
「法要」とは?法事との違いは?法要の種類には何がある?年忌法要の年数と弔い上げは?

・「法要」とは?法事と違うの?
・法要の種類とは?
・年忌法要は何回忌に執り行うの?
・年忌法要はいつ終わるの(弔い上げ)?
「法要」とは、亡くなった故人のご冥福を祈り供養を行う仏教儀礼です。
一般的に法要は、四十九日の忌中に行う忌日法要の他、年忌法要があります。
本記事を読むことで、法要とは何か?法事との違いや、法要の種類、故人が亡くなって年単位で執り行う年忌法要の年数や、いつ終えるのか、弔い上げの基本的な年数が分かります。

「法要」とは

◇「法要」とは、亡くなった故人のご冥福を祈り供養する仏教儀礼です
主に僧侶を依頼し読経供養を行い供養を行います。
そのため法要を執り行う施主は、僧侶に読経供養を依頼するとともに、故人と近しい家族・親族をご案内するでしょう。
<「法要(ほうよう)」とは> | |
[供養を行う] | ・僧侶による読経供養 ・お焼香 |
[参列者をご案内する] | ・ご遺族 ・親族 ・知人友人 |
[ご香典を用意する] | ・参列者 ・約5千円~1万円 |
[お布施を用意する] | ・施主 ・約3万円~5万円/1回の読経供養 |
「施主」とは法要を執り行う主催者です。
主に故人と最も近しい人が施主となりますが、施主には「費用を負担する人」の意味もあるため、ご高齢の配偶者などは、子どもが施主となることも多いでしょう。
一般的に法要では僧侶に読経供養を依頼するため、読経供養のお礼としてお布施をお包みします。
相場は約3万円~5万円/1回の読経供養、1日に2回あるようでしたら、1.5~2倍を目安に包むと良いでしょう。
法要と法事は何が違うの?
◇「法事」は法要後の会食も合わせた場です
「法要」は僧侶の読経供養からお焼香までの「供養」を差しますが、「法事」は法要に伴い施主がうるまうお斎(おとき)の席や、法要に伴う親族の集まり全てを差します。
<「お斎(おとき)」とは> | |
[お斎とは] | ●法要後の会食 ・通夜…通夜ぶるまい ・葬儀…精進落とし |
[意味] | ・施主から、参列者へのおもてなし ・良い功徳を得る ・故人が仏様の境地に近づく |
法事においては法要後にお食事会の場「お斎」を設けるのは、参列者へのおもてなしはもちろん、仏教的には良い功徳を得るともされます。
精進落としでは、穢れを祓う役割もあるでしょう。
弔事の席のお斎は精進料理が基本です。
殺生を連想される肉や魚、慶事を連想させる伊勢海老や昆布なども避けます。
法要の種類とは?

◇法要には執り行うタイミングにより、4つの種類があります
一般的に知られているのは一周忌や三回忌などの「年忌法要」ですが、初七日や四十九日は故人が亡くなった日から7日単位で行う「忌日法要」です。
<法要の種類とは> | ||
[法要の種類] | [タイミング] | [例] |
①忌日法要 (きじつほうよう) |
・7日ごと ・四十九日まで |
・初七日 ・二七日(ふたなのか) ・三七日(みなのか) ・四十九日 |
②月忌法要 (がっきほうよう) |
・月命日 | ・毎月の命日 |
③追悼法要 (ついとうほうよう) |
・追悼の意を込める ・故人を偲び執り行う |
・初盆法要 ・百か日法要 ・お彼岸法要 |
④年忌法要 (ねんきほうよう) |
・定められた命日 ・追善供養を行う |
・一周忌(1年目) ・三回忌(2年目) |
また年忌法要で難しいポイントが、故人の追善供養をいつ終えるか…、弔い上げのタイミングです。
従来は三十三回忌までとされましたが、現代は「長すぎる」と負担に感じる施主も少なくありません。
「忌日法要」とは?
◇「忌日法要」とは、故人が亡くなって日にちで数える法要です
人が亡くなると、通夜・葬儀の後にやってくる法要が、故人のご逝去から7日後の忌日法要「初七日」です。
その後四十九日は地域や家によって異なりますが、二七日、三七日…と四十九日まで執り行う人もいるでしょう。
<「忌日法要」とは?> ●四十九日までの法要 |
||
[忌日法要の種類] | [読み方] | [日にち] |
①初七日 | (しょなのか) | 7日目 |
②ニ七日 | (ふたなのか) | 14日目 |
③三七日 | (みなのか) | 21日目 |
④四七日 | (よなのか) | 28日目 |
⑤五七日 | (いつなのか) | 35日目 |
⑥六七日 | (むなのか) | 42日目 |
⑦四十九日(七七日) | (しじゅうくにち) (なななのか) |
49日目 |
基本的に参列者をご案内する忌日法要は、初七日と四十九日法要です。
そのため二七日や三七日などを執り行う家は、参列者をご案内せず、家族のみで静かに執り行うことが多いでしょう。
「月忌法要」とは
◇月忌法要は、「月命日」です
一般的に月命日は個々にお墓参りや仏壇参りをしますが、時に僧侶をお呼びして法要を執り行うこともあるでしょう。
<「月忌法要」とは> ●毎月訪れる亡くなった日にち「月命日」 |
|
[6月20日に亡くなった場合] | ●月忌命日 ・7月20日 ・8月20日 ・9月20日…(続く) |
…月命日は特別な決まり事はありません。
そのため月命日ごとに月忌法要を執り行っても良いですし、お仏壇のお茶やお水を取り替え、お線香を上げて供養するだけでも充分です。
「追悼法要」とは
◇「追悼法要」とは、故人を追悼する式です
追悼法要とは日にちや年数に関係なく、故人を弔い供養したい、追悼したい時にいつでも執り行うことができます。
ただ特に多い追悼法要と言えば、年中行事に合わせて執り行う法要です。
<「追悼法要」とは> | |
[追悼法要とは] | ●故人を偲ぶ追悼式 ・年中行事に合わせることが多い |
[例] | ・初盆法要 ・お盆法要 ・お彼岸法要 ・百か日法要 |
追悼の意を込めて執り行うのが「追悼法要」ですが、進め方は他の法要と変わらず、僧侶をお呼びした追善供養や、お焼香になるでしょう。
初盆法要とは、故人が亡くなって忌中を終え、始めて迎えるお盆です。
日ごろ行うお盆の代わりに、参列者をご案内して僧侶による読経供養を依頼する家も多いでしょう。
「年忌法要」とは

◇定められた命日に行う追善供養です
仏教では故人があの世で無事に成仏するために、生きている者が追善供養を行うため、年忌法要も定期的に執り行います。
複雑な点が、一周忌は葬儀翌年の祥月命日(亡くなった日)ですが、三回忌は一周忌の翌年、亡くなって2年目を差す点です。
<「年忌法要」とは> | |
[法要] | [規模] |
①一周忌(没1年目) | ・規模が大きい ・遺族親族、知人友人を案内 ・お斎の場 |
②三回忌(没2年目) | ・比較的規模が大きい ・遺族親族、知人友人を案内 ・お斎の場 |
③七回忌(没6年目) | ・比較的規模は大きい ・遺族親族のみが多い |
④十三回忌(没12年目) | [現代の弔い上げ] ・比較的小さい規模 ・遺族親族のみ |
⑤十七回忌(没16年目) | [現代の弔い上げ] ・規模は小さい ・スキップする家も多い ・遺族のみ |
⑥二十三回忌(没22年目) | [弔い上げ] ・規模はごく小さい ・遺族のみ |
⑦二十七回忌(没26年目) | [弔い上げ] ・規模はごく小さい ・遺族のみ |
⑧三十三回忌(没32年目) | [弔い上げ] ・規模はごく小さい ・遺族のみ |
年忌法要は祥月命日に執り行うのが理想的ですが、忙しい現代、なかなか平日に参列者をご案内する訳にもいきません。
祥月命日と日にちをずらして法要を執り行う場合、下記がポイントです。
・祥月命日当日
・祥月命日よりも前
沖縄など一部地域では祥月命日よりも後に執り行うのが良いとされる地域もありますが、ごく稀です。
一般的には祥月命日には年忌法要を済ませます。
年忌法要の弔い上げは?
◇従来は三十三回忌法要を弔い上げとしました
けれども現在はその限りではありません。
仏教宗派によって、またご遺族の意向によって、二十三回忌・二十七回忌、現代では十三回忌・十七回忌の弔い上げも増えました。
<弔い上げのタイミング> | |
[通常の年忌法要] | ・一周忌 ・三回忌 ・七回忌 |
[現代の弔い上げ] | ・十三回忌 ・十七回忌 |
[従来の弔い上げ] | ・二十三回忌 ・二十七回忌 ・三十三回忌 |
「弔い上げ」とは、年忌法要による追善供養を最後にすることです。
四十九日までの忌日法要「初七日法要」などは、葬儀の日に繰り上げ法要を執り行うことで解消されます。
けれども年忌法要では遺族が希望する年数で弔い上げが可能です。
さらに現代は年忌法要を省略する年もあるため、ほとんどのケースにおいて繰り上げ法要はありません。
三十三回忌以降も法要がある?
◇五十回忌を弔い上げとする地域もあります
一方で宗旨宗派や環境により、五十回忌を弔い上げとする地域や家もあります。
ただ五十回忌は故人が亡くなってから50年…、五十回忌を迎える前に施主が亡くなるケースも少なくありません。
<三十三回忌以降の法要> | |
[法要] | [規模] |
①三十七回忌(没36年目) | [弔い上げ] ・規模はごく小さい ・遺族のみ ・スキップする家が多い |
②四十三回忌(没42年目) | [弔い上げ] ・規模はごく小さい ・遺族のみ ・スキップする家が多い |
③四十七回忌(没46年目) | [弔い上げ] ・規模はごく小さい ・遺族のみ ・スキップする家が多い |
④五十回忌(没49年目) | [弔い上げ] ・規模はごく小さい ・遺族のみ ・スキップする家が多い |
施主が高齢なケースでは、弔い上げがないまま年忌法要を終える家も増えました。
寺院墓地にお墓がある場合、年忌法要近くになるとご住職から法要のご案内が届くことが多いです。
弔い上げを済ませることで、ご住職も「もう法要はしない」として、ご案内を出しませんが、広くは三十三回忌までのご案内でしょう。
現代の年忌法要

◇年忌法要は日本の高齢化に伴い、七回忌でも弔い上げが増えました
例えば88歳で亡くなった故人の年忌法要を執り行うとしたら、施主になる子どもはすでに、60代を超えています。
<現代の年忌法要の現状> | |
[難しい事例] | |
[故人] | ・母親88歳 |
[施主] | ・子ども62歳 |
[三十三回忌] | |
[施主] | ・94歳 |
またかつて檀家制度による「菩提寺」は、地域に根付いていました。
そこで、菩提寺から年忌法要のご案内が来て執り行う家も多くいます。
今は昔ほど檀家と菩提寺の関係性は深くない家がほとんどです。
高齢化により生きていた頃の思い出を共有できる子や孫、親族も少なくなるため、なかなか昔のように三十三回忌までは執り行わない家が増えています。
まとめ:年忌法要にはグリーフワークの役割もあります

また年忌法要を通して定期的な故人への供養を進めることで、「自然と心が落ち着いてきたために、グリーフワークに役立った」などの声もありました。
友人知人のご案内で最後になり得る「三回忌」、親族をご案内する最後のタイミング「七回忌」・「十三回忌」のタイミングでの弔い上げも良いです。
また分骨して手元供養を行う遺族も増えています。
日々のお供養が、より身近なものになることで、執り行う機会は少なくなってきています。
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