
特別縁故者になれる人とは?手続きの際のポイントについても詳しく解説!

「自分にとって特に大切な人に、何かしら遺産を渡したい」
遺産相続について検討している人には、血縁に関係なく、このように考える人もいるのではないでしょうか。特に、独身の人が増えているこのご時世ならば、なおさらこのような考え方をする人は増加するでしょう。
実際に自分や親、その他の親戚の終活をしていれば、特別縁故者という言葉を目にする場合があるでしょう。そこで、本記事では特別縁故者の概要や条件、さらに必要な手続きまで詳しく解説しています。
この記事を読むことで、特別縁故者に関する知識を網羅できます。本記事で得た知識をもとに、自分や身近な親族が特別縁故者になった際に、滞りなく手続きできるでしょう。
特別縁故者に該当するか知りたい人や、認定に関する手続きでお悩みの人は、ぜひとも本記事をご活用ください。
そもそも特別縁故者とは?
特別縁故者とは、故人とは血縁関係にないが、生前に親密な関係であった人物です。
原則、故人からの相続を受けるのは法定相続人だけです。しかし、故人に相続人(故人の遺産を相続する人)がいなければ、その遺産は最終的に国のものとして国庫に保存されてしまいます。
そこで、故人の特別縁故者として国に認められた人物であれば、遺産を相続できるという制度があるのです。
特別縁故者になれる人とは?
一般的に相続を受けるのは、故人の配偶者や子供などの法定相続人です。しかし、遺言などが残っていなくても、国へ申立ることで特別縁故者として相続を受けられます。
では、特別縁故者になれるのはどのような人物なのでしょうか。ここでは、特別縁故者になれる人について、例を挙げながら説明していきます。
被相続人の療養看護に献身的に携わった人
被相続人が病気やけがによって療養・介護を必要としていた場合、その主介護者が特別縁故者に認められるケースがあります。自宅療養に限らず、特別養護老人ホームや小規模多機能施設などの介護施設に通って介護に尽力した人も該当します。
しかし、介護士や看護師の業務として報酬が発生する療養の場合は、特別縁故者には認められません。
被相続人が遺産を譲渡したいと言っていた人
被相続人から「私の遺産はあなたに譲る」と遺産の譲渡を約束されていた人物は、特別縁故者として認められる場合があります。
遺産の譲渡を約束されるほど、特に親密な関係であったと判断できるからです。このような場合は、証拠として遺言書に遺すなどの対策をとっておくと効果的でしょう。
また、個人ではなく会社や法人などの団体も、特別縁故者になり得ます。
被相続人と生計が同じだった人
同一世帯として生活を送っていた人物が、特別縁故者に該当することがあります。
たとえば、入籍していない夫婦(内縁の妻・夫など)や義理の両親、養子関係にあった人物、同居していた叔父や叔母、いとこ、甥、姪などがこれに該当します。
特別縁故者になるための手続きの際のポイント
特別縁故者になり得る人物だからといって、すぐに特別縁故者になれるわけではありません。
特別縁故者になるにはきちんとした手順で申請し、定められた認定基準を満たしている必要があります。
ここでは、実際に特別縁故者になるための手続きの流れを、順を追って分かりやすく説明していきます。
- 被相続人の住所地の家庭裁判所へ申立する
- 相続人不在確定から3ヶ月以内に申立する
- 申立の際には費用を用意する
- 必要書類を準備しておく
被相続人の住所地の家庭裁判所へ申立する
必要書類をそろえて家庭裁判所に提出する必要があります。たとえば、被相続人の住所地が大阪市だった場合は、大阪家庭裁判所に行きましょう。
家庭裁判所では、相続財産管理人選任の申立を行います。相続財産管理人とは、被相続人の財産の管理や債務の配当をする人物のことです。
相続財産管理人の選定が済み次第、相続人の調査が開始され、官報公告によって法定相続人の申出を促します。法定相続人が見つかれば、被相続人との関係の良し悪しに関わらず、遺産は優先的に法定相続人に相続されることになるのです。
相続人不在確定から3ヶ月以内に申立する
官報公告後、いつまでたっても相続人が申出ないことはよくあることです。官報公告によって法定相続人の捜索が開始され、6ヶ月以上の期間満了までに法定相続人が申出ず相続放棄した場合、相続人の不在が確定します。
相続人不在確定した場合、3ヶ月以内に相続財産の分与を申立できます。3ヶ月の期間を過ぎてしまうと遺産を相続する権利は消失するので、早めに手続きするよう心がけましょう。
申立の際には費用を用意する
特別縁故者の申立をするにあたって、費用が発生します。
800円分の収入印紙や連絡用の郵便切手、官報公告費が必要となります。
必要な切手は裁判所ごとにホームページで確認できるので、一度チェックしておくことを推奨します。また、官報公告費は掲載内容によって変わるので、お住まいの自治体の官報販売所へ確認すると確実です。
金額はさほど大きなものではありませんが、忘れずに準備しておきましょう。
必要書類を準備しておく
特別縁故者の申立にあたって、必要な書類が複数あります。必要書類が揃ったら、家庭裁判所へ提出します。
必要書類に関しては裁判所のホームページに記載されているため、確認しておくとよいでしょう。
申立書
特別縁故者が財産を相続してもらうための申立書です。
不動産や土地、現金など遺産の種類ごとの財産目録を併せて提出する必要があります。詳細は裁判所のホームページを参照するとよいでしょう。
申立人の戸籍謄本
申立人の戸籍謄本が必要です。
申立人とは、特別縁故者になるために申請する人のことです。相続権を持つ可能性のある人の戸籍謄本を用意しておきましょう。出生時からの情報がきちんと記載された書類が必要になります。
被相続人の戸籍(除籍)謄本
被相続人の戸籍謄本の準備も必要です。
被相続人が、出生してから亡くなるまでの情報が記載された書類を準備しておきましょう。申立者の情報だけでなく、被相続者の情報も併せて提出する必要があります。
特別縁故者が相続した遺産に相続税はかかる?
特別縁故者に認定され相続を受ける場合、通常の相続と同様に相続税が発生します。しかし、相続税には基礎控除が適用され、一定の金額以下ならば税金は発生しません。
相続税の基礎控除額は、600万円×法定相続人数+3,000万円で計算できます。控除額の計算においては、法定相続人が相続放棄した場合も、放棄した法定相続人を1人とカウントします。
たとえば、法定相続人が1人いて5,000万円相続する場合、相続税の基礎控除額は3,600万円となります。特別縁故者が相続するケースでは法定相続人がいないため、3,000万円を超える額を相続すると相続税が発生してきます。
また、特別縁故者となって遺産を相続する場合は税金の割合が増加し、通常時の2割加算されてしまいます。
相続税以外にも、さまざまな税金が発生するケースがあります。自分にはどのような税金が課せられるかを正しく把握しておきましょう。
特別縁故者として認定された後に相続人が見つかった場合
特別縁故者に認定されたとしても、相続人が後から見つかるケースもあります。そのような場合は、相続人が遺産を受け取る権利を得ます。
被相続人との関係性がどうであれ、相続人であることに変わりないのです。一度相続人が不存在確定しても、法定相続人が出てくればその人に優先して相続されます。
特別縁故者について理解しておこう
ここまで、特別縁故者について解説してきました。特別縁故者制度とは、故人が大切に守ってきた遺産を少しでも故人に関わる人に受け渡そうという制度なのです。
しかし、特別縁故者の申立手続きをしても、簡単に認定されるものではないという問題点があります。手続きにも手間がかかり、億劫に感じてしまう人もいるでしょう。
そのようなときは、生前譲渡したり遺言書を遺して遺贈したりするなどして、負担となる手続きを少しでも減らすという対策もできます。
また、弁護士などの専門家に相談したり、代理で手続きしてもらったりできます。弁護士費用は決して安くはありませんがとても大事な手続きのため、専門家に頼るのも対策方法の1つです。
どうしても手続きに戸惑う人は、1人で悩まず1度相談してみてはいかがでしょうか。
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