
真言宗の永代供養の費用はどれくらい?種類やメリット・デメリットも紹介

「永代供養がいいと聞くけれど本当なの?」
「真言宗で永代供養するとしたら、どのくらい費用がかかる?」
お墓の将来について考えている方は、永代供養も気になっていることでしょう。しかし永代供養とは具体的にどのようなものなのか、費用がどの程度かかるのかといった詳しいことは分からないのではないでしょうか。
今回の記事ではそもそも永代供養とは何なのか、永代供養の種類や費用の目安から真言宗について解説します。併せて、地域や宗派の違いによる永代供養の費用について、永代供養のメリット・デメリットを解説しています。
この記事を読むことで、永代供養にするか悩んでいる際に必要な知識を得られるでしょう。真言宗の永代供養について、また地域や宗派による費用の違いがあるのかどうかも分かるようになります。
お墓をどうするか考えている方、永代供養にするか悩んでいる方は、ぜひご一読ください。
そもそも永代供養とは?
永代供養とは、寺院や霊園にご遺骨を預け、ご遺骨の管理や供養をすべてお任せする供養方法です。
従来のお墓は先祖代々の墓だという方は、少なくないでしょう。その場合、お墓の管理や供養は自分たちで行わなければなりませんでした。お墓が近ければよいのですが、遠方にある場合はお墓の維持や管理だけでも大変になることがあります。
そういった管理や供養の手間をなくす供養方法の1つが、永代供養です。
永代供養の5つの種類と費用の目安
永代供養といっても、その種類は1つではありません。種類によって費用を安くすませられる場合があれば、多くの費用がかかる場合もあります。ここでは永代供養の5つの種類と、その費用の目安をそれぞれ解説しています。
永代供養の中からどの種類を選べばよいのか、予算の範囲内でおさまる永代供養がないか検討する際には、ぜひこれらの内容を参考にしてみてください。
1:個別墓
「個別墓(単独墓)」は従来のお墓と在り方はあまり変わらず、1つの区切られた区画の中に専用の墓石を建てているケースです。費用の目安は約30万円~100万円となっており、個別墓のある地域や規模によって費用が変わってくるでしょう。
従来のお墓と同じように、家族で1つの個別墓(単独墓)にも入ることが可能です。
最初は一般のお墓と同じですが、お墓の承継が難しくなった時には新たな費用をかけることなく、永代供養に改葬できます。お墓の将来が心配な方に、おすすめのお墓でしょう。
2:合祀墓
「合祀墓」は単独のお墓を設けず、亡くなった方のご遺骨を他の方のご遺骨と同じ場所に埋葬する、という供養方法のお墓です。合祀墓の費用の目安は、約10万円~30万円でしょう。合祀墓のある地域によって費用が変わる場合がありますが、それでも安価な傾向にあります。
合祀墓の注意点は、他の方のご遺骨と分けずに一緒に埋葬することから、一度埋葬した後で個別に取り出すことができない、ということです。一度合祀墓にして後で改葬するということはほぼ不可能なため、ご注意ください。
3:集合墓
「集合墓」は1つのモニュメントや石碑を共有し、区画ごとにそれぞれ分けて埋葬されるという供養方法になります。集合墓の費用の目安は、約10万円~30万円です。
集合墓と合祀墓は混同される場合があるのですが、この2つはまったく別のものです。合祀墓は同じ場所に他の方のご遺骨と一緒に埋葬されますが、集合墓は区画の中に個別に埋葬される形になります。後からご遺骨を個別に取り出せるという点が、合祀墓との違いでしょう。
ただ区画を共有することから、合祀墓と同じく永代供養墓の中では安価な傾向にあります。
4:納骨堂
「納骨堂」は墓地や墓石を必要とせず、専用のスペースにご遺骨を納骨するタイプの埋葬方法となっています。納骨堂の費用の目安は、どのような納骨堂かによっても変わってくるため、主な納骨堂であるロッカー型や仏壇型は以下で解説します。
他の納骨堂として、現代で一般的なものには「自動搬送式納骨堂」があります。自動搬送式納骨堂の費用の目安は、初期費用で約80万円~200万円、他に年間管理費が約1万円~2万円かかります。機械を使用するため、費用が高額になりやすいでしょう。
「ロッカー型」
「ロッカー型」の納骨堂では、棚状になった納骨堂の1つの棚にご遺骨を納めます。棚状の納骨堂がいくつも連なっている光景がロッカーのように見えることから、ロッカー型と呼ばれています。
ロッカー型納骨堂の費用の目安は、約20万円~80万円ほどでしょう。ロッカー型納骨堂と言っても、1人~2人で入るものから家族で入れるもの、作りによって費用が変わってきます。納骨堂がある地域の地価も、費用に影響を与えるでしょう。
「仏壇型」
「仏壇型」納骨堂は基本的に上段に仏壇のためのスペース、下段に納骨スペースが設けられています。仏壇を納められるほどのスペースがあることから、ロッカー型よりも大きめのスペースになっているでしょう。
仏壇型納骨堂の費用の目安は、約50万円~150万円です。ロッカー型の納骨堂よりも専有するスペースが大きくなることから、値段も高額になりがちです。また仏壇型にも1人~2人といった少人数用から、家族で利用可能なものまで種類があります。
5:樹木葬
「樹木葬」はシンボルツリーとなる樹や花を植え、その周囲に埋葬するという供養方法になります。霊園や寺院の樹木葬スペースに埋葬する霊園型のケースが多いのですが、許可を受けている自然の里山に埋葬する里山型の樹木葬もあります。
樹木葬の費用は、約10万円~80万円です。これは霊園型でも、里山型でもあまり額が変わりません。
樹木葬の注意点は、後から個別にご遺骨を取り出すことが難しいという点です。樹木葬をする時にパウダー状にして埋葬すると取り出せないでしょう。
密教の宗派である真言宗
「真言宗」とは、平安時代初期に弘法大師空海によって開かれた密教の宗派です。真言宗では、「真言密教」の教えを教義としています。多くの宗派に分かれており、現代でも高野山真言宗をはじめ、多くの宗派が存在しています。
真言宗を開いた弘法大師空海は非常に有名な人物で、現代でも「弘法にも筆の誤り」といったことわざが残っているほどです。
以下では真言宗の重要な教え、「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」と「曼荼羅(まんだら)」について解説します。
真言宗の教えの基本である「即身成仏」
「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」というのは、誰であっても心を清く保って仏様のように行動していれば、仏様になれるという真言密教の教義です。
成仏と言うと、死と密接に考えてしまう人もいます。しかし成仏の意味は仏に成ること、悟りを開いた状態で未練のないことを指します。
真言宗では、誰であっても厳しい修行によって現世で悟りを開くことができ、成仏できるということを説いています。それが即身成仏です。
悟りの境地を示した「曼荼羅」
「曼荼羅(まんだら)」というのは、悟りを開く修行をするために生まれた絵です。曼荼羅には大日如来を中心として、多くの仏様や菩薩が描かれています。曼荼羅には、悟りを開いた境地が示されているのです。
マンダラという言葉はもともとサクスクリット語で、円や円盤といった丸いことを意味する言葉でした。このため現代に伝わる曼荼羅も、大日如来を中心に仏様や菩薩が模様のように描かれたものが多くなっています。
真言宗における永代供養
平安時代から長い時代続いてきた真言宗も、永代供養を行うようになりました。永代供養は基本的に宗教・宗派はあまり関係ありませんが、宗旨・宗派によって供養の仕方が変わります。真言宗の供養時には「真言(マントラ)」が唱えられ、真言宗の供養の仕方で供養されるでしょう。
どうして真言宗でも永代供養を行うようになったのかというと、それは時代の移り変わりによる変化が理由になります。
現代では地方から都会にでる人が増えたことで、従来のようにお墓を管理・供養することが難しくなりました。また少子化の影響から、お墓の継承者がいない人が増えたという理由もあるでしょう。
地域や宗派の違いからみる永代供養にかかる費用の目安
永代供養するにあたって、費用の目安額に幅があることにお気づきでしょう。永代供養の費用はどの種類の永代供養にするかによって変わりますが、永代供養墓がどの地域にあるか、宗派の違いなどで変わる場合があります。
以下では、地域や宗派による永代供養にかかる費用の目安について解説します。
地域による費用の目安
永代供養墓のある地域によって、かかる費用が変わってきます。例えば東京での永代供養の費用の目安は約70万円、神奈川で約60万円、大阪でも約60万円かかりますが、福岡の場合は約50万円が目安です。
地域による費用の目安は、都会になればなるほど高く、地方になればなるほど安価な傾向にあると言えるでしょう。
またこの他に、霊園や寺院によって費用に大きな差がでることがあります。永代供養を検討している場合は、複数の霊園や寺院の見積もりを見て判断した方がよいでしょう。
宗旨や宗派の違いによる費用の目安
永代供養では宗旨や宗派はあまり問われませんが、宗旨・宗派による費用の違いはあるのでしょうか。いくつかの宗旨の総本山の永代供養費を紹介してみます。
浄土宗で約5万円~、浄土真宗で約5万円~、曹洞宗(永平寺にて分骨のみ)約3万円~、日蓮宗(身延山久遠寺)で約5万円~となっています。
結論を言いますと、永代供養で宗旨や宗派による費用の違いはほとんどない、ということになります。霊園や寺院によって費用が変わることはありますが、この宗旨は高い、この宗派は安いといったような違いはほとんどないでしょう。
真言宗の聖地である高野山と永代供養
世界遺産にもなった高野山は天空の聖地とも呼ばれる、真言宗の聖地です。高野山全体が総本山金剛峯寺(こんごうぶじ)として、一山境内地になっています。そして高野山内には100を超える寺院があります。
残念ながら真言宗の総本山、金剛峯寺(こんごうぶじ)は永代供養を受け付けていません。しかし高野山には他に永代供養を受け入れている寺院や霊園があるため、真言宗で永代供養することは可能です。
高野山での永代供養にかかる費用の目安
真言宗の永代供養を利用したい方のために、高野山での永代供養にかかる費用の目安を紹介します。
高野山と言っても、すでにご紹介したように100を超える寺院、そして霊園があります。そのため、ここで紹介している費用はあくまでも目安として参考にしてみてください。
また永代供養を受け付けている寺院や霊園によって、費用内訳が異なっている場合があります。特定の費用に含まれているもの、含まれていないものをよく確認して選ぶようにしましょう。
「位牌代・供養代」
「位牌代・供養代」は無料~約200万円が費用の目安です。かなり目安の幅が広いのですが、これは供養人数・分骨納骨可能かどうか・年忌供養・日牌・月牌の費用が含まれているかどうかで変わってくるためです。
供養代を位牌代に含めたり、供養人数が多かったり分骨納骨したり、年忌供養に日牌の月牌まですべて含めている場合は、かなり高めの費用がかかることがあるでしょう。逆にそうでなければ、費用が安めですむこともあります。
「石碑代」
「石碑代」の費用の目安は、約100万円~400万円ほどでしょう。かなり費用の幅がありますが、これは石碑に用いる石の種類、石の大きさやデザインによって費用が大きく変わってしまうためです。
石の種類や大きさにあまりこだわりがなく、デザインもシンプルでよいとなった場合には、費用を抑えられるでしょう。
通常、石碑には基本的に名前を刻印するものですが、納骨もできる仕様になっているものもあります。
「納骨代」
「納骨代」の目安は、約5万円~50万円となっています。納骨に関する費用が含まれているため、場合によっては高額になるケースがあるでしょう。
分骨する場合の費用は、約5万円~となっています。それぞれ、参考にしてみてください。
「安置代」
ご遺骨の安置を依頼する場合の「安置代」は、1霊体につき約10万円~が費用の目安です。どの程度の期間安置してもらうのか、どこに合祀するのかといった内容でかかる費用が変わってきます。
寺院によってはすべてのご遺骨の安置を受け入れておらず、喉仏のように重要な骨の分骨のみを受け付けているところがあります。ご遺骨の安置を依頼される場合は、よく確認しておきましょう。
墓じまいをして永代供養を行う場合の費用の目安
従来のお墓を墓じまいし、永代供養に切り替える場合の費用はどの程度かかるのでしょうか。一般的な費用の目安は墓じまいに約50万円、永代供養費用に約3万円~200万円ほどかかるでしょう。
墓じまいする場合、「墓地、埋葬等に関する法律 第5条」により、「改葬許可証」が必要になることに注意してください。墓じまいの費用にはこの改葬許可証に関する費用や、お墓の撤去費用、閉眼供養の費用などが含まれています。
永代供養の費用は合祀墓~個別墓まで、どの種類で埋葬するのか、地域や永代供養の期間などで費用が変わるでしょう。
永代供養をするメリット
現代の事情や少子化の影響などにより、従来のお墓ではなく永代供養墓を選ぶ人が増えてきました。しかし、本当に永代供養の方がよいのかと疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
以下では本当に永代供養にした方がよいのか、永代供養のメリットを解説します。永代供養にしようか迷っている方は、永代供養のメリットを押さえておきましょう。
一般墓より費用を安く抑えられる
新たに一般墓を作るよりも、永代供養を選択した方がかかる費用を安く抑えられるでしょう。
一般墓を一から建てる場合、墓地を確保したり墓石を購入したりするために数百万円かかることが珍しくありません。永代供養の場合は種類にもよりますが、基本的に一般墓を建てるよりも安くすむことが多くなっています。
これから新しくお墓を用意する必要があるという方は、費用の面では永代供養を選んだ方がメリットがあるでしょう。
お墓を管理する負担が軽減できる
なんといっても永代供養を選ぶメリットは、お墓を管理したり供養したりする負担を軽減できることでしょう。
従来通りのお墓は、自分たちで管理したり供養したりする必要がありました。そのためお墓参りのために実家に帰省するといったことが行われていましたが、遠方に実家があると帰省するのもお墓を維持・供養するのも大変でした。
永代供養ではお墓の管理・供養を、永代供養墓のある寺院や霊園にお任せできます。納骨後は、基本的に遺族がしなければならないことはありません。
永代供養をするデメリット
ここまでは永代供養をすることのメリットについて紹介してきました。しかし、永代供養を選ぶことにはデメリットもあります。永代供養を選択するかどうかは、デメリットとメリットを比較して選ぶことになるでしょう。
永代供養のデメリットとはどのようなものなのか、以下で解説します。
お墓の継承ができない
永代供養には供養期間が設定されていることが多く、お墓を子どもや孫に継承させるといったことができないということに注意しましょう。
お墓の継承者がいたとしても、あらかじめ定めた供養期間(33回忌であることが多い)を過ぎれば、他の方のご遺骨と共に合祀されることになります。
このため、永代供養はお墓の継承者がいない方におすすめです。しかしお墓の継承者がいる方にとっては、継承者がいても期間が過ぎれば合祀されるため、メリットとは言えないでしょう。
合葬する場合遺骨を取り出せない
永代供養で合葬を選択した場合、あるいは一定期間を過ぎて合祀されてしまった場合、後から遺骨を個別に取り出すことはできません。
合葬や合祀をされてしまうと、他の方のご遺骨と一緒に埋葬されてしまいます。個別に埋葬されてはいません。このため、後からその方のご遺骨が必要になったとしても、個別に取り出すことは不可能でしょう。他の方のご遺骨と、見分けがつかないためです。
永代供養を選択した場合、合葬や合祀すると後から個別に遺骨を取り出せないことにご注意ください。
条件によっては一般墓と費用が変わらない
一般墓よりも永代供養の方が安価な傾向にはありますが、条件によっては一般墓と費用が変わらなくなってしまうことがあります。
例えば、永代供養墓として個別墓で墓石を建立するようなケースでは、一般墓を建てるのとほとんど変わらないくらいの費用がかかることがあるでしょう。
また自然に還ることで人気の樹木葬の場合も、注意が必要です。単身ではなく3、4人の家族用の樹木葬にしようとした場合、一般墓と変わらない程度の費用がかかる場合があります。
すでにあるお墓に永代供養をプラスできる?
永代供養のための永代供養墓を建てるのではなく、今のお墓に永代供養をプラスすることはできるのでしょうか。結論から言うと、現在の一般墓に永代供養をプラスできる場合もあるが、ほとんどの場合で難しいでしょう。
一般墓に永代供養をプラスできるかどうかは、そのお墓に永代供養のオプションをつけられるかどうかにかかっています。寺院や霊園に相談してみることをおすすめしますが、基本的に難しいと考えておいた方がよいでしょう。
永代供養以外にもある費用が抑えやすい供養方法
永代供養にも一定の費用がかかります。それらの費用をかけられないか、新たなお墓を購入しない場合には、以下の「手元供養」や「散骨」といった埋葬方法が候補になるでしょう。
しかし手元供養や散骨には注意点がいくつかあります。それぞれ個別に細かく解説するため、確認してみてください。
手元供養
手元供養は自宅にご遺骨を保管するという埋葬方法です。約3万円~10万円の費用がかかるでしょう。自宅にご遺骨を保管するため、新たにお墓を建てる必要はありません。手元にご遺骨があることから、供養しやすいことがメリットです。
ただ、埋葬あるいは焼骨の埋蔵は定められた墓地以外で行ってはならないため、自宅に納骨ではなく保管するだけとなります。場合によっては「分骨証明書」が必要になることもありますし、将来納骨する時に備えて「埋葬許可証」をきちんと保管しておく必要もあります。
散骨
ご遺骨を散骨すればお墓は必要にはなりませんが、散骨は違法ではないものの、地域によっては散骨の条例が設けられているため、行う際には条例を把握してから実施する必要があります。散骨の費用は約5万円~20万円でしょう。
地域の条例にもよりますが、基本的にご遺骨と分かる状態での散骨は禁じられています。また住宅の近く(自宅)への散骨は、禁じられている場合が多いでしょう。マナーとルールを守って散骨する必要があります。
心配な場合は、業者に委託して散骨してもらってもよいでしょう。
真言宗の永代供養の費用について知っておこう
真言宗の聖地、高野山でも永代供養を受け入れている寺院や霊園があります。
永代供養では宗旨や宗派はあまり問われないものですが、真言宗の永代供養ならば、真言宗の供養方法で供養してもらえるということがポイントです。
真言宗の永代供養を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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