正月飾りや鏡餅などの準備は、年神様を迎え入れるためのおもてなしであり、正月行事の始まりを整える大切な習わしです。
大掃除から始まるお迎えの準備|12月13日煤払い
◇掃除から始まる、お正月飾りやお祝いの準備が、新年に迎える年神様へのおもてなしです
毎年12月13日(地域によっては12月8日)の「正月事始め」に始まり、煤払い(大掃除)をして門松やしめ縄、鏡餅、祝い箸などを用意してお正月を迎えますよね。
このような、12月13日の正月事始めから始まる一連のお正月準備は、ほとんどが年神様を迎え入れるための準備です。
年神様を始めとする神様は「穢れ(けがれ)」を嫌いますから、まずは子どもも大人も一緒に煤払い(大掃除)をして、年神様(歳神様)が気持ち良く過ごせるよう、家をキレイにします。
①煤払い(大掃除)
②煤払い祝い(お団子やお餅を食べる)
③門松を玄関に飾る
④しめ縄を飾る
⑤鏡餅を飾る
年神様を迎え入れる準備として大掃除を行う場合、「煤払い祝い」として、その日の夜に家族でお団子やお餅をいただく風習を持つ地域もあるでしょう。
また門松やしめ縄、鏡餅などの正月飾りには、年神様を迎え入れるに当たり役割があります。
現代では正月飾りを省略する家庭も多いですが、年神様を意識して迎えるのであれば、ぜひ、買い揃えてみてはいかがでしょうか。
玄関の門松は案内役?どんな意味がある?
◇門松は初日の出とともに降りてくる、年神様(歳神様)への案内(目印)の役割を果たします
(一部では「門松に年神様が宿る」とする地域もあるでしょう)
針葉樹である門松は神様と繋がりやすい植物とされ、お祝い事でも多く扱われてきました。
もともとは松のみを玄関先に、年神様(歳神様)への案内として飾ってきましたが(松飾り)、室町時代ほどの昔、いつしか竹とともに飾られるようになります。
・斜めに切った竹と松が飾られる
・玄関の左右一対で飾る
・前年の門松よりも小さいものは飾らない
(同じ大きさ、もしくはより大きい門松を選ぶ)
門松の竹が斜めに切られたのは、徳川家康の時代からだと言われますが(竹田信玄との戦で敗戦したことを心に刻むため)、現代では竹を斜めに切った切り口が笑顔のようで、福徳を呼ぶとされます。
また竹取物語では、おじいさんが竹を切って、福徳となるかぐや姫が現れたように、「竹の切り口から福徳が溢れ出る」と言い伝える地域や家もありました。
しめ縄(しめ飾り)とは?どんな意味(理由)がある?
◇しめ縄(しめ飾り)には、その家が神聖な場であり、結界を作る意味があります
年神様を迎えるに当たり、煤払い(大掃除)をして禊を落とし、その家が神様(年神様)が降りる場所、神聖な場所として結界を張る意味合いです。
またしめ縄を手作りで作る家もありますが、飾られたアイテムにはそれぞれ役割があるため、理解してから作る/選ぶと良いでしょう。
| <年神様とは:しめ縄> ●基本として、玄関に飾ります |
|
| [正月飾り] | [意味] |
| ①紙垂(かみしで) | ・神様が降りる場所としての目印 |
| ②譲り葉(ゆずりは) | ・家督を代々譲る(家督を絶やさない) |
| ③橙(だいだい) | ・代々子孫が繁栄する |
| ④裏白(うらじろ) | ・清廉潔白で堂々としている |
…この4点は年神様を迎えるにあたり、巡る一年も平穏に家が栄える意味合いから、外すことのないように確認してください。
ちなみに「裏白」は葉の裏側が白いシダの葉です。
後ろが白い葉のため「裏白(うらしろ)」と呼ばれ、清廉潔白、表裏がない、などと縁起の良い植物とされてきました。
年神様(歳神様)を迎える準備は、12月28日まで
◇12月29日、31日の準備は控えます
29日は数字に忌みがあるためお正月準備は行わず、31日は葬儀と同じ「一夜飾り」です。
基本として12月13日の正月事始めからは、煤払い(大掃除)はもちろん、松迎え(門松を迎える)や、しめ縄を飾ることも問題はありません。
12月13日からはお正月へ向けて忌む時期になるため、静かに整えていきましょう。
| <年神様とは:29日は忌み日> |
|
| [29日の正月飾りはNG] | ・二重(2)に苦しむ(9) ・門松…苦しみ(9)を待つ(松) ・鏡餅…苦しみ(9)を持つ(持ち) |
| [31日の正月飾りもNG] | ・31日のみの「一夜飾り」 |
31日が「一夜飾り」として忌まれるのは、葬儀において通夜の夜のみ「一夜飾り」を行うためです。
縁起が悪いとして、12月28日までの正月飾りを済ませます。
まとめ|年神様(歳神様)は福徳を持ってお正月に来訪します
年末年始に福徳とともに来訪される「年神様(歳神様)」は、一年を司る神様です。
そのため正月飾りやおせち料理などのお祝いで、年神様(歳神様)をもてなします。
また、先が細くなる祝い箸は、神様と食事を一緒にいただく「共食」をするためのお箸です。
・祝い箸…年神様と供食するお箸
・年越しそば…長寿、細く長いご縁、不運を断ち切る
年越しそばも細く長いそばに長寿を願い、一緒にいただく人々との細く長いご縁を願います。
うどんとは違い切れやすいそばから「終わる一年の厄災や不幸を切る」役割もあるので、ぜひ意識しながら食べてみてください。
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