
分骨証明書とは?入手する方法や埋葬時など必要となるシーンを解説
「分骨証明書が必要になるのは、どんなシーン?」
「分骨証明書はどこでもらえるの?」
分骨を検討している方の中には、このように分骨証明書に関する疑問があるのではないでしょうか。
本記事では、分骨証明書を入手する方法や発行する時にかかる費用の目安、注意点、分骨証明書が必要となるシーンなどについて紹介しています。
この記事を読むことで、分骨する際の注意点を知ることができます。その知識をもとに、分骨にかかる手続きがスムーズに行えるでしょう。
分骨を検討している方や分骨証明書の発行の仕方について知りたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

分骨に必要な「分骨証明書」とは?
故人のお骨を複数に分ける時に発行される書類が、分骨証明書です。
分骨証明書には、故人の氏名や亡くなった年月日、性別、本籍、住所、分骨する理由、分骨した後の埋葬地などの分骨に関する情報が記載されます。
分骨証明書は、お骨を分骨する時だけでなく、別の場所に埋葬する場合に必要になるため、紛失しないように管理しましょう。
そもそも分骨とは
亡くなられた方のお骨を2か所以上に分けて納骨し、供養することを「分骨」と言います。
日本では古くからお骨を分骨し、宗派の本山に納骨する本山納骨の習慣がありました。また、近年は遠方にあるお墓に定期的に参ることが難しい方が近くに埋葬したり、手元供養したりするために分骨するケースが見られます。
また、故人の希望により散骨するケースもあり、様々な事情で分骨を選択する方が増えているという現状があるでしょう。
分骨をする際に押さえておきたい法律
墓地、埋葬等に関する法律施行規則では「分骨しようとする人から請求があった場合には、墓地の管理者や火葬場は分骨証明書を発行しなければならない。」また、「分骨証明書を提示しなければ、分骨を受け入れてはならない。」と定められています。
分骨は法律で認められている行為であるため、分骨証明書を速やかに発行し手続きしなければなりません。
分骨が良くないと言われる理由と真実
「分骨すると成仏できないから良くない」「分骨は縁起が悪い」ということを聞いたことがある方もいるでしょう。
これは、お骨には魂が宿るため1か所に埋葬することが望ましいという考えや、仏教には輪廻転生という、人は死んでも生まれ変わるという考えがあるためです。
分骨すると魂とお骨がばらばらになり正しく生まれ変われないと信じる方から、分骨はやめた方が良いと言われることもあります。
しかし、これは迷信であり、分骨することは良くないことでも縁起の悪いことでもありません。
四十九日の法要が行われると、魂はお骨から離れて旅立っていくとされています。お骨に魂が残っていないため、魂が迷子になってしまうことはないのです。
分骨証明書を入手する方法
分骨し別の場所でお骨を供養するためには、分骨証明書が必要であることが分かりました。では、分骨証明書はどこで入手すれば良いのでしょうか。
ここからは、分骨証明書を入手する方法について紹介していきます。
火葬場で発行してもらう
お骨を火葬した後に分骨する場合は、火葬場で分骨証明書を発行してもらいましょう。火葬場で発行してもらえる分骨証明書は「火葬証明書(分骨用)」というものです。火葬を依頼する時に、火葬場の職員に分骨することを伝えると発行してもらえます。
火葬前に分骨することが決まっている場合には、事前に葬儀社に伝えておくことでスムーズに分骨証明書を発行してもらえるでしょう。
自治体の役所で発行してもらう
火葬が終わった焼骨を納骨前に分骨する場合は、自治体の役所で分骨証明書を発行してもらえます。また、一度発行した分骨証明書を紛失してしまった場合は、自治体の役所で再発行可能です。
自治体の役所で分骨証明書を発行してもらうためには、分骨証明申請書や身分証明書が必要になります。亡くなられた日や火葬した日が分からない場合には、再発行に時間がかかってしまう可能性があるため、事前に調べて手続きに行きましょう。
納骨した寺院や霊園で発行してもらう
一度、お墓に納骨したお骨を分骨したい場合には、墓地がある寺院や霊園に相談し、管理者立会いのもと取り出し、分骨証明書を発行してもらいましょう。
墓石は重く、自力でお骨を取り出すと破損する恐れがあるため、事前に分骨する旨を石材店に相談しておくことをおすすめします。
分骨証明書を発行する時にかかる費用の目安
分骨証明書を発行してもらうためには、費用がかかります。分骨証明書の発行にかかる費用はいくらぐらいなのでしょう。
ここでは、分骨証明書を発行する時にかかる費用の目安を紹介していきます。
火葬場で発行してもらう場合
自治体により異なりますが火葬場で分骨証明書を発行してもらう場合は、一般的に1通100円程度の費用が必要です。分骨を希望する人の数だけ、分骨証明書を発行してもらうようにしましょう。
また、火葬と分骨証明書がセットになったプランがある場合には、発行費用を抑えられる可能性があります。
納骨後に発行してもらう場合
納骨後、寺院や霊園に分骨証明書を発行してもらう場合は、1通100円程度の費用が必要です。
また、納骨後に分骨する場合は、分骨証明書発行にかかる費用以外に墓石を動かす費用と、閉眼供養や開眼供養のために納めるお布施代も必要です。
墓石の移動を石材店に依頼する場合、2万円~3万円程度の費用が発生します。骨壺をお墓から取り出すために行う閉眼供養と、骨壺をお墓に納めるために行う開眼供養に対するお布施として、1万円~3万円程度の費用が必要です。
分骨証明書が必要となるシーン
お骨を分骨し別の場所で供養するためには、分骨証明書が必要になるということが分かりました。しかし、具体的にどのようなシーンで分骨証明書が必要になるのでしょうか。
ここからは、分骨署名所が必要となるシーンについて紹介していきます。
お骨の埋葬時
お骨の埋葬時に分骨証明書を提示しなければなりません。分骨証明書を提示できなければ、寺院や霊園から受け入れを拒否されてしまいます。お骨の埋葬場所が決まったら、速やかに分骨証明書を発行するようにしましょう。
海や山への散骨時
故人の希望によりお骨を海や山へ散骨する場合には、分骨証明書を依頼する会社に提示しましょう。
散骨する場合の分骨証明書の提示は、法律で定められた義務ではありません。しかし、分骨証明書を提示しなければ事件性の疑いが否定できないとして、散骨を拒否されてしまうことがあります。
永代供養時
永代供養とは寺院や霊園が遺族や親族、子孫に代わり先祖を供養する埋葬方法のことを言います。
永代供養はお墓と変わらないものであるため、墓地、埋葬等に関する法律施行規則に従い、供養を依頼する寺院や霊園に分骨証明書を提示しなければなりません。分骨証明書の提示がないと、永代供養を断られてしまう可能性があります。
永代供養を依頼する寺院や霊園が決まったら、分骨証明書を発行しておきましょう。
手元供養するための「手元供養品」作成時
お骨を手元供養する際は必要ありませんが、手元供養品を作成する場合は提示を求められる可能性があります。
散骨時と同様に、手元供養する場合に分骨証明書が必要という法律の規定はありません。しかし、手元供養品の制作会社が事件性のないお骨であるということを確認するために、提示を求めていることがあります。
分骨証明書がないと制作を断られることもあるため、依頼前に発行しておきましょう。
分骨前のお墓に戻す時
一度、分骨したお骨を元のお墓に戻す場合、事件性のないお骨であることを証明できれば分骨証明書なしに納骨が可能なこともあります。しかし、管理の厳しい公営霊園などでは、分骨証明書がないとお骨を戻せない可能性が高いでしょう。
分骨したお骨を分骨前のお墓に戻す時には、分骨証明書が必要だと思っておきましょう。
分骨証明書に関する注意点
分骨証明書を発行する場合には、いくつか注意しておかないといけないこともあります。ここからは、分骨証明書に関する注意点について紹介します。
分骨する際にトラブルにならないよう、事前に確認しておきましょう。
事前に遺族間で話し合っておく
民法では、お骨やお墓などの祭祀財産に関する決定権を持っているのは、祭祀継承者と定められています。祭祀継承者は、親族に相談することなく分骨の決定や実行ができます。
しかし、分骨を良くないと考える親族とトラブルになることも考えられるため、祭祀継承者であっても事前に関係者と話し合っておく方が良いでしょう。また、受け入れ先のお墓の関係者にも事前に相談しておくようにしてください。
出典:民法|e-Gov法令検索
余裕を持って申請しておく
分骨証明書の発行にかかる時間は自治体により異なります。中には1週間程度かかってしまう自治体もあり、即日発行されないこともあるでしょう。
申請したらすぐに手に入るものではないため、分骨することが決まったら余裕を持って申請しておくようにしましょう。
開眼供養が必要か確認しておく
宗派や地域によってはお墓からお骨を取り出す時に、開眼供養が必要になる場合もあります。閉眼供養が必要か、事前に確認しておくようにしてください。
閉眼供養が必要な場合は、分骨証明書の発行と一緒に供養の依頼も寺院や霊園に依頼しておくようにしましょう。
手元供養を希望する場合も発行しておく
手元供養する場合は、分骨証明書は発行しなくても良いとされています。しかし、手元供養していたお骨をお墓に戻す場合や、散骨するなどに備えて分骨証明書を発行していた方が良いでしょう。
なくさないように保管しておく
分骨証明書がないと納骨や供養を断られることが多いため、なくさないように厳重に保管しておく必要があります。
権利や金銭に関する書類ではない分骨証明書は、複数人で保管場所の情報を共有しても、トラブルになることは考えにくいです。むしろ、お骨の所有者が亡くなった場合に備えて、親族間で保管場所に関する情報の共有を行っておいた方が良いでしょう。
また、厳重に管理していても紛失してしまうことはあります。その場合に備えて、亡くなった日や火葬日をメモして対策しておくと良いでしょう。
紛失してしまった場合は早めに再発行の申請をしておく
前述したように、自治体の役所に行けば分骨証明書の再発行は可能です。しかし、発行には1週間ほど時間がかかる場合もあります。紛失に気が付いた場合は、早めに再発行の申請をしておきましょう。
供養のスケジュールが決定している場合には、早めに分骨証明書の所在を確かめ、紛失していることが分かったら早めに申請しておくことをおすすめします。
他の書類の管理も怠らないようにしておく
分骨証明書以外に埋火葬許可証(火葬許可証や埋葬許可証とも言われる)など、他の書類も厳重に管理する必要があります。
埋火葬許可証は、火葬をする際に必要な書類です。火葬後、拾骨が行われた後に火葬の日時などを記入して返却されます。埋火葬許可証がないと納骨や供養を断られてしまうため、紛失しないように注意しましょう。
埋火葬許可証も再発行は可能ですが、分骨証明書と同じように申請から発行までに時間がかかってしまいます。紛失に気付いたら早めに再発行の申請をしておきましょう。
分骨証明書を大切に保管しよう
分骨証明書は、埋葬時はもちろん散骨時や永代供養時などにも必要です。もし、なくしてしまった場合には、自治体の役所で速やかに再発行申請をするようにしましょう。
この記事を参考に、分骨証明書や埋葬に必要な書類について知り、トラブルなくスムーズに埋葬が進むよう準備しましょう。
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