
【不動産の相続】実家を相続したけどいらない時2つの選択肢。相続放棄をしたいケースまで

実家を相続したものの、いらない場合は相続放棄の他に、(1)売却と(2)寄付の2つの選択肢があります。
ただ売却でも一般的な売買契約の他、空き家バンク、不動産会社の買い取りサービスの利用など、そのなかでもさまざまな選択が必要でしょう。
実家を相続してもいらない場合、確かに相続放棄の選択肢もありますが、この場合は他の相続財産まで全てを放棄しなければならず、状態によっては避けたい選択です。
(1)売却(2)寄付(3)相続放棄、それぞれ状況に合わせて選ぶ必要があります。
【不動産の相続】実家を相続したけどいらない時2つの選択肢。相続放棄をしたいケースまで

相続したまま、放置した場合

実家を相続したものいらない場合、そのまま放置しておくと割高な固定資産税や近隣住民トラブルの種にもなり兼ねません。
特に空き家になった実家は、居住目的よりも固定資産税が割高です。
そのうえ実家を相続してもいらない場合は、家屋を解体する選択肢もありますが、解体費用が掛かるうえに固定資産税は更に割高になります。
・居住目的よりも割高な固定資産税を払い続けなければならない
・老朽化が進むと解体しなければならない(解体費用がかかる)
・実家を解体して更地にすると、さらに固定資産税は割高になる
・実家の管理を怠ると、茂った草木が近隣の敷地に入り込むなど、トラブルの種になる
・空き家のまま放置すると、修理修繕費がかかる
…などなど、相続した実家がいらないまま放置すると、経済的にも精神的にも、さまざまな負担がかかるため、早々に手放した方が安心です。
特に売却して現金化を望むなら、築年数が古いほど買い手もつきにくく、売却額も下がってくるので、早めの対応が良いでしょう。
実家を手放す2つの選択肢

実家を相続したけどいらない、手放したい場合には(1)売却する(2)寄付する、2つの選択肢をまず検討してみてはいかがでしょうか。
実家を相続したもののいらない場合、所有権放棄(相続放棄)の選択肢もありますが、この場合は他の相続財産も放棄しなければならないためです。
(相続放棄が良いケースは、後ほどお伝えします。)
(1)売却する
(2)寄付する
実家を相続したけどいらない場合、売却できる状態であれば、早々に売却して少しでも多く現金化してしまいましょう。
けれども築年数が古く不動産価値がない家も多く、この場合は寄付を受け付けてくれる先を探す流れが多いです。
売却する

実家を相続したけどいらない場合、築年数が10年/15年ほどまでであれば、一般的な不動産売買の流れで買い手が見つかる可能性があります。
・仲介不動産会社を通して買い手を探す
・不動産会社の買い取りサービスを利用する
・空き家バンクなどで個人で売買する
ただ築年数20年を超え、リフォームなどをしていない場合には不動産会社の買い取りサービスは便利です。
それでも売却できないほど築年数が古い実家の場合、主に自治体が運営する「空き家バンク」を活用する方法もあります。
仲介不動産会社に依頼する
仲介不動産会社に売却活動を依頼する媒介契約を結び、買い手を探す流れが一般的です。ただし築年数が古くても20年以下の物件でないと、なかなか買い手は付きません。
3ヶ月~6ヶ月経っても売却できないようであれば、(1)仲介不動産会社を変える(2)販売価格を下げる、…などの対策が必要になるかもしれません。
不動産会社の買い取りサービスを利用する
築年数が古くなかなか買い手が見つからないなら、不動産会社の買い取りサービスを利用するのも一案です。
不動産の買い取りサービスは、(1)即時買取(2)買取保証の2種類があります。
(1)即時買取 … 早くて3日~1ヶ月ほどで売却できる買取方法です。
(2)買取保証 … 仲介期間(約3ヶ月)を通して売却活動を行い、売れない場合は買い取る保証が付いた契約です。
不動産会社の買い取りサービスはスケジュールが明瞭になるのがメリットで、遺産分割により現金化を急いでいるケースなどでは助かります。
一方、売却価格が従来の7割と言われ、個人に売却する売買契約よりも安くなる傾向です。
空き家バンクを利用する
最後に築年数の古い空き家の実家を相続したけどいらない場合、自治体が運営する、売り手と買い手のマッチングサイト「空き家バンク」を利用する方法もあります。
ただし自治体が運営するサイトなので、交渉は個人で進めなければなりません。
また、空き家バンクでは買い手ばかりではなく、賃貸で古い民家を利用したい人も多く、売却ではなく賃貸で貸し出すケースもあるでしょう。
・【不動産の相続】相続した実家が売れない!買い手がつくための5つの対策とは
・【不動産の相続】車や実家を相続した時の名義変更、必要書類と費用・手続き5つの手順とは
寄付する

実家を相続したけどいらない場合、家が築20年を超えた古い空き家であれば、寄付をする選択肢も良いでしょう。
意外ですが、寄付をする時より喜んで受け入れてくれる可能性が高い行く先は、「個人への寄付」です。
・法人へ寄付
・自治体へ寄付
・個人へ寄付
「寄付をするなら、どこでも受け付けてくれるのでは?」との声も多いですが、不動産の場合は不動産所得税など税金関係で、受け付けてくれないことも多いです。
法人へ寄付
法人には(1)営利法人(2)公益法人がありますが、実家を相続したけどいらない場合、公益法人への寄付を検討した方がスムーズです。
(1)営利法人 … 寄付であっても不動産を得ることで、不動産所得税・登録免許税などの法人税の支払い義務が発生します。
(2)公益法人 … 公益法人は個人からの寄付を受けた場合、非課税措置が取られるため、営利法人よりも寄付を受けやすいでしょう。
ただし、税法上非課税措置が取られるために寄付を受け付けやすいだけで、必ず寄付を受け付けてくれる訳ではありません。
自治体へ寄付
実家を相続したけどいらない場合、売却できないと「自治体へ寄付すれば良い」との声もありますが、実際には寄付の申し出を受け付けない自治体は多いのが現状です。
● 自治体としては不動産の寄付を受けたとしても、下記2点の問題点があります。
・自治体の財源である固定資産税が減る
・空き家の管理費が掛かる
一般的に実家を相続してもいらない場合、寄付であれば真っ先に自治体を思い浮かべますが、価値のある古民家などではない限り、あまり積極的ではありません。
個人への寄付
実家を相続していらない場合、個人への寄付を検討するならば、まず実家に隣接した近隣住民へ打診すると良いでしょう。
反対の立場になって考えると分かりやすいのですが、思いがけず家の敷地を広げることができるのです。贈与税が課税されますが、それでも戸建てが建つだけの敷地(と不動産)を入手できるですから、喜ぶ人は多いです。
・庭を広げて利用したい
・家を増設したい
・物置小屋を建てたい
…などなど、土地へのニーズが高いでしょう。
そのため築年数の古い空き家が建ったままであれば、解体費用まで話し合い寄付を進めることになります。
寄付を受けた側は贈与税が課税されることは前述しましたが、年間110万円以下の範囲内であれば、課税対象外です。
例えばい実家は資産価値がなく、土地の評価額も110万円以下だったならば、贈与税は掛かりません。
評価額が110万円を超えた場合にも、課税対象外となる110万円は評価額から差し引かれ、税額を出します。
相続放棄をした事例

実家を相続したけどいらない場合、所有権放棄(相続放棄)の選択肢もありますが、この場合は他の相続財産も放棄しなければなりません。
けれども下記3点の事例であれば、賢い相続放棄になる可能性が高いでしょう。
・実家以外の預貯金財産(貯金・現金・株式など)が500万円以下
・相続財産全体の20%以上が実家評価額
・売却が期待できないほどの家
空き家になった実家を相続したけどいらない(後々住んだり活用しない)場合、固定資産税や維持管理費まで、毎年コストが掛かります。一回の支払いで済むタイプのコストではないので、時間が経てば経つほどコストもかさむでしょう。
そのことを踏まえて、維持管理を続けると他の相続財産もなくなってしまうかどうかをポイントとして、相続放棄を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は実家を相続したもののいらない場合の対処法をお伝えしましたが、反対に実家を相続するならば、相続登記(名義変更)は済ませるようにしてください。
2022年6月現在では、実家を相続しても相続登記の期限はなく急ぐ必要はありませんが、2024年4月1日以降は、不動産を相続してから相続登記までの期限を定める方向で進んでいます。
そして義務化された時、相続登記を期限内に済ませていないと罰則を与えられるかもしれません。
また相続登記を怠ったが故に、他の法定相続人による不動産の売却があり、差し押さえになった事例もあるなど、法定相続人同士のトラブルにもなり得ます。
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まとめ
相続した実家を手放す3つの方法
(1)相続放棄
(2)売却する
・仲介契約
・買い取りサービス
・空き家バンク
(3)寄付する
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