
相続の相談は誰にする?ケースごとの選び方やメリット・デメリットも併せて解説

「相続に関する相談は誰にしたらいい?」
「相続の相談内容に応じた相談先の選び方が知りたい」
「それぞれの相談先にはメリットやデメリットってあるの?」
相続に関してよくわからないと悩んでいる、誰かに相談したいと考えている人の中には、このような疑問や興味を持っている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、相続の相談内容に応じた相談先の紹介とともに、相談先のケースごとの選び方、相談する際のメリット・デメリットについて紹介します。
この記事を読む事で、相続の相談を誰にすればいいのか、メリット・デメリットを踏まえて把握する事が可能です。その知識をもとに、相談内容に応じて適切な相談先を見つける事ができるでしょう。
相続に関する相談をしたいと考えている人は、ぜひこの記事をチェックしてみて下さい。
相続の相談先は相談したい内容で決める
相続の相談先として選ばれやすいのは、行政書士や司法書士、税理士や弁護士が挙げられます。他にも無料で気軽に利用しやすい銀行や市・区役所の無料相談もあり、選択肢の幅は広いです。
ただし相続の相談であれば、どの相談先でもいいというわけではなく、相談先によって対応してもらえるケースや相談できる内容が異なります。また、相談する事で発生するメリットやデメリットも異なってきます。
このため相続の相談をしたい場合は、まず内容によって相談先を決める事が必要になります。
書類作成・自動車の名義変更・許認可手続き等は行政書士へ
相続に関する手続きには様々な書類を作成しなければならず、どんな書類をどのように書かなければいけないのか、提出先がどこなのかわからない・覚えられないという人は少なくありません。
このような相続に関する書類作成の他、自動車の名義変更や許認可の手続きに関する相談先としては、身近な法律の専門家として行政とのパイプ役になってくれる「行政書士」がおすすめです。
行政書士の仕事内容
行政書士の仕事は、主に契約書関連の作成や自動車関連の書類作成、日本国籍の取得や土地活用に関する申請手続き、債権債務や内容証明郵便・公正証書などの書類作成といった、市民の生活に寄り添った法律関連の相談や書類作成を担当しています。
このため相続の相談をしたい場合は、遺言や遺産相続の書類作成・相続人の調査や相続財産調査・財産目録の作成などの書類作成の他、自動車の名義変更、株価や銀行などの預貯金の解約および名義変更に関する事に対応してもらえます。
行政書士に相談するメリットとデメリット
行政書士に相談する際は、行政書士は紛争が起こっている案件を扱う事はできないという事を覚えておきましょう。
行政書士は、相続人間の争いを仲裁する事はできません。相続人の間で円満に話がまとまっている場合にのみ、活躍できます。
また相続時にしなければならない手続きは多いのですが、全てを依頼すると料金が高くつくでしょう。
自分でできる範囲は自分でする事を前提に、行政書士にしかできない許認可の変更等や、自動車の相続や廃車手続き等を相談するとよいでしょう。
行政書士に相談するメリット | 行政書士に相談するデメリット |
---|---|
気軽に依頼、相談しやすい | 裁判ができない、代理人として交渉できない |
他の専門家との橋渡しをしてくれる、紹介してくれる | 他の専門家よりは定額ではあるが、費用がかかる |
他の専門家(弁護士など)より費用が低額 | 不動産の登記関連はできない(司法書士になる) |
自分でやるより、手続きが迅速に済む |
行政書士に相談する際の費用相場
行政書士に相続の相談をした場合の費用設定は行政書士や事務所で異なっているため、一律の設定や決まりはありません。 ただ一般的には、必要な業務を行うタイプと相続に関して行政書士ができる事をまとめたセット料金になっているタイプがあります。
セット料金であればどこまで任せるのかによって変動するものの、相場としては20万円から30万円程度で設定されている事が多いです。また基本料金を5万円からとして、必要な業務1つにつき3万円からと設定されているパターンが相場となっています。
これに合わせて、数千円程度の手続きに関する手数料が加わるケースが一般的です。
相続の相談に詳しい行政書士を探す方法
行政書士に相続の相談をしたい場合は、まず相続に関しての専門分野にたけた行政書士かどうかを見極める必要があります。
相続に関する知識や経験が豊富であれば、書類作成や手続きがなかなか進まないなどのトラブルや問題を回避しやすくなるためです。
専門分野にたけているかどうかを確認するためには、まず専門分野を確認して、相続の相談に対応できるかどうかを把握しましょう。
また、相談内容だけではなく先を見据えた具体的な提案をしてくれるか、質問に対して理由もつけて回答してくれるかどうかも確認しておく事がおすすめです。
他にも、行政書士が対応できないケースを他の専門家と連携して対応してくれる行政書士を選ぶと、よりスムーズに相続手続きを進めやすくなります。
不動産の相続登記やトラブルが発生した場合の相続相談は司法書士へ
行政書士と似たような相続の相談ができる相手として挙げられているのが、「司法書士」です。
相続人の調査や遺言書の作成など、行政書士と同じような相続の依頼ができるのですが、不動産の相続登記やトラブルが発生した時に対応できるところが大きな特徴として挙げられています。
ここからは、司法書士にお願いできる相続の相談に関する内容を解説します。
司法書士の仕事内容
司法書士の仕事は、主に登記や裁判事務に関連した相談や依頼を請け負う事です。特に遺産相続に関連する手続きは行政書士以上に幅広いため、相続関連でトラブルが予想できるような場合に頼りになります。
具体的な司法書士の相続関連の仕事内容としては、遺言書の作成や検認・執行、相続人の調査、遺産分割協議書の作成、各種財産の承継手続き、相続放棄の手続き、不動産の名義変更(相続登記)です。
このため、以上の内容に関しての相談・依頼がある場合は司法書士を頼ってみましょう。
司法書士に相談するメリットとデメリット
依頼する司法書士によっては相続が専門外で対応していない場合があります。また相続で揉めている際、依頼人の代理人として交渉するといったような事はできない事、法律相談はできない事に注意しましょう。
司法書士に相談するメリット | 司法書士相談するデメリット |
---|---|
トラブルにならない遺産分割の方法を提案してもらえる | 相続人の間で紛争になった場合解決はできない |
かかる手間、時間の削減 | 相続税の相談ができない |
相続財産に不動産がある場合の手続きの依頼ができる |
司法書士に相談する際の費用相場
司法書士に相続相談する際、まず相続の相談だけで1時間程度が5,000円ほどと設定している事が多いです。
依頼した場合は、基本料金が7万円から10万円程度となっています。そこに依頼手数料としておよそ6万円からの費用がかかる他、戸籍謄本などの交付請求や遺産分割協議書の作成、相続登記などをまとめた費用として、6万円から10万円程度が相場です。
他にも相続登記する場合は登録免許税、書類を集めるための手数料が数千円程度かかります。
相続の相談に詳しい司法書士を探す方法
相続相談に詳しい司法書士を探す場合、行政書士同様に相続相談や手続きにたけた専門的な司法書士事務所であるかどうかを見極める事が大切です。
また、他の専門家と連携して司法書士ができない業務をカバーしてくれるのかという点も、探す際に重要になります。
ただ行政書士と違って、不動産の名義変更などの相続登記は司法書士しかできない業務となっています。
このため、相談したいまたは依頼したい内容に相続登記が含まれているのであれば、最初から司法書士に相談先を絞って探すようにしましょう。
相続税の相談は正確な計算と申告ができる税理士へ
遺産相続をする際に忘れてはいけないのが、相続税の存在です。 どの程度の遺産を相続できるのかという部分と同じく、相続する遺産にどの程度の税金がかかってくるのかを理解しておかなければいけません。
そのような相続税に関する相談先としておすすめされているのが、税に関する専門家である「税理士」なのです。
税理士の仕事内容
税の専門家である税理士の主な仕事は、あらゆる税金に関しての税務代行、税務書類の作成、税務の相談となっています。
相続に関連する事であれば、相続税に関する相談や相続税の計算、相続税の申告代行、亡くなった人の確定申告の代行などが対応できるケースです。
また遺産に土地があった場合の相続税に関する相談にも対応しており、複雑な遺産相続がある場合の相続税の計算は税理士に任せた方がわかりやすくなっています。
税理士に相談するメリットとデメリット
人が亡くなった場合、相続以外にもやる事はたくさんあります。税理士に相談すれば、相続税に関する部分の手間、時間を節約できるため、他の事に時間を使えます。
また、見落としがあり納税額が少なかったためにのちに追徴課税になってしまった、という事態を避けられます。
デメリットはどうしても報酬が発生する事ですが、メリットの方が大きいので必要経費であると考えましょう。
税理士に相談するメリット | 税理士に相談するデメリット |
---|---|
手間・時間がかからない | 報酬を払う必要がある |
節税のアドバイスが受けられる | 相続に強くない税理士もいる |
ミスなく納税ができる | |
税務調査の心配が減る |
税理士に相談する際の費用相場
税理士に相続相談する場合、初回であれば60分から90分で相談料無料としているところが多いです。初回以降は30分で3,000円から5,000円程度が相場となっています。
実際に税理士に相続税に関する事を依頼した場合の費用相場としては、相続財産額の0.5%から1%程度が基本費用で、相続した財産の種類や手続きにかかる手間・時間によって加算される場合が多いです。
相続の相談に詳しい税理士を探す方法
相続税に対しての相談を考えている場合は、相続税に詳しい(相続関連を専門分野にしている)税理士を探す事が大切です。
相続税の概算については、実は弁護士や司法書士、行政書士でもできます。ただあくまでも概算であり、正確な計算は税理士しかできません。 そのため、詳しく相続税について知りたい人は税理士を選ぶ事が重要になります。
トラブル解決や複雑な対応が必要な場合は弁護士へ
遺産相続では、他の相続人と何らかのトラブルに発展してしまう可能性があり、場合によっては裁判所での調停まで発展してしまうケースも存在します。
そうなった際に法律の知識がない人ではどのように対処していいのかわからないのではないでしょうか。
このような遺産相続に関連したトラブルの相談・解決や、複雑な対応が必要なケースに関しての相談は、法律のプロフェッショナルである「弁護士」がおすすめです。
弁護士の仕事内容
法律の専門家である弁護士は、様々な法律相談に乗ってくれる他、裁判所で代理人として調停や交渉、審判の手続きをしてくれるなど法律が関わる業務を担っています。
相続に関しては相続問題に関する相談や解決のための仲介、遺産分割協議が進まない場合の家庭裁判所での代理人としての対応、相続の遺留分に納得がいかなかった場合に対応してくれるところがポイントです。
このため遺言書や遺産分割協議をはじめとしたトラブルを相談したい、解決したい場合は弁護士が相談窓口として利用できます。
弁護士に相談するメリットとデメリット
財産分与で揉めていて、弁護士が間に入った場合、自分が本来もらえる分を正当な理由に基づいて相続できるようになります。
また、相続の手続きは時間も手間もかかるもので、多くの人にとってはストレスになりますが、弁護士に依頼すればこうした手続きを代わって行ってくれるため負担は少なくなります。
デメリットは、他の専門家に依頼する場合と比較して費用が高額になってしまう点です。
弁護士に相談するメリット | 弁護士に相談するデメリット |
---|---|
相続で損をしない | 費用が高額である |
適切なアドバイスが受けられる | 争いがもつれる事になる場合がある |
代理人として交渉にあたってくれる | 相続に強くない弁護士もいる |
手間、時間の節約 | |
ストレスが減る |
弁護士に相談する際の費用相場
事務所によって異なるものの、初回のみ無料で対応してくれるところもあります。有料の場合でも、30分で5,000円前後に設定しているところが多いです。
それを踏まえた相続関連の依頼費用の相場は、依頼内容によって異なります。基本的に報酬金が経済的利益の4%から16%程度、着手金は依頼内容によって10万円から30万円前後と幅広く、それに加えて手数料なども加わります。
一般的に相続問題での弁護士費用は必要な作業や時間が多くなりやすいため、他の専門家と比較すると費用相場がやや高くなりやすい事を知っておく事が大切です。
相続の相談に詳しい弁護士を探す方法
相続相談において、弁護士は最も幅広い内容で相談が可能となっています。
探す際のポイントとしては、弁護士事務所のホームページなどを確認し、相続問題の専門性はあるか、相談や依頼を受けた実績が豊富であるのかを確認しましょう。
また実際に相談した際に、かかる費用に関しての説明がわかりやすく料金形態が明確であるか、対応がスピーディーかなどのポイントもチェックしておく事が大切です。
銀行でも無料相談が受けられる
相続問題の相談先としては弁護士や司法書士などの専門家が真っ先に浮かびやすいですが、実は銀行でも相談する事が可能です。
これは相続した財産を運用するためのサービスを提供している事から派生したもので、無料で相談できるようになっています。
ただし注意点として、銀行はあくまでも弁護士や司法書士との橋渡し的な役を担っているだけなので、銀行が何らかの手続きをしてくれるわけではありません。
銀行で相談するメリットとデメリット
銀行に相談するメリットは、相続に関して幅広いサポート、アドバイスを行える点があげられます。
銀行に相続の相談をした場合、自分で専門家に依頼するよりも銀行を通して相談した分、料金が上乗せされて高くなる可能性があります。銀行が相談者と専門家の橋渡しをする事から、その費用が加算されてしまうためです。
また銀行は遺産相続の専門家というわけではないため、相続に必要な書類は自分で用意する必要があります。相続で財産を得られるような場合には、銀行が販売している金融商品への投資を進められる場合もあるでしょう。
銀行で相談するメリット | 銀行で相談するデメリット |
---|---|
専門家と提携しているため、幅広い相談に応じる事ができる | 銀行を通じて専門家に依頼する場合、料金が高くなる傾向がある。手数料がかかる |
無料で相談ができる | アドバイスは受けられるが、自分で手続きをしなくてはいけないものが多い |
預貯金などの名義変更についてのアドバイスが受けられる | 金融商品を勧められる事がある |
相続税についてのシミュレーション、アドバイス |
銀行で相談する事が適している内容
相続に関する専門家ではないとは言え、銀行には銀行ならではの強みがあります。
専門家の心当たりがなく「誰に相談してよいのかわからない」といった悩みや「相続した財産を運用したい」、「相続に信託を活用したい」といった事であれば、銀行への相談が向いているでしょう。
相談内容 | 銀行で相談した方が良い理由 |
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どの専門家に相談したら良いのかわからない | 専門家を一から探す手間が省ける |
相続した財産を運用したい、信託を活用したい | 銀行の業務の分野であり、実績がある |
相続の相談に詳しい銀行を探す方法
最近は、どの銀行でも相続手続きに力を入れている傾向にあります。特に信託銀行と呼ばれる銀行は、専門のアドバイザーを置くなどして相続の手続きをしたい顧客へのサービス力を高めています。
自分がどんなサービスを受けたいのか、自分に向いている銀行はどこなのか(できるだけ手間を減らしたいのか、少しでも手数料が安いところがよいのか、など)を考えましょう。
ホームページを見て行ってくれるサービス内容をよく確認し、比較検討する事をおすすめします。
相続全般をおおまかに知りたい時は市・区役所の無料相談へ
他にも相続相談ができる場所として挙げられているのが、市・区役所です。
市・区役所をはじめとした多くの自治体では、定期的に法律相談や生活相談など様々な無料相談会が実施されています。この無料相談会では専門家が派遣されているケースが多いです。
事前に予約が必要である場合や相談できる時間が短いなどの点がありますが、相続全般の事をまず相談してみたいという時に使いやすい相談先としておすすめです。
市・区役所で相談するメリットとデメリット
市役所や区役所の無料相談は利用しやすさから人気があるため、相談時間が限られていて、聞きたい事全てを聞けない場合があるでしょう。
多くの方に法律相談を利用してもらいたいという理由から、継続的な相談は受けつけていないため気を付けましょう。
また、相談した後に実際にその人に相談したいとなったとしても、資料や情報が足りずにその場で受けつけてもらえない事が多い点にも注意が必要です。
市役所や区役所の相談を利用する際は、何を質問したいのかを明確にし、判断に必要そうな資料をあらかじめ揃えていくとよいでしょう。
市・区役所で相談するメリット | 市・区役所で相談するデメリット |
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役所なので、手軽に相談しやすい | 相談する日時、時間、回数の制限がある(通常20~30分ほど) 事前の予約が必要 |
無料で相談ができる | 相談をした専門家に引き続き依頼したくてもできない事が多い |
聞きたい事が全て聞けない |
市・区役所で相談する事が適している内容
市役所や区役所で相談するのに向いている内容は、「誰が相続人になるのか」、「相続税を支払う必要があるのか」、「遺言書が有効か無効か」といったなるべく分かりやすい内容の悩みでしょう。
市役所や区役所での限られた時間の相談では、専門家であってもごく一般的な回答をするしかないためです。
相続に関する一般的な悩みであれば回答可能ですが、専門性の高い相談に対しては資料や情報が足りない事から、時間内で満足できる回答を得る事は難しいでしょう。
相談内容 | 市・区役所で相談した方が良い理由 |
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相続する事が分かったがどうしたらよいのか | どの専門家に依頼するのかを教えてもらえる |
誰が相続人なのかわからない、相続税がかかるか | 専門家に尋ねるまでもない質問を気軽にできる |
他の相続人から連絡がきた | どうしたらよいのかを教えてもらえる |
書類の書き方がわからない | アドバイスが受けられる |
相談内容に合った相談先を選ぼう!
相続に関する相談を誰にすればいいのかわからないと悩んだ場合、まずは相談内容に対応できる相談先はどこなのかを把握する事が大切です。そのうえで相談先それぞれのメリットやデメリットを踏まえて、適切な相談先を見つける必要があります。
どうしても相談先がわからないという場合は、法テラスや銀行、市・区役所のように、まずは無料で相談に乗ってくれるところや専門家を紹介してくれるところを利用するのもおすすめです。
今回紹介した記事を参考にして、少しでも早く内容に合った専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
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