
葬式の準備は何が必要?通夜・告別式までの流れと喪主・遺族がすべきことを解説

「家族が亡くなり、喪主を務めることになったけれど、何をどうしたらいいのか分からない」
「亡くなった後からお墓に納めるまでの流れって?」
「準備しておくものって何がある?」
このように、葬式の喪主や遺族となった時どのようにすればいいのか分からないという方は多いのではないでしょうか。
この記事では、臨終からお葬式の後までの流れを紹介しています。地域差などもありますが、一般的な流れが理解できていれば、どのように動いて準備すれば良いのかが分かるでしょう。
お葬式では、悲しみの内に一気に多くのことが流れていく中で、選択や決断もしなければいけません。流れや準備を理解しておき、故人も遺族も納得できるお葬式を執り行いましょう。
葬式の準備【臨終から納棺まで】
大切な家族が亡くなった時、悲しみの中でも準備しなければいけないのがお葬式です。
これまでにお葬式に出席したことはあっても、喪主や遺族になった場合は主体となって動く必要があります。そのため、臨終からお葬式までの流れを知っておかないと慌ててしまったり、お葬式後に後悔してしまったりすることがあるでしょう。
まずは、葬式の準備として臨終から納棺まで紹介します。宗派や地域によって多少の違いはあるでしょうが、概ねの流れを覚えておきましょう。
- 医師から死亡診断書を受領
- 遺体の搬送と安置
- 喪主の決定
- 葬儀社の決定
- 葬式を執り行う斎場と日程・形式の決定
- 訃報の連絡
- 死亡届の提出と火葬許可証の受領
- 寺院との戒名などの相談
- 喪服などの用意
医師から死亡診断書を受領
故人が病院で亡くなったり自宅で亡くなったりした場合、医師から「死亡診断書」を受領できます。また、かかりつけ医がおらず自宅で亡くなった場合も、警察が調査後に発行する「死体検案書」を受領できます。
なお、受領した死亡診断書、または死体検案書の左側は「死亡届」となっているため、左側が白紙になっていますが、問題ありません。
死亡診断書の発行には3千円から1万円程度の費用がかかります。死体検案書の場合は、遺体の搬送代金や保管料などの費用がかかるため、3万円~10万円程度の費用がかかるでしょう。
遺体の搬送と安置
故人が亡くなった後、末期の水や遺体の清拭、死化粧を終えたご遺体は、病院の霊安室に仮安置された後、自宅や自宅以外の安置場所に搬送されることになります。
自宅で安置する場合は仏壇を置いてある部屋に安置するのが一般的ですが、暖かい季節の場合は冷房が効く部屋に安置するようにしましょう。自宅以外では、お葬式を行う葬儀会社の安置所や安置施設などが候補になります。
宗派によっては枕教が必要となる場合があるため、枕飾りという簡易的な祭壇を準備しておくとよいでしょう。
喪主の決定
ご遺体が自宅あるいは安置場所に移されるまでに、葬儀会社とのやり取りや寺院との連絡をはじめ、お葬式での挨拶まで葬儀全体を管理する喪主を決めておきましょう。
基本的には故人の配偶者が喪主を務めますが、配偶者がいない(すでに死去している場合も含む)の順番は長男、直系で次男以降の男子、長女、直系で次女以降の女子、両親、兄弟姉妹となるのが一般的です。
喪主は1人だけというわけではないため、葬儀の規模が大きくなる時は何名か喪主を立ててもよいでしょう。
葬儀社の決定
役場での手続きなどを終えたら、葬儀社を決定しましょう。
予算やお葬式のスタイルを事前に決めておき、希望に沿える葬儀会社を選ぶことが大切です。同じようなプランでも金額が違うこともあるため、いくつかの葬儀会社の料金やお葬式のプランを比較検討するとよいでしょう。
なお、葬儀会社に遺体を搬送してもらった場合、必ずしもその葬儀会社に葬儀をお願いしなければならないということはありません。
お葬式は別の会社に依頼するという場合は、後のトラブルを避けるためにも「搬送のみをお願いする」ということをしっかり伝えておきましょう。
葬式を執り行う斎場と日程・形式の決定
葬儀会社や親族と話し合い、故人が信仰していた宗教・宗派や希望を元に斎場やお葬式の形式、一般葬や家族葬などの規模、通夜と告別式の日程、精進落としの内容などを決めていきます。
大まかな形式や規模が決まったら祭壇や棺などを選びますが、故人の希望や予算などを考慮して決定するようにしましょう。また、通夜やお葬式の日程は遺族側の都合だけでなく、僧侶や火葬場の空きを見ながら決定する必要があります。
不明な点があれば親族や葬儀会社に確認しながら、決めていきましょう。
訃報の連絡
家族や身内が亡くなったら、訃報の連絡をしましょう。
家族や親族、故人と特に親交が深かった方には、葬式の日程や斎場が決まっていない段階でも早めの連絡を入れておくのが大切です。会社関係や友人知人については、葬儀や斎場などが決まってから連絡してもよいでしょう。
訃報を連絡する時は、確実に素早く伝えられるよう電話で連絡し、伝え忘れがないように注意しなければいけません。家族葬の場合は身内だけで執り行うため、知人や会社関係などの方には、家族葬にすることを忘れずに伝えましょう。
死亡届の提出と火葬許可証の受領
受け取っている死亡診断書(死体検案書)左側の「死亡届」となっている箇所に必要事項を記入し、故人の本籍地や亡くなった場所の役場へ提出しましょう。
この時、「死亡届は亡くなったことを知ってから7日以内に提出しなければならない」ということに注意してください。
また、死亡届の提出時には届け出人の認印が必要です。この死亡届は後の手続きでも必要になるため、コピーを5枚~10枚程度とっておいてください。
死亡届が受理されると、「火葬許可証」が発行されるので受領しましょう。
寺院との戒名などの相談
菩提寺がある場合は、お葬式には菩提寺から僧侶に来てもらうため、打ち合わせをしなければいけません。訃報の連絡をする際に菩提寺にも連絡しておきましょう。僧侶にお葬式の日程を確認し、戒名の依頼をします。
菩提寺が分からない場合は、年配の親族の方に聞いておくとよいでしょう。
喪服などの用意
通夜やお葬式では喪服が必要となるため、準備しておきましょう。和装にするか洋装にするかには地域差もありますが、最近では喪主でも洋装にすることが増えています。
どのような喪服を準備すればよいのか分からない場合は、葬儀会社の担当者や親族、知人などの年配の方に聞いて準備しておきましょう。
一般的に三親等以内の遺族であれば、正式礼装を準備しておきます。黒の靴下やストッキング、ネクタイ、靴などの小物類も忘れずに準備しましょう。
葬式の準備【通夜・告別式】
大切な身内が亡くなったばかりでも、できるだけ早く通夜やお葬式などを執り行わなければいけません。
参列者への対応など、喪主や遺族がしなければいけないことは多くあります。それぞれにマナーなどもあるため、事前にどのように流れていくのかを把握しておくとよいでしょう。
- 遺影の用意
- 通夜ぶるまい・精進落しの内容決定
- 参列者への会葬礼状・返礼品の確認
- 供花・供物の確認
- お布施・お車代・お膳料の用意
- 喪主と遺族・親族などの役割分担の決定
遺影の用意
葬儀で使う故人の遺影は、できるだけ故人の人柄がうかがえるもの、あるいは親族が見て「良い」と感じたものを選んでください。
遺影にはなるべく新しい写真を選びますが、長く入院していたり、写真が少なかったりという場合は、遺族だけでなく故人の知り合いや会社関係の方に聞いてみるのもよいでしょう。
遺影は、基本的に故人をしっかりと映しておりカメラ目線になっているものが望ましいとされています。これは、葬儀の参列者が遺影と目を合わせて、挨拶できるようにするためです。
しかしながら、現在では遺影も自由なものが増えてきています。必ずしも正面を向いていないものやカメラ目線でないもの、ポーズを取っているようなものも使われることもあります。
何人かで撮った写真などでも加工で遺影にできる場合もあるため、元気な時の写真や好きな服装、すてきな笑顔の写真などを選びましょう。
通夜ぶるまい・精進落しの内容決定
一般的な葬儀では、「通夜ぶるまい」「精進落とし」など、僧侶や参列してくれた方へ感謝を込めて会食をします。食事の内容や時間、場所などを決めておきましょう。
通夜の後に行われるのが「通夜ぶるまい」で、故人のご遺体を火葬した後や初七日後に行われるのが「精進落とし」です。
通夜ぶるまいの食事内容は肉や魚を避けたものとなるのが基本的です。逆に、精進落としの料理には特に決まりはありません。めでたい席で出されるような食材を避ければ、問題ないでしょう。
参列者への会葬礼状・返礼品の確認
通夜や告別式、葬儀への参列者に渡すための会葬礼状や返礼品(粗供養品と呼ばれることも)も用意しておく必要があります。通夜への参列者には通夜返礼品を、葬儀や告別式への参列者へは会葬返礼品をお渡しするのが基本です。
なお、会葬礼状や返礼品の用意が必要かどうかや、返礼品の内容などについては、宗派や地域によって変わってくることがあるため、年配の親戚や葬儀社の方に確認しておくと安心でしょう。
供花・供物の確認
祭壇に備えるための供物(くもつ)や、供花(くげ/きょうか)として必要なものを確認し、用意しましょう。
ただし、宗教や宗派によって供物や供花への考え方は異なります。また、地域によって違う場合もあるため、まずは菩提寺と葬儀社の担当者に相談し、さらに年配の親戚などに相談しておくと安心でしょう。
基本的には、線香や抹香の「香」・ろうそく等の「灯明」・「水」・「飲食物」と供花などを供えます。
お布施・お車代・お膳料の用意
葬儀に参列してくれる僧侶へのお礼として「お布施」を用意する際は、必要に応じて「お車代」や「お膳料」も別途用意しておきましょう。
お車代は、僧侶が参列するための交通費としてお渡しするもので、相場は5千円~1万円程度とされています。お膳料は、葬儀の際の会食に僧侶が参加できない場合にお渡しするもので、こちらも相場は5千円~1万円程度です。
お布施とお車代・お膳料は、別にして用意しましょう。
喪主と遺族・親族などの役割分担の決定
葬儀や告別式を行う前に、以下のような役割分担をしっかりと決めておくことが大切です。
・弔問客の相手や挨拶は喪主がするのかどうか
・火葬の際や自宅ではない場所で葬儀を行う場合の留守番役
・賄いや会計の担当者
上記の他に決めておく必要がある事柄としては、供花が届けられた際の並べ順や参列者の席順などがあげられます。
葬式後に喪主が準備すべきことのポイント
喪主には、お葬式が終わってもしなければいけないことがあります。
お墓の準備はもちろんのこと、お葬式にかかった費用の支払いや参列者への香典返しを準備しなければいけません。さらに、四十九日法要、各種行政手続きや名義変更まで行う必要があります。
何をしなければいけないのか流れを把握しておき、漏れがないようにしておきましょう。
- 葬儀費用の精算
- 各種行政手続きや名義変更
- 香典返し
- お墓・納骨式の準備
- 四十九日法要
葬儀費用の精算
お葬式が終わると葬儀費用の連絡があります。葬儀費用は基本的には喪主が負担しますが、それが難しい場合は「施主」を立て、代わりに支払ってもらうことも可能です。
「施主」はお布施をする人という意味の言葉であり、家族以外がなっても構いません。
誰が葬儀費用を負担するのかをあらかじめ決めておき、届いた請求書の内容をしっかりと確認して、葬儀会社指定の精算方法で葬儀費用を支払いましょう。
各種行政手続きや名義変更
葬儀後、喪主が行っておかなければならない行政手続きは以下の通りです。
・年金受給権者死亡届
・介護保険資格喪失届
・住民票の抹消届
・国民健康保険の脱退
・雇用保険受給資格者証の返還
・準確定申告納税
・生命保険の死亡保険金請求
・国民年金の死亡一時金請求
・国民健康保険の葬儀費用請求
・国民年金の遺族基礎年金請求
上記の行政手続きの他にも、車・不動産・預貯金・有価証券などを遺産相続した場合は、名義変更が必要になります。
さらに、電話や公共料金を故人名義で契約していた場合は、こちらの名義変更の手続きも必要です。
香典返し
通夜や告別式などへ参列した方から香典をもらっていた場合は、葬儀後に喪主が香典返しをすることになります。
香典返しをするタイミングは、葬儀後四十九日を過ぎて、忌明けになってからです。忌明け後に香典をもらった場合は、なるべく早めに香典返しをしましょう。
なお、地域によっては、香典をもらったらすぐに香典返しをする「即日返し」が一般的な所もあります。そのため、該当する地域でお葬式をあげる方は、葬儀の準備と同時に香典返しを用意しましょう。
なお、お葬式の場合は葬儀後に香典を届けてくれる方もいます。そのようなケースにも対応できるよう、香典返しを準備しておくとよいでしょう。
お墓・納骨式の準備
すでにお墓がある場合は菩提寺に相談し、お墓がない場合はご遺骨を納めるための新たなお墓を準備する必要があります。お墓を新たに建てる場合は、完成まで3ヵ月程度は見ておきましょう。
また、すでにお墓がある場合でも、自宅近くへお墓を引っ越したり、永代供養にしたりするのであれば、菩提寺や永代供養業者、親族への相談が必要です。
お墓が決まったら、いつ納骨するのかを決めて納骨式の準備をします。納骨時には埋葬許可書が必要になるため、忘れずに用意してください。
納骨式の場合も、参列者の人数と納骨式後に会食をするかどうかを決めます。会食するのであれば、日時を決めて場所や料理の予約をし、当日に僧侶へお渡しするお布施なども準備しておきましょう。
四十九日法要
四十九日法要は、葬儀後から準備に取り掛かります。四十九日法要の場所や日時を決めて、菩提寺の僧侶に参加してもらえるか確認し、案内状を準備します。親族のみの場合は電話での案内でもよいでしょう。
四十九日法要で納骨する場合は、納骨式や本位牌の準備をしておきます。段取りなどを菩提寺に相談し、墓地の管理事務所や石材店にも連絡しておきましょう。
葬式の準備のポイントを確認しておこう
大切な身内が亡くなり、悲しみや混乱の中で故人が無事に旅立てるようにお葬式の準備をしなければいけません。
喪主や遺族は短い期間で多くの決断や選択をしなければいけないため、基本的な流れや準備しておかなければいけないことを理解しておくことで、慌てずに済みます。
分からないことは葬儀会社の担当者や親戚に聞いたり、周囲の方に助けてもらったりしながら、お葬式の準備をしましょう。
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