納骨式にお供えする香典の金額相場は？香典袋の書き方や服装マナーも解説

納骨式をする時期やタイミングは、四十九日法要や一周忌法要のときが一般的です。特に、四十九日法要の後に納骨式をすることが多く、その理由は「四十九日法要」にあります。

「四十九日」とは、故人が亡くなった日から四十九日目の日になり、仏教ではこの日に閻魔大王からの裁きを受けて結果が出るといわれています。つまり、四十九日法要は故人の魂が現世から死後の世界へ向かうときであり、このタイミングで故人のために法要をするのです。

しかしながら、家庭や参列する親族・友人の都合によっては、四十九日法要に合わせて納骨式をすることが難しい場合もあるでしょう。基本的に、納骨式には行う時期についての決まりはありません。

納骨式当日は、最初に遺族の代表者が参列者に対して挨拶します。このとき、遺族代表者は納骨式に参列してもらったことへの感謝をはじめ、遺族の近況報告、葬儀後も変わらないお付き合いや関わりがあることへのお礼を伝えます。

また、納骨式の後に会食の場を設けている場合は、この最初の挨拶の際に併せて伝えられることも多いでしょう。

遺族代表の挨拶後、お墓や納骨堂の納骨室に骨壺あるいは納骨袋を納めます。納骨の仕方は地域によって違いがあり、たとえば関東地方では遺骨の入った骨壺ごと納骨室に納めることが多く、関西地方では一度骨壺から遺骨を取り出し、納骨袋に入れなおすことがあります。

納骨を終えたら、次に「納骨経」と呼ばれる読経が行われます。僧侶による読経が始まったら、参列者は遺族代表者をはじめにして焼香を行っていきます。焼香の順番は遺族代表者に続き、親族、故人と親しかった友人や知人です。

四十九日法要や一周忌法要と併せて納骨式をする場合には、儀式後に僧侶と参列者全員が一緒に会食することが多くあります。

会食は僧侶や参列者への感謝の場であるとともに、故人を偲びながら思い出話をしたり、遺族の近況などについて話したりすることも目的となっています。

納骨式のみが行われる場合、お供えする香典の相場は5,000円程度といわれています。ただし、式の後に会食が設けられているときには、その会食費も追加した10,000円程度が相場となります。納骨式のみの際には、その後に会食があるかどうかを確認しておくとよいでしょう。

また、葬儀と納骨式が同じタイミングで行われた場合や、間を置かずに行われた場合には、葬儀などで渡す香典のみで問題ありません。

納骨式と併せて、四十九日法要や一周忌法要などをする場合には、前述した納骨式のみのときよりも多めに金額を包むようにしましょう。

用意する金額は5,000円～10,000円程度が相場といわれています。ただし、この金額相場は故人と血縁関係のない場合です。故人の親や兄弟、祖父母などの場合にはより多めの金額を準備しておく必要があります。

故人の親族が香典をお供えする場合には、親、兄弟・姉妹、祖父母・叔父・叔母でそれぞれ金額に違いがあります。

・親の場合：10,000円～100,000円程度
・兄弟や姉妹の場合：10,000円～50,000円程度
・祖父母、叔父や叔母の場合：5,000円～30,000円程度

納骨式とともに法要や会食がある場合には、その分もプラスして多めに包むとよいでしょう。

故人と近しい親族以外にあたる親戚の場合、香典の金額は親族よりも少なめで問題ありません。たとえば、姪や甥では5,000円～30,000円程度、関係が遠い親戚の場合では3,000円～10,000円程度になります。

友人や知人が納骨式で香典をお供えする際には、前述した「納骨式のみで行う場合」の金額を用意しておきましょう。一般的には5,000円～10,000円程度になります。会食がある場合には、会食分もプラスした金額を包んでおくことをおすすめします。

納骨式に故人の職場関係者が参列する場合、用意する香典は役職や立場によって若干の違いがあることに注意してください。

故人の同僚や部下の場合には3,000円～10,000円程度の金額が相場となりますが、年齢が高い上司の場合には上記金額よりも少し多めに包むようにするとよいでしょう。

香典袋の表書きは、宗教や宗派、無宗教によって書き方に違いがあります。また、仏教の場合には四十九日以前と以降では記載する言葉が異なるため注意してください。

・仏教：御霊前
・仏教（四十九日以降）：御仏前
・神道：御霊前、御玉串料、御榊料
・キリスト教（プロテスタント）：御花料、献花料
・キリスト教（カトリック）：御花料、御ミサ料
・無宗教：御霊前

納骨式の場合、準備する香典袋の表書きは通夜や告別式と異なり「濃墨（こずみ）」で書きます。通夜や告別式のときに薄墨を使う理由は、突然の訃報を聞き、急いで駆け付けたために墨が薄くなってしまったという意味を込めるためです。

そのため、納骨式のように事前に案内があり、執り行われる日が分かっている場合には、濃墨で丁寧に書くことがマナーとなります。

香典袋の中には、中袋と呼ばれる現金を直接入れる袋が別にあります。この中袋にも書き方があるため注意してください。

まず、中袋の表面の中央部分に包んだ金額を記載します。金額はアラビア数字ではなく、旧字体、あるいは漢数字を使用しましょう。金額の前には「金」の文字を書き、次に「金額（例：5,000円の場合には伍仟圓、10,000円の場合には壱萬圓）」、最後に「也」の文字を書きます。

そして、中袋の裏面左側部分に住所と名前を縦書きで記載してください。書き方は普段、手紙を出すときと同じ書き方・要領で問題ありません。

実際に、香典の中袋にお金を包むときにもマナーがあります。納骨式のような弔事では、新札ではなく一度でも使用した「古札」を使用してください。

その理由としては、新札のように事前に準備する必要のあるものを選んでしまうと、故人の逝去を待っていたという意味に捉えられてしまうためです。もし手元に新札しかない場合には、お札の真ん中を一度だけ折り、折れ線を入れれば問題ありません。

また、中袋にお金を入れる際はその向きにも注意してください。遺族が中袋を開けたとき、お札の文字を頭から読むことができるように、肖像画の部分が上になるように入れましょう。

このとき、複数枚のお札を入れる場合はお札の向きを必ず揃えて入れてください。

香典袋のような不祝儀袋では、その袋を結ぶ「水引（みずひき）」にも注意が必要です。宗教や宗派によって水引の種類に違いがあるため、香典袋を購入する前に確認しておくことが大切です。

・仏教の場合：白黒、あるいは双銀の水引
・神道の場合：白黒、双銀、あるいは双白の水引
・キリスト教の場合：白黒、双銀、あるいは双白の水引
・無宗教の場合：黒白・双銀の結び切りタイプの水引

故人の宗教・宗派が分からない場合には、白黒の水引を選んでおくとよいでしょう。

「袱紗（ふくさ）」は結婚式などのお祝い事にも使われる、お金を持ち運ぶためのものです。袱紗は慶事と弔事とでその色に違いがあるため、使用するシーンに合ったものを選ばなくてはなりません。

慶事のときには赤や朱色などの暖色系を、逆に弔事のときには灰色、紫色、藍色などの寒色系を選ぶ必要があります。袱紗を準備するときのおすすめの色は、慶弔兼用の色である紫色です。

納骨式に香典と合わせてお供え物を持参する場合は、故人の生前好きだったお花やお菓子、フルーツなどがおすすめです。

ただし、お花、特に生花を準備する際には避けた方がよいものがあります。具体的には棘のある花や香りが強い花、花粉が付きやすい花、また花びらが散りやすい花などです。

お菓子を購入する場合は、施主や遺族が分けて持ち帰りやすい個包装になっているものを選ぶとよいでしょう。

納骨式に参列するときの服装は、納骨式がいつ執り行われるかによって喪服か平服（略喪服）にするかが変わってきます。

四十九日法要をする前や火葬のすぐ後に納骨式をする場合には、喪服で参列するようにしましょう。故人が亡くなってから四十九日目以降にする場合は、参列者の服装は平服でも問題ありません。

納骨式が四十九日目より前に執り行われる場合には、基本的に喪服を着用します。男性は黒の礼服に白いシャツ、女性は黒のワンピースを着るようにしましょう。このとき、靴下やストッキング、靴も黒色のものを選んでください。

一方で、四十九日目より後に納骨式をする場合は平服（略喪服）でも問題ありません。しかしながら、納骨式は四十九日法要と一緒に執り行われることが多いため、式に合った服装を選ぶ必要があります。

具体的に、男性ではブラックスーツ、あるいはグレーや濃紺のダークスーツに白のワイシャツ、黒無地のネクタイなどを合わせていきます。また、靴下や靴、ベルトも黒色で統一しましょう。

女性の平服は男性と同じように黒やグレー、濃紺のワンピースやスーツにダークカラーのトップスを着ていきます。ストッキングやパンプスといった合わせる小物も黒色に揃え、ネックスはシンプルなデザインの真珠を準備しておくとよいでしょう。

近年では、納骨式を家族のみで執り行うケースが増えてきています。こうした場合には服装についての決まりは特にありません。

しかしながら、普段着でよいということではないため注意が必要です。準備する服装に悩む場合は納骨式の施主や年長者に相談し、服装についての判断を仰ぐようにするとよいでしょう。