遺産分割がまとまらない!トラブル6つ事例と、たった2つの解決法を解説|永代供養ナビ
遺産分割がまとまらないと、相続手続きが進まないまま、さまざまな二次トラブルが予想されます。
相続人にはそれぞれに主張があるため、一度こじれるとまとめることは困難ですが、少なくとも次の相続発生前には、スッキリとさせておかなければ、余計複雑化するでしょう。
今回は、遺産分割がまとまらないパターンが多い6つの事例と、こじれた時に相続手続きを進めるための2つの解決策を解説します。
遺産分割がまとまらない!6つの事例
遺産分割がまとまらない結果になりやすいパターンは、大まかに6つあります。
遺産分割がまとまらない、それぞれの事情によって、遺産分割の終了まで進むには、対応も全く異なるでしょう。
ただし自分達の相続トラブル事例と重なる事例であれば、参考にすることで、話し合いの余地が生まれることも多くあります。
(1)相続の中に不動産が含まれる
(2)遺産分割の終了前に二次相続が発生
(3)音信不通の相続人が存在する
(4)寄与分を主張する相続人がいる
(5)被相続人が再婚歴がある
(6)相続人に特別受益を受けた人がいる
将来的に遺産分割がまとまらない予感があるならば、両親などの生前から、推定相続人を改めて調べておいたり、必要があれば両親に遺言を残す相談をする方法もあるでしょう。
(ただし、遺言書の打診は親子間で揉める種にもなるので、自分の親子関係に柔軟に対応しながら判断してください。)
(1)相続の中に不動産が含まれる
意外に思う人も多いのですが、遺産が少ない家ほどトラブルを起こしやすい傾向にあります。
・遺産5,000万円以下…6,700件
・遺産5,000万円以上…1,684件
遺産が5,000万円以下で遺産分割がまとまらないケースは、多くが遺産のほとんどが実家など、分割ができない不動産財産だったことが理由にありました。
・換価分割…不動産を現金化し、現金を均等に分ける
・現物分割…不動産をそのまま、所有権を分ける
…この他にも分けないで相続人が不動産を共有する「共有分割」がありますが、これはその場しのぎで、後々売却や建て替えなどの場面で、相続人同士で揉めやすいため、あまりお勧めできません。
(2)遺産分割の終了前に二次相続が発生
遺産分割がまとまらないまま放置した結果、終了前に相続人の一人が亡くなる「二次相続」が発生して、より複雑化する事例があります。
・相続人が増える
・2回に分けた、遺産分割が必要
・それぞれの論点が増える
などなどの理由で遺産分割はより複雑化し、まとまらないまま放置されるケースも少なくありません。
(3)音信不通の相続人が存在する
遺産分割がまとまらない事例では「相続人の一人と連絡が取れない」相談も多いです。
相続人全員の合意と捺印がなければ、遺産分割協議書を提出できません。
・探偵社に人探しを依頼する
・生前に推定相続人全員の連絡先を控えておく
なかには被相続人(故人)が亡くなり、戸籍謄本など相続手続きに必要な書類を集めるなかで、思い掛けない新たな相続人が登場することもあります。
・戸籍の附票で住所を確認する
・確認した住所を訪問など、コンタクトを取る
●住民票の住所に相続人がいない場合
・不在者管理人の手配
・失踪宣言
※いずれも家庭裁判所への申し立てにより手続きを進める
…以上の流れで遺産分割を進めていきます。
ただし、家庭裁判所に移行すると費用も時間も掛かってきますので、できればその前に、探偵社などを雇っても、音信不通の相続人を探し出したいところです。
(4)寄与分を主張する相続人がいる
例えば、被相続人(故人)が生前に重度の介護状態にあり、同居していた兄弟のひとりが介護を担っていた場合などでは、その働きに相当する遺産分割「寄与分」を主張することがあるでしょう。
●法的に寄与分とされる要件は、下記4つです。
・長期間の献身があった
・そのことに専念しなければならなかった
・被相続人との関係性から期待される、程度を越えた献身があった
・その行為に対して、対価が支払われていない
ただ、現実的には法的な判断と相続人の感情とにズレが生じる場合が多く、寄与分はなかなか法的に認められない傾向にあります。
寄与分を主張する相続人が、被相続人(故人)の生前に、他の相続人の目から見ても明らかに献身的であったのならば、その分の働きを考慮することで、遺産分割がまとまる事例も多いです。
・相続で「寄与分」を主張したい!介護の苦労が認められる5つの要件を解説|永代供養ナビ
(5)被相続人が再婚歴がある
被相続人(故人)が再婚歴があると、前嫁、後嫁での各家族の間で、相続関係のトラブルが発生する可能性があります。
再婚歴がある本人がまだ生きているうちは、遺言書を残しておくことが何よりの対策です。
それでも遺留分を侵害した遺産分配だった場合、遺留分を主張する「遺留分侵害額請求」の権利があり、結果的に相続トラブルは続きやすいでしょう。
●例えば、下記のようなトラブル事例があります。
・後妻と子どもに、前妻の子どもが相続放棄を迫られた
・前妻の子どもが音信不通
・遺言書はあるが、前妻の子へ配分する遺産がなかった
※ただし後妻の連れ子が養子縁組されていない場合、相続権はありません。
また前妻の子どもと後妻の間で確執があると、遺産分割協議で感情的になりやすく、まとまらないケースも多いので、この場合には弁護士など専門的な第三者が入ることが多いです。
・【相続トラブル体験談】実家を相続したい前妻の子どもと、住み続けたい後妻|永代供養ナビ
(6)相続人に特別受益を受けた人がいる
例えば兄弟が3人いたとして、その一人だけが家の購入資金援助を受けていたならば、当然他の兄弟は、「平等じゃない!」となりますよね。
●このようなケースでは、特別受益を遺産の一部として分割する「持ち戻し」にするかどうかがポイントですが、家庭裁判所の判例を参考にするのも良いでしょう。
[特別受益とされる判例]
・結納金、結婚持参金
・家の購入資金援助
[特別受益とされない判例]
・結婚式費用の援助
・金額が不明瞭な嫁入り道具の購入
・生命保険の死亡保険金を受け取った
…などなどがありますが、いずれもそれぞれのケースで判断はさまざまで、「○○だから特別受益に当たる!」とも言い切れません。
遺産分割がまとまらない時の対処法
以上が、遺産分割がまとまらない6つの事例ですが、それぞれに適切な対応をしたとしても、相続人同士が感情的になってしまうと、よりこじれてしまいます。
相続税申告は10ヶ月の期限、その他相続税の特例を享受するにも、申請期限がありますから、遺産分割がまとまらないならば、下記のような手段で対処することになるでしょう。
(1)弁護士などの仲介人に委託する
(2)裁判を申し立てる
遺産分割がまとまらないと、相続人同士では感情的になってしまい、当人同士では平行線を辿りがちです。
弁護士など専門的な第三者に入ってもらい、アドバイスを受けながら、俯瞰的に相続人同士がお互いの状況を理解し、話し合いの仲立ちをしてもらうと良いでしょう。
(1)弁護士などの仲介人に委託する
遺産分割がまとまらない場合は、弁護士などの仲介人を委託し依頼することで、遺産分割での争う点を整理してくれます。
・問題を俯瞰的に整理してくれる
・家庭裁判所での過去の判例を参考にできる
・遺産を独占したい相続人の抑制になる
なかには遺産を独占したい相続人がいることで、遺産分割がまとまらない事例もありますが、これも専門的な第三者である弁護士が仲介に入る、「下手なことはできない」と、抑止力になります。
相続は複雑で分からないことも多いです。
けれども専門的な知識を持つプロに仲介に入ってもらうことで、遺産分割もスムーズにまとまります。
相続争いに発展しまった時にも、アドバイスが期待できるため、一度相談してみるのも良いかもしれません。
(2)裁判を申し立てる
遺産分割が相続人同士でまとまらない場合は、家庭裁判所に裁判を申し立てるのも一つの手です。
家庭裁判所に持ち込むと調停委員が仲介として入るので、相続人全員が納得できる形で合意をの模索ができるでしょう。
●もし、相続人全員が納得できる形を模索しても合意が得られない場合、家庭裁判所で裁判となるため、遺産分割も決定に持ち込めます。
ただし家庭裁判所に裁判を持ち込むケースでも、裁判では専門的な知識が必要になる可能性が高いです。
いずれにしても弁護士などの専門的な第三者からのサポートは必須です。
最後に
以上が遺産分割がまとまらない家に多い6つの事例と、こじれた時の2つの解決法をお伝えしました。
一向に遺産分割がまとまらない時には、家庭裁判所で裁判を申し立てるとお伝えしましたが、裁判の前には「調停」から解決を試みることになります。
調停には強制力はありませんが「裁判所の審判に決定を委ねるよりも…」と、この調停で解決する事例も少なくありません。
遺言書がすでにある場合、これらの書類が優先されますが、遺留分を侵害していた場合には、遺留分侵害請求を調停に持って行くことはできるでしょう。
・【相続対策】遺言書を残しても遺留分は請求される?生前できる3つの遺留分侵害額請求対策
まとめ
遺産分割がまとまらない6つの事例と、解決策
●遺産分割がまとまらない6つの事例
・相続の中に不動産が含まれる
・遺産分割の終了前に二次相続が発生
・音信不通の相続人が存在する
・寄与分を主張する相続人がいる
・被相続人が再婚歴がある
・相続人に特別受益を受けた人がいる
●2つの解決策
(1)弁護士などの仲介人に委託する
(2)裁判を申し立てる
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