
遺骨を納骨しないことは可能?家に置く・散骨などの選択肢について解説

「遺骨を納骨しないままって問題がある?」
「遺骨を納骨しなかった場合の供養方法が知りたい?」
「手元供養って何?」
このように、遺骨を納骨しないことに関してさまざまな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
死んだ後の捉え方によって納骨についても考え方が変わってくることがあります。人によっては納骨したくない気持ちが強いこともあるでしょう。
この記事では、遺骨を納骨しない場合について、供養方法や注意点など紹介します。この記事を読むことで、遺骨を納骨しないことに関する知識が増えるため、遺骨をどうするのかの考えもまとまっていくでしょう。
終活に向けて準備しようと思っている方や、パートナーなど家族の遺骨を納骨したくないと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
遺骨を納骨しないで家に置くことは可能?
日本の場合、納骨までを葬儀の一区切りと考えられることが多いため、遺骨を納骨しないで家に置くことに問題があるのではないかと感じる方もいるでしょう。
しかし、納骨しないといけないことはなく、遺骨を納骨しないで家に置くことは可能です。仏教であっても、〇日間で納骨しなければならない、という規定はありません。
そもそも納骨とは
納骨は、火葬後、お墓や納骨堂などに遺骨を納めることを言います。納骨の際、これからお墓に入る故人のために、お坊さんにお経を上げてもらう儀式(納骨式)を行うことも多いです。
ただ、近年、費用や手間を増やさないように、納骨式を行わずシンプルに納骨をすることもあります。
納骨しないと法律違反になる?
現在の日本の法律では、墓地、火葬、埋葬に関しては決まりがあり、墓所以外に納骨することは禁止されていますが、納骨しないことについては触れられていません。
自宅など、室内に遺骨を保管する形であれば、納骨しなくても法律違反ではないということです。
納骨しないと成仏できない?
納骨しなかった場合、故人が成仏できずこの世をさまよってしまうのでは、と不安になる方もいるでしょう。日本仏教では、納骨せずにいたからといって成仏できないという考え方はありません。この点は安心して良いでしょう。
遺骨を納骨しない場合の供養の方法
ここでは、遺骨を納骨しない場合の供養の方法について紹介していきます。遺骨を納骨せずにおきたい人は以下のような方法があることを知って、どうするのか検討してみてください。
樹木葬を選択する
お墓と言えば墓石を想像する方は多いのではないでしょうか。樹木葬の場合、樹木を墓標としています。樹木葬には、里山型・公園型・ガーデニング型などの形に分かれるため、それぞれの違いを知っておきましょう。
里山型は、手入れをしている山の木の下に埋葬する形です。死後は自然に還りたいという気持ちが強い場合に良いでしょう。ただ、埋葬先が山になるため、都市部に住んでいる人は行きにくいという不便さもあります。
公園型は、墓地が公園のように造られており、花壇にお花が植えられていることも多く、明るい雰囲気を持つ墓所として人気があります。
ガーデニング型は、公園タイプと似ていますが規模の小さいものを指し、駅から近く利便性が考慮されている傾向があるでしょう。
散骨する
散骨は、遺骨をパウダー状にして海や山に撒く供養方法です。散骨地の選定があるため、散骨専門業者を利用することになります。
散骨の場合、埋葬先を考える必要もなく、埋葬地の維持に関する負担がかかりません。ただ、遺骨を取り戻すことはできなくなるため、その点には注意しておきましょう。
また「思入れのある海に撒きたい」と言っても、好きな場所で自由に散骨できるものでもありません。自由度が高いわけではないことも頭に入れておきましょう。
手元供養をする
手元供養は、遺骨を家で供養することです。現代では「お墓を持ちたくない」と考える人が増えているため、手元供養が人気を集めています。
お墓や納骨堂に納骨してしまうと故人をそばに感じることは難しくなるでしょう。しかし、家に遺骨があれば、故人を目の前にして毎日手を合わせることが可能です。
その日あったことや今の気持ちを直接語り掛けたい、故人をそばに感じていたい気持ちが強い人にはぴったりな供養方法でしょう。
手元供養をする方法
ここでは、手元供養をする方法について紹介します。手元供養は、遺骨が入った骨壺を自宅に置いておくという形だけではありません。やり方には、さまざまな形があります。
手元供養を検討している場合は、どのような手元供養の方法があるかどうかも、この機会に知っておきましょう。
自宅にミニ仏壇を置いて供養する
自宅にミニ仏壇を置いて、インテリアの一部として供養する形も現代では増えています。従来の宗教色が強い仏壇ではなく、故人が好きだった物を並べて、空間に馴染むデザインの小さな仏壇は人気です。
ミニサイズの仏壇であれば場所を取らないため、部屋の好きな場所に配置できます。広くない家でも問題ないでしょう。
骨壺に入れて供養する
仏壇を作らず、シンプルに骨壺に入れた形で供養するという方法もあります。骨壺のみであれば場所を取りません。
また、手の平サイズのコンパクトなサイズの骨壺や、インテリア性が高いおしゃれなミニ骨壺もあります。
分骨した場合、ミニ骨壺を利用した手元供養を選ぶ人も多いでしょう。ミニ骨壺であれば、持って歩けるサイズのため、旅先で同じ景色を一緒に見たいと思えば一緒に連れていくことも可能です。
プレートや置物などに加工する
遺骨を粉状まで細かくして、プレートや置物に加工するという方法は、形状の自由度も高くおすすめです。プレートにした場合、故人の名前、出生~没年月日を刻めたり、顔写真を入れたりすることもできます。置物はデザインによって、インテリアとしても馴染むでしょう。
加工せず骨壺での保管を選択する場合、保管状態が悪いとカビが生えてしまうリスクがありますが、プレートや置物にすれば、そのようなことはなく衛生面でも安心です。
骨壺ペンダントなどのアクセサリーとして身に着ける
骨壺ペンダントやブレスレットなどのアクセサリーにすると、毎日身に着けられるため、いつでも故人と一緒にいる気持ちになれるでしょう。
通常のアクセサリーに、遺灰を入れる部分がついているタイプや、遺骨の成分を取り出して宝石のように加工するタイプ、遺骨を他の成分と共に溶解して固めるタイプなど、アクセサリーにする場合は、種類も豊富です。
なお、宝石のように加工するには費用がかかるため注意しましょう。
分骨について
遺骨を2カ所以上の場所で供養することを分骨と言います。分骨するときに発行される証明書が分骨証明書です。
日本では、誰の遺骨がどこにあるか管理しているため、遺骨を分ける際、分骨証明書をもらう必要が出てきます。
分骨証明書は、火葬のタイミングなら火葬場、納骨した後に必要となれば霊園や寺院にて発行され、分骨する遺骨の墓地管理者に分骨証明書を提出することになります。
出典|参照:分骨(ご遺骨の一部の移動)の手続きについて
分骨した残りの遺骨の扱いについて
アクセサリーなどに加工した場合、加工後残った遺骨が出てくるため、どうするかも考えなければならないでしょう。
分骨した残りの遺骨の扱いは、別の埋葬先に納骨、手元供養、散骨などが考えられます。もしも、残った遺骨を処分したい場合、勝手に捨てると法律違反です。自宅の庭に埋葬することも禁止されているため注意してください。
出典|参照:明治四十年法律第四十五号・刑法
手元供養をする際の留意点
続いては、手元供養をする際の留意点について紹介します。手元供養したいと思っても、いくつか気を付けることがあります。トラブルになったとき困らないように、以下のことが起こる可能性は考えておきましょう。
破損や紛失してしまうリスクがある
手元供養では、破損や紛失してしまうリスクがあります。家に骨壺を置いていても、地震や家事などが起きてどこに行ったかわからない、原形をとどめない、ということもあります。
アクセサリーにした場合は、うっかり壊してしまったり、落としてなくしてしまったりしやすいでしょう。
事前に親族と相談しておく
手元供養は、近年から増えた新しい供養の方法です。「納骨しないと成仏しないのでは?」「命が終われば土に還るものだ」と言ってくる人が現れて、身内でトラブルになりかねないため、事前に相談しておきましょう。事後承諾にすると大きく揉める原因になりかねません。
保管をする環境に注意する
手元供養をする際、骨壺を置く保管場所の状態には注意が必要です。骨壺の蓋は、密閉されているわけではなく隙間があります。
そのため、骨壺を直射日光が当たる場所や寒暖差が大きい場所などにおいて、湿度が高くなってしまうと、湿気が骨壺の中にたまり、遺骨にカビが生えてしまう危険性が出てくるでしょう。
万が一遺骨にカビが発生した場合は、もう一度熱で焼くことになります。湿気のある場所には保管しないように気を付けましょう。
遺骨を納骨しない場合の供養の方法について知っておこう
納骨せず、遺骨を家に置いたり、アクセサリーなどにしたりすることは法律違反ではありません。大切な人が旅立ったとき、遺骨を手元に置きたい気持ちが強い場合は、納骨以外を検討してみても良いでしょう。
ただ、遺骨を自宅で保管する場合は、カビが生えてしまう可能性があるため保管する環境には注意しましょう。そのほか、親族と揉めないように事前に話し合っておくことも大切です。
いざ遺骨をどうするかで慌てないためにも、納骨したくないと思っている方は、この記事を参考にして、遺骨を納骨しない場合の供養の方法を知っておきましょう。
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