
遺言代用信託のメリットとは?注意点や手続きの流れについても解説

「遺言代用信託とはどういうもの?」
「遺言代用信託にどんなメリットがあるの?」
「注意点や手続きの流れを知りたい」
このように、遺言代用信託について分からないことが多くて困っていませんか。
本記事では、遺言代用信託について分かりやすく解説しています。遺言代用信託のメリットや注意点に加え、手続き方法も記載していますので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むことで、遺言代用信託についての知識を得られ、配偶者や子どもたちの生活が不安な人でもスムーズに財産分割を行えるでしょう。
遺言書を作成せず遺産を引き継ぎたい、できれば孫の代まで相続内容を決めておきたい、という人は、本記事をご覧になってください。
遺言代用信託とは
遺言代用信託とは、遺言書を作成せず、自分の遺産を生前に指定した人が引き継ぐというものです。
被相続人(ご本人)が財産を信託銀行に信託し、存命中は被相続人のために財産の管理・運用をしてもらいます。被相続人が亡くなった後は、配偶者や子どもたちに遺産が引き継がれる仕組みです。
財産相続をするにあたり、遺言書の作成を考えている人は少なくありません。誰にどれくらい残すか、というのを明確に記載できるため、終活の一環として作成している人も多いでしょう。
遺言代用信託のメリット
遺言代用信託には、遺言書を作成しないことで得られるメリットがいくつかあります。
自分が亡くなった後まで財産分割で配偶者や家族が揉めないよう、メリットを知って終活をスムーズに済ませましょう。
孫の代までの相続内容を決めることができる
本来であれば、被相続人が子(娘または息子)へ相続した遺産を、さらにその子(孫)へ相続する場合は、子が遺言書を作成しなければいけません。つまり、被相続人の遺言書では孫の代まで相続内容を決められないのです。
しかし、遺言代用信託は、被相続人の遺産を受け取った子(相続人)が亡くなった際の、孫への分配についても決められます。
遺言代用信託は、遺産分配をしっかり孫の代まで決めておきたい場合にとても役立つでしょう。
即座にお金を引き出せる
通常であれば、被相続人が亡くなると預金口座は凍結され、遺産が誰に相続されるか確定する「遺産分割協議」が終わるまでお金は引き出せません。たとえ、配偶者や子どもであってもです。
しかし、遺言代用信託であれば簡単な手続きを済ませるだけでお金を引き出せます。もちろん、遺産分割協議が終わるのを待つ必要はありません。
時間をあけずにお金が引き出せれば、葬儀費や生活費などに困らなくて済むでしょう。
定期的な給付を受けることができる
遺言代用信託では、相続人が定期的な給付を受けられます。受け取り方法は、まとめて受け取る「一時金型」と定期的に一定額を受け取る「年金型」の2つがあります。
「一時金型」は預けていた信託財産を一括で受け取る方法です。「年金型」は、年金のように毎月または隔月ごとに、一定額を振り込んでもらえます。
遺言書では受け取り方法を決められませんが、遺言代用信託は配偶者や家族の使い道に合わせて方法を選べるのです。
自社株をスムーズに相続することができる
財産と同じく、中小企業のオーナーで自社株を持っている場合、あらかじめ後継者を指定し相続させることもできます。
もし、自社株の相続手続きがうまく進まなければ、経営に穴を開けてしまう可能性があります。また、必要書類の確認や重要事項の決定ができず、経営に影響が出る可能性もあるでしょう。
そのような時、遺言代用信託を利用すれば、後継者が自社株を滞りなく相続できます。後継者としても、あらかじめ相続が決まっていると手間がなく楽でしょう。
遺言代用信託の手続き
ここからは、遺言代用信託の手続きの流れを説明します。
手続きの流れを知っておくと、より終活をスムーズに進められるでしょう。ひとりで不安な人は、配偶者や家族と相談しながら手続きを進めてみてください。
受託者に金銭を信託する
まずは、委託者(被相続人)と受託者(信託銀行)が信託契約を締結し、受託者に金銭(財産)を信託します。
委託者が存命中の間は、受託者が財産の管理・運用をする仕組みです。金銭の支払い等もできます。
受益者を指定する
続いて、財産を受け取る受益者を指定します。
信託契約の際、委託者が亡くなった後、誰に財産を受け取ってもらうか決めるのです。また、受益者以外にも、受取開始時期や受取方法なども決められ、一般的には近親者に限られています。
金銭の給付
委託者が亡くなった後、指定された受益者に財産が給付されます。
メリットの部分で述べたように、一時金型か年金型かを選べるようになっており、お金を引き出すのに面倒な手続きは必要ありません。
ただし、遺言代用信託を契約するにあたり、いくつかの注意点があります。
遺言代用信託の注意点
メリットがある一方で、遺言代用信託には注意点もあります。
メリットとあわせて注意点を知っておくことで、遺言代用信託が自分に合っているのか検討できるでしょう。ここからは、遺言代用信託の注意点を紹介します。
遺留分を侵害することはできない
遺留分とは、被相続人の父母や配偶者、子が有しているもので、遺言によっても奪うことのできない最低限の遺産取得割合のことです。ただし、兄弟姉妹はこの権利を有していません。
もし、相続人が遺留分を侵害された場合、侵害した者が遺留分を支払わなければならず、支払額によってはトラブルや訴訟になる可能性があります。
つまり、遺留分を侵害するような信託設定は実質できないということです。
出典:詳細|法テラス
費用や契約内容を把握する
遺言代用信託の契約を締結する際は、費用や契約内容をしっかり把握しておきましょう。
信託できる金額の上限および下限は金融機関によって異なります。また、信託できる期間や指定できる内容、手数料もさまざまなため、あらかじめ確認しておくことが重要です。
加えて、原則的に信託期間で中途解約はできません。やむを得ない場合でも、解約手数料が発生する可能性があるためしっかり覚えておいてください。
遺言代用信託のメリットと注意点を理解して契約を検討しよう
本記事では、遺言代用信託について分かりやすく解説してきました。
遺言代用信託には、孫の代まで相続内容を決められたり、即座にお金を引き出せたりと、遺言書作成では得られないメリットがあります。
被相続人の意思が反映される遺言書はもちろん大切です。しかし、遺言代用信託を利用することで、自身が亡くなった後、家族に迷惑をかけないための終活をスムーズにできます。
遺言代用信託のメリットと注意点を理解して契約を検討してみてください。
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